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37話(不安な気持ち)
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わたくしは王宮から戻り、急ピッチでデザイン画を仕上げていた。
取り敢えずこれだけあればいいのかしらと思いながら、仕上がった作品を確認していると、そこに従兄のお兄様がやって来た。
「あのアレン・マーク氏からドレスのデザインの依頼があったと聞いたが」
「はい、なぜかそのようなお話をいただきましたので、今、取り組んでいたところです」
「やはりステーシアの社交界でのドレス姿は目立っていたからな。きっとそのせいに決まっているよ」
「大変有り難いお話ですが、今はやることが多すぎて少々疲れました」
「確かにこのところのステーシアを見ていると心配になってしまうよ。何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ」
「そういうお兄様だって、カンパニーの書類仕事や子会社の仕事と掛け持ちで大変なのでは?」
「それでも君ほどではないから遠慮しなくていい。ただ、君にしか出来ない仕事では手伝いようがないがな」
「まあ、何とか頑張ってみます」
「今、王都で流行っている観劇のチケットが手に入ったのだが、この様子では断られそうだな」
「はい、すいません。せっかくなのに」
「やはり駄目か、仕方ない。今回は諦めるとするよ」
お兄様はそう言って、去って行かれた。残されたわたくしは『こちらの世界の観劇ってどのようなものなのかしら』と少し興味はあったが『今の状況ではとても無理だわ』と諦めた。
そしてふと殿下のことが頭をよぎった。確かお兄様のことも前に何度か気にかけていらしたのは、やはりそういう気持ちからだったのかしら? まさか殿下がわたくしのことを気にしてくれているなんて考えたこともなかったから、先日の出来事は正直かなり衝撃的だったわ。
でも殿下にはまだ、わたくしが殿下のお気持ちに気づいていることは隠しているから、取り敢えずは今まで通り振る舞うだけだわ。
それにしても、あれだけあからさまな態度を取っておいて、わたくしが何も気づかずにいると思っているのなら、殿下はわたくしよりもはるかに鈍感ということになるわね。
だったら今はあまりにも忙し過ぎるから暫くはこのまま気づいていないということで通させていただきますか。
ーーーー
まったく、あの従兄といい、今度はあのアレン・マークだと? 確か、かなり手広く事業をやっている、この国ではかなり有名な実業家だ。
それに、金の力で貴族の身分を買ったと聞いたこともある。その上あの男はかなり女性からも人気があるとも聞いた。確か独身だったはずだ。
厄介な相手がステーシア嬢の前に現れてくれたものだ。
男性にはまるで免疫のない彼女が、そのような男にかかったらと思うと居ても立っても居られない。
まったくどうしたものか、いくら考えても何も思いつかない。こんなこと、私が誰かに相談できるはずもないしな。
相変わらずこの間の様子では私の気持ちも気づいてなさそうだし。
これはそろそろ私の気持ちを伝えておかないと、この不安な気持ちは収まりそうもないな。
しかし何と言えばいいのだろう? 私の気持ちを知ったら彼女はどう反応するのか、考えただけでも不安になる。
《なんて鈍感な男なのか、早く彼女を幸せにしてやってくれと神様は上から呆れながらも見守っていた。》
取り敢えずこれだけあればいいのかしらと思いながら、仕上がった作品を確認していると、そこに従兄のお兄様がやって来た。
「あのアレン・マーク氏からドレスのデザインの依頼があったと聞いたが」
「はい、なぜかそのようなお話をいただきましたので、今、取り組んでいたところです」
「やはりステーシアの社交界でのドレス姿は目立っていたからな。きっとそのせいに決まっているよ」
「大変有り難いお話ですが、今はやることが多すぎて少々疲れました」
「確かにこのところのステーシアを見ていると心配になってしまうよ。何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ」
「そういうお兄様だって、カンパニーの書類仕事や子会社の仕事と掛け持ちで大変なのでは?」
「それでも君ほどではないから遠慮しなくていい。ただ、君にしか出来ない仕事では手伝いようがないがな」
「まあ、何とか頑張ってみます」
「今、王都で流行っている観劇のチケットが手に入ったのだが、この様子では断られそうだな」
「はい、すいません。せっかくなのに」
「やはり駄目か、仕方ない。今回は諦めるとするよ」
お兄様はそう言って、去って行かれた。残されたわたくしは『こちらの世界の観劇ってどのようなものなのかしら』と少し興味はあったが『今の状況ではとても無理だわ』と諦めた。
そしてふと殿下のことが頭をよぎった。確かお兄様のことも前に何度か気にかけていらしたのは、やはりそういう気持ちからだったのかしら? まさか殿下がわたくしのことを気にしてくれているなんて考えたこともなかったから、先日の出来事は正直かなり衝撃的だったわ。
でも殿下にはまだ、わたくしが殿下のお気持ちに気づいていることは隠しているから、取り敢えずは今まで通り振る舞うだけだわ。
それにしても、あれだけあからさまな態度を取っておいて、わたくしが何も気づかずにいると思っているのなら、殿下はわたくしよりもはるかに鈍感ということになるわね。
だったら今はあまりにも忙し過ぎるから暫くはこのまま気づいていないということで通させていただきますか。
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まったく、あの従兄といい、今度はあのアレン・マークだと? 確か、かなり手広く事業をやっている、この国ではかなり有名な実業家だ。
それに、金の力で貴族の身分を買ったと聞いたこともある。その上あの男はかなり女性からも人気があるとも聞いた。確か独身だったはずだ。
厄介な相手がステーシア嬢の前に現れてくれたものだ。
男性にはまるで免疫のない彼女が、そのような男にかかったらと思うと居ても立っても居られない。
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相変わらずこの間の様子では私の気持ちも気づいてなさそうだし。
これはそろそろ私の気持ちを伝えておかないと、この不安な気持ちは収まりそうもないな。
しかし何と言えばいいのだろう? 私の気持ちを知ったら彼女はどう反応するのか、考えただけでも不安になる。
《なんて鈍感な男なのか、早く彼女を幸せにしてやってくれと神様は上から呆れながらも見守っていた。》
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