「欠片の軌跡」②〜砂漠の踊り子

ねぎ(塩ダレ)

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第三章「砂漠の国編」

休日

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「え?休み!?」

朝食を食わしながらシルクにその事を伝えると、少し驚いたようだった。

「そ、今日はちょっと予定がある。だからお前も好きにしてていい。体を休めるなり、練習するなり。ただちゃんと食事をして、休養もとること。今、心身ともに軽い興奮状態だから気づかないかもしれないが、お前、後でどっと疲れが来るよ。今は色々ハイになってるけど、体力も体もまだ回復しきってないから。」

「そうかな?」

「いいか?お前は体が資本だ。自分の健康管理も、今後、独り立ちしてやっていくのに大事なことだ。」

「独り立ちか~なんか感覚ないなー。」

俺にそう言われたシルクはあまり自分の事として捉えられていないのか、足をパタパタさせている。
子どもか。

でも考えてみればいい機会かもしれない。
そう長く一緒にはいてやれないのだから、少しずつ一人でやっていく事も同時進行で進めた方がいい。
そう思った俺はシルクに言った。

「もし今日一人でステージに立ってみるなら、ポポスのおじさんに話をつけておくけど?」

「う~ん。」

気のない返事だ。
こいつ、いずれ一人でやっていくって意識ないのかな??
西の国にいる間はいいけど、用が済んだら俺は向こうに帰るからな??
ここは少し煽ってやるしかない。

「ちなみに一人で立つなら、全部お前の取り分でいいよ。」

その瞬間、シルクの目が光る。

「やります!!」

「即答かよ。まぁいずれ独り立ちするんだから、いい傾向だ。頑張れよ!!」

目が完全に金になってるけど、大丈夫かな?
でも、多少、痛い目を見ても俺がついてるうちはフォローできるしな。

しかしふと、シルクの顔色が変わる。
パタパタしていた足がゆっくりになって、止まった。

「……オーナーはやっぱ、プロデュースが終わったら行っちゃうのか?」

「そりゃね、旅でここに来たんだし。住む訳じゃない。」

「……そっか。」

お、何だかしおらしいな?
はじめはあんな野生種の猫みたいにツンケンしてたのに、少しは信用して気を許してくれたのかな?
そう思うとちょっと可愛く思える。

でもいつまでも一緒って訳にもいかない。
シルクはこの国の人間で、俺はこの国に旅に来ただけの外国人だ。
猫の子じゃないんだから、連れて帰る訳にもいかない。

ここは少し冷たくとも線引きすべきだろう。
俺は何も気づかないふりをして立ち上がった。

「じゃ、これ今日一日分の飯代な。ちゃんと食えよ?」

そう言って金を置き、話をつけに食堂に向かった。





シルクは立ち去るオーナーを見送り、その姿が見えなくなるとパタンとテーブルに突っ伏す。

「……まだ、たった3日一緒にいるだけなんだけどな~オーナー……。」

置かれたお金を握り、軽く目を閉じる。
そこにまだ微かに温もりがあって、変な気分になった。

(最初から旅してる向こうの人だってわかってたし、プロデュースが終わったら居なくなるってはじめから言われてるし、わかってるし、でもさ~。)

なんと言っていいのかわからない想いに、シルクは頭を悩ませる。

信用してる訳じゃない。
でも信用してない訳じゃない。

何だろう?この気持ちは?

その悶々とした悩みが、何かのスイッチを押した。


「!!」


ハッとして目を開く。
その感覚に内心、慌てる。

(ヤバい……。最近ちゃんと食べて体が回復してきたから……。まずい……最近なかったから忘れてた……。)

シルクはまた目を閉じて、体の中で起きた変化をやり過ごそうと思った。











休み、とシルクに言ったが、それは俺の休暇日という訳じゃない。
俺は鍵を使って魔術本部の家に戻り、そこからさらに移動した。

「……久しぶり。」

「ああ、待ってた。」

ドアをノックすると、ウィルが出迎えてくれた。
その薄く浮かべられた笑顔に俺は叫びそうになる。

ヤバい。
付き合ってるって感じでむず痒い!

