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第八章②「敵地潜入」
敵地の二人
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「ユウく~ん♪お酒はまだかな~?」
「はいはい、只今お持ちしますよ~。」
くそうシルクの奴、調子に乗りやがって。
俺は引き釣った笑いを浮かべて、シルクの前にグラスを置いた。
「ありがと、ユウくん♪ご褒美に膝の上に座って上げてもいいのよ♪」
「いえいえとんでもない。マネージャーとして当然の事をしたまでです。お気になさらず……。」
「も~、ユウくんてばつれないんだから~♪」
シルクはニコニコと上機嫌だ。
テラス席のパラソルの下、優雅に海を見ている。
俺はと言うと、その後ろに立って控えている。
何がどうなってこうなっているかと言うと、俺達がフライハイトのギルドを発ったのが一週間前。
その際、俺は踊り子のシルキー・フェンさんの付き人のユウ・ハーマンと言う人物として同行者登録をした。
まぁ、要するに二人とも偽名登録した訳だ。
これは王国内では故意的文書偽造の罪になるが、所在地政府離脱権限を施行したフライハイトのギルドでは、責任者であるマダムが必要性を認めて許可したので特に違法行為ではない。
何か都合良すぎて気持ち悪い。
だが、昔から所在地政府離脱権限を施行したギルドが反政府活動を潤沢に行う為に用いられてきた、一般的な手段なのだそうだ。
ちなみに南の国入りしたのは数日前だ。
「海が綺麗~。ユウく~ん、アタシの為に貝殻拾ってきて?」
「お断りします。」
「や~ん、意地悪~っ!」
何なんだよ、全く。
若干、俺の眉がピクピクと痙攣する。
シルクはというと、かなり派手目の格好をしている。
これは踊り子だからと言う事と、シルクの印象を強めて、俺の印象を弱める為だ。
俺の方は、目立たない地味な色のくたびれたスーツを着ている。
いかにもわがままな踊り子に振り回されている付き人って感じだ。
ちなみにシルクの妙な喋り方は、俺の師匠であるロナンド様の真似をしているらしい。
シルクから見ると、師匠ってこんな感じなんだと思うとちょっと面白い。
「シルキーさん、本日は夕方からカジノのゲストラウンジとショーステージでお仕事です。お支度に時間がかかりますので、後、30分程で移動をお願いします。」
「は~い。」
シルクことシルキーさんは、ここに来るまで昼夜問わずに酒場のステージを精力的に回り、突然現れた話題の踊り子になっていた。
そのお陰で、今日、南国一のカジノからお声がかかった。
幸運な事にショーステージだけでなく、ゲストラウンジの方にも招かれているので、このまま順調に行けばVIPルームから声がかかるのも時間の問題だろう。
地道な営業が功を奏して良かった。
もちろん、無意味にこんな事をしている訳じゃない。
当然ながら、今回の潜入の目的は情報収集だ。
粗方、街の人達の話は聞き終えたので、ここから中流階級、そして上流階級の話まできければ多くの事が見えて来るだろう。
その為の下準備も出来ている。
街の人の話では、中央王国と揉めた事はあまり話題になっていない。
軍まで出した出来事だったが、どういう訳かなんの危機感も感じていない。
むしろ、殿下が王太子の求婚を断った事が話題で、何であんな素晴らしい王太子の求婚を断ったのかわからないと言われている。
そう、グレゴリウス王太子は国民に絶大な人気を誇っていた。
国民にとっては、経済を守り軍を増強させて中央王国と対等な立場にした王太子はある意味ヒーローだった。
だから彼が戦争を起こす事を考えているなんて思ってもいないし、もしもそうなっても今までの経緯から支持されるだろう。
表向きはそんな感じだ。
だが裏ではどうなのかと言う事も大事になってくる。
裏というのは裏だ。
それを得るには俺達がただの旅人ではなく、旅の踊り子である事が重要になってくる。
酒場のメインは夜の世界だ。
そして裏表の境にある場所でもある。
そこには裏に通じている人間がひっそり混ざっている。
直接そこに触れてしまうと、俺達が目指す上流階級との交流の妨げになる可能性が出てきてしまうので難しいところだ。
だがそこにも堺の住人がいる。
寝物語を商いとする者だ。
酒場のステージに立つ踊り子や歌姫とそれらの境は曖昧だ。
だから逆に、踊り子はそう言った商いの人間には敵視もされる。
故に踊り子であるシルクがそこから情報を聞き出すのは厳しい。
だが踊り子に振り回される、くたびれた付き人ならどうだろう?
