欠片の軌跡⑥〜背徳の旅路

ねぎ(塩ダレ)

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第九章「海神編」

白日夢と浮橋

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「ファルシュ。」

「ん。」

いつの間にかギルは大体の時、サークをファルシュと呼ぶようになった。
差し伸べられた手を取り、引き寄せられるままその腕に手を絡める。

ファルシュでいる事。

それはサークにとっても楽な事だった。
サークとしてギルと触れ合っている事には、仕方のない事とはいえ罪悪感を覚えていた。

だが、ファルシュは違う。

偽物ファルシュという存在。
自分ではないと思えばギルと触れ合う事に抵抗がなくなる。

それは偽りだ。
わかっている。

だが罪悪感に苦しめばミチルに付け込まれる。
ミチルの目的は未だにわからなかったが、とにかく東の国を囲む湖に海神を還す事が最優先事項だ。
邪魔されてはたまらない。

「……暑くないか?」

「平気。」

「だが少し体温が高いぞ?ちゃんと眠れているのか?」

そう言われてみれば体が少し火照っている。
あまりよく眠れていないのも事実だ。

「……すまん。」

「気にするな。少し休もう。」

「ん……。」

頭の中、ミチルが笑っている。
それが現実なのか、自分の精神の中なのか、朦朧としだすと解からなくなる。

街道を外れ、木陰の岩場にギルはサークを座らせた。
この症状はリオにもよく見られた。
それまで元気だったのに、急に当てられたように発熱して朦朧としだす。
内に秘めた海神に影響されているのだ。

「……気休めだがこれを飲め。少し楽になる。」

「何……?」

「聖水。」

「……はは、呪われてる訳でもねぇってのに……。」

「そうか?俺はずっとリオは呪われているのだと思っていた。」

「……人間から見たら……理解できないよな……。存在意義が違うから……生きてる時間が違うから……異なる種だから……考え方が素で違ってるだけなんだ……。まぁ、結構、致命的に違うから危険だし……厄介なんだけど……。でも少なくとも……海神様は……殿下を我が子の様に愛されてたんだ……。あんまりにも存在と考え方がズレてるから……行き違ってたけど……呪ってるとか……あんま、悪くとらないでやってくれよ……。」

「わかったわかった。とにかくこれを飲んで少し休め。」

「……ん。」

急速に体温が上がり始めぐったりしたサークに小瓶の聖水を飲ませる。
本来なら邪気を払うものだが、飲ませる事によって同じ肉体に宿る気を遠ざける(分ける?)事ができるとかで、幼い頃からギルはリオがこの状態に陥った時、こうしてきた。

「……………………。」

汗ばんで額に張り付く前髪。
赤らんだ顔。
緩めた襟元から覗く鎖骨。
口元から溢れた聖水が雫となって首筋を伝っていく。

グッと自分を律する。

リオにもそうしてきたのだから、相手がサークに変わろうとも何も変わらないと思っていた。
しかしその考えが甘かった事をギルは今更、思い知った。

リオに対し、ギルにはまず騎士としての忠義があった。
それを利用して全ての邪念を封じてきたと言ってもいい。
何よりリオはこの国の王の子。
いくらギルの家が侯爵であっても、天と地ほどの壁がはっきりしていた。

だがサークは違う。

身分で言うならサークは平民上がりのにわか男爵。
仕事上も上司と部下。

彼らが対等なのは立場を超えた信頼関係の上でだけだ。
お互い相手を信頼し、少し歪で奇妙な友情の上に今がある。

だが信頼というのは身分や立場より絆が深い。
けれど形としては見えにくいそれは儚く壊れやすいとも言える。

そして……。

それは一度壊れたら修復が難しい。
だからこそ貫き通さなければならないものだ。

「……ギル?」

濡らした布で額の汗を拭い、それは首元に向かってそこで不自然に止まった。
熱を帯びた瞳が薄く開いてギルを見つめる。

違う。
そういう事じゃない。

気怠そうに熱い息を吐きながら自分を見上げるその眼差しに、ギルの奥底に蠢くモノがゾワゾワと競り上がろうと藻掻いていた。
それを無理矢理奥へ押し留める。

「……辛いか?サーク?」

さっきまで偽物ファルシュと呼んでいたのに、急に真顔で名を呼ばれ、サークは思わず笑った。
熱で辛いのは自分だが、同じ様に何かに苦しんで顔を顰めているギルが、どういう意図で呼び方を変えているのかはわからなかった。

