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第五章「さすらい編」
傷だらけの旅人
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「何で駄目なのっ!!」
俺はベッドの上でシルクに追い詰められた。
興奮したシルクは俺に覆い被さるように迫る。
見る人が見たら、どういう状況かと思ったろう。
まぁ、俺にとったらいつもの事だ。
「俺の問題だからだ。」
「俺は主の従者だっ!!ついていく!!」
「駄目だ。」
「何でっ!!」
俺はこの旅に、シルクを連れて行くつもりはなかった。
どうしても1人でやらなければならない。
そう思っていた。
シルクは今にも泣き出しそうな顔で怒っている。
こうなるとは思っていたんだが、なかなか手強い。
泣きそうな顔されると弱いんだよな~。
強く突き放したいのだが、どうもそう言うのは苦手だ。
おまけにシルクって美人だし、俺に対しては従順だっていうギャップもあるし。
押し切られたとはいえ、シルクの誓いを受け入れたのは俺だ。
そう思うと目の前の泣きそうな顔に罪悪感は感じる。
だが、こればっかりは譲ることが出来ない。
「……シルク。お前の主人は誰だ?」
「主だよ……。」
「なら命令に従え。ここに残れ。」
「何でだよ!やだよ!!」
「命令だ。」
「何でだよ……。」
シルクはとうとう、突っ伏して泣き出した。
正直、胸が痛まない訳じゃない。
俺は困って、ベッドの上であぐらをかいた。
黙ってシルクの頭を撫でる。
シルクは蹲ったまま言った。
その声が弱々しくて胸に痛い。
「……俺に……恋人ができたから……捨てるの?」
「それとこれとは別の話だ。捨てるとか言うな。」
「ギルと別れたら連れてってくれる?」
「別れても連れてかない。」
「俺が誓ったのは主だよ……ギルじゃない。」
「わかってるよ。」
「誓いを立てたんだ……連れてってよ……俺が死ぬときまで……。」
「縁起でもないこと言うな。」
「何で……?」
シルクが顔を上げた。
目にいっぱい涙を貯めて俺を見た。
クソッ、美人てのはこう言うとき与えてくるダメージがデカイ。
俺は決心が揺るがないよう深呼吸して、まっすぐにシルクを見た。
「俺はお前にここにいて欲しい。正直、有給でどうにかなる旅じゃない。恐らく無断欠勤が続く。辞めて行くのも手だが、色々考えて、お前という布石を残したい。ここに俺がまた帰って来れる可能性を作るために。」
「帰ってくる為の布石?」
「そ。シルクがここで実績を残しておいてくれれば、その主人である俺は、クビにならなくて済むかもしれないってこと。」
確かにそれもある。
帰ってきて戻れる場所がある方がありがたい。
そして王子に騎士の称号をもらってついた職だ。
クビと言うことになるのは色々な面であまりよろしくない。
でも本音を言えば、帰って来れない可能性のある旅に、シルクを巻き込みたくなかった。
シルクはここに居場所ができた。
恋人もできた。
最悪、俺がいなくなっても幸せになれる。
何かあっても隊長がいるから大丈夫だ。
だから残していきたかった。
シルクはじっと俺を見ていた。
俺の顔からどこまで読み取ったかはわからない。
でも、涙を拭って俺を見た。
「……主が帰ってくる為に、必要なんだよね?」
「ああ。」
「わかった……。」
本当に納得しかのかはわからない。
でもそう言わざるおえなかったのだろう。
少しだけ胸が痛んだ。
卑怯なことはわかってる。
でも笑って欲しかった。
少しおちゃらけて俺は言った。
「それにさ、シルク。自分の恋人を連れ戻しに行くんだぞ?カッコ悪いだろ?」
「別にカッコ悪くない。」
「え~?王子様がお姫様を助ける時は、一人だろ!?」
「は?主は王子様って柄じゃない。」
「そこはツッコむなっ!!」
言ってて赤面してしまった。
悪かったな!!
