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第六章「副隊長編」
女神の聖域
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「駄目駄目駄目駄目っ!!やっぱ考え直して!ウィルっ!!」
「何でだ!?納得したじゃないか!?」
「イヴァンと同室とか!絶対駄目っ!!」
俺は終業後、ウィルを捕まえて説得を試みていた。
毅然と振る舞うウィルにすがり付く。
何とも間抜けな光景だが、形振り構ってなどいられない。
ちょうど武術指導が終わったらしい、シルクとイヴァンが歩いてきて何事かと立ち止まった。
言い合う俺たちにイヴァンが苦笑する。
「いや、サークさん。僕、人のものには手出ししませんから……。」
んなもん、どうでもいい。
俺が嫌だから嫌なんだよっ!!
揉める俺たちと困り顔のイヴァンを見比べ、シルクが不思議そうにイヴァンに尋ねた。
「どういう事だ?これ?」
「ウィルさん、独身寮に入るんです。で、僕、今、一人で部屋使ってるんで、同室になる予定で……。」
「そうなの!?」
ウィルが独身寮に入るなんて、どういう心境の変化だろう?
シルクにはよくわからなかった。
あんなにサークが好きで、愛されていて、何でわざわざ半同棲のような暮らしをやめようとしているのだろう?
あんなにサークに望まれて一緒にいるなんて、シルクからしたらうらやましい以外のなにものでもないのに。
だが、サークの取り乱しようについては、なるほどと思った。
相手が気心の知れたイヴァンであっても、納得できるわけがない。
「絶対駄目っ!!ウィル!お願い!考え直して!!」
「しつこいぞ!サーク!!」
ウィルはすがり付いてくるサークを乱暴に突き放した。
さすがにあまりにしつこいので、ウィルは少し不機嫌になっていた。
でも嫌なものは嫌だとサークは譲らない。
にっちもさっちもいかなくなり、サークはキッとイヴァンを睨んだ。
「おい、イヴァン!!守備範囲は!?」
その言葉に、イヴァンはちらりとウィルを見る。
そして爽やかに笑って言った。
「ガッツリ守備範囲内です。」
「ほら見ろ!」
爽やかに言われて、サークは涙目だ。
シルクは呆けてしまった。
この状況がよくわからなかったからだ。
ウィルの気持ちもだし、イヴァンもイヴァンでわざわざ正直に返答しなくてもいいのに。
範囲外だと言えば、丸く収まったかも知れない。
まぁ、嘘がつけないのがイヴァンの良いところでもあるのだけれど。
ただ状況は、どんどん訳のわからない事になっていっている。
「信用してください!人のものには手出ししませんから!!」
「駄目だ!!お前がウィルの寝顔とか寝起きとか着替えとか見ると思うと!!」
「サーク!!いい加減にしろよ!!」
「だって!ウィルはこんなに可愛いから、絶対、変な気分になるに決まってる!!」
「俺を可愛いとか言うのは!お前ぐらいだ!サーク!!」
「いや、ウィルは可愛いよ?」
シルクはうっかり、いつもの爆弾を投下する。
悪気があるわけではない。
素直にそう思っていたから言ったまでだ。
さらに悪いことに、天然なのかイヴァンがそれに乗っかる。
「そうですね。美人ですし。相手がいなければ、僕、間違いなくアタックしたと思います。」
「ほら見ろ~!!」
サークはイヴァンに守備範囲だの恋人がいなければアタックしただの言われ、錯乱状態だ。
形振り構わずウィルにしがみつく。
こうなると、ただ駄々をこねているようにしか見えない。
普段は温厚で落ち着きのあるウィルも、さすがにキレ気味だ。
「じゃあどうしろって言うんだよ!?」
「だから!考え直して!!」
「それは出来ない!」
頭にきているせいで、ウィルもなんとなく意地を張ってしまう。
余裕がないので、落ち着いて話し合うなり別の方法を考えるなり出来なくなっていた。
本来の目的を離れ、何がなんでも独身寮に入るという考えに固まってしまっていた。
頑として譲らない恋人に、サークはやり合う矛先を変えた。
「なら!イヴァン!!部屋変わって!!」
確かに独身寮にウィルが入って、サークが納得するのはそれ以外にないだろう。
だが、ここで思わぬ新勢力が生まれる。
ガシッとサークにシルクがしがみついた。
「は!?主!俺を捨てるの!?やだよっ!駄目っ!!俺は主と一緒にいるの~!!」
突如、涙腺崩壊、半泣きである。
ヤダヤダとサークにしがみついている。
イヴァンも何が何だかわからなくなってきた。
そこで本来の目的を思い出したウィルが、本末転倒とばかりにサークを引き離そうとする。
「お前と同室だったら!独身寮に入る意味ないだろ!?」
「やだ!ウィルと一緒の部屋がいい!!イヴァンと同室なんかにさせられないっ!!」
「駄目駄目駄目~っ!!主は俺と一緒なの~っ!!捨てないでよ~!!主~!!」
なんなんだろう、これは??
完全にカオスだ。
イヴァンは先の見えないこの状況に唖然としていた。
これ、どうしたらいいんだろう?
誰がまとめるんだ??
自分なのか??
「と言うか、僕もフラれた手前、さすがにシルクさんと同室は精神的にキツいです。」
小声で呟いたが、揉める3人は聞いていない。
はぁ…とため息をつく。
全員が主張しあい、泥沼な状況である。
駄目だ!一緒がいい!と堂々巡りで言い合っている。
そろそろどうにかしなければ……。
自分がまとめなければ、おそらくずっとこのままだ。
イヴァンは腹をくくって考えた。
そして口を開いた。
「あの~、なら、ウィルさんとシルクさんが同室になるのはどうですか?サークさんは僕とで?」
はたと全員が黙る。
3人がイヴァンの顔を見た。
イヴァンはにっこりと爽やかに笑って見せた。
なるほど、その手があったか……。
ヒートアップしていた状況も、しゅんと一気にクールダウンする。
イヴァンのこの一言で何とか状況は終演を迎えた。
その後、特に誰からも異論が出ず、寮長に相談に行く事になった。
その結果、すんなりとウィルとシルクが同室になる事が決まる。
だが何故か、その為に大幅な寮室全体の配置替えを行うという、大事に発展した。
女神信仰の為だ。
寮長は熱心な信仰者だったようで、水を得た魚のようにガンガン話を進めた。
寮に住んでいる連中の多くが女神信者だったようで、このアホな話はさして揉める事なく進んでいく。
さすがのサークも唖然としていた。
そしてウィルとシルクは、3階の一番条件のいい角部屋が当てられた。
信者達からすると、女神達に対する当然の待遇らしい。
その上、隣2部屋は空き部屋にされた。
まぁ、隣に誰かいたら揉めるのは目に見えている。
その為、聖域として空けることになったのだ。
何なんだ、一体それは??
直隣の部屋は絶対領域となり、決して立ち入ってはならなくて、さらに隣は祈りの場として祭壇?のように机が置かれた。
大丈夫か?こいつら??
男しかいなすぎて、頭おかしくなったのか!?
サークはイヴァンが元から使っている2階の階段前の部屋に入る事になった。
階は違うが階段前なので、何かあったらすぐに飛んで行けるので、まぁいいかと思った。
ついでに聖域って言うんだからと、サークは内緒で魔術でガードと罠を仕掛けてた。
これでウィルとシルクの部屋の盗聴をしようとするバカを防げるだろう。
サークは気づいていないが、己自身も、女神信者達を馬鹿に出来ない馬鹿っぷりである。
こうして、サーク達にも女神信者たちにも納得の配置で、独身寮問題は終わりを見せた。
「何だかやっと終わりましたね……。」
「こんな大事になると思わなかった……。」
「ですね。」
ぐったりするサークにイヴァンがそう言った。
シルクとウィルは何気に一緒の部屋なのが嬉しいらしく、さっきから楽しそうに話している。
ウィルの引っ越しは3日後に決まった。
決まってしまうと、もうあの家での生活が本当に終わるのだと感じ、サークは無性に寂しくなった。
「ウィル~、今夜は行ってもいいだろ~?」
サークは寂しくて、半泣きでウィルの服の袖を引っ張った。
するとそのサークの服を、シルクがぎゅっと握った。
「主……。」
泣きそうな顔でサークを見上げる。
そうか、こいつにとっても、俺と同室が最後になるんだな。
サークはそう思った。
シルクはじっとサークを見つめ、言った。
「今日は行っていいよ……。でも、明日は一緒にいて?お願い……。」
何か、さすがに断れない。
色々な思いがサークの中に走馬灯のように流れた。
サークが何も言えない中、ウィルがシルクに声をかける。
「ありがとう、シルク。今日はサークを借りるね?」
「ううん。俺こそ、明日、主を貸してね?」
そしてぎゅっとハグを交わす。
移動を強いられた部屋のやつらが移動していて、そのハグを見て荷物を一旦、床に置いた。
そしてありがたやと手を合わせた。
女神信仰者かよ……。
非常にシュールな光景だ。
「……で?サークさんはいつ移動します?」
「ん~?明日か明後日かな?よろしくな。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
訳のわからないカオスに最後まで付き合ってくれたイヴァンは、いつも通り爽やかに笑ってそう言った。
ちなみに後日談だが、祈りの部屋にシルクがふざけて自分の飲み終えた酒瓶やウィルの読み終えた本などを御神体と言って不定期に飾るようになり、女神信者達を喜ばせた。
「何でだ!?納得したじゃないか!?」
「イヴァンと同室とか!絶対駄目っ!!」
俺は終業後、ウィルを捕まえて説得を試みていた。
毅然と振る舞うウィルにすがり付く。
何とも間抜けな光景だが、形振り構ってなどいられない。
ちょうど武術指導が終わったらしい、シルクとイヴァンが歩いてきて何事かと立ち止まった。
言い合う俺たちにイヴァンが苦笑する。
「いや、サークさん。僕、人のものには手出ししませんから……。」
んなもん、どうでもいい。
俺が嫌だから嫌なんだよっ!!