凄いなぁ!俺!!
恋人ができて!こうして休暇を一緒に過ごすなんて!!
少し前までの自分に教えてやりたい!!

……ちんこは勃たないけどな。

そんなアホな考えがバレないよう、俺は平静を保ってウィルの部屋に入る。

平常心、平常心。
浮かれてたらウィルに呆れられる。

「実は今、ちょっと用があって砂漠の町にいるんだけどさ、そこで凄い美味しい料理があったから持ってきた。後で食べよう?」

そんな事を言いながらテーブルに袋を置く。
しかしウィルは答えない。

え?手土産として変だったかな??
もっと甘い物とかの方が良かったとか?!

「ウィル?」

来たはいいが、妙な沈黙に俺は慌てる。
部屋の主であるウィルが黙ったままだ。

え、どうしよう……。
何かルール違反な事しちゃった?!
俺、恋人と付き合うのなんて初めてだからわかんないよ~!!

内心慌てまくる俺が呼び掛けると、ウィルはスッと寄ってきてぽすんと俺の肩に頭を乗せた。
そして甘えるようにぐりぐりしてくる。

「~~~っ!!」

何ですか?!
この可愛い生き物は!?

俺は叫びそうになるのを堪える。

外ではパリッとしてて、回りからタチだとほぼ思われているお硬い美男子が、俺の前だとこんなに可愛い子猫ちゃんになるんですけど!?
神は俺を殺す気なんですか!?

待って待って!!
俺!!恋人できたの初めてだから!!
こんな可愛いのキャパオーバーするから!!

とはいえ、初めての恋人に格好悪いところを見せられるはずもなく、俺は努めて冷静に対応する。

「ウィル、どうした?寂しかった?」

「……ああ。」

……何だと?!

やだ、素直っ!!
そんな素直な反応されたら!!
もう!どうしたらいいんだよ?!

かなりキャパオーバーになりながら、震えそうになる手でウィルをそっと抱き締め、体を擦ってやる。
そうされたウィルは俺の首に腕を絡ませた。

俺の心臓がピシッと音を立てた。

「サークの匂い……。」

その上だ。
ウィルは俺の首元をくんかくんか嗅いてくる。

え……ちょっと待って……。
完全にキャパオーバーなんですけど……。

あまりの事にフリーズする。
同時に高速再起動が起こり、ぐわっと体中が熱くなった。
熱くなったのだが……。

どうして勃たない?!
俺のちんこ!?

このシチュエーションは勃つところのはずだ!!
何故だ?!これだけ恋人に可愛いことをされているのに!!
何故、お前は無反応なんだ?!ちんこ!!

………………。

今更何を言っても仕方がない。
悲しいが、俺の欠落した性欲は無反応だ。

でも、好きだと言う気持ちは持てるのだ。

ウィルにそうされて、俺は嬉しかった。
凄く可愛くと思ったし、凄くドキドキしている。
ちんこは勃たないけどこの気持ちに嘘はない。

「ウィル、顔、見せて?」

「ん。」

俺は抱きついてるウィルをそっと離して、両手でその顔を包んだ。
やっと見せてくれたウィルの顔は、熱に潤んでとても綺麗だった。

ウィルはそんな自分を恥じるように視線を反らす。

ああ……これだよ……。

シルク、わかるか?
これが恥じらいってヤツで!!
かえって辛抱ならん!って気持ちにさせるんだよ!!

キャパオーバーの俺は少しおかしな事を考えながら、食い入るようにそんなウィルを見つめていた。

「ごめん、サーク。来たばっかりなのに……俺……。」

「何で謝るの?嬉しいよ?」

「嘘。引いただろ?」

そう言って目を潤ませるウィル。

いやいやいやいや?!
ウィル?!それ、無自覚でやってる?!
引くというよりグイグイ惹きよせられてるから!!

まぁ、それでも悲しいかな、ちんこは勃たないんだけど……。

興奮と悲しみの中、俺はグイッとウィルの腰を引き寄せた。

「引いてないし、むしろウィルに惹き付けられてるよ……。それに俺が引いちゃったら、ウィル、ここをどうするつもりなんだ?」

ウィルの股間は既に存在感があった。
それを軽くグリッとしてやる。
わかってて、ちょっと意地悪した。

「……んっ。」

軽く眉をひそめ、ウィルが身をよじる。
さっと頬に紅が走る。
何か背筋がゾクゾクした。

「……おいで。ベッドに行こう。」

思わずそんな言葉が出る。

おいおいおい?!
何か手慣れた言い方してないか?俺!?