わからないけれど、わかる気もしていた。

多分、自分と同じだ。
サークをサークと意識せずにいたい時は「ファルシュ」と呼び、心置きなく触れて甘やかす。
だが、サークはサークだと、目の前にいる相手が部下であり、リオに仕える同じ騎士であり、事実婚相手のシルクの主であり、複雑な事情の上に信頼関係を築いてきた友である事を自分に強く認識させたい時は「サーク」と呼ぶのだと。

だがその境はお互い、段々と曖昧になっている気がした。

「……大丈夫なんだが、ちょっとだけ寝ていいか?」

「わかった。」

「悪い。30分以内に起きる。」

「無理をするな。リオもこうなると寝込む事が多かった。」

そう言って頭を撫でてやると、サークは黙って目を閉じた。
その体を楽になるように肩を抱いて自分に寄り掛からせる。
熱っぽい吐息が自分にかかり、ギルはもたれるサークの頭に自分の頭を重ねた。

勘違いするな。
サークはリオと同じ様に海神に当てられて発熱しているだけだ。
弱っているからこうして自分に身を預けてくるだけだ。

こころしろ。
俺は一度、コイツの信頼を裏切った。
二度目はない。

その時の絶望と苦痛を忘れるな。

暴れだしそうな自分の奥底のマグマをギルはキツく律する。
全てを欲望のままに暴いてしまいたい想いはあれども、今度こそサークを失うだろうという恐怖の方が勝っていた。

サークを失う事は、同時にシルクを失う事も意味している。

南の国の件で二人が旅立って味わった虚無感。
帰ってくるとわかっていても耐え難かったあの虚しさが二度と戻ることの無い絶望となったのなら、今度こそ自分は耐えられないだろう。

「……俺も弱くなったな……。」

サークの寝息を聞きながら、ギルは呟く。
サムはそんなギルを人間らしくなったと言った。
人間らしくなると言うのは弱くなることなのだろうか?

いや、おそらく違う。

人間らしさとは恐れを持つことだ。
相手を想うあまり感じる恐れを知る事だ。

恐怖。

誰かを想う不安。
揺るぎなかったはずの自分の世界をいとも簡単に壊すもの。

それを何と呼べばいいのかギルにはわからなかった。
















「……え?!」

サークは目を開けた。
辺りは暗闇に包まれ、虫の声がその闇を飾っていた。

「……ウソっ?!」

予想以上に時間がたっている。
またミチルが何かしていたのかと慌てたが、自分でない記憶が浮かんでくる事はなかった。
だとしたら本当にずっと眠っていた事になる。

「目が覚めたか……。」

「ごめん!!」

「気にするな。言っただろう、リオもああなると寝込んだ。むしろ半日で目が覚めたお前に驚いてるぐらいだ。」

「いや……でもなぁ……。」

「熱は?辛さは取れたか?」

「…………あぁ、大丈夫。」

「ならば問題ない。」

ギルはそう言うと、焚いていた焚き火を漁りはじめた。
灰の下から何かを掘り起こす。
途端にいい匂いが漂い始め、サークのお調子者の腹の虫が大声を上げた。

「うっ!!」

「……クッ……ククッ……相変わらず元気だな……お前の腹は……。」

慌てて押さえたが、鳴ってしまったものはどうにもできない。
笑われた事にムスッとしながら、焚き火の方に移動する。

「何?」

「お前の鞄に入っていた肉だが?」

「…………何の肉?!」

「俺に聞くな。お前の鞄に入っていた肉だ。」

サークはしばらく考えた。
ボーンから貰ったラピッドフットの肉は食べ尽くしていた筈だ。
だとしたら無限バックに残っているのは……。

「で?何の肉だ?」

「………………。」

「サーク?」

「……貴族のお坊ちゃまは知らない方がいい肉だ。」

「犯罪になるか?」

「それは大丈夫だ。」

「安全に食べられる物か?」

「それも大丈夫だ。少し癖が強いがちゃんと美味しく食べられる肉だ。」

「ならば問題ない。」

ギルはそう言うと、特に気にした風でもなく大きめの葉っぱに包み込まれているそれを板に乗せる。
葉を取り除くと中からブロックのままの肉が現れた。
それをナイフで適当に切っていく。

