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第六章「副隊長編」
そのために
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ええと……普通って何だ!?
シルクは混乱していた。
ギルにプロポーズされて、それを断ったけれど、なんやかんやで気持ちが通じて、ラブラブな感じで抱き上げられて(いつものように担がれたのではない)、彼氏の家に連れ去られるところなのだけれども……。
シルクは馬車に揺られながら固まっていた。
朝、迎えに来たと言って乗せられた時も思ったが、ギルはどんだけ良いところの御子息様なんだ!?
個人所有の馬車とか初めて乗ったし、何だってこんなにふかふかなんだ!?
しかも御者さん、いつ戻るかわかんないのに、ずっとあそこで待ってたわけ!?
そしてそれに何の疑問も感じていないギルって何なの!?
シルクには訳がわからなかった。
「さっきからどうした?変な顔をして?」
「……何か、住む世界が違うって痛感してた……。」
「そうか……。嫌か?」
「う~ん、どうなんだろう?でもちょっと気持ち悪い。」
「そうか……。」
ギルは考え込むようにため息をついた。
一緒にいるにはどうするべきか考える。
シルクは平民で移民だ。
国が違えば色々違うが、それだけでは済まないだろう。
サークに出会ったのは、道で行き倒れていたからと聞いた。
その時は栄養状態が悪くて発情期が止まっていたと言っていたし、娼夫のような事もしていたと言われた。
それを考えれば、生まれた家の財力で何不自由なく生きてきた自分の生活が、シルクにとって気持ちのいいものでない事は明白だった。
本当に何を思っていきなりプロポーズしてしまったのだろう?
その前に考えなければならない事は山ほどあったと言うのに。
「ギルって跡継ぎ?」
「ああ。」
「そっか……。」
「だが、弟もいるしな。無理に俺が継がなくても大丈夫だろう。」
「いや、大問題でしょ?それ!?」
「そうでもない。弟の方が政治に向いてる。俺は剣しか振るえないしな。」
「でも……。」
ギルはそこまで考えた事がなかった。
若気の至りとは言うが、本当に考えが至らなかった。
ただ好きだから一緒にいると言うのは、今は良くても、長い目で考えればやはり難しいだろう。
そう考えると、多少の無茶をかましてでもシルクと一緒にいる方法を真剣に考え、実行して居場所を作り、実績を残してそれを不動のものにしたサークは凄いのだと思った。
それはシルクの望む愛情ではなかっただろうが、サークはサークなりに、シルクを必要として愛しているのだろう。
小動物のようで目が離せないと思っていた部下は、自分よりずっと思慮深かった。
自分はどうだろう?
シルクと一緒にいるためには、何をすべきだろう?
この異国の隠れた戦姫と共にある為に。
「ギル?」
「……大丈夫だ。」
「そう言う顔じゃないよ。」
「ちゃんと考えてなかった俺が悪い。」
シルクは無言で難しい顔をしているギルを見てため息をついた。
おそらく自分との関係をどう保持していくか考えているのだろう。
つい数時間前までは、何も考えずに楽しく付き合っていたのに。
ただ好きだから一緒にいてエッチする関係は終わってしまったのだ。
でも、ギルは選んでくれた。
それでも側に居てくれる事を選んでくれた。
だからこそ今、こうして悩んでいるのだろう。
その誠実な想いにシルクは応えようと思った。
「あのさ……ギル……。」
「何だ?」
「俺、言わないといけない事がある……。」
シルクが妙に畏まってギルを見つめた。
窓側に身を傾けて外を見ていたギルは体制を変えた。
しっかりとシルクと向き合う。
シルクは強ばった声で言った。
「耳かして。」
「ああ。」
「これから言うことは、誰にも言わないで。」
「わかった。」
ギルが身を屈めシルクの顔に耳を近づける。
覚悟に身を固くしたシルクは、意を決してその耳に口を寄せた。
密やかな声がギルに告げた。
「俺はカイナの民だ。遊牧民じゃない。」
ギルはハッとした。
