十番目の愛

夜宮 咲

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真実(1)

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扉を開けると目の前に目的の人物はいた。

「……珍しい、私に何か用か?」


屋敷の主人、鏡月 零。

書斎にはおそらく仕事の資料と思われるものがいくつも積み重なっている。本棚には古くて分厚い本まで。


「そこに座りなさい。守屋にお茶を持って来させよう」

「結構です」


私は素早く断った。


「それで、いつも私を避けるお前がわざわざここへ来た理由はなんだ」


ゼロの低い声が静かな書斎に響くように聞こえる。だが、いつもの圧がある声色ではない、何となくいつもより弾んで聞こえる。


「……終わりにする、そのためにあなたのところまで来た」

「終わり?何を?」

「まず、あなたにいくつか聞きたいことがあります」

「ほぅ……お前が、私に聞きたいことか」


ゼロは興味深そうに私を見た。

机に肘をつき、両手を組みながら前のめりになって私に視線を向ける。

その顔には薄く笑みが浮かんでいた。


「…なぜ、笑っているのでしょうか」


思わずそう聞いた。


「お前が何を話すのか楽しみなだけだ」


気持ち悪い、そう思った。


「お前がここへ来てから不吉なことばかり。一人は死に、一人は重傷を負い……私が集めた子どもたちは次々と事件に巻き込まれた」


ゼロは語り始めた。


「だが、私は全ての事件を表沙汰にすることなく処理した。誰がやったのか、すぐに察せる」

「…私がやったと?」

「あのメイドを殺したのはお前だろう」


こちらを見て笑いかけてくるゼロの顔が私を苛立たせる。


「私を警察に突き出せばいい話でしょう。あなたが集めたと言う子どもだって、裏で私が動いていたことぐらい察していたはず」

「あれはただ集めただけに過ぎない子どもだ」

「は?」

「まぁ、少しぐらい愛情はあったかもしれんな…一番目だったか、あれは賢い子だったから最初の頃は可愛がった」


ゼロは淡々と話した。血が繋がっていないにせよ、自分で引き取った子をそんな風に話すとは。


「子どもに対する愛情がないくせに、どうしてその後も他の子達を引き取ったのですか?」

「娘の代わりだ」


ドクンと心臓の音が鳴った。


「娘を失った私は、娘の代わりとなる子を探しては引き取ったが……やはり、娘のような聡明で愛らしい、代わりになる子どもはいなかった」


心拍数が上がっている気がした。

緊張?恐怖?焦り?

これは、どの音だ。


「いや、そもそも失ったのではない。奪われたんだ」


知っている。


「だから私は、奪われたものを取り返すことにした」


私は、この話を知っている。


「お前だよ、十和」


笑みを浮かべてそう言った。

その含みがある話に対し、私が驚くことはなかった。

なぜなら、私は知っていたからだ。

私がここに存在する理由を。



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