案外、蔑まれたり同情されたりと、言葉を交わすチャンスは多い。
中には踊り子に悪意があって近づく者もいるので注意は必要だが、そんなタイプは何となく見ればわかる。
相手がどんな感情を持って言葉を交わしているかによって対応は変わるが、それに合った対応をすれば意外と会話は進む。
軽く押したり引いたりしているうちに、ポロッとキーになる話が出てくるものだ。
そして大事なのは、1人に絞って根堀葉掘り聞かない事。
何人かと話していれば、それぞれから聞いた話を組み立てれば、下町の裏にあるものをガラス越しに垣間見る事が出来る。
それぐらいで十分なのだ。
何となく程々に知っていればいい。
あまり深入りしない方が、更に先の情報にたどり着けるからだ。
下町の裏の世界を垣間見てわかったのは、西の国から伝わった呪いの方法が流行っている事。
街のどこかに、頼めば人を呪い殺してくれる西の呪術師がいるそうだ。
また、軍事強化の影響で兵士が増えた。
そして誰でも軍隊に入りやすいせいか何なのか、妙に軍人以外は下に見るような横暴な奴が多い事、兵士たちはいる時はいっぱい居るが、たまにほとんどいなくなる事、等があった。
その他、人数が増えた事もあり、兵士と一緒になった同業者が多いが、特に戦争もないのに殉職した兵士がそれなりにいる様な事を言っていた。
他は、ありきたりなドラッグの話題だ。
ここにも最近の流行りは西の国からの物だと言う話が流れていた。
表向きはどんなに隠しても、こうやって裏の世界では確実に繋がりの証拠が溢れているものだ。
ふとホテルのボーイが俺に近づき、小声で迎えの馬車が来た事を伝えてくれた。
お礼を言って、チップを渡す。
彼は恭しくシルキーさんに一礼して去っていった。
馬車を呼ぶつもりでいたが、わざわざホテルまで迎えが来るとはさすがは南国一のカジノだな。
「お迎えが参りましたので、移動をお願いします。シルキーさん。」
「ん、わかったわ。」
シルクはそう言って、派手な大型のサングラスをして立ち上がった。
何の真似なんだろう?それは??
気になって後から聞いたところ、ギルに連れて行かれたオペラに鑑賞に来ていた女性たちの真似だったらしい。
と言うかあいつ、シルクをオペラとかに連れてってるのかよ。
かと思えば立ち飲み居酒屋で焼き鳥食ってたりと、本当、よくわからないカップルだ。
まぁ、2人が良ければそれで良いんだけどさ。
「おや、シルキー、今日はここのバーで踊ってくれるんじゃないんだね?」
バーラウンジを出口に向かって歩いていると、身なりの整った紳士が声をかけてきた。
顔に覚えはないが、どこかの酒場でシルクが踊るのを見たのだろう。
だいぶ話題になってきたので、こうやって声をかけられる事も多い。
声をかけてくるタイプは軽く顔を覚えて置いた方がいい。
こちらを探っている可能性があるからだ。
カジノでの仕事を持ちかけてきた男も、初めはこんな感じだった。
カジノのように、いい意味で探りを入れられるのは良いが、そうでない探りの場合を警戒しなければならない。
ここは南の国、グレゴリウスの庭だ。
男から庇うようにシルクは目立つように俺の前に立ち、シルキーとしてサングラスをずらして妖艶に微笑んだ。
「今日はカジノのステージなの。良かったら見に来て?待ってるわ。」
そして颯爽と歩き出す。
俺はアワアワと慌てながら会釈して、その後を小走りに追った。
特に打ち合わせはしていないそれは、俺達だから出来るものなのだろう。
馬車に乗り込むと、俺は魔力探査してから音消しの魔術を使った。
シルクがシルクの顔に戻り、ニンマリ笑った。
「どう?!なかなかでしょ??主っ!!」
おいおい、音は漏れなくても覗けば中は見えてるんだぞ?