反射的に顔を離し、シルクの顔を見る。
シルクの真剣な眼差しとかち合う。
その偽りのない顔を見て、ギルは全てを知った。
やっと全ての謎が解けた気がした。
シルクの異様なサークに対する絶対的な服従も、ただ、惚れた相手と侍従関係になったからそうなっているのではない。
サークとシルクが交わしたのは、真似事の誓いではない。
カイナの民として、生涯一度の誓いをしたのだ。
「そうか……そうだったのか……。」
ギルの顔を見て、シルクは今の一言でギルが全て理解したのだとわかった。
けれどかえって不思議に思った。
わかったが、わからなかったのだ。
「……どうしてギルは、それだけで全部わかるの?」
当然の疑問だ。
カイナの民だと言われても、普通はそれが何かも知らない。
知っていたとしても、一度だけの誓いを知っていなければ、全てを理解することは出来ないはずだ。
「……知り合いにお前と同じ人がいた。だから、お前の誓いがどれだけの意味があるか知っている。」
その言葉にシルクの魂が震えた。
思わず目を見開く。
カイナの民の生き残りが自分以外にいる。
ギルの言っていることは、それを指し示す。
無意識にギルの腕を掴んで声を上げた。
「待って!?本当に!?その人は今、どこにいるの!?」
「すまん。わからない。」
「生きてる!?まだその人、生きてる!?」
「おそらく……。」
ギルは言ってしまってから、それをシルクに教えて良かったのだろうかと思った。
簡単に死ぬような人ではないし、おそらく生きているだろう。
だが、シルクに会わせてやれるとは思えなかった。
それなら知らない方が良かったのではないだろうか?
下手な希望は何より残忍だからだ。
「そっか……。生きてるんだ……。」
だが思いの外シルクの声は明るかった。
噛み締めるように言った言葉。
涙ぐみ、嬉しそうに笑っていた。
何だか切なくて、ギルはぎゅっとシルクを抱きしめた。
「良かった。俺、最後のひとりかと思ってた。」
「そうか…。」
シルクの孤独は自分には想像も出来ない。
たとえどんなに仲間に恵まれても、拭えないものだろう。
けれどギルが思ったよりも、シルクにとってその情報は明るい希望だった。
シルクはずっと前からその微かな存在を感じていたからだ。
「……ギルってさ、その人に武術習ってたでしょ?」
「何でわかる?」
「癖って言うのかな……ギルと手合わせしてて、この人、演舞の動きを知ってるな~て思ってた。」
「そうか。」
シルクはとても満ち足りた想いでいっぱいだった。
自分はひとりじゃない。
色々な意味でそう思った。
そしてギルが自分のつがいだったのも、きっと偶然じゃない。
巡り巡って出会うようになっていたんだ。
こんな異国で他国の民とつがいになったのが不思議だった。
でも今はそうは思わなかった。
全部、はじめから約束されていた出会いだったのだ。
「ギルとは結婚しないけど、ギルは俺の唯一の人だよ。これからもずっと……。」
「そうだな。俺のつがいはお前ひとりだ。シルク。」
「うん。」
考えてみれば本当に、ふたりには結婚という形式的な繋がりなどどうでもいいことだった。
それよりもずっと深い繋がりがある。
全てを分け合ってひとつになれる。
そんな相手は普通は存在しない。
だが、ギルとシルクにはそれが存在するのだ。
「側にいる。その時までずっと。」
「うん。側にいて。」
「……それにそんなに気にする事じゃない。」
「何で?」
「お前だって、気づいているだろ?」
「何に?」
「……お前がサークについて行くように、おそらく俺も……アイツについていく事になる……。」
「……そだね。」
シルクは一生に一度の誓いをして、サークについていく。
だが、ここにきてギルは薄々わかっていた。
特に何か誓った訳じゃない。
愛を交わした訳でも、主とした訳でもない。
それでも、何の絆もなくても、自分はサークを選び、ついていくだろうと。
「主とギルの関係ってさ~?何なんだろね?」
「さぁ?俺にもわからん…。」
本当にそこは謎でしかない。
だが、謎だろうが何だろうがそうなるのだ。
その為には自分は何をすべきだろう?
