1 / 7
1.
しおりを挟む
山、田んぼ、畑、ビニールハウス、そし
て都会では見ない広い空。
親の仕事の関係で田舎に引っ越すことに
なった。小学5年生の僕は中途半端なタ
イミングで転校することになり、仲が良
かった友達と別れることになった。
寂しいし、田舎だし。
新しい学校で都会から来た僕は馴染める
のかって、不安もある。
でも、仕事だからしょうがない。
それに田舎と言っても何もないほどの田
舎ではないみたいだし、ここはここで楽
しく過ごせるのかもしれない。
新しい家で荷物を運び終え、自分の部屋
の荷物もだいたい整理ができた。
お母さんから「近くに公園があるらしい
から遊んでおいで、お友達ができるかも
しれないわよ」と言われて家を出たけど
、そんなにすぐに友達をつくれと言われ
ても難しい話だ。とりあえず公園の前を
通ってみたけど、親子連れがいるだけで
同い年の子がいる様子はなかった。
このまま家に帰ってもすることがないと
思った僕は、何も考えず歩いた。
小さな郵便局やコンビニを見つけながら
町を散策する。
学校はもっと遠いのかな。
いつの間にか結構歩いていたみたで、辺
りは緑に包まれていた。ほぼ森のような
場所の中にぽつんと家が建っていた。
その古くて大きな家は、外国の映画にで
てきそうな外観で家の壁にも緑の葉っぱ
がはりついていた。
その家をボーっと眺めていたとき、
「ねぇ」
後ろから声がしてびっくりした僕は、
焦りながらも後ろを振り返った。
そこには若い女性の姿があった。
「坊や、迷子?」
「いえ、あの、その……大きな家だなぁって見てただけで…」
「なぁんだ、てっきり迷子かと思っちゃった。どこから来たの?」
「えっと、僕、今日こっちに引っ越してきたんだ。それで、家の近くを歩いていたらここまで来ちゃって」
「へぇ~」
この女性はいくつぐらいなのだろう。
栗色の髪は長くて少しカールがかかって
いる。ラベンダー色の膝丈ぐらいのワン
ピースが風で揺れている。
何よりもこの女性は見惚れてしまうほど
美しい顔をしていた。その美しさにドキ
ドキして顔を合わせづらい。
「じゃあ、坊やはこの家のことは何も知らないんだね」
女性はそう言った。
「何かあるの?」
「じゃあ、こうしよう!この家のことが分かったら、またここにおいで。答え合わせと一緒にお菓子も用意してあげる」
そう言うと女性は家へ入って行こうとし
た。僕は慌てて女性を引き止める。
「待って!あなたは誰なの?」
「それも、坊やが調べるんだよ」
「じゃあ、名前だけは教えてよ!僕の名前も教えるから」
「坊やの名前は?」
「優人」
「へぇ~優人かぁ~…」
女性は口元に手をやり、薄く笑った。
そして、こう言った。
「私の名前はルナ…気軽にルナって呼んでちょうだい」
て都会では見ない広い空。
親の仕事の関係で田舎に引っ越すことに
なった。小学5年生の僕は中途半端なタ
イミングで転校することになり、仲が良
かった友達と別れることになった。
寂しいし、田舎だし。
新しい学校で都会から来た僕は馴染める
のかって、不安もある。
でも、仕事だからしょうがない。
それに田舎と言っても何もないほどの田
舎ではないみたいだし、ここはここで楽
しく過ごせるのかもしれない。
新しい家で荷物を運び終え、自分の部屋
の荷物もだいたい整理ができた。
お母さんから「近くに公園があるらしい
から遊んでおいで、お友達ができるかも
しれないわよ」と言われて家を出たけど
、そんなにすぐに友達をつくれと言われ
ても難しい話だ。とりあえず公園の前を
通ってみたけど、親子連れがいるだけで
同い年の子がいる様子はなかった。
このまま家に帰ってもすることがないと
思った僕は、何も考えず歩いた。
小さな郵便局やコンビニを見つけながら
町を散策する。
学校はもっと遠いのかな。
いつの間にか結構歩いていたみたで、辺
りは緑に包まれていた。ほぼ森のような
場所の中にぽつんと家が建っていた。
その古くて大きな家は、外国の映画にで
てきそうな外観で家の壁にも緑の葉っぱ
がはりついていた。
その家をボーっと眺めていたとき、
「ねぇ」
後ろから声がしてびっくりした僕は、
焦りながらも後ろを振り返った。
そこには若い女性の姿があった。
「坊や、迷子?」
「いえ、あの、その……大きな家だなぁって見てただけで…」
「なぁんだ、てっきり迷子かと思っちゃった。どこから来たの?」
「えっと、僕、今日こっちに引っ越してきたんだ。それで、家の近くを歩いていたらここまで来ちゃって」
「へぇ~」
この女性はいくつぐらいなのだろう。
栗色の髪は長くて少しカールがかかって
いる。ラベンダー色の膝丈ぐらいのワン
ピースが風で揺れている。
何よりもこの女性は見惚れてしまうほど
美しい顔をしていた。その美しさにドキ
ドキして顔を合わせづらい。
「じゃあ、坊やはこの家のことは何も知らないんだね」
女性はそう言った。
「何かあるの?」
「じゃあ、こうしよう!この家のことが分かったら、またここにおいで。答え合わせと一緒にお菓子も用意してあげる」
そう言うと女性は家へ入って行こうとし
た。僕は慌てて女性を引き止める。
「待って!あなたは誰なの?」
「それも、坊やが調べるんだよ」
「じゃあ、名前だけは教えてよ!僕の名前も教えるから」
「坊やの名前は?」
「優人」
「へぇ~優人かぁ~…」
女性は口元に手をやり、薄く笑った。
そして、こう言った。
「私の名前はルナ…気軽にルナって呼んでちょうだい」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる