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第五章「さすらい編」
夜の前に思うこと
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「主、美味しい?」
「え?あ、うん……。」
「ふふっ。たくさん食べてね?」
「ああ……。」
俺たちは馬で近くの町に向かい辿り着いた。
場所的には南の国との国境近くらしい。
入った時は北方面だったのに今度は南部地域と、ポータルってのはちょっとよくわからない。
とはいえ俺が空腹で死にそうだったので、町ではすぐに食堂に向かった。
ギルが宿を取りに行き、ウィルが馬を繋いでいる間にシルクと席をとったのだが……。
「あのさ?シルク……。悪いが食べにくい……。」
何なんだ??
この距離感ゼロは……。
にこにこ上機嫌なシルクに、俺は申し訳なさそうに告げる。
シルクは何故か俺の横にくっついて座っていた。
あまりの無垢な笑顔に、そう牽制するのも罪悪感を感じる。
何しろ置いていったのに、動けなくなった場合に備えて呼び出したのだ。
そんな身勝手をした手前、邪険にも出来ない。
あああぁぁ~?!
どうしよう?!この板挟み!!
シルクがピッタリひっついて側を離れない為、恋人のウィルが俺の前に座る形になり、ぽかんとその様子を見ている。
おい!彼氏!!
てめえの恋人をどうにかしろっ!!
俺はギルに視線を送った。
シルクがとんでも行動を取るのはいつもの事だが、一応彼氏なんだからそろそろ止めろよ、おい。
ギルはちらりと俺を見たがそれだけだった。
「おい!ギルっ!!」
「お前に置いて行かれ散々泣いたんだ。それぐらい許してやれ。」
それを言われると痛い……。
確かに泣かせて置いていったのは俺だけどさぁ……。
だからって!ウィルの前なんだぞ!?
「ほら主~。あ~んして~。」
「シルク、マジ勘弁してください……。」
俺は口元に運ばれたスプーンから体を遠ざけた。
それにシルクがムスッと俺を睨んでくる。
「やっと会えたのに!酷くない!?」
「いや!そうだけどさ?!お前の彼氏はギルだろ?!」
こんな感じで俺がシルクとじたばたしているのに、どうしてか二人はあまり気にしていないようだ。
キョトンとした顔でウィルは普通にギルと会話している。
「そうなんですか?」
「ああ。」
「意外な組み合わせですね?」
「お前こそどうやってサークと知り合ったんだ?ウィリアム?」
「それは……その……。」
馴れ初めを聞かれ、ウィルが赤くなって言葉を濁す。
そりゃそうだ。
俺たちの出会いは人に話せるものじゃない。
特に客だったウィルからは言いにくいだろう。
「俺が偶然ウィルを見かけて!一目惚れしたんです!!」
懐いてくるシルクを押し退けながら、俺は思わず言った。
恋人として、これ以上ウィルに恥ずかしい思いはさせられない。
しかし意外な反発を受ける。
それを聞いたウィルが心外だとばかりに叫んだのだ。
「それは違うだろ!?俺が先にサークを好きになったんだ!お前、有名だったから……!その……気になって……見てるうちに……その……。」
「え?そうなの!?」
「……そうだよ。馬鹿……。」
ウィルは真っ赤になって俯いた。
え?何それ?
初耳なんですけど!?
ヤバい…ウィルが可愛い過ぎる……。
「……意外だな。」
そんなラブラブモードの俺達を無表情に見つめ、ギルはそう言った。
その冷めた態度にカチンと来て、俺はギルに噛み付く。
「何だと?!」
「……知らないのか?」
「何を?!」
「……ウィリアムは「馬上の貴公子」と言われ、男女問わずファンが多い。」
「馬上の貴公子っ?!」
「気品に満ちた凛々しい姿に魅了され、関係を望む御令嬢や御子息が列を成す事からそう言われている。」
「嘘……。」
いや、確かに子猫ちゃんたちが放っておかないのは見ててわかってたし、ウィルからもそっちを周りに望まれてて……って話は聞いてたけど……。
そんな二つ名まで持ってるとは知らなかった……。
ウィルは申し訳なさそうに俯き、ちらりと上目遣いで俺を見てくる……。
やだナニソレ、可愛いすぎる……。
「……サークの前ではまるで別人の様だな。」
「言わないで下さい……。」
ギルにそう言われ、ウィルはますます真っ赤になってしまった。
可愛い……。
やだ、どうしよう!?
可愛い過ぎて俺まで照れくさくなってきた。
は~、でも回りからタチだと思われてるってそういうことなんだな……。
それでファンに追いかけ回されて、イメージを崩せなくて悩んでたのか……。
やっとウィルの状況を理解し、俺は一人、納得する。
確かにウィルは王道のキラキラ王子様って感じじゃないけど、落ち着いた雰囲気の凛々しい王子様みたいな見た目をしている。
控えめだけど芯はしっかりしてるし、言う事はきちんと言うし、それでいて優しいし、微笑むと凄く綺麗で見惚れてしまうのはよくわかる。
そして現実問題、本物の王家王子様には簡単には近づく事などできないが、王子様オーラを纏った騎馬騎士「馬上の貴公子」になら近づけるというもの。
そして関係を気づくのだって王族と違って手の届かぬ夢という訳でもない。
そりゃ、こぞって追い掛け回されるわけだ。
「主~、俺の事はどうでもいいわけ!?」
シルクが拗ねたようにそう言った。
ウィルにばかり気を取られている俺にしがみついてくる。
なんだってこんなにベタベタしてくるんだ?
俺はそんなシルクに少しビビっていた。
確かに今までもかなりひっつき虫な部分はあったが、俺に恋人がいる事は理解していたし、ギルと付き合うようになって落ち着いたと思っていたのに……。
腕にしがみついて、ぷうっと膨れてる顔は可愛いといえば可愛いんだけどさ?
「どうでも言い訳じゃないけど、シルク、どうしたんだよ??さっきから変だぞ?お前??」
「主が置いて行ったからじゃん!!」
「だから行く前にちゃんと説明しただろ?!」
シルクは抱きつかんばかりに迫ってくる。
それはもう必死過ぎて、あまりの勢いに俺も困惑してしまう。
どうしちゃったの?この子!?
「俺、本当に辛かったのに……。」
俺の腕をぎゅっと掴んでシルクは俯いた。
ヤバい、泣かれる……。
シルクに泣かれるのは困る。
下手に美人だからダメージ半端ないんだよ。
助けを求めるようにギルに目を向けたが、ギルは知らん顔している。
ウィルに至っては「ほらな?」って顔で俺を見ている。
まずい……酷い男認定どころか確定されてる……。
「シルク……その……ごめんな?」
「もう……置いて行かないで……。」
「う、うん……。」
シルクがぎゅっと俺の腕を掴んだまま、その腕に頭を押し付けた。
これ、どうしたらいいの!?
抱き締める訳にもいかないし、かといってこのままにしておいたら酷い男と言われるんだよな!?
俺は苦肉の策で、腕を掴むシルクの手を上から握った。
シルクは何も言わなかったが、頭を甘えるようにさらに頭を押し付ける。
ギルの目がちらりと俺を見て小さくため息をついた。
「……ウィリアム、お前、こいつで本当に大丈夫か?」
「惚れた弱味なので仕方ないです。」
「……苦労するな。」
「その様です。」
ウィルは苦笑した後、気にしても仕方ないとばかりにサラダを食べはじめた。
ギルも我関せずと言った風に、珈琲を飲んでいる。
何なんだ?この苦行は!?
俺、そんなに悪いことしたの!?
グズるシルクに戸惑いながら、この場の雰囲気をどうにかしようとウィルに目を向ける。
でも、なんだ……。
サラダ食べてるウィルって色っぽいな……。
プチトマトとか口に入れないでよ……目のやり場に困るじゃんか……。
俺はこんな状況なのにウィルから目が反らせなくなっていた。
「……主~っ!!何!ウィルさんに見惚れてんの!?」
「え!?別に見惚れてとかじゃ!?」
「嘘!!なんか欲情した顔してた!!」
「よく…って!お前な!俺がそれが出来ないの知ってんだろ!?」
「でもしてた!!」
またも放っておかれたシルクが涙目で怒り出し、俺はたじたじになる。
何だよ、言いがかりだ!
俺は欲情はしたくったって出来ないのに!
いつも通りちんこは無反応だぞ!?
「できるならしたいわ!」
「今、してた!絶対してた!!」
「勘弁してくれ!!腹減って死にそうなんだよ!!」
「これでも食ってろ!バカ主っ!!」
シルクはそう言うとパンのカゴからベーグルを掴んで、俺の口に押し込んだ。
よりによってベーグルかよ!?
旨いけどさ!?
もちもちで口の中がいっぱいだよ!!
ギャーギャーとシルクともみ合うのを、ウィルはぽかんと見ていた。
「……大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。」
ギルの問いにウィルははっとして答える。
そしてフォークを口に運ぼうとして、やめた。
顔が赤くなりそうだった。
「………すみません、ソースを溢したので洗ってきます……。」
ウィルはそう言うと急いで立ち上がり、手洗いに向かって行った。
その後ろ姿を見送り俺は血の気が引いた。
最悪だ、最悪のパターンだ!!
「シルク~!!お前のせいだ~!!ウィルに嫌われたらどうしてくれるんだよっ!!」
「……俺のせいじゃないよ?」
「どう見たってお前のせいだろ!?」
「主のせいじゃん。」
「何で!?」
「こんなところで欲情するから。」
「は!?」
俺はそう言われて赤くなった。
欲情欲情言うな!
そりゃウィルの事は好きだし!そういう事もちょこっとしてる仲だけど!
俺のそういう機能に欠陥があるってのに!
簡単に言ってくれるなよ!!
そう思ってシルクを睨むが、シルクは平然とした顔で小首をかしげてギルに話を振る。
「そうだよね?ギル?」
「そうだな……。今日はここで一泊するしかない。宿の壁は薄いから気をつけろよ。」
「……何を!?」
俺は本当に真っ赤になった。
それって……そういう意味だよな!?
え!?待って!?
この流れで何でそうなった!?
何?!俺、端から見たら欲情してる様に見えたの?!
俺は口をぱくぱくさせた。
「……無自覚は手に負えん。」
「そう言うことだから、主?ちゃんと食べた方がいいよ?めちゃくちゃ久しぶりなんだし。……うふふ、朝まで頑張んないとね~?」
「えええぇ~っ!?」
待ってくれ……。
本当にそうなのか…!?
俺は赤くなりながら、手洗いに消えたウィルの方をぼんやりと見つめた。
「え?あ、うん……。」
「ふふっ。たくさん食べてね?」
「ああ……。」
俺たちは馬で近くの町に向かい辿り着いた。
場所的には南の国との国境近くらしい。
入った時は北方面だったのに今度は南部地域と、ポータルってのはちょっとよくわからない。
とはいえ俺が空腹で死にそうだったので、町ではすぐに食堂に向かった。
ギルが宿を取りに行き、ウィルが馬を繋いでいる間にシルクと席をとったのだが……。
「あのさ?シルク……。悪いが食べにくい……。」
何なんだ??
この距離感ゼロは……。
にこにこ上機嫌なシルクに、俺は申し訳なさそうに告げる。
シルクは何故か俺の横にくっついて座っていた。
あまりの無垢な笑顔に、そう牽制するのも罪悪感を感じる。
何しろ置いていったのに、動けなくなった場合に備えて呼び出したのだ。
そんな身勝手をした手前、邪険にも出来ない。
あああぁぁ~?!
どうしよう?!この板挟み!!
シルクがピッタリひっついて側を離れない為、恋人のウィルが俺の前に座る形になり、ぽかんとその様子を見ている。
おい!彼氏!!
てめえの恋人をどうにかしろっ!!
俺はギルに視線を送った。
シルクがとんでも行動を取るのはいつもの事だが、一応彼氏なんだからそろそろ止めろよ、おい。
ギルはちらりと俺を見たがそれだけだった。
「おい!ギルっ!!」
「お前に置いて行かれ散々泣いたんだ。それぐらい許してやれ。」
それを言われると痛い……。
確かに泣かせて置いていったのは俺だけどさぁ……。
だからって!ウィルの前なんだぞ!?
