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13話(新商品)
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わたくしは、次なる商品開発に意欲を燃やしていた。
この時代、一般庶民の女性たちは家事をしながら家計のために外でも働いていた。ならば家事を少しでも楽にできないか、と考えていた。
女性たちは疲れて帰ってきてから家族のために夕食を作らなくてはならない。わたくしの以前にいた世界のようにインスタント食品や冷凍の食品はまだこちらの世界では難しい。ならばせめて、固形のコンソメスープの素なら先日使ったアラビアゴムを応用すればできるのではないか、と考えていた。
アラビアゴムは人体に無害、無味無臭だ。それに一旦固まっても水溶性なので水に入れればすぐに溶ける。
まずは鍋で少量の蜜蝋を溶かし、アラビアゴムの粉末を混ぜて練る。そこに、準備した野菜や肉を粉末にした物、調味料、スパイスを加え、均一になるまでよく混ぜ合わせる。そしてこのペースト状にしたのものを小さな型に詰め、冷まして固めてから乾燥させる。こうすれば、使用する際はお湯に溶かすだけで、手軽に本格的なスープが作れるというわけだ。
これで出汁を取る時間が大幅に削減できる。わたくしはこの提案を伯父様と伯母様、お兄様に相談することにした。
早速その日の夕食の時、ちょうど三人ともご一緒だったので、日中わたくしが考えていた固形スープの素の話を聞いてもらった。
するとお兄様に半ば呆れたように言われた。
「ステーシア、君はもう次の商品を思いついたのかい?」
わたくしは不思議な顔で答えた。
「あら、いけませんか?」
「いいや、そういうわけではなくて、次から次へと驚かせてくれるなと思っただけだ」
そして伯父様と伯母様も同じように頷いていた。
「わたくしは少しでも皆さんのお役に立てればと思っているだけですわ」
「ステーシア、それはとてもありがたいが、君はもっと自分のために時間を使いなさい」
「あら、これはこれでわたくしにとっても楽しい時間ですわ」
「本当に前のステーシアからは想像もできない答えだわ」
伯母様も驚いている。わたくしは皆さんを見渡してから聞いてみた。
「それで話を元に戻しまして、わたくしの案はどう思われますか?」
「とても興味深い話だと思う。カンパニーの人たちの中には女性も多いから、明日早速、説明してくれないか?」
わたくしは笑顔を向けた。
「勿論です、喜んで」
次の日の朝、わたくしはお兄様と一緒にカンパニーへと向かい、また前回のように事細かく皆さんに説明をすると、女性の方々が嬉しそうに言ってくれた。
「そんな商品があったら私ならすぐに買うわ。だって出汁を取るってとても時間がかかるんですもの」
すると次から次へと皆さんが同意してくださり、またもや、あっという間に商品化へと動き出した。
そして皆さんはわたくしを今度は好奇の目ではなく羨望の眼差しで見つめているのがわかり、仕事もやりやすく感じた。
こうしてなんとか商品化されることになった品は、わたくしによって味の改良を重ねながら完全な物へと姿を変えていった。
今回の商品は貴族向けではなく一般大衆向けにと作ったのに、あまりに美味しいと評判になり、貴族に雇われている料理人の間でも広く使われるようになった。
こうして今回もそこそこの売り上げを上げることが出来た。
すると伯父様はわたくしにその報酬を下さり、もし、また何か思いついたら、その時はきちんとした契約書をカンパニーとの間で結ぶようにと進言して下さった。
その後はしばらくカンパニーからの報酬を受け取りながら、お兄様一人ではやりきれない書類仕事も手伝うことになった。
なんだかんだで、わたくしは充実した日々を送っていた。それでも時折、以前の世界の家族のことを考えると悲しみを感じた。『あれほど優しかった家族とはもう会うことはできないのね』と。そしてわたくしが亡くなったことになっているのなら、どれほどの悲しみを与えてしまったのかと胸が締めつけられた。できることなら違う世界で幸せに暮らしていると伝えてあげたかった。そんなこと叶うはずもないのに。
