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ヤクザ警察24時⑥
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クソガキどもの教育を終えて、アデ先生の仕事の終わりを待つため、私は今、研究室で一息ついているところだ。
そうして待っていると、扉が開いてアデ先生が言葉を失った。
「お疲れ様。アデ先生」
「いや、アレクサンダー先生。何をしているんですか?」
「何をしているって、見ればわかるだろ? アレクサンダーにお茶くみをさせているんだ」
「いや、どうしてお茶くみなんかを?」
アデ先生が目を丸くして、満身創痍のアレクサンダーに駆け寄る。
「こいつは私の奴隷となったのだ。おい! さっさとアデ先生にお茶をいれないか!」
「はい! かしこまりました!」
アレクサンダーの頭を警棒で叩く。よろめくアレクサンダーにアデ先生が駆け寄ろうとするのを見て、私が警棒を突き出して静止させる。
アレクサンダーは「どうぞ」と言ってお茶を渡し、「どうも……」と言ってアデ先生が受け取る。
「あの、どうして奴隷なんかに?」
「こいつが七不思議の正体なんだよ。んで、悪をさしてたところを私がとっちめたんだ」
「へえー……」
アデ先生は未だ状況が飲み込めないといった様子だ。怪訝そうな目つきで、私とアレクサンダーを見ている。その視線は横に逸れて、正座をさせられている生徒に向けられる。
「ところで、その生徒たちは私の研究室で何をしているんです?」
「こいつらは行方不明となった生徒たちだ。だが、多くが盗みや殺人を犯すクソガキばかりだったからな。遺体の場所を自白させて警察に突き出してやった。残りはただのクソガキだ」
「じゃあ、早く親御さんに連絡しないと!」
「いや、私が既にした。だが、こいつらは家からも見放されるほどの素行の悪い奴らでな。代わりの子供もいるしで、行き場を失っているんだ。当分は、私が面倒をみる」
「面倒をみるって……、どうやって?」
「簡単なことだ。当分はアレクサンダーの家に住まわせて仕事をしてもらう。もちろん、監視は付ける。さて、この部屋の掃除も終わりだ。他の仕事を探しに行け」
そう言って私が睨みつけると、元生徒たちが怯えた様子で出て行く。
そんな中で、私好みのイケメンの襟を掴んで引き留める。
「お前は別だ」
「なんで俺だけ……」
そう怠そうに呟くのは、少し疲れ切った顔をした少年だ。年も16で私の理想に近い。
髪の毛が少し長く、前世で言えば、少しばかりヴィジュアル系の風貌をしている。
「お前が私好みだからだ。私の肩を揉め」
「そんな小っちゃいなりで肩を凝るもないだろ……」
「お前は馬鹿か? ただ単にお前に体を触ってもらうために言っているだけだ。それとも興奮してしまうからか? この変態め」
「誰が幼女に欲情なんてするか」
「それでいい。まともな奴は幼女に発情なんてしないからな。これはただの私の欲だ」
イケメン、もとい、エイジャックスに肩を揉んでもらうと、それだけで気分も良くなる。顔のいい男か、幸せなやつだな。
「早く解放してくれ。罪だってなんだって認めるから」
エイジャックスが、今にも死にそうな声でそう言う。
「ダメだ。お前は飢えから盗みに手を出したのだ。悪いのは国民に生活させられないこの国だ。お前がちゃんとした生活ができるようになるまでは手放さない。それに、殺人もしていないのだからそれほどお前は悪くない」
「えっと……、いいかしら?」
そう言ったのはアデ先生で、恐る恐る手をあげる。
「どうしたアデ先生? 私に触れられないから嫉妬か? あとでちゃんと触らせてやる」
「いや、そうじゃなくて! いや、触りたいんだけど! 違くて! そこで膝をついているアレクサンダー先生はどうするの!? 警察は!?」