「ほら主~。あ~んして~。」
「シルク、マジ勘弁してください……。」
俺は口元に運ばれたスプーンから体を遠ざけた。
それにシルクがムスッと俺を睨んでくる。
「やっと会えたのに!酷くない!?」
「いや!そうだけどさ?!お前の彼氏はギルだろ?!」
こんな感じで俺がシルクとじたばたしているのに、どうしてか二人はあまり気にしていないようだ。
キョトンとした顔でウィルは普通にギルと会話している。
「そうなんですか?」
「ああ。」
「意外な組み合わせですね?」
「お前こそどうやってサークと知り合ったんだ?ウィリアム?」
「それは……その……。」
馴れ初めを聞かれ、ウィルが赤くなって言葉を濁す。
そりゃそうだ。
俺たちの出会いは人に話せるものじゃない。
特に客だったウィルからは言いにくいだろう。
「俺が偶然ウィルを見かけて!一目惚れしたんです!!」
懐いてくるシルクを押し退けながら、俺は思わず言った。
恋人として、これ以上ウィルに恥ずかしい思いはさせられない。
しかし意外な反発を受ける。
それを聞いたウィルが心外だとばかりに叫んだのだ。
「それは違うだろ!?俺が先にサークを好きになったんだ!お前、有名だったから……!その……気になって……見てるうちに……その……。」
「え?そうなの!?」
「……そうだよ。馬鹿……。」
ウィルは真っ赤になって俯いた。
え?何それ?
初耳なんですけど!?
ヤバい…ウィルが可愛い過ぎる……。
「……意外だな。」
そんなラブラブモードの俺達を無表情に見つめ、ギルはそう言った。
その冷めた態度にカチンと来て、俺はギルに噛み付く。
「何だと?!」
「……知らないのか?」
「何を?!」
「……ウィリアムは「馬上の貴公子」と言われ、男女問わずファンが多い。」
「馬上の貴公子っ?!」
「気品に満ちた凛々しい姿に魅了され、関係を望む御令嬢や御子息が列を成す事からそう言われている。」
「嘘……。」
いや、確かに子猫ちゃんたちが放っておかないのは見ててわかってたし、ウィルからもそっちを周りに望まれてて……って話は聞いてたけど……。
そんな二つ名まで持ってるとは知らなかった……。
ウィルは申し訳なさそうに俯き、ちらりと上目遣いで俺を見てくる……。
やだナニソレ、可愛いすぎる……。
「……サークの前ではまるで別人の様だな。」
「言わないで下さい……。」
ギルにそう言われ、ウィルはますます真っ赤になってしまった。
可愛い……。
やだ、どうしよう!?
可愛い過ぎて俺まで照れくさくなってきた。
は~、でも回りからタチだと思われてるってそういうことなんだな……。
それでファンに追いかけ回されて、イメージを崩せなくて悩んでたのか……。
やっとウィルの状況を理解し、俺は一人、納得する。
確かにウィルは王道のキラキラ王子様って感じじゃないけど、落ち着いた雰囲気の凛々しい王子様みたいな見た目をしている。
控えめだけど芯はしっかりしてるし、言う事はきちんと言うし、それでいて優しいし、微笑むと凄く綺麗で見惚れてしまうのはよくわかる。
そして現実問題、本物の王家王子様には簡単には近づく事などできないが、王子様オーラを纏った騎馬騎士「馬上の貴公子」になら近づけるというもの。
そして関係を気づくのだって王族と違って手の届かぬ夢という訳でもない。
そりゃ、こぞって追い掛け回されるわけだ。
「主~、俺の事はどうでもいいわけ!?」
シルクが拗ねたようにそう言った。
ウィルにばかり気を取られている俺にしがみついてくる。
なんだってこんなにベタベタしてくるんだ?
俺はそんなシルクに少しビビっていた。
確かに今までもかなりひっつき虫な部分はあったが、俺に恋人がいる事は理解していたし、ギルと付き合うようになって落ち着いたと思っていたのに……。
腕にしがみついて、ぷうっと膨れてる顔は可愛いといえば可愛いんだけどさ?
「どうでも言い訳じゃないけど、シルク、どうしたんだよ??さっきから変だぞ?お前??」
「主が置いて行ったからじゃん!!」
「だから行く前にちゃんと説明しただろ?!」
シルクは抱きつかんばかりに迫ってくる。
それはもう必死過ぎて、あまりの勢いに俺も困惑してしまう。
どうしちゃったの?この子!?
