17 / 27
15話
しおりを挟む
デイビス視点
ルナ嬢に婚姻の無効が認められた。
それを聞いた時には正直、心が躍った。
婚約者のいる自分がそんなことを思ってはいけないことくらい分かっている。
しかし自分の気持ちに嘘はつけない。
嘘はつけないのなら蓋(ふた)をしなければいけないのだろうか。
もし今、自分に誰も婚約者がいなかったらと願うのは、エマ嬢に対し不誠実なのは分かっている。
ましてや婚約解消など以ての外(もってのほか)である。
それにルナ嬢だったらきっとそんな形で婚約解消をした自分を受け入れるはずがない。
彼女はそういう人だ。
だからあの日、陛下と大臣が去った執務室で二人きりになった時、婚姻無効の話しには一切振れてはこなかった。
きっとあの時、既に心は決まっていて報告の為に実家へと行ったのだろう。
それが全てだ、ルナ嬢なりの答えなのだと今なら分かる。
それにそんな彼女だからこそ好きになったのだ。
それなのに今の自分は情け無いな、エマ嬢のことを蔑(ないがし)ろにしてしまっている。
エマ嬢はとても魅力的な女性なのについ、ルナ嬢と比べてしまう自分がいる。
本当に失礼な話しだな。
エマ嬢となら月日を重ねていけば父と母のような信頼関係が築けるはずだ。
そしてこの国の為にもきっと力になってくれ、私の心の支えにもなってくれるだろう。
そろそろ自分の気持ちに整理をつける時がきたのかもしれないな。
きっとこれが私達の定められた運命なのかもしれない。
昔の自分だったらその運命に逆らおうとしたかもしれないが、今は出来ない。
それによって傷つけてしまう人がいるのだから。
いつかルナ嬢が言ってたな、これからは同志として歩んで行こうと。
その言葉が妙に寂しく感じたあの日の自分。
今度は私自身が本当に同志としてルナ嬢を見なければいけない時がきたのだ。
あの時のルナ嬢も、今の私と同じ気持ちだったのだろうかと、今更だと思いながも考えてしまう。
ルナ嬢に婚姻の無効が認められた。
それを聞いた時には正直、心が躍った。
婚約者のいる自分がそんなことを思ってはいけないことくらい分かっている。
しかし自分の気持ちに嘘はつけない。
嘘はつけないのなら蓋(ふた)をしなければいけないのだろうか。
もし今、自分に誰も婚約者がいなかったらと願うのは、エマ嬢に対し不誠実なのは分かっている。
ましてや婚約解消など以ての外(もってのほか)である。
それにルナ嬢だったらきっとそんな形で婚約解消をした自分を受け入れるはずがない。
彼女はそういう人だ。
だからあの日、陛下と大臣が去った執務室で二人きりになった時、婚姻無効の話しには一切振れてはこなかった。
きっとあの時、既に心は決まっていて報告の為に実家へと行ったのだろう。
それが全てだ、ルナ嬢なりの答えなのだと今なら分かる。
それにそんな彼女だからこそ好きになったのだ。
それなのに今の自分は情け無いな、エマ嬢のことを蔑(ないがし)ろにしてしまっている。
エマ嬢はとても魅力的な女性なのについ、ルナ嬢と比べてしまう自分がいる。
本当に失礼な話しだな。
エマ嬢となら月日を重ねていけば父と母のような信頼関係が築けるはずだ。
そしてこの国の為にもきっと力になってくれ、私の心の支えにもなってくれるだろう。
そろそろ自分の気持ちに整理をつける時がきたのかもしれないな。
きっとこれが私達の定められた運命なのかもしれない。
昔の自分だったらその運命に逆らおうとしたかもしれないが、今は出来ない。
それによって傷つけてしまう人がいるのだから。
いつかルナ嬢が言ってたな、これからは同志として歩んで行こうと。
その言葉が妙に寂しく感じたあの日の自分。
今度は私自身が本当に同志としてルナ嬢を見なければいけない時がきたのだ。
あの時のルナ嬢も、今の私と同じ気持ちだったのだろうかと、今更だと思いながも考えてしまう。
490
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
出て行けと言われた私が、本当に出ていくなんて思ってもいなかったでしょう??
睡蓮
恋愛
グローとエミリアは婚約関係にあったものの、グローはエミリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、グローは自身の機嫌を損ねたからか、エミリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてエミリアはグローの前から失踪してしまうこととなるのだが、グローはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はエミリアの味方をすると表明、じわじわとグローの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。
婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。
排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。
今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。
前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。
婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ~偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う~
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アプリリア・フォン・ロズウェルは、王太子ルキノ・エドワードとの幸せな婚約生活を夢見ていた。
しかし、王宮のパーティーで突然、ルキノから公衆の面前で婚約破棄を宣告される。
理由は「性格が悪い」「王妃にふさわしくない」という、にわかには信じがたいもの。
さらに、新しい婚約者候補として名指しされたのは、アプリリアの異母妹エテルナだった。
絶望の淵に突き落とされたアプリリア。
破棄の儀式の最中、突如として前世の記憶が蘇り、
彼女の中に眠っていた「真の聖女の力」――強力な治癒魔法と予知能力が覚醒する。
王宮を追われ、辺境の荒れた領地へ左遷されたアプリリアは、
そこで自立を誓い、聖女の力で領民を癒し、土地を豊かにしていく。
そんな彼女の前に現れたのは、王国最強の冷徹騎士団長ガイア・ヴァルハルト。
魔物の脅威から領地を守る彼との出会いが、アプリリアの運命を大きく変えていく。
一方、王宮ではエテルナの「偽りの聖女の力」が露呈し始め、
ルキノの無能さが明るみに出る。
エテルナの陰謀――偽手紙、刺客、魔物の誘導――が次々と暴かれ、
王国は混乱の渦に巻き込まれる。
アプリリアはガイアの愛を得て、強くなっていく。
やがて王宮に招かれた彼女は、聖女の力で王国を救い、
エテルナを永久追放、ルキノを王位剥奪へと導く。
偽りの妹は孤独な追放生活へ、
元婚約者は権力を失い後悔の日々へ、
取り巻きの貴族令嬢は家を没落させ貧困に陥る。
そしてアプリリアは、愛するガイアと結婚。
辺境の領地は王国一の繁栄地となり、
二人は子に恵まれ、永遠の幸せを手にしていく――。
裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。
たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。
次の人生では幸せになりたい。
前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!!
自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。
そして元彼のことも。
現代と夢の中の前世の話が進行していきます。
残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください
mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。
「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」
大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です!
男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。
どこに、捻じ込めると言うのですか!
※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。
妹に婚約者を奪われましたが、私の考えで家族まとめて終わりました。
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・フォンテーヌ公爵令嬢は、エドガー・オルレアン伯爵令息と婚約している。セリーヌの父であるバラック公爵は後妻イザベルと再婚し、その娘であるローザを迎え入れた。セリーヌにとって、その義妹であるローザは、婚約者であり幼馴染のエドガーを奪おうと画策する存在となっている。
さらに、バラック公爵は病に倒れ寝たきりとなり、セリーヌは一人で公爵家の重責を担うことになった。だが、イザベルとローザは浪費癖があり、次第に公爵家の財政を危うくし、家を自分たちのものにしようと企んでいる。
セリーヌは、一族が代々つないできた誇りと領地を守るため、戦わなければならない状況に立たされていた。異世界ファンタジー魔法の要素もあるかも
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる