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第八章②「敵地潜入」
いつだってケーキは美味しい
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何か話し声が聞こえて俺は目を覚した。
ざわざわと数人の気配がする。
どういう事だ?!
俺は飛び起きて声のする方に飛び出した。
「あら、ユウくん?具合は大丈夫??」
シルキーの口調でそう声をかけられ、俺は頭が混乱したが、とりあえず話しを合わせた。
「あ……はい。すみません……。」
「まだ本調子じゃないわね~。寝てていいわよ~??」
「そういう訳には……。」
「ユウくんたら真面目たんだから~。」
「大丈夫ですか?ハーマン様?ご希望でしたら、薬売りや医者を呼ぶ事もできますのでお申し付け下さい。」
起き上がって飛び出すと、部屋の入り口付近にボーイさんたちが来ていて、部屋にわんさと荷物を運んでいた。
心配してくれたボーイさんの一人に、軽く笑って会釈する。
テーブルにはルームサービスで取ったのか、ガーリックシュリンプとスティクサラダ、食べかけのボリューミーなハンバーガーがある。
だが何より目が点になっているのは、シルクがバスローブ姿で頭にタオルを巻いて立っているのだ。
「……シルキーさんっ!?あなた、何て格好でうろついてるんですかっ!!」
「だって、ユウくんが具合悪くてダウンしてるから~。」
「いやいやいやいや!!それとこれとは別でしょうっ!!早く着替えて来てくださいっ!!」
俺はそう言って、シルキーを部屋の奥に押し込んだ。
ボーイさんたちがクスッと笑っている。
「ハーマン様、大丈夫ですよ?我々は慣れております。むしろシルキー様はちゃんとしておられますよ?」
「え?あれがですか??」
「はい。海も近いので皆様開放的になられるようで、下着姿や何も身につけていらっしゃらない方も多いですから。」
「それは……ご苦労様です……。」
その言葉に俺は苦笑いを浮かべる。
ホテルマンて大変なんだなと思った。
彼らが去ってから、シルクがひょっこり顔を出す。
運んでくれた荷物は、どうやらシルキーへの貢物らしい。
昨日聞いていたより増えているので、多分、カジノから届いたのだろう。
「終わった??」
「シルク……なんでまだ着替えてないんだ??」
戻ってきたシルクは、何故かバスローブ姿のままで、俺はぐったりした顔をした。
「え~だって、この格好じゃないと、これがごまかせなかったからさ~。」
シルクはそう言うと、頭に巻いたタオルを外した。
中から真っ黒い髪の毛が現れ、状況を理解した。
「あ~。悪い。解くの忘れてた。」
俺はそう言ってシルクの髪の色を戻した。
あまりに眠くて散歩の後、撃沈したんだった。
壁の鏡で自分の姿を確認しシルクは笑う。
「よく寝れた?」
「お陰様で……。」
俺は頭を掻いた。
シルクのベッドで寝ていたのを思い出したからだ。
いや、完全に熟睡していたから、何もないとは思う。
服だって特に乱れてないし。
分が悪そうな顔をする俺に、シルクがニヤッと笑った。
「主ったら激しくて、俺、びっくりしちゃった~。」
「おい、見え透いた嘘をつくな。」
「何言ってるんだよ~。せっかく主がしてくれたから~、本当は洗い流したくなかったんだけどね~?お腹減ったし、主は起きないし、だからってそのままボーイさんを呼ぶ事もできなくて~仕方なく~。」
「あ~はいはい。」
わかっている。
これはシルクの悪ふざけだ。
わかっているが、状況が確かにという感じなので妙に恥ずかしくなる。
「同衾したのは事実だから~。」
「うるさいっ!事故だ!事故っ!!」
太陽はすでに昼を越えて傾いている。
随分と寝てしまったらしい。
爆睡して昼飯を用意してやるのを忘れたのは、悪かったなと思う。
