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鏡月 八重の理想(3)
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「鏡月くんおはよーっ」
「おはよう鏡月!」
「八重くんおはよぉ~」
廊下を通ればみんなが僕に声をかけてく
れる。僕はそれを笑顔で返すのだが、最
近生徒会の仕事の量が多くて下校時間ま
で残る日が続いているせいか若干疲れて
いるような気がする。睡眠時間を増やし
た方がいいのかもしれない。いや、今週
は試験があるから勉強しないと…。
面倒な会話はなるべく省きたいが、そう
もいかないからな。適当に笑って過ごす
のもわりと体力をつかう。一兄さんなら
もっと上手くやるだろうに。
HRが終わり、1限目の授業の準備をしよ
うと鞄の中から教科書を出す。
「あれ?」
「どうした?」
「あぁ、教科書がなくて…」
「珍しいな、八重が忘れ物って」
「となりのクラス行ってくる」
「おぉ行ってらぁ~」
忘れた教科書をとなりのクラスから借り
て戻った。昨日の夜に入れたはずなんだ
けどな…。疲れていてちゃんと確認でき
ていなかったのか。忘れ物なんて今まで
したことがなかったから少し気分が下が
る。
どうやら今日の僕は運がついていない。
前授業で問題の解答を指名され、たまた
ま今日はノート回収の日で、職員室にノ
ートを運びに行ったついでに雑用を頼ま
れ、そのうえ生徒会会議。
あまりにも仕事が多い、というよりは押
しつけられている。今日に限って生徒会
室へ出入りする人は多いし、気づけばあ
っという間に下校時刻。家に帰ったら試
験勉強もしなくてはならない。今日は時
間に余裕がある予定だったのに、この疲
労感はなんだろうか。
やっと家に帰り着いた僕はリビングから
出てきた守屋に声をかけた。
「お帰りなさいませ、先に夕食を召し上がりますか?」
「悪いけど、すぐに風呂をためてくれる?疲れてて…」
「かしこまりました。あ、川村さん!すみませんがお風呂に湯をはっていただけますか?私、ちょうど夕食の準備中でして…」
花瓶の水を入れかえていた川村はこちら
に気がつき「わかりました!」と言って
浴室の方へ行った。
数分後、浴室へ向かい温かい風呂につか
ろうとした僕は入れた足を勢いよく出し
た。
「なんだこれ!?冷たいじゃないか」
どうやら間違って冷水をはってしまった
ようだ。
「川村!!」
温かい風呂に浸かって疲れをとるつもり
でいた僕は苛立ち、すぐにお湯にはりか
えてもらうために川村を大声で呼んだ。
だが、川村の返事はない。
もう面倒くさいからシャワーで済ませ、
夕食が待つリビングへ向かった。
「八重様、お湯加減はいかがでしたか?」
ちょうどテーブルに食事を並べていた守
屋は風呂からあがった僕に聞いた。
「冷たい水で入れなかった!」
「申し訳ありません、呼んでいただきましたらすぐにかえましたが…」
「呼んだよ、川村を。でも返事がないからシャワーを浴びて出てきたんだ」
「えっ!?すみませんっ」
キッチンから食器を持って出てきた川村
は会話を聞いて慌てて謝る。
「お湯を入れたつもりだったのですが…すみませんっ、私のミスで……!」
「もういいよ…疲れてるんだ、あまり体力を使わせないでくれ」
疲れていて話すのも面倒くさい。
僕は黙って夕食を食べた。
食べ終えてからはすぐに部屋に戻り、
明日の準備をしてから勉強をした。
うとうととしながら眠気と葛藤する。
今日は本当についていない。とくにさっ
きの川村のミスは最悪だ。せっかく疲れ
をとれると思っていたのに。
前々から思ってはいたが、川村は鈍臭い
ところがある。ミスが多いし、馬鹿っぽ
いあの口調。僕の嫌いなタイプだ。
ああいう馬鹿が一番人を苛つかせる。
…あぁ、ダメだ。
眠すぎる。
でも勉強しないと、また一番にならない
と一兄さんのようになれない…。
教科書とノートを机に広げたまま、
