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フィリア
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かくして、俺はドラゴンという強力な協力者を得た。駄洒落ではない。
それから少しして、ドアも付けて屋根も塞ぎ、立派な豆腐ハウスを作った俺は、余った木材で作った椅子に腰掛けていた。
窓もないので月明かりすら差し込まないが、光は魔法で供給している。全く便利なものだ。
ドラゴンはというと、山のどこかにあるらしい住処に帰ったという。流石にドラゴンの体躯では狭い豆腐ハウスには入れないし。
だが、俺の魔法を使い脳内で意思の疎通は出来るようにしておいた。
「そういえば、あんた名前とかってあるのか?」
ふと気になり、魔法を発動してドラゴンに問いかける。
するとすぐに返答が返ってきた。
『拘りはない。好きに呼べ。ただ……』
「ただ?」
『奴は我のことを、フィリアと呼んでいた』
「……愛、って……厳ついドラゴンに付ける名前じゃねぇな」
たしかフィリアとは、古代ギリシアの愛の事だった筈だ。
『ほう、興味深いな。奴は我の名前にこの上なく相応しいと言っていた。奴は嘘をつかぬ。勘違いはよくしたがな』
「んー……まぁあんた、会ったばかりの俺から見ても随分優しいからなぁ。強ち間違いでもないのか……俺もそう呼ぶかな」
それにしても違和感が凄いが……はて、しかしそういえば。
「フィリアのその、誰にでも言葉通じるやつさ。俺も魔法で出来んの?」
せっかく家も出来て協力者も出来たので、今更山を降りて街で過ごすつもりも無いが、街に行く機会はあるだろうから聞いていて損はない。
『出来ないという事はないだろう。しかし、見たところ貴様は魔法の教育を受けた事はないな?』
「ん? 確かに自分で実験してみたくらいしか無いな」
『では難しいだろう。言語に関するものは、特出して発動難易度が高いからな』
むう、残念だ。
まぁ確かに想像しにくい部分……というか、何がどうなっているのを想像するのが正解なのか、わからない部分ではある。
「そうか……やっぱり言語は頑張って覚えるしかないのかね」
『何であれば、魔法を習熟するか貴様が言葉を覚えるまで、我が通訳をしても構わないが』
「え? あー、この魔法改良して、相手の声をフィリアに届けられればいいのか」
『それでも構わんが。我も街に行けばなお早かろう』
何言ってんだこいつ。
ドラゴン連れて街に行けるわけ……いや、行けるのか? まさかこっちの世界ではそれが一般的だったりするのか……?
こっちの常識など少しも知らないので、どうとも言えないが……もしそうなら凄く肝が据わってるな、こっちの人間。
っていうか外壁についてる門、フィリアのサイズじゃ通れないだろ。
「…………小さくなれたりすんの?」
『無論』
なれるのか……手乗りドラゴンみたいな感じだろうか。
『しかし、我はドラゴンの中でも若い方である。見た目は相当幼くなるが』
「……え、なんの話?」
『何? 小さくなるとは《人化》の話ではないのか?』
「人……え?」
『ドラゴンが様々な人族の姿を模倣できるのは常識であろう』
そ、そうなのか……常識だったのか……。
しかし、様々な人族ってなんかおかしくないか? 人間以外に、街にいた獣耳の亜人とかも引っ括めて人族って区分なのかな。
まぁ正確にはわからないけど。
「え、何? 好きな姿になれるって事なのか?」
『そこまで自由ではない。耳や尻尾や鱗など。種族の特徴は捉えられるが、リザードマンのように余程多種族と見た目が乖離するものでなければ、どの種族になっても外見自体は大差がない。姿が魂に引っ張られるのだ』
「成る程なぁ」
俺はその説明に一応は納得し、小さく頷く。
つまり、ドラゴン基準で幼いから他の種族になってみたときも、その幼さに体が準拠するという事らしい。
しかし、何千年も生きていてドラゴンのなかでは幼い方なのか……生命の神秘を感じる。
「因みに人間換算で何歳相当くらい?」
『八つか、九つといったところだろう。性別に関しては、ドラゴンは生殖をしないためそもそも性別というものがない。故に何方にもなれるのだが……そのあたりの裁量は貴様に預けておこう』
つまり。俺が《人化》したフィリアを連れまわすということは、見た目が八、九歳の合法ショタロリと一緒にいるということで……ははっ、凄いな。通報されそう。
フィリアというネーミングに違和感を感じていたが、多分前の勇者はこのドラゴンをロリにして連れ回していたんだろう──。
と、俺は自分の瞼が意に反して半ばまで降りてくるのを感じた。
色々な体験で体感は眠気などさらさら感じないのだが、どうやら肉体の方に限界が来たらしい。
俺は、魔法で作ったバサバサの毛布にくるまり、これも魔法で作ったベッドに寝転がった。ベッドと言っても横になれるだけの幅がある、ただの硬い木の台だが。
『む。眠るのか』
「あぁ。眠くはないけど、人間的限界が来たらしい……ふぁ……」
大きく欠伸をして、俺は瞼を閉じた。
「お休み、フィリア」
『…………うむ』
徐々に意識が遠のいていくのを感じる。
お休み、と。