シルクと一緒にいるために。
サークの行くところについていくために。
ギルははじめてそれを考え始めていた。
シルクは混乱していた。
ギルにプロポーズされて、それを断ったけれど、なんやかんやで気持ちが通じて、ラブラブな感じで抱き上げられて(いつものように担がれたのではない)、彼氏の家に連れ去られるところなのだけれども……。
シルクは馬車に揺られながら固まっていた。
朝、迎えに来たと言って乗せられた時も思ったが、ギルはどんだけ良いところの御子息様なんだ!?
個人所有の馬車とか初めて乗ったし、何だってこんなにふかふかなんだ!?
しかも御者さん、いつ戻るかわかんないのに、ずっとあそこで待ってたわけ!?
そしてそれに何の疑問も感じていないギルって何なの!?
シルクには訳がわからなかった。
「さっきからどうした?変な顔をして?」
「……何か、住む世界が違うって痛感してた……。」
「そうか……。嫌か?」
「う~ん、どうなんだろう?でもちょっと気持ち悪い。」
「そうか……。」
ギルは考え込むようにため息をついた。
一緒にいるにはどうするべきか考える。
シルクは平民で移民だ。
国が違えば色々違うが、それだけでは済まないだろう。
サークに出会ったのは、道で行き倒れていたからと聞いた。
その時は栄養状態が悪くて発情期が止まっていたと言っていたし、娼夫のような事もしていたと言われた。
それを考えれば、生まれた家の財力で何不自由なく生きてきた自分の生活が、シルクにとって気持ちのいいものでない事は明白だった。
本当に何を思っていきなりプロポーズしてしまったのだろう?
その前に考えなければならない事は山ほどあったと言うのに。
「ギルって跡継ぎ?」
「ああ。」
「そっか……。」
「だが、弟もいるしな。無理に俺が継がなくても大丈夫だろう。」
「いや、大問題でしょ?それ!?」
「そうでもない。弟の方が政治に向いてる。俺は剣しか振るえないしな。」
「でも……。」
ギルはそこまで考えた事がなかった。
若気の至りとは言うが、本当に考えが至らなかった。
ただ好きだから一緒にいると言うのは、今は良くても、長い目で考えればやはり難しいだろう。
そう考えると、多少の無茶をかましてでもシルクと一緒にいる方法を真剣に考え、実行して居場所を作り、実績を残してそれを不動のものにしたサークは凄いのだと思った。
それはシルクの望む愛情ではなかっただろうが、サークはサークなりに、シルクを必要として愛しているのだろう。
小動物のようで目が離せないと思っていた部下は、自分よりずっと思慮深かった。
自分はどうだろう?
シルクと一緒にいるためには、何をすべきだろう?
この異国の隠れた戦姫と共にある為に。
「ギル?」
「……大丈夫だ。」
「そう言う顔じゃないよ。」
「ちゃんと考えてなかった俺が悪い。」
シルクは無言で難しい顔をしているギルを見てため息をついた。
おそらく自分との関係をどう保持していくか考えているのだろう。
つい数時間前までは、何も考えずに楽しく付き合っていたのに。
ただ好きだから一緒にいてエッチする関係は終わってしまったのだ。
でも、ギルは選んでくれた。
それでも側に居てくれる事を選んでくれた。
だからこそ今、こうして悩んでいるのだろう。
その誠実な想いにシルクは応えようと思った。
「あのさ……ギル……。」
「何だ?」
「俺、言わないといけない事がある……。」
シルクが妙に畏まってギルを見つめた。
窓側に身を傾けて外を見ていたギルは体制を変えた。
しっかりとシルクと向き合う。
シルクは強ばった声で言った。
「耳かして。」
「ああ。」
「これから言うことは、誰にも言わないで。」
「わかった。」
ギルが身を屈めシルクの顔に耳を近づける。
覚悟に身を固くしたシルクは、意を決してその耳に口を寄せた。
密やかな声がギルに告げた。
「俺はカイナの民だ。遊牧民じゃない。」
ギルはハッとした。
反射的に顔を離し、シルクの顔を見る。
シルクの真剣な眼差しとかち合う。
その偽りのない顔を見て、ギルは全てを知った。
やっと全ての謎が解けた気がした。
シルクの異様なサークに対する絶対的な服従も、ただ、惚れた相手と侍従関係になったからそうなっているのではない。
サークとシルクが交わしたのは、真似事の誓いではない。
カイナの民として、生涯一度の誓いをしたのだ。
「そうか……そうだったのか……。」
ギルの顔を見て、シルクは今の一言でギルが全て理解したのだとわかった。
けれどかえって不思議に思った。
わかったが、わからなかったのだ。
「……どうしてギルは、それだけで全部わかるの?」
当然の疑問だ。
カイナの民だと言われても、普通はそれが何かも知らない。
知っていたとしても、一度だけの誓いを知っていなければ、全てを理解することは出来ないはずだ。
「……知り合いにお前と同じ人がいた。だから、お前の誓いがどれだけの意味があるか知っている。」
その言葉にシルクの魂が震えた。
思わず目を見開く。
カイナの民の生き残りが自分以外にいる。
ギルの言っていることは、それを指し示す。
無意識にギルの腕を掴んで声を上げた。
「待って!?本当に!?その人は今、どこにいるの!?」
「すまん。わからない。」
「生きてる!?まだその人、生きてる!?」
「おそらく……。」
ギルは言ってしまってから、それをシルクに教えて良かったのだろうかと思った。
簡単に死ぬような人ではないし、おそらく生きているだろう。
だが、シルクに会わせてやれるとは思えなかった。
それなら知らない方が良かったのではないだろうか?
下手な希望は何より残忍だからだ。
「そっか……。生きてるんだ……。」
だが思いの外シルクの声は明るかった。
噛み締めるように言った言葉。
涙ぐみ、嬉しそうに笑っていた。
何だか切なくて、ギルはぎゅっとシルクを抱きしめた。
「良かった。俺、最後のひとりかと思ってた。」
「そうか…。」
シルクの孤独は自分には想像も出来ない。
たとえどんなに仲間に恵まれても、拭えないものだろう。
けれどギルが思ったよりも、シルクにとってその情報は明るい希望だった。
シルクはずっと前からその微かな存在を感じていたからだ。
「……ギルってさ、その人に武術習ってたでしょ?」
「何でわかる?」
「癖って言うのかな……ギルと手合わせしてて、この人、演舞の動きを知ってるな~て思ってた。」
「そうか。」
シルクはとても満ち足りた想いでいっぱいだった。
自分はひとりじゃない。
色々な意味でそう思った。
そしてギルが自分のつがいだったのも、きっと偶然じゃない。
巡り巡って出会うようになっていたんだ。
こんな異国で他国の民とつがいになったのが不思議だった。
でも今はそうは思わなかった。
全部、はじめから約束されていた出会いだったのだ。
「ギルとは結婚しないけど、ギルは俺の唯一の人だよ。これからもずっと……。」
「そうだな。俺のつがいはお前ひとりだ。シルク。」
「うん。」
考えてみれば本当に、ふたりには結婚という形式的な繋がりなどどうでもいいことだった。
それよりもずっと深い繋がりがある。
全てを分け合ってひとつになれる。
そんな相手は普通は存在しない。
だが、ギルとシルクにはそれが存在するのだ。
「側にいる。その時までずっと。」
「うん。側にいて。」
「……それにそんなに気にする事じゃない。」
「何で?」
「お前だって、気づいているだろ?」
「何に?」
「……お前がサークについて行くように、おそらく俺も……アイツについていく事になる……。」
「……そだね。」
シルクは一生に一度の誓いをして、サークについていく。
だが、ここにきてギルは薄々わかっていた。
特に何か誓った訳じゃない。
愛を交わした訳でも、主とした訳でもない。
それでも、何の絆もなくても、自分はサークを選び、ついていくだろうと。
「主とギルの関係ってさ~?何なんだろね?」
「さぁ?俺にもわからん…。」
本当にそこは謎でしかない。
だが、謎だろうが何だろうがそうなるのだ。
その為には自分は何をすべきだろう?
シルクと一緒にいるために。
サークの行くところについていくために。
ギルははじめてそれを考え始めていた。
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