「……お前……料理できたんだな……。」

「料理はできない。死なない為に最低限の事ができるだけだ。」

「へぇ~。それでもびっくりだ。どこで覚えたんだ??」

なんの気なしにそれを言った瞬間、ギルは物凄く変な顔をした。
その顔を見てサークは思わず固まった。
その表情はどこかで見覚えがあったのだが、どこで見たのか思い出せなかったのだ。
そんなサークから顔を背け、ギルはボソリと呟いた。

「……言いたくない。」

何か物凄いデジャヴを覚える台詞。

その瞬間、何かが急に繋がった。
サークは思わず反射的に立ち上がってしまった。

「え……えぇっ?!」

「………………。」

まさかそんな事が……?!
自分に浮かんだ考えに確信が持てない。
だがあえてサークから視線を反らすギルを見て、そうとしか思えなかった。

ギルのした物凄く変な表情をどこで見たのか、サークは思い出した。

それはシルクがレオンハルドの事を聞かれた時によくする表情だった。
シルクも今のギルと同じ様に変な表情をした後、いつも顔を背ける。

「……えっ?!お前……?!もしかしてレオンハルドさんに稽古つけてもらってた?!」

「……………………。思い出させないでくれ……。」

心なし俯いて口元を押さえるギル。
ゴーンとばかりにサークの頭の中で音がした。

ギルにすら「思い出したくない」と言われるレオンハルドの稽古がどんなものなのか……。
考えたが、サークはにこにこと紳士的なレオンハルドしか知らないので全く想像できない。

「え??じゃあ……演舞を知ってたのって?!」

「……まぁ、そういう事だ……。」

「習ったのか?!」

「いや……俺は演舞そのものは習っていない……。だがあの人は気が向けば平気でそれを使って俺をとっちめて来た……。あの人にとってはあの程度、まだ演舞とは言えなかったんだろうが……。」

「……ウソ……。」

「何度か死を覚悟した……。あの人にとったら遊び半分だっただろうが……恐ろしかった……。その記憶を払拭したくて……俺は自分を鍛え続けた……。あの人につけられる稽古に比べれば……キツイ修行など何もなかった……。とにかく、あの記憶に少しでも打ち勝ちたかった……。」

「…………マジか……。」

どうやら、ギルの異常とも言えるストイックさの一端を担いでいるのはレオンハルドその人のようだ。
鬼の黒騎士誕生秘話にこんな裏があるとは思わなかった。

「……あの完璧で最高の燻し銀……格好良くてお茶目でダンディーなレオンハルドさんが……。」

「前から思っていたが……お前はあの人に夢を見すぎだ……。あれほど凶悪な存在はこの世にない……。」

「失礼な!!レオンハルドさんは完璧なんだ!!極悪人みたいな言い方すんじゃねぇ!!」

「……むしろ極悪人の方が優しいと俺は思う……。」

やはりシルクとレオンハルドの話をする時と同じく、全く会話が噛み合わない。
唖然とするサークに対し、ギルはこの話はもうしたくないと態度で訴えていた。
そしてサークの気を反らすにはうってつけの物がギルの手元にはある。

「……皿はあるか?サーク?」

「お、ちょい待ち。」

無限バックから皿を出してギルに渡す。
適当に切られた大ぶりの肉は、スパイスの効いた香ばしい匂いをさせながら肉汁を滴らせ湯気立っている。
思わずゴクリと喉を鳴らした。
レオンハルドの話はひとまずサークの頭からは消え去っていた。