王子様って柄じゃなくて!!
俺だってそんなのわかってるっつーの!!
シルクが笑った。
やっとの笑顔に気持ちが和らぐ。
俺は真剣な顔でシルクに告げた。
「一人でやらないといけない事なんだ。」
「主……。」
「だが、お前の力が必要になったら必ず呼ぶ。その時は来てくれ。」
「わかった。すぐ行く。絶対だよ?」
「ああ。」
シルクは半泣きで笑ってくれた。
俺はぎゅっとハグをして、背中をバンバンと叩く。
きっといつかまた、この事を狡い男だと俺は罵られるだろう。
そう思った。
「上司の返答も待たずに出ていくとは、ずいぶんだな?」
「すみません、急いでいたので。」
隊長の前に立ち、俺はしれっと言った。
俺を見据える隊長の表情は何を考えているのか読めない。
お互い、腹を探り合うように視線を交わす。
「……有給の件は了承した。21日だ。」
「ありがとうございます。」
「…………。それで済むのか?」
「済まないですね、恐らく。」
俺はあっけらかんといい放つ。
はぁ、と隊長がため息をついた。
「一時休職を申請できる理由はあるか?」
「ないですね。」
「ないって、お前……。」
「一応、書いてきました。」
俺はそう言って辞表を渡した。
隊長は一応受け取りそれを一瞥すると、ぽいっと脇に投げた。
酷いな、人の決意を投げるなんて。
「本気なんだな。」
「ええ。」
「シルクはどうするんだ?」
「任せます。」
「話したのか?」
「ええ、納得させました。なのであいつをよろしくお願いします。」
「理由を聞いても?」
「隊長にはお話できません。」
俺は表情を変えずに言った。
それに対して、隊長は少し俯いて黙った。
そして顔を上げた。
「ならば、俺自身には話せるか?」
「……どうせシルクから聞きますよ。」
「俺はお前の口から聞きたい。」
「そうですね……お姫様を助けに行くとだけ。」
「……なるほどな。」
隊長は深くため息をついた。
大体のことは察したのだろう。
そして言った。
「……必ず戻ってこい。こっちはどうにかする。」
「ありがとうございます。」
「他に何かできる事はあるか?」
「そうですね……。」
俺はそう言って少し考えた。
そしてニヤッと笑ってデスクを回り、椅子に座る隊長の前に立った。
「……旅の無事を祈って、ハグしてくれるか?ギル。」
隊長の目が大きく開かれる。
だろうな?
思いもしなかっだろうな?
俺自身、自分の行動に少し驚いてるからな。
だが帰らないかもしれない旅を前に、よくわからないいざこざを胸に残したままここを去りたくはなかった。
ギルはため息をついて立ち上がる。
「……ここで初めて名前を呼ぶとか、卑怯じゃないか?」
「俺は狡い男なんだよ。知らなかったか?」
「本当に狡い男だ。」
「ほら、ハグしろ、ギル。」
サークは両手を広げた。
観念したようにギルは腕を回しす。
思いの外、お互いぎゅっと強く腕に力が入った。
サークは俯いてギルの肩に顔を埋めた。
「……やっぱり華奢だな、お前は。」
サムはサークは華奢ではないと言ったが、抱き締めるとやはり華奢だとギルは思った。
体格の話ではない。
心で見たときの話だ。
こんなに小さくて一人で震えている。
でもそれでも震えながら前を睨み、歯を食い縛って向かって行くんだこいつは。
「……俺は華奢じゃない。」
「そうだな。」
サークは何も言わない。
辛いとも不安だとも言わない。
だから他に何もできず、ギルは黙って抱き締めた。
俯く頭に迷ったが手を乗せた。
「……もういい。ありがとう。」
そう言って離れた。
離れてしまえば、互いにいつも通りだ。
ギルは何を考えているかわからない顔で、サークは飄々とした顔をしている。
