変態エルフ学園

竹丈岳

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 それからシーア君は、与一がよく分からない技術を駆使して、新聞委員発の、ダンジョン攻略サイトを立ち上げました。シーア君曰く、HTMLを使っただけだから難しくなかったと言っていましたが、与一にはなんのこっちゃ分かりませんでした。なので与一は分かったフリだけをして「なるほど」とだけ言っていました。

 攻略サイトが完成すると、宣伝をするために与一が動きます。
 超絶イケメンの与一が動けばそれだけで目立ちますから、与一の写真を新聞と一緒に張り出せば、簡単に攻略サイトの存在が知れ渡ります。
 それから間もなくのことでした。攻略サイトには、隠し通路や効率の良い金策場所など、攻略に役立つ情報が続々と集まりました。
 情報提供の通知が止まらず、精査にてんやわんやで、アイリス君やモンド君に手伝ってもらって必死でした。
 寝る間も惜しむほど時間を取られる作業でしたが、何か充実した思いに満たされて、誰も全く苦しくはなさそうでした。

 それに、なんと、ダンジョン内のマップを100階層まで完璧に書き写した猛者まで現れました。
 これならいけると、与一とシーア君は目を合わせました。
 しかし、そんな良いことばかりが続くわけもなく、起こりうることのないことが学園内に起こってしまいました。
学園の校庭にまで全速力でダンプが突っ込んできたのです。運よく人はいなかったものの、その不可解な事故に噂はあっという間に広がりました。

 そうした事故が一度だけでなく、二度、三度と起きたのです。偶然ではないことは自明の理で、みんな恐怖でいっぱいになってきました。
 それに合わせて学園を出入りする黒づくめの男たちです。顔中に傷があり、見るからに怪しい姿の連中でした。

 与一は真実を探るための聖遺物を、こっそりと起動させました。

 すると、この学園を本格的に地上げしようとしているのだと分かりました。
 ダンジョンを人間の手で管理し、聖遺物を全て取り上げようとしているのです。彼らの最終目標はエルドラドを手に入れることでした。おそらく、与一に依頼してきた夜桜財閥の者たちなのでしょう。

 それから、夜桜財閥は、交渉の末にダンジョンの管理の一部を受け取り、勝手に探索をしようとするだけでなく、与一と刹那に、この学園を出て行けとも連絡をしてきました。

 与一はもちろん自分はこの学校を出て行ったあと、どこの高校に通えば良い? という質問を返しましたが、黒づくめの男たちは、そのことまでのことは契約には無いとまで言われてしまいました。

 そのことを聞いた与一は、悔しさもあって家族に相談しようとしますが、反対に母親から泣きつかれてしまいました。

 刹那君は別でしょうが、行く場所が無い与一は、中退になって就職も難しくなってしまうことでしょう。

 落ち込む与一の姿を見て、シーア君はついに怒りました。

「ひどいよ……。ボクらエルフだけじゃなくて与一まで……。ボク、与一にそんなことするやつが許せない!」
「シーアだって人間の被害者なんだぞ……? この学校が取り壊されれば生活が変わるんだ」
「分かってるよ。でも、僕は与一が困っていることが一番腹が立つんだ!!」
「ありがとうシーア。俺ももっと頑張らないとな」

 たびたびの事故もあり、この学園の取り壊しについての噂は既に全体に広がっていました。毎日のように学園内は騒然としています。

 せめて日常を生きようと与一は授業を受けますが、ばったりと刹那と出会い、お互いに顔を顰めました。

「与一。なぐっても良いぞ」
「なんでだよ?」
「俺のじいさんがこうしてるんだ。お前だって中退になるんだ。この学園の奴らだってここを追い出される。じいさんの手先の俺を、お前は殴りたいんだろ?」

 与一は、そう言われて、初めて刹那に対して殴りたいという気持ちになりました。けれども、感情に任せてしまうほど、与一は愚かではありませんでした。

「いや、お前を殴るのは間違ってる。悪いのはじいさんの方だし、そもそも、俺はじいさんからお金をもらわなければ高校にだって惰性通う気持ちしか無かったかもしれない。それに、お前を殴っても何かが変わるわけでもないし、罪悪感から殴っても良いとまで言ってくれるお前を殴ることはできねーよ」

 与一がそう言ったことで、傍にいたシーア君はほっとした気持ちになりました。どうやらシーア君は、どう喧嘩を仲裁しようか考えあぐねていたようでした。

「ボクも殴っても解決しないと思う。全てがダメになるまでは、刹那君にも協力して欲しいと思う」
「分かってる。すまない……」
「なんでお前が謝るんだよ」
「俺はじいさんを生かさなければならない立場だから、後ろめたくてな」
「気にすんなって。ようは先にエルドラドを見つければいいんだろ。それなら、協力してくれるんだろ?」
「ああ」
「でも、その前にちゃんと話しをすべき相手とは話さなきゃな」

 そう言うと、与一は学園長室の扉を叩き、今の事態についての話を聞こうとしました。この学園について一番詳しいのは、管理責任者に他ならないでしょう。もしかしたら、エルドラドについても何か聞けるかもしれません。
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