ちんこは勃たないけど!
俺だって余裕ないんですけど!?
ここからどう進めるかとか、わかんないんですけど!?

平静を保つ振りをしながらベッドに腰かけると、どう進めるか悩む俺をよそに、待てないとばかりにウィルから口付けて来た。

「んっ……んん……っ、あ、サーク……っ。」

舌を絡めてくるそれに応えると、ウィルは体をくねらせた。

いやもう……どうしよう……。
俺の恋人がエロすぎる!!

待ってよ、神様!!
俺、ちんこ勃たないのに!!
初めての恋人がこんなにエロ可愛くてどうしたらいいの?!

でも悲しいかな、とにかくカッコつけたがる俺は、平静を保ったふりをし続ける。

「ウィル……いい子だから、先に脱いで?また染みになっちゃうよ?」

「一人じゃ脱がない……。」

「俺も脱ぐから。ほら。」

キスではあんなに盛り上がってたのに、変に駄々っ子のような事を言うのが可愛い。
少し体を離して俺がバッサリ上を脱ぐと、ウィルが体に絡み付いてきた。

ちょっとびっくりする。

そう言えば初めて遊びに来た日も、俺が服を脱いだらやたら触ったり舐めたりしたがったよな??
ウィルって俺の体に触るの好きなのかな??
魔術師枠の俺は、騎士にしてはそんなに筋肉ついてる訳でもないからちょっと恥ずかしい。
それを誤魔化すように、ウィルのズボンに手をかけた。

「脱がすから、腰上げて?」

「ん……。」

ウィルは片足をベッドに膝立ちにし、腰を浮かせた。
腕は俺の首筋に絡め、鎖骨の辺りを舐めている。

そんなに俺の体に執着しなくても……。
別に逃げたりもしないってのに??

俺は見えない中、手探りでウィルのズボンを外し下着ごと下ろした。
下ろし終わるとウィルは器用に足を動かし、自分でそれを床に落とす。

しがみつかれてるから上が脱がせないが、まぁいいや。

俺はそのままベッドに押し倒しす。
欲情したウィルの顔を間近で覗き込んだ。

「サーク……。」

ウィルの手が俺の顔に触れた。
凄く色っぽくてドキドキした。

そして言った。


「今日は……最後までしたい……。」


?!

俺は固まった。
最後までという言葉に俺は衝撃を受ける。

最後まで?!
最後までですか!?

え?勃たない俺のちんこで最後ってどこ!?


「……そこの引き出し……。」


固まったウィルが恥ずかしそうに言った。
俺は言われた引き出しを開ける。

そこには、いつぞや俺が売ったディルドやらローションが入っていた……。

ズガンッと俺に衝撃が走る。
それの意味する所を、頭がフル回転して理解した。

………ヤバい。

いや、ちょっと待ってくれ……。

実験でなくこれを!?
これをウィルの中に!?

俺が?!

ウィルの言わんとしている事を理解し、一気にそれが実験でなく、恋人同士でする性行為なのだと認識させられた。
わかっていたはずなのに、俺は言い様のない衝撃を受けた。

そして同時に体の中が熱くなり、物凄い衝動に駆られた。

無意識のうちに唾を飲み込む。
そして取り繕う事もできなくて、うわずった声で聞いた。

「ウィル……いいの……?」

「……サークにして欲しい……。」

見つめるウィルは色っぽくて、熱っぽくて、とても綺麗だった。
そんなウィルが俺を見つめている。

真っ直ぐに。
他でもなく、俺を見つめている。

「………………っ!!」

何かどうしようもない気持ちに掻き立てられ、俺はウィルに口付けた。

堪らなかった。
自分でも感情が抑えられなかった。

ウィルが苦しげに身悶えしてもやめられなくて、激しくウィルを求めた。

何か頭が真っ白になりそうだった。
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