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選ばれた

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    辺りは暗く、人はいない。僕は今日、死のうと思う。理由はイジメだ。よくある話。イジメたやつらに見せつけるために死ぬところを学校にした。もう耐えられない。
    手すりを越えて飛ぶ体制に入る。屋上から飛び降りるんだ。今までの人生を振り返る。特に楽しい思い出もないのでやっぱりやめた。飛んだ。地面が近づいてくる。やっと死ねる。





    ゴッ、    グジュッ、パキバキ、ゴフッ







    辺りが急に真っ白になった。と、思ったら目の前の白に割れ目のようなものが縦にスッとできてスッと横に割れた。そこから黒い帽子をかぶった猿が出てきた。
 「どうも」
    猿は言った。
「私、この世界の神です」
「あぁ、神様か」
こんななりでか。
「失礼ですね。外見はどうでもいいのですよ。実際、この姿は分かりやすいようにした仮の姿ですから」
へー、心が読めるのか。
「妙に落ち着いてますね」
猿が少し意外そうに言う。
「まあね、僕死んだんですよね?そのお迎えでしょ?」
「え?あー、違います違います。あなたはまだ死んでませんよ。私がここに呼んだんです。あなたは死にませんよ」
「は?いやいや、死にたいんですけど」
「まあまあ、そんな死に急がないで。あなたは選ばれたんですよ。私が考えたゲームのプレイヤーに」
は?なに言ってんだこの猿は。
「まあまあ、そんな事言わずに、いや、思わずに、か。」
心が読めるのウザいな・・・。
「今からゲームの内容を説明します。ゲームのプレイヤーはあなたを含めて20人。この20人で殺しあいをしてもらいます。各々に特殊能力をあげてます」
猿はこっちの気持ちそっちのけで説明してくる。
「あなた以外の人たちは参加するかどうかはその人が決めます。まあ、参加しないと死んじゃうって説明したあとですけど。だから皆参加してますね。他の人たちは生きたいと思っているのでこのゲームに全力で挑むでしょう。私はこのゲームをよく退屈しのぎにやるんですが、いつも通りだとなんかもう飽きちゃったんですよね。だから死にたがりの人に不死身の能力をあげて参加させたらどうなるかなって思ったんですよ。そこであなたが選ばれたと言うことですね」
「は?ふざけんなよ!僕は今すぐ死にたいんだよ!いいから死な・・・」
「もー、そうゆうの良いから。じゃ、さいなら」
「は?」












    ゴフッ、ガハッ、バキバキ、チュグチュグ

    



    

    体が再生していくのが分かる。辺りは暗く、人はいない。僕は今日、死ねなかった。
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