そう言える相手が近くにいる事が、こんなに嬉しい事だと俺は初めて知った。
それから少しして、ドアも付けて屋根も塞ぎ、立派な豆腐ハウスを作った俺は、余った木材で作った椅子に腰掛けていた。
窓もないので月明かりすら差し込まないが、光は魔法で供給している。全く便利なものだ。
ドラゴンはというと、山のどこかにあるらしい住処に帰ったという。流石にドラゴンの体躯では狭い豆腐ハウスには入れないし。
だが、俺の魔法を使い脳内で意思の疎通は出来るようにしておいた。
「そういえば、あんた名前とかってあるのか?」
ふと気になり、魔法を発動してドラゴンに問いかける。
するとすぐに返答が返ってきた。
『拘りはない。好きに呼べ。ただ……』
「ただ?」
『奴は我のことを、フィリアと呼んでいた』
「……愛、って……厳ついドラゴンに付ける名前じゃねぇな」
たしかフィリアとは、古代ギリシアの愛の事だった筈だ。
『ほう、興味深いな。奴は我の名前にこの上なく相応しいと言っていた。奴は嘘をつかぬ。勘違いはよくしたがな』
「んー……まぁあんた、会ったばかりの俺から見ても随分優しいからなぁ。強ち間違いでもないのか……俺もそう呼ぶかな」
それにしても違和感が凄いが……はて、しかしそういえば。
「フィリアのその、誰にでも言葉通じるやつさ。俺も魔法で出来んの?」
せっかく家も出来て協力者も出来たので、今更山を降りて街で過ごすつもりも無いが、街に行く機会はあるだろうから聞いていて損はない。
『出来ないという事はないだろう。しかし、見たところ貴様は魔法の教育を受けた事はないな?』
「ん? 確かに自分で実験してみたくらいしか無いな」
『では難しいだろう。言語に関するものは、特出して発動難易度が高いからな』
むう、残念だ。
まぁ確かに想像しにくい部分……というか、何がどうなっているのを想像するのが正解なのか、わからない部分ではある。
「そうか……やっぱり言語は頑張って覚えるしかないのかね」
『何であれば、魔法を習熟するか貴様が言葉を覚えるまで、我が通訳をしても構わないが』
「え? あー、この魔法改良して、相手の声をフィリアに届けられればいいのか」
『それでも構わんが。我も街に行けばなお早かろう』
何言ってんだこいつ。
ドラゴン連れて街に行けるわけ……いや、行けるのか? まさかこっちの世界ではそれが一般的だったりするのか……?
こっちの常識など少しも知らないので、どうとも言えないが……もしそうなら凄く肝が据わってるな、こっちの人間。
っていうか外壁についてる門、フィリアのサイズじゃ通れないだろ。
「…………小さくなれたりすんの?」
『無論』
なれるのか……手乗りドラゴンみたいな感じだろうか。
『しかし、我はドラゴンの中でも若い方である。見た目は相当幼くなるが』
「……え、なんの話?」
『何? 小さくなるとは《人化》の話ではないのか?』
「人……え?」
『ドラゴンが様々な人族の姿を模倣できるのは常識であろう』
そ、そうなのか……常識だったのか……。
しかし、様々な人族ってなんかおかしくないか? 人間以外に、街にいた獣耳の亜人とかも引っ括めて人族って区分なのかな。
まぁ正確にはわからないけど。
「え、何? 好きな姿になれるって事なのか?」
『そこまで自由ではない。耳や尻尾や鱗など。種族の特徴は捉えられるが、リザードマンのように余程多種族と見た目が乖離するものでなければ、どの種族になっても外見自体は大差がない。姿が魂に引っ張られるのだ』
「成る程なぁ」
俺はその説明に一応は納得し、小さく頷く。
つまり、ドラゴン基準で幼いから他の種族になってみたときも、その幼さに体が準拠するという事らしい。
しかし、何千年も生きていてドラゴンのなかでは幼い方なのか……生命の神秘を感じる。
「因みに人間換算で何歳相当くらい?」
『八つか、九つといったところだろう。性別に関しては、ドラゴンは生殖をしないためそもそも性別というものがない。故に何方にもなれるのだが……そのあたりの裁量は貴様に預けておこう』
つまり。俺が《人化》したフィリアを連れまわすということは、見た目が八、九歳の合法ショタロリと一緒にいるということで……ははっ、凄いな。通報されそう。
フィリアというネーミングに違和感を感じていたが、多分前の勇者はこのドラゴンをロリにして連れ回していたんだろう──。
と、俺は自分の瞼が意に反して半ばまで降りてくるのを感じた。
色々な体験で体感は眠気などさらさら感じないのだが、どうやら肉体の方に限界が来たらしい。
俺は、魔法で作ったバサバサの毛布にくるまり、これも魔法で作ったベッドに寝転がった。ベッドと言っても横になれるだけの幅がある、ただの硬い木の台だが。
『む。眠るのか』
「あぁ。眠くはないけど、人間的限界が来たらしい……ふぁ……」
大きく欠伸をして、俺は瞼を閉じた。
「お休み、フィリア」
『…………うむ』
徐々に意識が遠のいていくのを感じる。
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そう言える相手が近くにいる事が、こんなに嬉しい事だと俺は初めて知った。
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