「こいつか? まあ、状況を整理すると、こいつはクソガキにしか手を出していないし、そのクソガキも全て私が元に戻したはずだ。本当のところは警察につきだしたかったんだが、まだアレクサンダーもクソガキも、使える手駒になりそうでな。私がこの国を変えるのに必要と判断したんだ」
「何に使うつもりなの……?」
アデ先生は顔を引きつらせている。
「どうにもこいつはこの学校の校長と悪い繋がりがあるようだ。そして、その校長は警察の弱みを持っている。となれば、私が警察の弱みを握ることも可能だろう」
「ねえ、アーシャちゃん。いつか殺されるよ」
「それもまた人生だ。先のことなんて誰も知らん。さてアレク、校長の情報を全て話せ」
私が睨みつけると、アレクは怯えた様子で縮こまる。
「はい……、校長は日曜日になると、夜な夜なパーティーを開いています。そこでは悪魔崇拝が行われ、十戒を破ることを目的としています。」
「十戒となるとあれか? モーセのやつか?」
「モーセは知りませんが、主に姦淫と殺人を繰り返しています」
「悪魔崇拝の典型的なパターンか。しかも警察との繋がりか。腐りきっているな。で? その悪魔崇拝をしてなんの意味がある? まさか、ただのパーティーなのか? 何かしら目的があるだろう?」
「校長は悪魔と契約して今の地位を得ました。元はスラムの出なのです。契約書には、一年の猶予と引き換えに権力を得ると記されています。悪魔の力を得るには契約書が無くてはなりません。契約書が失われたことが悪魔に知られれば、魂を奪われるのです。私がその契約書を持っています……」
「どのような経緯を持ってその契約書を持っているのかは今は聞かないでおこう。今はその情報だけでも十分だ。来なさいマーラ」
大人しくお絵かきをして遊んでいるマーラを呼び寄せると、花咲く笑顔で私にかけてきた。
そんなマーラを膝の上に乗せる。大人になった私から比べると、やはり、マーラの体は小さい。
「マーラの能力を使って校長と警察の弱みを握る。もはや、男社会のこの国で、私が乗っ取ったも同然なのだ。これまで辛抱したかいがあるというもの。さて、報復の時だ」
そうして待っていると、扉が開いてアデ先生が言葉を失った。
「お疲れ様。アデ先生」
「いや、アレクサンダー先生。何をしているんですか?」
「何をしているって、見ればわかるだろ? アレクサンダーにお茶くみをさせているんだ」
「いや、どうしてお茶くみなんかを?」
アデ先生が目を丸くして、満身創痍のアレクサンダーに駆け寄る。
「こいつは私の奴隷となったのだ。おい! さっさとアデ先生にお茶をいれないか!」
「はい! かしこまりました!」
アレクサンダーの頭を警棒で叩く。よろめくアレクサンダーにアデ先生が駆け寄ろうとするのを見て、私が警棒を突き出して静止させる。
アレクサンダーは「どうぞ」と言ってお茶を渡し、「どうも……」と言ってアデ先生が受け取る。
「あの、どうして奴隷なんかに?」
「こいつが七不思議の正体なんだよ。んで、悪をさしてたところを私がとっちめたんだ」
「へえー……」
アデ先生は未だ状況が飲み込めないといった様子だ。怪訝そうな目つきで、私とアレクサンダーを見ている。その視線は横に逸れて、正座をさせられている生徒に向けられる。
「ところで、その生徒たちは私の研究室で何をしているんです?」
「こいつらは行方不明となった生徒たちだ。だが、多くが盗みや殺人を犯すクソガキばかりだったからな。遺体の場所を自白させて警察に突き出してやった。残りはただのクソガキだ」
「じゃあ、早く親御さんに連絡しないと!」
「いや、私が既にした。だが、こいつらは家からも見放されるほどの素行の悪い奴らでな。代わりの子供もいるしで、行き場を失っているんだ。当分は、私が面倒をみる」
「面倒をみるって……、どうやって?」
