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奴隷商人と皇太子
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「緊張するか?」
「しませんよ。それより、この格好の方が気になります…」
玲於から受け取った騎士の制服は見た目こそ堅苦しいが、動きやすく質も良い。しかし、初めての感触に違和感があった。
「似合ってるよ」
「そうだよ、空杜君にピッタリじゃん!」
「…ありがとう」
正直者の二人の言葉に、少しむず痒くなる。視線を外すと、ウィルとセスがじっとこちらを見ていた。
「空杜さん、本当に大丈夫ですか? 相手は二番目に強いハンクですよ。セスとは比べものにならないくらい意地汚くて、狡賢くて…」
「そんなにヤバい奴なの…? じゃあ、何でクビにならないんだよ」
ウィルがここまで口調を荒らすのだから、相当だろう。
「力がある上、皇帝の側近の息子だからです。父親が処分を下そうとしても、複雑な事情で手を出せなかったらしいです」
「はあ?」
「母親は高貴かつ誇り高く、プライドが強い人でした。父が気にかけると激怒するため、愛情はほとんど注がれなかったそうです。本心では処分したい父も、母方の派閥や政権への影響を考え、結局諦めたのです」
複雑な家庭環境と派閥争い。身分の高さは、思わぬ面倒を生むのだ。
「じゃあ、他の人が処分すればいいじゃん」
「それも難しい。皇帝自身も父方への恩義やハンクの立場、複雑な生い立ちを考慮しています。母方派閥も強く、処分を強行すれば政権基盤や貴族・国民への印象に影響する。だから手を出せず悩んでいる、というわけです」
「ふーん。じゃあ、仕返しして痛めつけてやろうか?」
「いいね!」
楽しそうに言うカールに、ウィルは頭を抱える。
「空杜さん、相手は実力者です。正直、勝てるかも怪しい」
「違うよ」
視線をセスに向けると、彼は静かに頷いた。
「クウちゃんの方が強い…」
その言葉に、思わず驚く玲於とカール。空杜は小さく笑った。
「よし、行くぞ!」
初めて足を踏み入れた円形闘技場。観客の声が渦のように耳を包む。中央には、薄気味悪い笑みを浮かべるハンクの姿があった。
「なあ、舐めてんのか? その仮面」
「舐めておりません。皇太子様の命で着用しているだけです」
ハンクは両手を握りしめ、目を細めて睨む。
「皇太子だと…お前みたいな出生不明で、低民族のくせに?」
「それを言うなら、あんたも妾の子だろ?」
「テメェと一緒にすんな! 俺は歴とした貴族の家系だ!」
怒りを全身に滲ませるハンク。空杜は冷静に応じる。
「失礼いたします。皇帝陛下、お願い申し上げます」
場内は一瞬で静まり返る。皇帝の声が重く返った。
「申せ」
背筋を伸ばし、姿勢を低くする。
「誠に恐れ入ります。今回の試合を殺生のない決闘と定めていただきたく存じます。さらに、可能であれば、勝利した際には、この者を私の命に従う部下とさせていただきたく…」
「部下…?」ハンクの表情が歪む。
「では、反対に貴殿の願いは何か?」
「私の願いは、ハンクが皇族および従者に接触することを禁止していただくことです!」
ハンクの視線がこちらに向く。称号も野望も潰されることになる。
「よかろう。これにより、今回の試合は殺生不可と定める」
立ち上がるハンクは凄まじい形相で睨む。
「絶対、奴隷にしてやる…好きなだけこき使ってやる」
「本当に穢らわしいことしか言えませんね」
空杜はスキル【善悪読法】で、ハンクの邪悪さを見抜き、敵と判断する。
双方が剣を構え、試合開始の合図と共に振りかざした。
「しませんよ。それより、この格好の方が気になります…」
玲於から受け取った騎士の制服は見た目こそ堅苦しいが、動きやすく質も良い。しかし、初めての感触に違和感があった。
「似合ってるよ」
「そうだよ、空杜君にピッタリじゃん!」
「…ありがとう」
正直者の二人の言葉に、少しむず痒くなる。視線を外すと、ウィルとセスがじっとこちらを見ていた。
「空杜さん、本当に大丈夫ですか? 相手は二番目に強いハンクですよ。セスとは比べものにならないくらい意地汚くて、狡賢くて…」
「そんなにヤバい奴なの…? じゃあ、何でクビにならないんだよ」
ウィルがここまで口調を荒らすのだから、相当だろう。
「力がある上、皇帝の側近の息子だからです。父親が処分を下そうとしても、複雑な事情で手を出せなかったらしいです」
「はあ?」
「母親は高貴かつ誇り高く、プライドが強い人でした。父が気にかけると激怒するため、愛情はほとんど注がれなかったそうです。本心では処分したい父も、母方の派閥や政権への影響を考え、結局諦めたのです」
複雑な家庭環境と派閥争い。身分の高さは、思わぬ面倒を生むのだ。
「じゃあ、他の人が処分すればいいじゃん」
「それも難しい。皇帝自身も父方への恩義やハンクの立場、複雑な生い立ちを考慮しています。母方派閥も強く、処分を強行すれば政権基盤や貴族・国民への印象に影響する。だから手を出せず悩んでいる、というわけです」
「ふーん。じゃあ、仕返しして痛めつけてやろうか?」
「いいね!」
楽しそうに言うカールに、ウィルは頭を抱える。
「空杜さん、相手は実力者です。正直、勝てるかも怪しい」
「違うよ」
視線をセスに向けると、彼は静かに頷いた。
「クウちゃんの方が強い…」
その言葉に、思わず驚く玲於とカール。空杜は小さく笑った。
「よし、行くぞ!」
初めて足を踏み入れた円形闘技場。観客の声が渦のように耳を包む。中央には、薄気味悪い笑みを浮かべるハンクの姿があった。
「なあ、舐めてんのか? その仮面」
「舐めておりません。皇太子様の命で着用しているだけです」
ハンクは両手を握りしめ、目を細めて睨む。
「皇太子だと…お前みたいな出生不明で、低民族のくせに?」
「それを言うなら、あんたも妾の子だろ?」
「テメェと一緒にすんな! 俺は歴とした貴族の家系だ!」
怒りを全身に滲ませるハンク。空杜は冷静に応じる。
「失礼いたします。皇帝陛下、お願い申し上げます」
場内は一瞬で静まり返る。皇帝の声が重く返った。
「申せ」
背筋を伸ばし、姿勢を低くする。
「誠に恐れ入ります。今回の試合を殺生のない決闘と定めていただきたく存じます。さらに、可能であれば、勝利した際には、この者を私の命に従う部下とさせていただきたく…」
「部下…?」ハンクの表情が歪む。
「では、反対に貴殿の願いは何か?」
「私の願いは、ハンクが皇族および従者に接触することを禁止していただくことです!」
ハンクの視線がこちらに向く。称号も野望も潰されることになる。
「よかろう。これにより、今回の試合は殺生不可と定める」
立ち上がるハンクは凄まじい形相で睨む。
「絶対、奴隷にしてやる…好きなだけこき使ってやる」
「本当に穢らわしいことしか言えませんね」
空杜はスキル【善悪読法】で、ハンクの邪悪さを見抜き、敵と判断する。
双方が剣を構え、試合開始の合図と共に振りかざした。
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