俺は態度と表情は変えず、口調だけもとに戻した。
「ああ、流石だよ。シルク。だが気を抜くな。ある意味ここからが本番だ。」
「わかってるって!大丈夫!!俺の踊りはそんじょそこらの付け焼き刃じゃない!なにせオーナーに鍛えられた真の踊り手だからね!!」
未だにこうやってオーナーと言う呼び方をしてくるのが少し懐かしくて笑ってしまう。
「期待してますよ、シルキーさん。」
だから俺もふざけて、「ユウくん」として返事をしたのだった。
「はいはい、只今お持ちしますよ~。」
くそうシルクの奴、調子に乗りやがって。
俺は引き釣った笑いを浮かべて、シルクの前にグラスを置いた。
「ありがと、ユウくん♪ご褒美に膝の上に座って上げてもいいのよ♪」
「いえいえとんでもない。マネージャーとして当然の事をしたまでです。お気になさらず……。」
「も~、ユウくんてばつれないんだから~♪」
シルクはニコニコと上機嫌だ。
テラス席のパラソルの下、優雅に海を見ている。
俺はと言うと、その後ろに立って控えている。
何がどうなってこうなっているかと言うと、俺達がフライハイトのギルドを発ったのが一週間前。
その際、俺は踊り子のシルキー・フェンさんの付き人のユウ・ハーマンと言う人物として同行者登録をした。
まぁ、要するに二人とも偽名登録した訳だ。
これは王国内では故意的文書偽造の罪になるが、所在地政府離脱権限を施行したフライハイトのギルドでは、責任者であるマダムが必要性を認めて許可したので特に違法行為ではない。
何か都合良すぎて気持ち悪い。
だが、昔から所在地政府離脱権限を施行したギルドが反政府活動を潤沢に行う為に用いられてきた、一般的な手段なのだそうだ。
ちなみに南の国入りしたのは数日前だ。
「海が綺麗~。ユウく~ん、アタシの為に貝殻拾ってきて?」
「お断りします。」
「や~ん、意地悪~っ!」
何なんだよ、全く。
若干、俺の眉がピクピクと痙攣する。
シルクはというと、かなり派手目の格好をしている。
これは踊り子だからと言う事と、シルクの印象を強めて、俺の印象を弱める為だ。
俺の方は、目立たない地味な色のくたびれたスーツを着ている。
いかにもわがままな踊り子に振り回されている付き人って感じだ。
ちなみにシルクの妙な喋り方は、俺の師匠であるロナンド様の真似をしているらしい。
シルクから見ると、師匠ってこんな感じなんだと思うとちょっと面白い。
「シルキーさん、本日は夕方からカジノのゲストラウンジとショーステージでお仕事です。お支度に時間がかかりますので、後、30分程で移動をお願いします。」
「は~い。」
シルクことシルキーさんは、ここに来るまで昼夜問わずに酒場のステージを精力的に回り、突然現れた話題の踊り子になっていた。
そのお陰で、今日、南国一のカジノからお声がかかった。
幸運な事にショーステージだけでなく、ゲストラウンジの方にも招かれているので、このまま順調に行けばVIPルームから声がかかるのも時間の問題だろう。
地道な営業が功を奏して良かった。
もちろん、無意味にこんな事をしている訳じゃない。
当然ながら、今回の潜入の目的は情報収集だ。
粗方、街の人達の話は聞き終えたので、ここから中流階級、そして上流階級の話まできければ多くの事が見えて来るだろう。
その為の下準備も出来ている。
街の人の話では、中央王国と揉めた事はあまり話題になっていない。
軍まで出した出来事だったが、どういう訳かなんの危機感も感じていない。
むしろ、殿下が王太子の求婚を断った事が話題で、何であんな素晴らしい王太子の求婚を断ったのかわからないと言われている。
そう、グレゴリウス王太子は国民に絶大な人気を誇っていた。
国民にとっては、経済を守り軍を増強させて中央王国と対等な立場にした王太子はある意味ヒーローだった。
だから彼が戦争を起こす事を考えているなんて思ってもいないし、もしもそうなっても今までの経緯から支持されるだろう。
表向きはそんな感じだ。
だが裏ではどうなのかと言う事も大事になってくる。
裏というのは裏だ。
それを得るには俺達がただの旅人ではなく、旅の踊り子である事が重要になってくる。
酒場のメインは夜の世界だ。
そして裏表の境にある場所でもある。
そこには裏に通じている人間がひっそり混ざっている。
直接そこに触れてしまうと、俺達が目指す上流階級との交流の妨げになる可能性が出てきてしまうので難しいところだ。
だがそこにも堺の住人がいる。
寝物語を商いとする者だ。
酒場のステージに立つ踊り子や歌姫とそれらの境は曖昧だ。
だから逆に、踊り子はそう言った商いの人間には敵視もされる。
故に踊り子であるシルクがそこから情報を聞き出すのは厳しい。
だが踊り子に振り回される、くたびれた付き人ならどうだろう?