俺も腹が減っていて、腹の虫が小さく鳴いている。
「事故って言えばさ~。」
俺が昨日の残り物を全部無限バックから出していると、シルクが食べかけていたバーガーを噛りながら言った。
結局着替えもせずバスローブ姿のままだ。
「あの事故ってどうなったんだろうね??」
「あ~、あれか。自然事故じゃなくて故意な事故なのは間違いないだろうな。」
どうせ言っても聞かないだろうからと、俺は魔術で温める物を温めながら、席についた。
ついでだから、ガーリックシュリンプも温める。
シルクはすぐに手を伸ばしてきて、バリっとエビの皮を割った。
「だよね。あそこまでするってヤバくない?!何?!俺が何したって言うの?!」
「ヤバイな。ごめんな、舞台で事故があった話も聞いてたのに、何となくステージでとかはないと思ってたっつーか。もう少し注意を払っとくべきだった。」
「うううん。舞台に立つ側から言わせて貰えば、いくら相手を妬んでたって、ステージを穢す様な事をするのはちょっと軽蔑するよ。」
「それでも事故で終わるんだろうな。」
俺は温めたフィッシュ&チップスを口に放り込みながら言った。
ついでにガーリックシュリンプも食ってみたが、かなり美味しかった。
シルクは昨日のワインの残りを飲み始める。
「飲む?」
「1杯だけ。」
俺はグラスにワインをもらい、口に含んだ。
辛口でガーリックシュリンプによく合う。
「やっぱりモリカ?」
「さぁ?まぁ裏で何らかの関わりはあっただろうけど、いくらオーソリティーとは言え、あそこまで規模や損害がデカイ事を実行するのは難しいだろうな。」
「そうなの?」
「セリの蓋を閉め忘れて奈落に落とすのとは訳が違う。ステージ上の照明を全部ポールごと落とそうとしたんだぞ?照明機器がいくらすると思う?そして全部落とされたら公演は下手したら数日は止まる。日当で暮らしてるパフォーマーにとったら命取りだ。それに、お前だってすぐに気づいて布を手に取ったじゃないか。落ちれば破片が飛び散る。客席にも被害が及ぶ。それはカジノ側にとっては大損失だ。」
「そっか……。そうだよね……。でも、なんで全部落ちなかったの??」
「……それな。俺にとったらそっちがデカイんだよ。」
「主がやったんじゃないんだよね??」
「ああ……。ポールはたまたまそこに乱雑に置いてあった仕掛けのロープに絡まって、運良く落ちなかったんだ……。」
俺はワインを口に含んだ。
香りが鼻から抜けて、少し気分を落ち着かせた。
「そんな事って起こり得るの??」
「ないな。」
「なら……なんで……。」
「おそらく傍観者だよ。俺達を何となく見ていた何か。もう動きが見えてそこにいるとわかった以上、傍観者とは呼べないかもしれないけど。」
「……どうして俺達を助けたの?」
「わからない。ただあの場合、助けられたのは俺達だけじゃない。他に何か目的があってたまたま俺達を助けた形になったのかもな。」
俺は黙ってグラスをゆらした。
ゆらゆら揺れる液体は少し粘度があるのか、まったりと動く。
「何者なの?そいつ……?何をしてるの……?」
「わからない。完璧なカジノの見取り図を持ってたんだ。そう言う仕事の人間だろ?俺達とは敵対はしていないってだけで、いつ状況が変わるかはわからない。」
あれ以降、微かでも視線を感じる事は減った。
向こうも用心しているのか、はたまたま自分の仕事が忙しいのか……。
だが、ふとした時、まだ見てるなとは思う。
それを感じで、俺もまだ相手がそこにいるのだと思うのだ。
「……俺、そいつ嫌い。」
シルクが唐突にむくれてそう言った。
俺はキョトンとしてシルクを見つめた。
「へ?!……まぁ、正体もわからないしな。」
「違うっ!何かヤダっ!何か嫌いっ!!」
「シルク??」
それまで謎の相手の事を話しても、シルクは不安そうな顔をするだけだった。
だがいきなり敵意を持ちだした。
一体なんでだろう??