「簡単なことだ。当分はアレクサンダーの家に住まわせて仕事をしてもらう。もちろん、監視は付ける。さて、この部屋の掃除も終わりだ。他の仕事を探しに行け」
そう言って私が睨みつけると、元生徒たちが怯えた様子で出て行く。
そんな中で、私好みのイケメンの襟を掴んで引き留める。
「お前は別だ」
「なんで俺だけ……」
そう怠そうに呟くのは、少し疲れ切った顔をした少年だ。年も16で私の理想に近い。
髪の毛が少し長く、前世で言えば、少しばかりヴィジュアル系の風貌をしている。
「お前が私好みだからだ。私の肩を揉め」
「そんな小っちゃいなりで肩を凝るもないだろ……」
「お前は馬鹿か? ただ単にお前に体を触ってもらうために言っているだけだ。それとも興奮してしまうからか? この変態め」
「誰が幼女に欲情なんてするか」
「それでいい。まともな奴は幼女に発情なんてしないからな。これはただの私の欲だ」
イケメン、もとい、エイジャックスに肩を揉んでもらうと、それだけで気分も良くなる。顔のいい男か、幸せなやつだな。
「早く解放してくれ。罪だってなんだって認めるから」
エイジャックスが、今にも死にそうな声でそう言う。
「ダメだ。お前は飢えから盗みに手を出したのだ。悪いのは国民に生活させられないこの国だ。お前がちゃんとした生活ができるようになるまでは手放さない。それに、殺人もしていないのだからそれほどお前は悪くない」
「えっと……、いいかしら?」
そう言ったのはアデ先生で、恐る恐る手をあげる。
「どうしたアデ先生? 私に触れられないから嫉妬か? あとでちゃんと触らせてやる」
「いや、そうじゃなくて! いや、触りたいんだけど! 違くて! そこで膝をついているアレクサンダー先生はどうするの!? 警察は!?」
「こいつか? まあ、状況を整理すると、こいつはクソガキにしか手を出していないし、そのクソガキも全て私が元に戻したはずだ。本当のところは警察につきだしたかったんだが、まだアレクサンダーもクソガキも、使える手駒になりそうでな。私がこの国を変えるのに必要と判断したんだ」
「何に使うつもりなの……?」
アデ先生は顔を引きつらせている。
「どうにもこいつはこの学校の校長と悪い繋がりがあるようだ。そして、その校長は警察の弱みを持っている。となれば、私が警察の弱みを握ることも可能だろう」
「ねえ、アーシャちゃん。いつか殺されるよ」
「それもまた人生だ。先のことなんて誰も知らん。さてアレク、校長の情報を全て話せ」
私が睨みつけると、アレクは怯えた様子で縮こまる。
「はい……、校長は日曜日になると、夜な夜なパーティーを開いています。そこでは悪魔崇拝が行われ、十戒を破ることを目的としています。」
「十戒となるとあれか? モーセのやつか?」
「モーセは知りませんが、主に姦淫と殺人を繰り返しています」
「悪魔崇拝の典型的なパターンか。しかも警察との繋がりか。腐りきっているな。で? その悪魔崇拝をしてなんの意味がある? まさか、ただのパーティーなのか? 何かしら目的があるだろう?」
「校長は悪魔と契約して今の地位を得ました。元はスラムの出なのです。契約書には、一年の猶予と引き換えに権力を得ると記されています。悪魔の力を得るには契約書が無くてはなりません。契約書が失われたことが悪魔に知られれば、魂を奪われるのです。私がその契約書を持っています……」
「どのような経緯を持ってその契約書を持っているのかは今は聞かないでおこう。今はその情報だけでも十分だ。来なさいマーラ」
大人しくお絵かきをして遊んでいるマーラを呼び寄せると、花咲く笑顔で私にかけてきた。
そんなマーラを膝の上に乗せる。大人になった私から比べると、やはり、マーラの体は小さい。
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