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12話
結婚してひと月が経った。
基本、朝晩早い旦那様と朝晩遅い私との生活は当然、すれ違う。
その頃には使用人達もおかしいのでは? と思っている様子だったが流石に面と向かっては何も言わない。
アンでさえも深くは聞いてこない。
「新婚なのにお二人共、お仕事優先なんですね」
その程度に留めてくれている。
ただ、その間に三度ほど、旦那様の従妹が突然押しかけてきては、仕事の邪魔をしていった。
旦那様が不在だと分かると、彼女は満足そうに笑いながら嫌味を口にした。
「結婚しても、少しも大事にされていないのね」
そう言い残して、どこか嬉しそうに去っていくだけだった。
(一体、彼女の目的は何なのかしら)
暫くして、私はやっと商会の仕事が一段落したので旦那様のご実家である、あの侯爵邸の見事なお庭の絵が描きたくて訪ねる事にした。
旦那様に相談すると喜んで送り出してくれた。
出発の朝、馬車に乗ろうとすると珍しく旦那様が顔を出してくれたが、何故か従妹のルナ様もひょっこりと顔を見せて、旦那様の腕にぶら下がりながら「叔父様達に宜しくねー」と手を振っている。何故か私はムカッとした。
旦那様は相変わらず寡黙なままだった。
私は気にも留めない振りをして屋敷を後にした。
ご実家へのお土産として、義父様が大好きなワインと義母様には今、王都で人気のお菓子を持って訪ねた。
二人共とても喜んでくれて、一番お庭が良く見えるお部屋を用意してくれた。
新婚だというのに旦那様が一緒に来ないことが不満だったのか、義母様はどこか怒った様子だった。なので私は
「とにかく今は、宰相様のお手伝いでお忙しいのですから、仕方がありません」
そう申し上げた。
「まったく、いつも忙しい、忙しいが口癖ね」
すると呆れたように肩をすくめ、
「本当に、理解のある奥さんで良かったわね」
と言われてしまい、思わず苦笑してしまった。
その夜は三人で、たわいもない話をしながら、ゆっくりと食事を楽しんだ。
次の日の朝ふと目覚め、カーテンを開け、庭を見ると義両親がとっても仲良さげに散歩を楽しんでるのが見えた。
私は思わず画用紙を取り出しデッサンを始めた。
まだ顔も洗わず着替えもしないままだが、手が勝手に動いていた。
基本、朝晩早い旦那様と朝晩遅い私との生活は当然、すれ違う。
その頃には使用人達もおかしいのでは? と思っている様子だったが流石に面と向かっては何も言わない。
アンでさえも深くは聞いてこない。
「新婚なのにお二人共、お仕事優先なんですね」
その程度に留めてくれている。
ただ、その間に三度ほど、旦那様の従妹が突然押しかけてきては、仕事の邪魔をしていった。
旦那様が不在だと分かると、彼女は満足そうに笑いながら嫌味を口にした。
「結婚しても、少しも大事にされていないのね」
そう言い残して、どこか嬉しそうに去っていくだけだった。
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暫くして、私はやっと商会の仕事が一段落したので旦那様のご実家である、あの侯爵邸の見事なお庭の絵が描きたくて訪ねる事にした。
旦那様に相談すると喜んで送り出してくれた。
出発の朝、馬車に乗ろうとすると珍しく旦那様が顔を出してくれたが、何故か従妹のルナ様もひょっこりと顔を見せて、旦那様の腕にぶら下がりながら「叔父様達に宜しくねー」と手を振っている。何故か私はムカッとした。
旦那様は相変わらず寡黙なままだった。
私は気にも留めない振りをして屋敷を後にした。
ご実家へのお土産として、義父様が大好きなワインと義母様には今、王都で人気のお菓子を持って訪ねた。
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新婚だというのに旦那様が一緒に来ないことが不満だったのか、義母様はどこか怒った様子だった。なので私は
「とにかく今は、宰相様のお手伝いでお忙しいのですから、仕方がありません」
そう申し上げた。
「まったく、いつも忙しい、忙しいが口癖ね」
すると呆れたように肩をすくめ、
「本当に、理解のある奥さんで良かったわね」
と言われてしまい、思わず苦笑してしまった。
その夜は三人で、たわいもない話をしながら、ゆっくりと食事を楽しんだ。
次の日の朝ふと目覚め、カーテンを開け、庭を見ると義両親がとっても仲良さげに散歩を楽しんでるのが見えた。
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