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始動! 悪魔のベルトコンベアー!!
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怒涛の勢いで片づけを進め、辺りはすっかり暗くなったころ、女の子たちを家まで送り届け、俺がカイセルと帰っていると、ふとした様子で言葉が出てきました。
「ようし! これから酒場に行こう!」
「俺たちの年齢で酒飲めるのか?」
「年齢?」
「20歳にならないと酒は体に大きく害が出てくるんだぞ」
「へー」
と言っているカイセルは、俺の話をまるで聞いている雰囲気はありませんでした。
無理やり、酒場に連れてこられ、そこでカイセルはビールを二つ頼みます。
俺も飲んでみますが、アルコールの度数はそれほど強くないようです。これならがぶがぶと飲めます。
一気に飲み干したあと、俺とカイセルはテーブルにコップを叩きつけました!
「ぷはっーーー! やっぱうめえな!」
「おっ! 与一! もういけるのか!」
「当たり前よ! こちとら心は大人だからな!」
もう俺は久しぶりのお酒に我を忘れて深夜になるまで飲み続けていました。
深夜になって、ふと、腹が減ったので、残ったハンバーガーを紙袋から取り出して食べていたところ、興味を持ってきた一人のおっさんが、酔っぱらった勢いでねだってきやがりました。
だが、これはいい機会だと、ハンバーガーを食べさせてやったところ、
「これうまいな」
と好反応が返ってきました。
「ええ。それ、うちの新商品なんですよ。出来立てはもっとうまいんです」
「いや、これ、酒の後の空腹にちょうど良いわ」
そのおっさんの言葉に俺は、ヒントを手に入れました。
そう。深夜営業です。
深夜になるころには、どこの店も閉まってしまいますが、そこで営業ができるとなると、こちらは大きなアドバンテージを手に入れられます。
ちなみにですが、日高●というラーメン屋の前進となる店は、深夜にスナックで飲んでいたお客さんを相手に商売をして、大きく成功を収めましたという経緯があります。
その当時まで、深夜営業というのは一般的ではありませんでしたし、マク●ナルドが成功を収めている一部の例においても深夜営業の強みを手に入れるために、全店舗に対して徹底した深夜営業をさせたということがあります。
ここで深夜営業をするのに注意事項なのですが、深夜に営業をするということは、店自体が、常に深夜でも営業しているということさえも顧客に周知させる必要があるのです。
たまに休んでいたりとかしていたら、顧客は中々付きませんからね。
―――
さて、翌日。移動販売に使っている台車に魔法のコンロを設置します。
ええ、異世界ですから、当然のように魔法がありますよ。
出来立ての料理を提供するために、食材の冷凍なども行うのですが、その魔法はスクロールという布を使って誰でも自由自在に行えるようです。
魔法のコンロも、鉄板に火のスクロールを敷くという簡単な構造です。
牛乳と一緒に出来立てのハンバーガーとフライドポテトをお客さんに提供し、みんな食べてみてびっくり、幸せな顔をしてふわふわの気分になってくれました。
「なんだこれ! 肉が やわらけえよ!」
「こりゃああ!! チーズと肉がコクを生み出して! そこに加わるピクルスの酸味が単調な味にアクセントを出してやがる! しかも、食感がシャキシャキとする時があってそれが飽きを来させないようにしてるんだ!!」
どうしたことでしょう? 随分と的確な食レポをする人たちです。本当にこの人たちこの世界の人なのでしょうか?
そんなつまらないツッコミを心の中でしつつ、ハンバーガーと一緒に牛乳も一気に売れていきます。
すぐに完売になってしまいますが、そのころには、物珍しさと騒ぎを聞きつけ、既に店の前には、長蛇の列ができていました。
しかし、売り切れてしまったことを知ると、みんなつまらなそうな顔をして帰っていきました。
心苦しいことですが、俺は確信しました。ハンバーガーには無限の需要があると!