案外、蔑まれたり同情されたりと、言葉を交わすチャンスは多い。
中には踊り子に悪意があって近づく者もいるので注意は必要だが、そんなタイプは何となく見ればわかる。
相手がどんな感情を持って言葉を交わしているかによって対応は変わるが、それに合った対応をすれば意外と会話は進む。
軽く押したり引いたりしているうちに、ポロッとキーになる話が出てくるものだ。
そして大事なのは、1人に絞って根堀葉掘り聞かない事。
何人かと話していれば、それぞれから聞いた話を組み立てれば、下町の裏にあるものをガラス越しに垣間見る事が出来る。
それぐらいで十分なのだ。
何となく程々に知っていればいい。
あまり深入りしない方が、更に先の情報にたどり着けるからだ。
下町の裏の世界を垣間見てわかったのは、西の国から伝わった呪いの方法が流行っている事。
街のどこかに、頼めば人を呪い殺してくれる西の呪術師がいるそうだ。
また、軍事強化の影響で兵士が増えた。
そして誰でも軍隊に入りやすいせいか何なのか、妙に軍人以外は下に見るような横暴な奴が多い事、兵士たちはいる時はいっぱい居るが、たまにほとんどいなくなる事、等があった。
その他、人数が増えた事もあり、兵士と一緒になった同業者が多いが、特に戦争もないのに殉職した兵士がそれなりにいる様な事を言っていた。
他は、ありきたりなドラッグの話題だ。
ここにも最近の流行りは西の国からの物だと言う話が流れていた。
表向きはどんなに隠しても、こうやって裏の世界では確実に繋がりの証拠が溢れているものだ。
ふとホテルのボーイが俺に近づき、小声で迎えの馬車が来た事を伝えてくれた。
お礼を言って、チップを渡す。
彼は恭しくシルキーさんに一礼して去っていった。
馬車を呼ぶつもりでいたが、わざわざホテルまで迎えが来るとはさすがは南国一のカジノだな。
「お迎えが参りましたので、移動をお願いします。シルキーさん。」
「ん、わかったわ。」
シルクはそう言って、派手な大型のサングラスをして立ち上がった。
何の真似なんだろう?それは??
気になって後から聞いたところ、ギルに連れて行かれたオペラに鑑賞に来ていた女性たちの真似だったらしい。
と言うかあいつ、シルクをオペラとかに連れてってるのかよ。
かと思えば立ち飲み居酒屋で焼き鳥食ってたりと、本当、よくわからないカップルだ。
まぁ、2人が良ければそれで良いんだけどさ。
「おや、シルキー、今日はここのバーで踊ってくれるんじゃないんだね?」
バーラウンジを出口に向かって歩いていると、身なりの整った紳士が声をかけてきた。
顔に覚えはないが、どこかの酒場でシルクが踊るのを見たのだろう。
だいぶ話題になってきたので、こうやって声をかけられる事も多い。
声をかけてくるタイプは軽く顔を覚えて置いた方がいい。
こちらを探っている可能性があるからだ。
カジノでの仕事を持ちかけてきた男も、初めはこんな感じだった。
カジノのように、いい意味で探りを入れられるのは良いが、そうでない探りの場合を警戒しなければならない。
ここは南の国、グレゴリウスの庭だ。
男から庇うようにシルクは目立つように俺の前に立ち、シルキーとしてサングラスをずらして妖艶に微笑んだ。
「今日はカジノのステージなの。良かったら見に来て?待ってるわ。」
そして颯爽と歩き出す。
俺はアワアワと慌てながら会釈して、その後を小走りに追った。
特に打ち合わせはしていないそれは、俺達だから出来るものなのだろう。
馬車に乗り込むと、俺は魔力探査してから音消しの魔術を使った。
シルクがシルクの顔に戻り、ニンマリ笑った。
「どう?!なかなかでしょ??主っ!!」
おいおい、音は漏れなくても覗けば中は見えてるんだぞ?
俺は態度と表情は変えず、口調だけもとに戻した。
「ああ、流石だよ。シルク。だが気を抜くな。ある意味ここからが本番だ。」
「わかってるって!大丈夫!!俺の踊りはそんじょそこらの付け焼き刃じゃない!なにせオーナーに鍛えられた真の踊り手だからね!!」
未だにこうやってオーナーと言う呼び方をしてくるのが少し懐かしくて笑ってしまう。
「期待してますよ、シルキーさん。」
だから俺もふざけて、「ユウくん」として返事をしたのだった。
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