《完結》財閥令嬢と伯爵令嬢の魂の入れ替わり

ヴァンドール

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15話(王宮にて)

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 暫くして伯父様と伯母様も王宮にお着きになられて、わたくし達と合流をした。お兄様は先ほどの一件を伯父様達に説明をした。

「ステーシア、ずいぶんと逞しくなったじゃないか」

 伯父様は楽しそうに笑っていらっしゃる。それを見てお兄様は呆れている。

「何を笑っているんですか、側にいてどれだけハラハラしたことか」

 それを聞いたわたくしは言い返した。

「わたくし、何か悪いことでもしましたか?」

 すると何故だかもっと呆れたお顔をなさっていた。
 その後、伯父様と伯母様について王妃様に生誕祭のお祝いを申し上げるため、国王陛下の元を訪れ、お祝いのお言葉を述べるお二人の後ろで控えていたわたくしを、国王陛下の隣にいる王弟殿下が笑いをこらえるように見ている。

『全くあのお方は何がそんなに可笑しいのかしら。まあ、ただの笑い上戸ということかしら』と一人納得していた。するとその王弟殿下が陛下と王妃様に話しかける。

「例のトリートメントとや固形スープの素は、ここにいるメイソン伯爵令嬢の考案なんですよ」

 わたくし達が驚いて聞いていると、側にいらした王妃様のお兄様である隣国の国王陛下も説明を求めていて、王妃様は隣国の言葉で説明をしているが、少し内容が違うので思わずわたくしが隣国の言葉で正しい説明をすると、隣国の国王様は興味を示して、隣にいらっしゃる奥方の王妃様にも説明をなさった。
 わたくしは端的に伝わるようにとその王妃様にも説明をした。すると隣国の国王様が驚いたお顔で尋ねられた。

「そなたは我が王妃の国の言葉も話せるのか?」

「はい、僭越ながら普通の会話程度でしたら」

 王妃様の国の言語で返した。すると陛下が感心したように言う。

「大したものだ。隣国の言葉もその他の国の言葉も話せるとは。もしや、まだ他にも話せる国の言葉はあるのか」

「はい、多少ですが」

 周りの方々はかなり驚きを隠せずに聞いていた。
 正直、わたくし自身も何故いろいろな国の言葉が分かるのかは理解できずにいた。
 初めはこの身体の持ち主の経験からくるものだと理解していたが、カンパニーで色々な国の方々と接する機会があった時、その都度話せる自分に驚いていた。ここまでくるとさすがに前のこの身体の持ち主の経験ではないことは理解できた。なぜならお兄様にそれとなく、この身体の持ち主の過去について詳しく聞いたのだから。
 記憶が戻らないと言えば怪しまれることはなく、なんでも聞き出せた。だからその時わたくしは思った。『この能力はきっと、この世界に来たわたくしに神様が与えて下さったプレゼントだ』と。

《その時、神様は呟いた。いいえ、違います。その能力はプレゼントなどではなく、私が二人への償いとして送った能力なのですと》

 その後、わたくしの商品に興味を持たれた隣国の国王ご夫妻には、後日改めて謁見の栄を賜ることとなった。
 そしてこの日はこうして帰路に着くことになり、わたくしは皆さんから帰りの馬車の中で色々と聞かれた。

「ステーシア、いつの間にそんなたくさんの言葉を学んだんだ?」
 
「さあ? わたくしにもよくわからないのです」

 そう答えるしかなかった。
 そしてわたくしは皆さんに言った。

「まあ、それはさておき、もしかするとこれを足がかりに事業領域を拡大できるかもしれませんわ」
 そう言って、胸を張った。
 わたくしは当初の目的よりも良い結果が得られた感触はあった。

 そして次の日早く、わたくしに王宮からの呼び出しがあり、急遽商品をたくさん用意して王宮へと向かうこととなった。

「それならば私も一緒に行く」

 お兄様まで一緒についてくると言う。しかし伯父様がそれを引き止める。

「ステーシアに来た呼び出しだ。お前が付いていっては何故関係のない者が来た。となるからやめておけ」
 
 お兄様は渋々諦めた。

 王宮に着くと早速この国の王妃様と王妃様の兄嫁の国の王妃様がわたくしを質問攻めにしてきたので、わたくしはそれぞれの国の言葉での説明に追われた。
 そして何よりこの商品をまずはお使いくださいと進言させていただき、その間、時間を潰していると、どこからともなく王弟殿下がやって来て、わたくしの話し相手をしてくださった。

「私も隣国の言葉は学んだが、そのまた隣の国の言葉は少々難しくて途中で投げ出したのに、君は発音も完璧だとあちらの国の王妃様が感心していたぞ」
 
「どこで学んだのだ?」
 
「さあ?」
 
「何なのだその答えは」
 
『確かにこの答え方は不敬になるわ』と思ったので理由を話すことにした。

「実は数ヶ月前に高熱を出しまして」

 と、洗いざらい継母や異母弟のことまで打ち明けた。その時のショックで未だ記憶が戻らないので、自分自身でもわからないことがあるのです。との説明も付け加えた。
 すると殿下は激しく憤り、念を押すように聞かれた。

「メイソン伯爵家だったな」
 
 わたくしはその時の殿下の瞳をとても恐ろしく感じた。

 その後、トリートメントを試された王妃様達は大満足というご様子だったので、わたくしも一安心した。そして後日隣国とまたそのお隣の国へも輸出することになり、細かな取り決めはカンパニーの顧問弁護士がいるので、後のことは専門家に任せることにしてこの日はこれで帰ることにした。
 そしてなぜだか王弟殿下が馬車まで送ってくださった。
 
「今日はご苦労であったな。ではまた近々会おう」
 
『何故また殿下とお会いするのかしら?』と思ったが、口には出さずにおいた。

「本日はありがとうございました」

 わたくしは頭を下げて王宮を後にした。
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