「シルク。気持ちはわからないでもないが、放っておけ。こちらから敵意を向けなければ、状況が変わらない限り向こうから向けられることもない。」
「何で主はそんなにそいつを信用してるんだよっ!!」
「は??信用なんかしてないぞ?!」
「してるじゃんっ!!敵意を向けなければ向けてこないってっ!!」
「いやこれは暗黙のルールと言うか、触らぬ神に祟りなしと言うか。お互い邪魔をしなければ、無駄に接点を持たずに済むって事だよ。」
「鼠を殺された時だって!庇ったじゃんっ!!」
「庇った?!何言ってるんだよ??あれはそう言う状況だったってだけで……。」
「たとえ故意だろうとそうでなかろうと!主が攻撃を受けて傷付いたのは事実じゃんっ!!裏の世界じゃ十分、反撃理由になるっ!なのに……っ!!」
「シルク?!落ち着けよ??どうしたんだよ?!」
突然、シルクが不機嫌になった。
う~ん、朝散歩の効果は短かったな……。
不安定な状態だから仕方ないけど……。
困ったな??
俺はまだ何か言いたげに開かれたシルクの口に、解体してカバンにしまってあったケーキタワーのミニケーキを突っ込んだ。
シルクは怒った顔をしながら、モゴモゴとケーキを飲み込んだ。
「ちょっと!ある、じ……っ!!」
「はいはい、おかわりね。」
俺は有無を言わさず、今度はミニロールケーキを押し込んでやった。
怒りながらもモゴモゴ食べている。
そして、次には何故か何も言わず、あ~んと口を開けた。
仕方がないのでプチシューを放り込んでやる。
「……美味しいか?」
「美味しいよ!バカ主っ!!」
シルクはプンプン怒りながら、ケーキを掴んで自分の口に放り込んだ。
ざわざわと数人の気配がする。
どういう事だ?!
俺は飛び起きて声のする方に飛び出した。
「あら、ユウくん?具合は大丈夫??」
シルキーの口調でそう声をかけられ、俺は頭が混乱したが、とりあえず話しを合わせた。
「あ……はい。すみません……。」
「まだ本調子じゃないわね~。寝てていいわよ~??」
「そういう訳には……。」
「ユウくんたら真面目たんだから~。」
「大丈夫ですか?ハーマン様?ご希望でしたら、薬売りや医者を呼ぶ事もできますのでお申し付け下さい。」
起き上がって飛び出すと、部屋の入り口付近にボーイさんたちが来ていて、部屋にわんさと荷物を運んでいた。
心配してくれたボーイさんの一人に、軽く笑って会釈する。
テーブルにはルームサービスで取ったのか、ガーリックシュリンプとスティクサラダ、食べかけのボリューミーなハンバーガーがある。
だが何より目が点になっているのは、シルクがバスローブ姿で頭にタオルを巻いて立っているのだ。
「……シルキーさんっ!?あなた、何て格好でうろついてるんですかっ!!」
「だって、ユウくんが具合悪くてダウンしてるから~。」
「いやいやいやいや!!それとこれとは別でしょうっ!!早く着替えて来てくださいっ!!」
俺はそう言って、シルキーを部屋の奥に押し込んだ。
ボーイさんたちがクスッと笑っている。
「ハーマン様、大丈夫ですよ?我々は慣れております。むしろシルキー様はちゃんとしておられますよ?」
「え?あれがですか??」
「はい。海も近いので皆様開放的になられるようで、下着姿や何も身につけていらっしゃらない方も多いですから。」
「それは……ご苦労様です……。」
その言葉に俺は苦笑いを浮かべる。
ホテルマンて大変なんだなと思った。
彼らが去ってから、シルクがひょっこり顔を出す。
運んでくれた荷物は、どうやらシルキーへの貢物らしい。
昨日聞いていたより増えているので、多分、カジノから届いたのだろう。