《そんなステーシアこと元美優の思いを知った神様は、自分の手違いを深く反省していた。そしていつかステーシアと美優の交信が叶うことを上から見守ることしかできないことを申し訳なく思っていた》
この時代、一般庶民の女性たちは家事をしながら家計のために外でも働いていた。ならば家事を少しでも楽にできないか、と考えていた。
女性たちは疲れて帰ってきてから家族のために夕食を作らなくてはならない。わたくしの以前にいた世界のようにインスタント食品や冷凍の食品はまだこちらの世界では難しい。ならばせめて、固形のコンソメスープの素なら先日使ったアラビアゴムを応用すればできるのではないか、と考えていた。
アラビアゴムは人体に無害、無味無臭だ。それに一旦固まっても水溶性なので水に入れればすぐに溶ける。
まずは鍋で少量の蜜蝋を溶かし、アラビアゴムの粉末を混ぜて練る。そこに、準備した野菜や肉を粉末にした物、調味料、スパイスを加え、均一になるまでよく混ぜ合わせる。そしてこのペースト状にしたのものを小さな型に詰め、冷まして固めてから乾燥させる。こうすれば、使用する際はお湯に溶かすだけで、手軽に本格的なスープが作れるというわけだ。
これで出汁を取る時間が大幅に削減できる。わたくしはこの提案を伯父様と伯母様、お兄様に相談することにした。
早速その日の夕食の時、ちょうど三人ともご一緒だったので、日中わたくしが考えていた固形スープの素の話を聞いてもらった。
するとお兄様に半ば呆れたように言われた。
「ステーシア、君はもう次の商品を思いついたのかい?」
わたくしは不思議な顔で答えた。
「あら、いけませんか?」
「いいや、そういうわけではなくて、次から次へと驚かせてくれるなと思っただけだ」
そして伯父様と伯母様も同じように頷いていた。
「わたくしは少しでも皆さんのお役に立てればと思っているだけですわ」
「ステーシア、それはとてもありがたいが、君はもっと自分のために時間を使いなさい」
「あら、これはこれでわたくしにとっても楽しい時間ですわ」
「本当に前のステーシアからは想像もできない答えだわ」
伯母様も驚いている。わたくしは皆さんを見渡してから聞いてみた。
「それで話を元に戻しまして、わたくしの案はどう思われますか?」
「とても興味深い話だと思う。カンパニーの人たちの中には女性も多いから、明日早速、説明してくれないか?」
わたくしは笑顔を向けた。
「勿論です、喜んで」
次の日の朝、わたくしはお兄様と一緒にカンパニーへと向かい、また前回のように事細かく皆さんに説明をすると、女性の方々が嬉しそうに言ってくれた。
「そんな商品があったら私ならすぐに買うわ。だって出汁を取るってとても時間がかかるんですもの」
すると次から次へと皆さんが同意してくださり、またもや、あっという間に商品化へと動き出した。
そして皆さんはわたくしを今度は好奇の目ではなく羨望の眼差しで見つめているのがわかり、仕事もやりやすく感じた。
こうしてなんとか商品化されることになった品は、わたくしによって味の改良を重ねながら完全な物へと姿を変えていった。
今回の商品は貴族向けではなく一般大衆向けにと作ったのに、あまりに美味しいと評判になり、貴族に雇われている料理人の間でも広く使われるようになった。
こうして今回もそこそこの売り上げを上げることが出来た。
すると伯父様はわたくしにその報酬を下さり、もし、また何か思いついたら、その時はきちんとした契約書をカンパニーとの間で結ぶようにと進言して下さった。
その後はしばらくカンパニーからの報酬を受け取りながら、お兄様一人ではやりきれない書類仕事も手伝うことになった。
なんだかんだで、わたくしは充実した日々を送っていた。それでも時折、以前の世界の家族のことを考えると悲しみを感じた。『あれほど優しかった家族とはもう会うことはできないのね』と。そしてわたくしが亡くなったことになっているのなら、どれほどの悲しみを与えてしまったのかと胸が締めつけられた。できることなら違う世界で幸せに暮らしていると伝えてあげたかった。そんなこと叶うはずもないのに。
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