「……あまり自信はないが……食えなくはないはずだ……。少なくとも腹は膨れる……。」

「いや、ありがとう。いただきます!!」

すでに視線が肉から動かないサークは、肉に齧り付く。

「…………旨い。空きっ腹にしみる~っ!!」

「そうか……良かった……。」

「やっぱりこの肉は濃いめに味付けするのが正解だな……。後、その葉っぱ、何??臭みが押さえられてる気がする。」

「あぁ……自分で捉えた動物を焼くと臭みが出るから……。」

モゴモゴと肉を頬張るサークを眺めながらギルは答える。
その幸せそうな顔にほっとしながら嬉しく思う。

ただ一つだけ……。

一体この肉は何の肉なのだろうと少し思った。















「……どれだけ入るんだ?その鞄は……。」

ギルは無表情にそう聞いた。
荷物を漁って引っ張り出された物の山に、一応、驚いている。

「……何で……何でないんだよ……。何で……。」

その山の前でがっくりと項垂れているサーク。
今は何を言っても無駄だろうと判断し、ギルは出されたテントをテキパキと設営していく。

「諦めろ。一つは入っていたのだから問題ない。」

「問題ない?!大アリだろ?!」

「………………。」

「だって!準備してた時!確かに用意したんだ!!」

食事を終えた後、もう今日はここで野宿しようという事になり、サークは持ってきたテントをバックから出した。
状況が状況なので、イヴァンであっても同じテントは不味いだろうと一人用テントも入れたはずだったのだ。
しかしいざ使おうとすると入っておらず、困惑している所だった。

「諦めろ。」

「諦めろで済むか?!お前、危機感持てよ!!」

「……だが、触れ合っていれば今の所、別人格の方に切り替わる事はない。だったらむしろ同じテントであって問題ないだろう。」

「……そう……かも……しれないけど!!」

流石に一緒に寝ると言う事にサークは抵抗を感じた。
顔を赤らめギルの提案を渋る。
自分が無意識にギルに何をするかわからないというのもあるし……それはウィルに対する裏切りの様な気がしてならないのだ。

「……前も言ったが、気にするな。俺はファルシュには応えない。」

「そうじゃなくて……いや……それもあるんだけど……。」

「……気にするな。お前にその気がない以上、これはそういう事じゃない。部隊の雑魚寝と変わらん。」

「!!」

そう言われ、逆に気づいてしまった。
さらにカッと頭に血が登った。

いつかギルは言った。
浮気だと思うなら浮気だと……。

あの時は思わなかった。
けれど今は……。

「……サーク?」

「~!!何でもない!!と言うか!!何もすんなよ?!前科持ち!!」

「…………耳に痛いな……。」

自覚してしまった事に焦り、サークは乱暴に出した物を鞄に詰めていく。
そんな様子を見ながらギルは野営の準備を整えた。

交代で火の番をする事も考えたが、そうするほど危険な場所でもなければ、お互い横になっていたからと賊に気づかないレベルでもない。今日半日寝てしまった事を考えると、しっかり休んで明日はできる限り先に進みたいと言う結論に至った。
仕方なく同じテントに入り、サークはできるだけ離れようと隅に身を寄せて言い放つ。

「……信用してないからな、俺は!!」

「わかってる。」

「って!!だから触んな!!」

「触れてなければかえってまずくないか?」

「~~~っ!!クソ!!」

後ろから軽く腕を回され、サークは混乱していた。
それ以上でもそれ以下でもない。
だがサークは自覚してしまったのだ。

これをウィルに対する裏切りだと感じる。
それはつまり、ギルとこうしている事を自分が「浮気」だと認識している事を示しているのだ。

頭の中でミチルが笑う。
それをサークは睨みつけた。

「テントもお前の仕業か?!」

『さぁ?どうだろう?』

「何でこんな事をするんだ?!お前は?!」

『こんな事?こんな事って何??』

「っ!!……そ、それは……っ!!」

『ふふっ。彼を意識してるのは、サクだよ、僕じゃない。』

「違う!!」

『そうかな??』

「そうだ!!何でお前はこんな事をする?!」

『……お前じゃなくて、ちゃんと名前で呼んでよ、サク……。』

「…………ファルシュ。」

『違う。僕の名だよ、サク。』

「……………………。」

『まぁいいよ。……でもこれだけは言える。僕は君の敵じゃない。サクはいつかこの意味をわかってくれるし、僕に感謝すると思うよ。』

ミチルはそう言った。
そのおぼろげな影に、サークはどこか懐かしかを感じていた。
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