「終わった??」
「シルク……なんでまだ着替えてないんだ??」
戻ってきたシルクは、何故かバスローブ姿のままで、俺はぐったりした顔をした。
「え~だって、この格好じゃないと、これがごまかせなかったからさ~。」
シルクはそう言うと、頭に巻いたタオルを外した。
中から真っ黒い髪の毛が現れ、状況を理解した。
「あ~。悪い。解くの忘れてた。」
俺はそう言ってシルクの髪の色を戻した。
あまりに眠くて散歩の後、撃沈したんだった。
壁の鏡で自分の姿を確認しシルクは笑う。
「よく寝れた?」
「お陰様で……。」
俺は頭を掻いた。
シルクのベッドで寝ていたのを思い出したからだ。
いや、完全に熟睡していたから、何もないとは思う。
服だって特に乱れてないし。
分が悪そうな顔をする俺に、シルクがニヤッと笑った。
「主ったら激しくて、俺、びっくりしちゃった~。」
「おい、見え透いた嘘をつくな。」
「何言ってるんだよ~。せっかく主がしてくれたから~、本当は洗い流したくなかったんだけどね~?お腹減ったし、主は起きないし、だからってそのままボーイさんを呼ぶ事もできなくて~仕方なく~。」
「あ~はいはい。」
わかっている。
これはシルクの悪ふざけだ。
わかっているが、状況が確かにという感じなので妙に恥ずかしくなる。
「同衾したのは事実だから~。」
「うるさいっ!事故だ!事故っ!!」
太陽はすでに昼を越えて傾いている。
随分と寝てしまったらしい。
爆睡して昼飯を用意してやるのを忘れたのは、悪かったなと思う。
俺も腹が減っていて、腹の虫が小さく鳴いている。
「事故って言えばさ~。」
俺が昨日の残り物を全部無限バックから出していると、シルクが食べかけていたバーガーを噛りながら言った。
結局着替えもせずバスローブ姿のままだ。
「あの事故ってどうなったんだろうね??」
「あ~、あれか。自然事故じゃなくて故意な事故なのは間違いないだろうな。」
どうせ言っても聞かないだろうからと、俺は魔術で温める物を温めながら、席についた。
ついでだから、ガーリックシュリンプも温める。
シルクはすぐに手を伸ばしてきて、バリっとエビの皮を割った。
「だよね。あそこまでするってヤバくない?!何?!俺が何したって言うの?!」
「ヤバイな。ごめんな、舞台で事故があった話も聞いてたのに、何となくステージでとかはないと思ってたっつーか。もう少し注意を払っとくべきだった。」
「うううん。舞台に立つ側から言わせて貰えば、いくら相手を妬んでたって、ステージを穢す様な事をするのはちょっと軽蔑するよ。」
「それでも事故で終わるんだろうな。」
俺は温めたフィッシュ&チップスを口に放り込みながら言った。
ついでにガーリックシュリンプも食ってみたが、かなり美味しかった。
シルクは昨日のワインの残りを飲み始める。
「飲む?」
「1杯だけ。」
俺はグラスにワインをもらい、口に含んだ。
辛口でガーリックシュリンプによく合う。
「やっぱりモリカ?」
「さぁ?まぁ裏で何らかの関わりはあっただろうけど、いくらオーソリティーとは言え、あそこまで規模や損害がデカイ事を実行するのは難しいだろうな。」
「そうなの?」
「セリの蓋を閉め忘れて奈落に落とすのとは訳が違う。ステージ上の照明を全部ポールごと落とそうとしたんだぞ?照明機器がいくらすると思う?そして全部落とされたら公演は下手したら数日は止まる。日当で暮らしてるパフォーマーにとったら命取りだ。それに、お前だってすぐに気づいて布を手に取ったじゃないか。落ちれば破片が飛び散る。客席にも被害が及ぶ。それはカジノ側にとっては大損失だ。」