俺は、早速、川辺に水車小屋を作ると、水力でベルトコンベアを動かして、肉の成形を完全に自動化させました。
焼き時間もピストン方式で肉を押し出させるというもので、焼きも焼き具合も完全に均一にして自動化させることに成功しました。
残念なことにパンは自動でコネさせることはできますが、焼きに関しては手動になってしまいました。
専用のオーブンを作るのが大変で、時間がかかるというわけです。
それでも、ハンバーガー工場が完成すると、一気にハンバーガーの量産体制が整い、全ては火で温めれば、いつでも食べられるようになりました。
これで、ハンバーガーシステムの完成です。
ハンバーガーの噂は街中に広まり、仕事の合間のファストフードというものさえも定着させることに成功しました。
売り上げは夢のように広がり、俺は一躍、街の超有名人になりました。
俺は、椅子に座っているだけでお金を手に入れていきます。
左団扇で俺は気分よく工場のドアを開くと、
そこでは……、
「パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン」
「パティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティパティ」
「ピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルス」
みんなが死人のように働いていましたとさ(笑)
「よお! 元気に働いているかー?」
「やだああああああああああああ! もうパンばっかりみたくないいいいいいいいいいいいいいいい!」
と、ロレーヌが発狂していました。
そうです。工場とは、人間性を失わせるものなのです。チャールズチャップリンが批判したように、工場とはその生産性と引き換えに、人間に狂気をもたらす装置なのです。当時は工場とはそう言う位置づけでした。
ロレーヌが俺に抱き着いてきて、必死に懇願してきました。
「おねがいしますう! 与一様!! もうこんな仕事はしたくはやなんです!」
あの強気なロレーヌが、すっかり涙目になって可愛らしくなってしまいました。
そうです。これが、俺の復讐です。
「でも、これが君の今の仕事だよ?」
「なんでもしますから! もう、こんな仕事は嫌なんです!」
「ん? なんでもするって言ったよね? じゃあ、してくれるかな? 仕事を?」
そう言って、俺は更に材料となる肉をミンチ機に入れていきます。
「やだああああああああああああああああああああああああああ!」
ロレーヌは完全に発狂して俺の足にすがりついてきました。
「おら! 早く肉の焼き具合をチェックする作業に戻るんだよ!!!」
「やだあああああああああああああああああああああ! もうやめたいいいいいいいいいい!」
「おう! その仕事終わったらやめていいぞ!」
「やだあああああああああああああああああああああ!」
ロレーヌを無理やり仕事に戻らせ、俺は機械の整備をします。
仕事が終わると、今度は、ロレーヌたちに今日のお給料を渡します。
「え……? こんなに……?」
とロレーヌが。
「どうした? 不満か?」
「いや、これ、あまりにも多くないかなって? それに、私だけ、妙に他よりも多い気がする……」
「気のせいだろ」
「こんなにもらって本当に良いの?」
「君たちはそれだけの仕事をしている。当然の給料だ」
「あの……、ありがとう……」
そう言って、ロレーヌは、何か、俺のことを見直した様子でした。
まあ、正直、一般の人が暮らす一年分のお金を渡したというのは、少々やりすぎだったかもしれません。
ですが、まあ、それに、ロレーヌのお金を多くしたのは、何かの気の迷いでしょう。
クズな俺がそんな善意を持っているはずがありませんから。
「ようし! これから酒場に行こう!」
「俺たちの年齢で酒飲めるのか?」
「年齢?」
「20歳にならないと酒は体に大きく害が出てくるんだぞ」
「へー」
と言っているカイセルは、俺の話をまるで聞いている雰囲気はありませんでした。
無理やり、酒場に連れてこられ、そこでカイセルはビールを二つ頼みます。
俺も飲んでみますが、アルコールの度数はそれほど強くないようです。これならがぶがぶと飲めます。
一気に飲み干したあと、俺とカイセルはテーブルにコップを叩きつけました!
「ぷはっーーー! やっぱうめえな!」
「おっ! 与一! もういけるのか!」
「当たり前よ! こちとら心は大人だからな!」
もう俺は久しぶりのお酒に我を忘れて深夜になるまで飲み続けていました。
深夜になって、ふと、腹が減ったので、残ったハンバーガーを紙袋から取り出して食べていたところ、興味を持ってきた一人のおっさんが、酔っぱらった勢いでねだってきやがりました。
だが、これはいい機会だと、ハンバーガーを食べさせてやったところ、
「これうまいな」
と好反応が返ってきました。
「ええ。それ、うちの新商品なんですよ。出来立てはもっとうまいんです」
「いや、これ、酒の後の空腹にちょうど良いわ」
そのおっさんの言葉に俺は、ヒントを手に入れました。
そう。深夜営業です。
深夜になるころには、どこの店も閉まってしまいますが、そこで営業ができるとなると、こちらは大きなアドバンテージを手に入れられます。
ちなみにですが、日高●というラーメン屋の前進となる店は、深夜にスナックで飲んでいたお客さんを相手に商売をして、大きく成功を収めましたという経緯があります。
その当時まで、深夜営業というのは一般的ではありませんでしたし、マク●ナルドが成功を収めている一部の例においても深夜営業の強みを手に入れるために、全店舗に対して徹底した深夜営業をさせたということがあります。
ここで深夜営業をするのに注意事項なのですが、深夜に営業をするということは、店自体が、常に深夜でも営業しているということさえも顧客に周知させる必要があるのです。
たまに休んでいたりとかしていたら、顧客は中々付きませんからね。
―――
さて、翌日。移動販売に使っている台車に魔法のコンロを設置します。
ええ、異世界ですから、当然のように魔法がありますよ。
出来立ての料理を提供するために、食材の冷凍なども行うのですが、その魔法はスクロールという布を使って誰でも自由自在に行えるようです。
魔法のコンロも、鉄板に火のスクロールを敷くという簡単な構造です。
牛乳と一緒に出来立てのハンバーガーとフライドポテトをお客さんに提供し、みんな食べてみてびっくり、幸せな顔をしてふわふわの気分になってくれました。
「なんだこれ! 肉が やわらけえよ!」
「こりゃああ!! チーズと肉がコクを生み出して! そこに加わるピクルスの酸味が単調な味にアクセントを出してやがる! しかも、食感がシャキシャキとする時があってそれが飽きを来させないようにしてるんだ!!」
どうしたことでしょう? 随分と的確な食レポをする人たちです。本当にこの人たちこの世界の人なのでしょうか?