「帰ってこい。必ず。」
「ああ、約束は出来ないけどね。」
俺はベッドの上でシルクに追い詰められた。
興奮したシルクは俺に覆い被さるように迫る。
見る人が見たら、どういう状況かと思ったろう。
まぁ、俺にとったらいつもの事だ。
「俺の問題だからだ。」
「俺は主の従者だっ!!ついていく!!」
「駄目だ。」
「何でっ!!」
俺はこの旅に、シルクを連れて行くつもりはなかった。
どうしても1人でやらなければならない。
そう思っていた。
シルクは今にも泣き出しそうな顔で怒っている。
こうなるとは思っていたんだが、なかなか手強い。
泣きそうな顔されると弱いんだよな~。
強く突き放したいのだが、どうもそう言うのは苦手だ。
おまけにシルクって美人だし、俺に対しては従順だっていうギャップもあるし。
押し切られたとはいえ、シルクの誓いを受け入れたのは俺だ。
そう思うと目の前の泣きそうな顔に罪悪感は感じる。
だが、こればっかりは譲ることが出来ない。
「……シルク。お前の主人は誰だ?」
「主だよ……。」
「なら命令に従え。ここに残れ。」
「何でだよ!やだよ!!」
「命令だ。」
「何でだよ……。」
シルクはとうとう、突っ伏して泣き出した。
正直、胸が痛まない訳じゃない。
俺は困って、ベッドの上であぐらをかいた。
黙ってシルクの頭を撫でる。
シルクは蹲ったまま言った。
その声が弱々しくて胸に痛い。
「……俺に……恋人ができたから……捨てるの?」
「それとこれとは別の話だ。捨てるとか言うな。」
「ギルと別れたら連れてってくれる?」
「別れても連れてかない。」
「俺が誓ったのは主だよ……ギルじゃない。」
「わかってるよ。」
「誓いを立てたんだ……連れてってよ……俺が死ぬときまで……。」
「縁起でもないこと言うな。」
「何で……?」
シルクが顔を上げた。
目にいっぱい涙を貯めて俺を見た。
クソッ、美人てのはこう言うとき与えてくるダメージがデカイ。
俺は決心が揺るがないよう深呼吸して、まっすぐにシルクを見た。
「俺はお前にここにいて欲しい。正直、有給でどうにかなる旅じゃない。恐らく無断欠勤が続く。辞めて行くのも手だが、色々考えて、お前という布石を残したい。ここに俺がまた帰って来れる可能性を作るために。」
「帰ってくる為の布石?」
「そ。シルクがここで実績を残しておいてくれれば、その主人である俺は、クビにならなくて済むかもしれないってこと。」
確かにそれもある。
帰ってきて戻れる場所がある方がありがたい。
そして王子に騎士の称号をもらってついた職だ。
クビと言うことになるのは色々な面であまりよろしくない。
でも本音を言えば、帰って来れない可能性のある旅に、シルクを巻き込みたくなかった。
シルクはここに居場所ができた。
恋人もできた。
最悪、俺がいなくなっても幸せになれる。
何かあっても隊長がいるから大丈夫だ。
だから残していきたかった。
シルクはじっと俺を見ていた。
俺の顔からどこまで読み取ったかはわからない。
でも、涙を拭って俺を見た。
「……主が帰ってくる為に、必要なんだよね?」
「ああ。」
「わかった……。」
本当に納得しかのかはわからない。
でもそう言わざるおえなかったのだろう。
少しだけ胸が痛んだ。
卑怯なことはわかってる。
でも笑って欲しかった。
少しおちゃらけて俺は言った。
「それにさ、シルク。自分の恋人を連れ戻しに行くんだぞ?カッコ悪いだろ?」
「別にカッコ悪くない。」
「え~?王子様がお姫様を助ける時は、一人だろ!?」
「は?主は王子様って柄じゃない。」
「そこはツッコむなっ!!」
言ってて赤面してしまった。
悪かったな!!
王子様って柄じゃなくて!!