「そっか……。そうだよね……。でも、なんで全部落ちなかったの??」
「……それな。俺にとったらそっちがデカイんだよ。」
「主がやったんじゃないんだよね??」
「ああ……。ポールはたまたまそこに乱雑に置いてあった仕掛けのロープに絡まって、運良く落ちなかったんだ……。」
俺はワインを口に含んだ。
香りが鼻から抜けて、少し気分を落ち着かせた。
「そんな事って起こり得るの??」
「ないな。」
「なら……なんで……。」
「おそらく傍観者だよ。俺達を何となく見ていた何か。もう動きが見えてそこにいるとわかった以上、傍観者とは呼べないかもしれないけど。」
「……どうして俺達を助けたの?」
「わからない。ただあの場合、助けられたのは俺達だけじゃない。他に何か目的があってたまたま俺達を助けた形になったのかもな。」
俺は黙ってグラスをゆらした。
ゆらゆら揺れる液体は少し粘度があるのか、まったりと動く。
「何者なの?そいつ……?何をしてるの……?」
「わからない。完璧なカジノの見取り図を持ってたんだ。そう言う仕事の人間だろ?俺達とは敵対はしていないってだけで、いつ状況が変わるかはわからない。」
あれ以降、微かでも視線を感じる事は減った。
向こうも用心しているのか、はたまたま自分の仕事が忙しいのか……。
だが、ふとした時、まだ見てるなとは思う。
それを感じで、俺もまだ相手がそこにいるのだと思うのだ。
「……俺、そいつ嫌い。」
シルクが唐突にむくれてそう言った。
俺はキョトンとしてシルクを見つめた。
「へ?!……まぁ、正体もわからないしな。」
「違うっ!何かヤダっ!何か嫌いっ!!」
「シルク??」
それまで謎の相手の事を話しても、シルクは不安そうな顔をするだけだった。
だがいきなり敵意を持ちだした。
一体なんでだろう??
「シルク。気持ちはわからないでもないが、放っておけ。こちらから敵意を向けなければ、状況が変わらない限り向こうから向けられることもない。」
「何で主はそんなにそいつを信用してるんだよっ!!」
「は??信用なんかしてないぞ?!」
「してるじゃんっ!!敵意を向けなければ向けてこないってっ!!」
「いやこれは暗黙のルールと言うか、触らぬ神に祟りなしと言うか。お互い邪魔をしなければ、無駄に接点を持たずに済むって事だよ。」
「鼠を殺された時だって!庇ったじゃんっ!!」
「庇った?!何言ってるんだよ??あれはそう言う状況だったってだけで……。」
「たとえ故意だろうとそうでなかろうと!主が攻撃を受けて傷付いたのは事実じゃんっ!!裏の世界じゃ十分、反撃理由になるっ!なのに……っ!!」
「シルク?!落ち着けよ??どうしたんだよ?!」
突然、シルクが不機嫌になった。
う~ん、朝散歩の効果は短かったな……。
不安定な状態だから仕方ないけど……。
困ったな??
俺はまだ何か言いたげに開かれたシルクの口に、解体してカバンにしまってあったケーキタワーのミニケーキを突っ込んだ。
シルクは怒った顔をしながら、モゴモゴとケーキを飲み込んだ。
「ちょっと!ある、じ……っ!!」
「はいはい、おかわりね。」
俺は有無を言わさず、今度はミニロールケーキを押し込んでやった。
怒りながらもモゴモゴ食べている。
そして、次には何故か何も言わず、あ~んと口を開けた。
仕方がないのでプチシューを放り込んでやる。
「……美味しいか?」
「美味しいよ!バカ主っ!!」
シルクはプンプン怒りながら、ケーキを掴んで自分の口に放り込んだ。
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