そんなつまらないツッコミを心の中でしつつ、ハンバーガーと一緒に牛乳も一気に売れていきます。
すぐに完売になってしまいますが、そのころには、物珍しさと騒ぎを聞きつけ、既に店の前には、長蛇の列ができていました。
しかし、売り切れてしまったことを知ると、みんなつまらなそうな顔をして帰っていきました。
心苦しいことですが、俺は確信しました。ハンバーガーには無限の需要があると!
俺は、早速、川辺に水車小屋を作ると、水力でベルトコンベアを動かして、肉の成形を完全に自動化させました。
焼き時間もピストン方式で肉を押し出させるというもので、焼きも焼き具合も完全に均一にして自動化させることに成功しました。
残念なことにパンは自動でコネさせることはできますが、焼きに関しては手動になってしまいました。
専用のオーブンを作るのが大変で、時間がかかるというわけです。
それでも、ハンバーガー工場が完成すると、一気にハンバーガーの量産体制が整い、全ては火で温めれば、いつでも食べられるようになりました。
これで、ハンバーガーシステムの完成です。
ハンバーガーの噂は街中に広まり、仕事の合間のファストフードというものさえも定着させることに成功しました。
売り上げは夢のように広がり、俺は一躍、街の超有名人になりました。
俺は、椅子に座っているだけでお金を手に入れていきます。
左団扇で俺は気分よく工場のドアを開くと、
そこでは……、
「パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン」
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「ピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルスピクルス」
みんなが死人のように働いていましたとさ(笑)
「よお! 元気に働いているかー?」
「やだああああああああああああ! もうパンばっかりみたくないいいいいいいいいいいいいいいい!」
と、ロレーヌが発狂していました。
そうです。工場とは、人間性を失わせるものなのです。チャールズチャップリンが批判したように、工場とはその生産性と引き換えに、人間に狂気をもたらす装置なのです。当時は工場とはそう言う位置づけでした。
ロレーヌが俺に抱き着いてきて、必死に懇願してきました。
「おねがいしますう! 与一様!! もうこんな仕事はしたくはやなんです!」
あの強気なロレーヌが、すっかり涙目になって可愛らしくなってしまいました。
そうです。これが、俺の復讐です。
「でも、これが君の今の仕事だよ?」
「なんでもしますから! もう、こんな仕事は嫌なんです!」
「ん? なんでもするって言ったよね? じゃあ、してくれるかな? 仕事を?」
そう言って、俺は更に材料となる肉をミンチ機に入れていきます。
「やだああああああああああああああああああああああああああ!」
ロレーヌは完全に発狂して俺の足にすがりついてきました。
「おら! 早く肉の焼き具合をチェックする作業に戻るんだよ!!!」
「やだあああああああああああああああああああああ! もうやめたいいいいいいいいいい!」
「おう! その仕事終わったらやめていいぞ!」
「やだあああああああああああああああああああああ!」
ロレーヌを無理やり仕事に戻らせ、俺は機械の整備をします。
仕事が終わると、今度は、ロレーヌたちに今日のお給料を渡します。
「え……? こんなに……?」
とロレーヌが。
「どうした? 不満か?」
「いや、これ、あまりにも多くないかなって? それに、私だけ、妙に他よりも多い気がする……」
「気のせいだろ」
「こんなにもらって本当に良いの?」
「君たちはそれだけの仕事をしている。当然の給料だ」
「あの……、ありがとう……」
そう言って、ロレーヌは、何か、俺のことを見直した様子でした。
まあ、正直、一般の人が暮らす一年分のお金を渡したというのは、少々やりすぎだったかもしれません。
ですが、まあ、それに、ロレーヌのお金を多くしたのは、何かの気の迷いでしょう。
クズな俺がそんな善意を持っているはずがありませんから。
応援ありがとうございます!
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