俺だってそんなのわかってるっつーの!!
シルクが笑った。
やっとの笑顔に気持ちが和らぐ。
俺は真剣な顔でシルクに告げた。
「一人でやらないといけない事なんだ。」
「主……。」
「だが、お前の力が必要になったら必ず呼ぶ。その時は来てくれ。」
「わかった。すぐ行く。絶対だよ?」
「ああ。」
シルクは半泣きで笑ってくれた。
俺はぎゅっとハグをして、背中をバンバンと叩く。
きっといつかまた、この事を狡い男だと俺は罵られるだろう。
そう思った。
「上司の返答も待たずに出ていくとは、ずいぶんだな?」
「すみません、急いでいたので。」
隊長の前に立ち、俺はしれっと言った。
俺を見据える隊長の表情は何を考えているのか読めない。
お互い、腹を探り合うように視線を交わす。
「……有給の件は了承した。21日だ。」
「ありがとうございます。」
「…………。それで済むのか?」
「済まないですね、恐らく。」
俺はあっけらかんといい放つ。
はぁ、と隊長がため息をついた。
「一時休職を申請できる理由はあるか?」
「ないですね。」
「ないって、お前……。」
「一応、書いてきました。」
俺はそう言って辞表を渡した。
隊長は一応受け取りそれを一瞥すると、ぽいっと脇に投げた。
酷いな、人の決意を投げるなんて。
「本気なんだな。」
「ええ。」
「シルクはどうするんだ?」
「任せます。」
「話したのか?」
「ええ、納得させました。なのであいつをよろしくお願いします。」
「理由を聞いても?」
「隊長にはお話できません。」
俺は表情を変えずに言った。
それに対して、隊長は少し俯いて黙った。
そして顔を上げた。
「ならば、俺自身には話せるか?」
「……どうせシルクから聞きますよ。」
「俺はお前の口から聞きたい。」
「そうですね……お姫様を助けに行くとだけ。」
「……なるほどな。」
隊長は深くため息をついた。
大体のことは察したのだろう。
そして言った。
「……必ず戻ってこい。こっちはどうにかする。」
「ありがとうございます。」
「他に何かできる事はあるか?」
「そうですね……。」
俺はそう言って少し考えた。
そしてニヤッと笑ってデスクを回り、椅子に座る隊長の前に立った。
「……旅の無事を祈って、ハグしてくれるか?ギル。」
隊長の目が大きく開かれる。
だろうな?
思いもしなかっだろうな?
俺自身、自分の行動に少し驚いてるからな。
だが帰らないかもしれない旅を前に、よくわからないいざこざを胸に残したままここを去りたくはなかった。
ギルはため息をついて立ち上がる。
「……ここで初めて名前を呼ぶとか、卑怯じゃないか?」
「俺は狡い男なんだよ。知らなかったか?」
「本当に狡い男だ。」
「ほら、ハグしろ、ギル。」
サークは両手を広げた。
観念したようにギルは腕を回しす。
思いの外、お互いぎゅっと強く腕に力が入った。
サークは俯いてギルの肩に顔を埋めた。
「……やっぱり華奢だな、お前は。」
サムはサークは華奢ではないと言ったが、抱き締めるとやはり華奢だとギルは思った。
体格の話ではない。
心で見たときの話だ。
こんなに小さくて一人で震えている。
でもそれでも震えながら前を睨み、歯を食い縛って向かって行くんだこいつは。
「……俺は華奢じゃない。」
「そうだな。」
サークは何も言わない。
辛いとも不安だとも言わない。
だから他に何もできず、ギルは黙って抱き締めた。
俯く頭に迷ったが手を乗せた。
「……もういい。ありがとう。」
そう言って離れた。
離れてしまえば、互いにいつも通りだ。
ギルは何を考えているかわからない顔で、サークは飄々とした顔をしている。
「帰ってこい。必ず。」
「ああ、約束は出来ないけどね。」
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