十番目の愛

夜宮 咲

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鏡月 七緒は一番可愛い(1)

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ライトの光とフラッシュ音、

目の前には大勢の人の姿。

真っ白なワンピースが扇風機の風でフワッとなびく。


「いいね~七緒ちゃん!目線こっちね~!」


「七緒ちゃん可愛いぃ~っ」


カメラマンにメイクさん、

スタイリストもみんな私に釘付け。


「ラスト一枚いくよーっ」


はい、今日も私は可愛い。


「今日の撮影終了でーす!」

「お疲れ様でした~」


今日は雑誌の撮影で朝から仕事。

どんなに朝が早くても美容は欠かさない。

朝から保湿してお肌の調子は良いし、

守屋に用意してもらった栄養たっぷりのスムージーも飲んだ。

すっぴんで現場に向かったけど、

すっぴんでも私は可愛い。

そこからメイクと髪をセットすれば無敵状態。


「七緒、お疲れ様。喉渇いてるでしょ?これ飲んで」

「ありがとう」


マネージャーから渡された水を一口飲む。


「この後、別の雑誌の撮影とインタビューがあって、そこから移動してTVの収録が入ってるから」

「TVの収録ねぇ…まだ慣れてないから緊張するわ」

「ゲストで出演するだけだから大丈夫よ。衣装に着替えなきゃいけないから後で控え室でスタイリストから受け取って」

「わかった」


私の仕事は雑誌の撮影やファッションショーでモデルとして歩くことがメイン。

最近は私の知名度が上がってきたこともあってTVの仕事も増えてきた。

全てはファンの応援のおかげ。

ファンは私を応援してくれるだけでなく、

ファンレターやプレゼントまで送ってくれる。

私より貧しい生活を送ってるだろうに、

私のために尽くすファン。

ファンまで可愛い。


「あ、そうだ。七緒の知り合いにモデルに興味がある子いない?」

「なんでそんな事聞くの?」

「実は今度化粧品の広告用の撮影をする予定なんだけど、イメージモデルがまだ決まってないのよ。事務所でいろんな子探してみてるんだけど、なかなかねぇ~…」

「私じゃダメなの?」

「はじめは七緒にしようって話になったんだけど、七緒のスケジュール的に無理ってことになったのよ」

「そうなの…まぁ、私の方でも探してみるわ」

「お願いね、なんかあったら連絡ちょうだい」










今日のスケジュールを終えた私はマネージャーの送迎で家に帰ってきた。

すぐに化粧をおとして入浴剤が入ったお風呂に浸かる。

お風呂から出たらトリートメントをつけてドライヤーで優しく髪を乾かす。

その後、部屋に戻り化粧水と乳液をつけて保湿。

さらにパックもつける。

パックをつけている間は軽くストレッチをして顔のマッサージもする。

これが私のナイトルーティーン。

可愛いを維持するためには努力が必要。

私は毎日努力を重ねているからその辺のモデルより可愛いの。


「そういえば、モデルを探さなきゃいけないんだった」


私はタブレットを開き、

とりあえずいろんなモデルを調べてみる。


「うーん、なんだかなぁ…」


写真を見てもいまいちピンとこない。

そもそも最初は私を起用する予定だったんだから、

私ぐらい可愛い子じゃないと無理じゃない?

でも私より可愛い子なんて同業者のなかにはいないでしょ。

だって私は一番可愛いんだから。

誰も私の代わりにはなれない。

マネージャーには申し訳ないけど、

見つからなかったって報告しよう。


「水でも飲もうかな…」


私はリビングへ水を取りに行くために部屋を出た。

私がドアを開けた瞬間「きゃっ!」という声がした。


「あ、ごめんなさい!ぶつけちゃった?」

「いえ、大丈夫です、私も少しぼーっとしてたので…」


手で鼻を触りながら十和は言った。

襟元にフリルがついたワンピースタイプの寝巻き、

少し明るい巻き髪はフワフワしているが艶がある。

そして人形のようにつるつるで白い肌と少し猫目っぽい可愛らしい目。

左右異なる目だがとくに青い目には惹きつけられる。


「お姉様、今日もお仕事だったのですか?」

「えぇ、水を飲んでから寝ようと思って部屋から出たんだけど…ごめんなさいね、結構勢いよくドアを開けたみたいね」

「大丈夫ですよ、本当に。それじゃあ、私も部屋に戻りますね。おやすみなさい」

「えぇ、おやすみ……」


この時、私はふと思った。


「ちょっと待って!」


ここにいるじゃない、人材が。


「どうしましたか?」


十和が振り返る。


「ちょっとお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」

「はい、何でしょう?」

「あなた、モデルにならない?」



私ったら本当にできる子。

マネージャーの頼みにもちゃんと応えてあげられるのだから。

なんだかいい事をした気分。

今日はいつも以上に気持ち良く眠られそうだわ。








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