僕はゆっくり目を閉じ、次に目を覚ます
と外は明るくなっていた。
「おはよう鏡月!」
「八重くんおはよぉ~」
廊下を通ればみんなが僕に声をかけてく
れる。僕はそれを笑顔で返すのだが、最
近生徒会の仕事の量が多くて下校時間ま
で残る日が続いているせいか若干疲れて
いるような気がする。睡眠時間を増やし
た方がいいのかもしれない。いや、今週
は試験があるから勉強しないと…。
面倒な会話はなるべく省きたいが、そう
もいかないからな。適当に笑って過ごす
のもわりと体力をつかう。一兄さんなら
もっと上手くやるだろうに。
HRが終わり、1限目の授業の準備をしよ
うと鞄の中から教科書を出す。
「あれ?」
「どうした?」
「あぁ、教科書がなくて…」
「珍しいな、八重が忘れ物って」
「となりのクラス行ってくる」
「おぉ行ってらぁ~」
忘れた教科書をとなりのクラスから借り
て戻った。昨日の夜に入れたはずなんだ
けどな…。疲れていてちゃんと確認でき
ていなかったのか。忘れ物なんて今まで
したことがなかったから少し気分が下が
る。
どうやら今日の僕は運がついていない。
前授業で問題の解答を指名され、たまた
ま今日はノート回収の日で、職員室にノ
ートを運びに行ったついでに雑用を頼ま
れ、そのうえ生徒会会議。
あまりにも仕事が多い、というよりは押
しつけられている。今日に限って生徒会
室へ出入りする人は多いし、気づけばあ
っという間に下校時刻。家に帰ったら試
験勉強もしなくてはならない。今日は時
間に余裕がある予定だったのに、この疲
労感はなんだろうか。
やっと家に帰り着いた僕はリビングから
出てきた守屋に声をかけた。
「お帰りなさいませ、先に夕食を召し上がりますか?」
「悪いけど、すぐに風呂をためてくれる?疲れてて…」
「かしこまりました。あ、川村さん!すみませんがお風呂に湯をはっていただけますか?私、ちょうど夕食の準備中でして…」
花瓶の水を入れかえていた川村はこちら
に気がつき「わかりました!」と言って
浴室の方へ行った。
数分後、浴室へ向かい温かい風呂につか
ろうとした僕は入れた足を勢いよく出し
た。
「なんだこれ!?冷たいじゃないか」
どうやら間違って冷水をはってしまった
ようだ。
「川村!!」
温かい風呂に浸かって疲れをとるつもり
でいた僕は苛立ち、すぐにお湯にはりか
えてもらうために川村を大声で呼んだ。
だが、川村の返事はない。
もう面倒くさいからシャワーで済ませ、
夕食が待つリビングへ向かった。
「八重様、お湯加減はいかがでしたか?」
ちょうどテーブルに食事を並べていた守
屋は風呂からあがった僕に聞いた。
「冷たい水で入れなかった!」
「申し訳ありません、呼んでいただきましたらすぐにかえましたが…」
「呼んだよ、川村を。でも返事がないからシャワーを浴びて出てきたんだ」
「えっ!?すみませんっ」
キッチンから食器を持って出てきた川村
は会話を聞いて慌てて謝る。
「お湯を入れたつもりだったのですが…すみませんっ、私のミスで……!」
「もういいよ…疲れてるんだ、あまり体力を使わせないでくれ」
疲れていて話すのも面倒くさい。
僕は黙って夕食を食べた。
食べ終えてからはすぐに部屋に戻り、
明日の準備をしてから勉強をした。
うとうととしながら眠気と葛藤する。
今日は本当についていない。とくにさっ
きの川村のミスは最悪だ。せっかく疲れ
をとれると思っていたのに。
前々から思ってはいたが、川村は鈍臭い
ところがある。ミスが多いし、馬鹿っぽ
いあの口調。僕の嫌いなタイプだ。
ああいう馬鹿が一番人を苛つかせる。
…あぁ、ダメだ。
眠すぎる。
でも勉強しないと、また一番にならない
と一兄さんのようになれない…。
教科書とノートを机に広げたまま、
僕はゆっくり目を閉じ、次に目を覚ます
と外は明るくなっていた。
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