揉める俺たちと困り顔のイヴァンを見比べ、シルクが不思議そうにイヴァンに尋ねた。
「どういう事だ?これ?」
「ウィルさん、独身寮に入るんです。で、僕、今、一人で部屋使ってるんで、同室になる予定で……。」
「そうなの!?」
ウィルが独身寮に入るなんて、どういう心境の変化だろう?
シルクにはよくわからなかった。
あんなにサークが好きで、愛されていて、何でわざわざ半同棲のような暮らしをやめようとしているのだろう?
あんなにサークに望まれて一緒にいるなんて、シルクからしたらうらやましい以外のなにものでもないのに。
だが、サークの取り乱しようについては、なるほどと思った。
相手が気心の知れたイヴァンであっても、納得できるわけがない。
「絶対駄目っ!!ウィル!お願い!考え直して!!」
「しつこいぞ!サーク!!」
ウィルはすがり付いてくるサークを乱暴に突き放した。
さすがにあまりにしつこいので、ウィルは少し不機嫌になっていた。
でも嫌なものは嫌だとサークは譲らない。
にっちもさっちもいかなくなり、サークはキッとイヴァンを睨んだ。
「おい、イヴァン!!守備範囲は!?」
その言葉に、イヴァンはちらりとウィルを見る。
そして爽やかに笑って言った。
「ガッツリ守備範囲内です。」
「ほら見ろ!」
爽やかに言われて、サークは涙目だ。
シルクは呆けてしまった。
この状況がよくわからなかったからだ。
ウィルの気持ちもだし、イヴァンもイヴァンでわざわざ正直に返答しなくてもいいのに。
範囲外だと言えば、丸く収まったかも知れない。
まぁ、嘘がつけないのがイヴァンの良いところでもあるのだけれど。
ただ状況は、どんどん訳のわからない事になっていっている。
「信用してください!人のものには手出ししませんから!!」
「駄目だ!!お前がウィルの寝顔とか寝起きとか着替えとか見ると思うと!!」
「サーク!!いい加減にしろよ!!」
「だって!ウィルはこんなに可愛いから、絶対、変な気分になるに決まってる!!」
「俺を可愛いとか言うのは!お前ぐらいだ!サーク!!」
「いや、ウィルは可愛いよ?」
シルクはうっかり、いつもの爆弾を投下する。
悪気があるわけではない。
素直にそう思っていたから言ったまでだ。
さらに悪いことに、天然なのかイヴァンがそれに乗っかる。
「そうですね。美人ですし。相手がいなければ、僕、間違いなくアタックしたと思います。」
「ほら見ろ~!!」
サークはイヴァンに守備範囲だの恋人がいなければアタックしただの言われ、錯乱状態だ。
形振り構わずウィルにしがみつく。
こうなると、ただ駄々をこねているようにしか見えない。
普段は温厚で落ち着きのあるウィルも、さすがにキレ気味だ。
「じゃあどうしろって言うんだよ!?」
「だから!考え直して!!」
「それは出来ない!」
頭にきているせいで、ウィルもなんとなく意地を張ってしまう。
余裕がないので、落ち着いて話し合うなり別の方法を考えるなり出来なくなっていた。
本来の目的を離れ、何がなんでも独身寮に入るという考えに固まってしまっていた。
頑として譲らない恋人に、サークはやり合う矛先を変えた。
「なら!イヴァン!!部屋変わって!!」
確かに独身寮にウィルが入って、サークが納得するのはそれ以外にないだろう。
だが、ここで思わぬ新勢力が生まれる。
ガシッとサークにシルクがしがみついた。
「は!?主!俺を捨てるの!?やだよっ!駄目っ!!俺は主と一緒にいるの~!!」
突如、涙腺崩壊、半泣きである。
ヤダヤダとサークにしがみついている。
イヴァンも何が何だかわからなくなってきた。
そこで本来の目的を思い出したウィルが、本末転倒とばかりにサークを引き離そうとする。
「お前と同室だったら!独身寮に入る意味ないだろ!?」
「やだ!ウィルと一緒の部屋がいい!!イヴァンと同室なんかにさせられないっ!!」
「駄目駄目駄目~っ!!主は俺と一緒なの~っ!!捨てないでよ~!!主~!!」
なんなんだろう、これは??
完全にカオスだ。
イヴァンは先の見えないこの状況に唖然としていた。
これ、どうしたらいいんだろう?
誰がまとめるんだ??
自分なのか??
「と言うか、僕もフラれた手前、さすがにシルクさんと同室は精神的にキツいです。」
小声で呟いたが、揉める3人は聞いていない。
はぁ…とため息をつく。
全員が主張しあい、泥沼な状況である。
駄目だ!一緒がいい!と堂々巡りで言い合っている。
そろそろどうにかしなければ……。
自分がまとめなければ、おそらくずっとこのままだ。
イヴァンは腹をくくって考えた。
そして口を開いた。
「あの~、なら、ウィルさんとシルクさんが同室になるのはどうですか?サークさんは僕とで?」
はたと全員が黙る。
3人がイヴァンの顔を見た。
イヴァンはにっこりと爽やかに笑って見せた。
なるほど、その手があったか……。
ヒートアップしていた状況も、しゅんと一気にクールダウンする。
イヴァンのこの一言で何とか状況は終演を迎えた。
その後、特に誰からも異論が出ず、寮長に相談に行く事になった。
その結果、すんなりとウィルとシルクが同室になる事が決まる。
だが何故か、その為に大幅な寮室全体の配置替えを行うという、大事に発展した。
女神信仰の為だ。
寮長は熱心な信仰者だったようで、水を得た魚のようにガンガン話を進めた。
寮に住んでいる連中の多くが女神信者だったようで、このアホな話はさして揉める事なく進んでいく。
さすがのサークも唖然としていた。
そしてウィルとシルクは、3階の一番条件のいい角部屋が当てられた。
信者達からすると、女神達に対する当然の待遇らしい。
その上、隣2部屋は空き部屋にされた。
まぁ、隣に誰かいたら揉めるのは目に見えている。
その為、聖域として空けることになったのだ。
何なんだ、一体それは??
直隣の部屋は絶対領域となり、決して立ち入ってはならなくて、さらに隣は祈りの場として祭壇?のように机が置かれた。
大丈夫か?こいつら??
男しかいなすぎて、頭おかしくなったのか!?
サークはイヴァンが元から使っている2階の階段前の部屋に入る事になった。
階は違うが階段前なので、何かあったらすぐに飛んで行けるので、まぁいいかと思った。
ついでに聖域って言うんだからと、サークは内緒で魔術でガードと罠を仕掛けてた。
これでウィルとシルクの部屋の盗聴をしようとするバカを防げるだろう。
サークは気づいていないが、己自身も、女神信者達を馬鹿に出来ない馬鹿っぷりである。
こうして、サーク達にも女神信者たちにも納得の配置で、独身寮問題は終わりを見せた。
「何だかやっと終わりましたね……。」
「こんな大事になると思わなかった……。」
「ですね。」
ぐったりするサークにイヴァンがそう言った。
シルクとウィルは何気に一緒の部屋なのが嬉しいらしく、さっきから楽しそうに話している。
ウィルの引っ越しは3日後に決まった。
決まってしまうと、もうあの家での生活が本当に終わるのだと感じ、サークは無性に寂しくなった。
「ウィル~、今夜は行ってもいいだろ~?」
サークは寂しくて、半泣きでウィルの服の袖を引っ張った。
するとそのサークの服を、シルクがぎゅっと握った。
「主……。」
泣きそうな顔でサークを見上げる。
そうか、こいつにとっても、俺と同室が最後になるんだな。
サークはそう思った。
シルクはじっとサークを見つめ、言った。
「今日は行っていいよ……。でも、明日は一緒にいて?お願い……。」
何か、さすがに断れない。
色々な思いがサークの中に走馬灯のように流れた。
サークが何も言えない中、ウィルがシルクに声をかける。
「ありがとう、シルク。今日はサークを借りるね?」
「ううん。俺こそ、明日、主を貸してね?」
そしてぎゅっとハグを交わす。
移動を強いられた部屋のやつらが移動していて、そのハグを見て荷物を一旦、床に置いた。
そしてありがたやと手を合わせた。
女神信仰者かよ……。
非常にシュールな光景だ。
「……で?サークさんはいつ移動します?」
「ん~?明日か明後日かな?よろしくな。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
訳のわからないカオスに最後まで付き合ってくれたイヴァンは、いつも通り爽やかに笑ってそう言った。
ちなみに後日談だが、祈りの部屋にシルクがふざけて自分の飲み終えた酒瓶やウィルの読み終えた本などを御神体と言って不定期に飾るようになり、女神信者達を喜ばせた。
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