「俺、本当に辛かったのに……。」
俺の腕をぎゅっと掴んでシルクは俯いた。
ヤバい、泣かれる……。
シルクに泣かれるのは困る。
下手に美人だからダメージ半端ないんだよ。
助けを求めるようにギルに目を向けたが、ギルは知らん顔している。
ウィルに至っては「ほらな?」って顔で俺を見ている。
まずい……酷い男認定どころか確定されてる……。
「シルク……その……ごめんな?」
「もう……置いて行かないで……。」
「う、うん……。」
シルクがぎゅっと俺の腕を掴んだまま、その腕に頭を押し付けた。
これ、どうしたらいいの!?
抱き締める訳にもいかないし、かといってこのままにしておいたら酷い男と言われるんだよな!?
俺は苦肉の策で、腕を掴むシルクの手を上から握った。
シルクは何も言わなかったが、頭を甘えるようにさらに頭を押し付ける。
ギルの目がちらりと俺を見て小さくため息をついた。
「……ウィリアム、お前、こいつで本当に大丈夫か?」
「惚れた弱味なので仕方ないです。」
「……苦労するな。」
「その様です。」
ウィルは苦笑した後、気にしても仕方ないとばかりにサラダを食べはじめた。
ギルも我関せずと言った風に、珈琲を飲んでいる。
何なんだ?この苦行は!?
俺、そんなに悪いことしたの!?
グズるシルクに戸惑いながら、この場の雰囲気をどうにかしようとウィルに目を向ける。
でも、なんだ……。
サラダ食べてるウィルって色っぽいな……。
プチトマトとか口に入れないでよ……目のやり場に困るじゃんか……。
俺はこんな状況なのにウィルから目が反らせなくなっていた。
「……主~っ!!何!ウィルさんに見惚れてんの!?」
「え!?別に見惚れてとかじゃ!?」
「嘘!!なんか欲情した顔してた!!」
「よく…って!お前な!俺がそれが出来ないの知ってんだろ!?」
「でもしてた!!」
またも放っておかれたシルクが涙目で怒り出し、俺はたじたじになる。
何だよ、言いがかりだ!
俺は欲情はしたくったって出来ないのに!
いつも通りちんこは無反応だぞ!?
「できるならしたいわ!」
「今、してた!絶対してた!!」
「勘弁してくれ!!腹減って死にそうなんだよ!!」
「これでも食ってろ!バカ主っ!!」
シルクはそう言うとパンのカゴからベーグルを掴んで、俺の口に押し込んだ。
よりによってベーグルかよ!?
旨いけどさ!?
もちもちで口の中がいっぱいだよ!!
ギャーギャーとシルクともみ合うのを、ウィルはぽかんと見ていた。
「……大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。」
ギルの問いにウィルははっとして答える。
そしてフォークを口に運ぼうとして、やめた。
顔が赤くなりそうだった。
「………すみません、ソースを溢したので洗ってきます……。」
ウィルはそう言うと急いで立ち上がり、手洗いに向かって行った。
その後ろ姿を見送り俺は血の気が引いた。
最悪だ、最悪のパターンだ!!
「シルク~!!お前のせいだ~!!ウィルに嫌われたらどうしてくれるんだよっ!!」
「……俺のせいじゃないよ?」
「どう見たってお前のせいだろ!?」
「主のせいじゃん。」
「何で!?」
「こんなところで欲情するから。」
「は!?」
俺はそう言われて赤くなった。
欲情欲情言うな!
そりゃウィルの事は好きだし!そういう事もちょこっとしてる仲だけど!
俺のそういう機能に欠陥があるってのに!
簡単に言ってくれるなよ!!
そう思ってシルクを睨むが、シルクは平然とした顔で小首をかしげてギルに話を振る。
「そうだよね?ギル?」
「そうだな……。今日はここで一泊するしかない。宿の壁は薄いから気をつけろよ。」
「……何を!?」
俺は本当に真っ赤になった。
それって……そういう意味だよな!?
え!?待って!?
この流れで何でそうなった!?
何?!俺、端から見たら欲情してる様に見えたの?!
俺は口をぱくぱくさせた。
「……無自覚は手に負えん。」
「そう言うことだから、主?ちゃんと食べた方がいいよ?めちゃくちゃ久しぶりなんだし。……うふふ、朝まで頑張んないとね~?」
「えええぇ~っ!?」
待ってくれ……。
本当にそうなのか…!?
俺は赤くなりながら、手洗いに消えたウィルの方をぼんやりと見つめた。
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