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…なぜ、この2人がここにいるのだろうか。
アルフと同じ制服に身を包む彼らはこちらにニッコリとした笑みを浮かべている。今から馬車で学校に向かう予定だったが、早くも家に戻りたい気分になる。
だが、前世でも体験しなかった初めての高校生活に憧れを抱いているため、仕方なく考えを改めることにした。まあ、俺がそう考えるのはおかしいんだけど…
「何してんだよ?」
不機嫌そうに言葉を発すると彼らは更に笑みを濃くする。
「何ってアルフと学校に行こうと思って。」
「俺はアルの護衛だ。コイツの私欲とは違うぜ。」
ブラッドは手を握り締めて親指をイニスに向ける。それをイニスは叩き落とすとまたもや昨日と同じ雰囲気が流れ出す。
「…めんどくさ。」
ポツリと溢した言葉だったがどうやら2人の耳に届いてしまったようで、こちらを見て硬まっている。コイツらのために時間を潰すのも惜しくて、アルフは馬車に乗り込んだ。
「「えっ?!」」
2人の驚く声が聞こえてきたが知らないフリをして、御者に出発することを伝えると、戸惑いながらもその指示に従うように馬車は動き出した。
せっかく両親の誤解が昨日解けて嬉しい気持ちだったのが、アイツらのせいで気分が悪くなった。
溜息を吐こうと息を吸い込んだ瞬間、突然何かがぶつかる音がしたのでむせてしまう。咳き込みながら視線を横に向けると、そこにはブラッドがいた。
「はあ?!」
窓を叩いて開けるように言うが、コイツは何してんだって思いが頭を占める。屋根に付いている装飾品を掴んでいるようだが、普通走っている馬車に飛び乗ってくるか?!
とりあえず、ブラッドが落ちたらまずいためドアを開けてやるとそのまま中に入ってきた。
「サンキュー。」
ブラッドは扉を閉めて笑顔で言ってくる。その態度にこっちは怒りが頂点に達する。
「この馬鹿!危ないだろうがっ!」
怒鳴り声を上げるとさすがのブラッドでも悪いと謝ってくる。
「…でもさ、俺を置いていくのが悪い。」
「学校で合流したら良いだろうが!」
そう言うとブラッドはポカンとした表情を向けてくる。
「いや、外出する時に主人と離れて行動する護衛はいねぇから。」
まるでこちらが悪いと言う様子にアルフは怒りを通り越して呆れてくる。ブラッドの態度には両親も手を挙げるほどなので、諦めた方が早いのは分かってる。だが、それはこっちに非があると認めているものなので嫌だった。
「それにしても、アルフ。」
「あ?」
「なんか、俺だけ口が特に悪くなってない?中学の時の方が柔らかかったぞ。」
アルフは頭を抱えた。ブラッドは中学で知り合いになった1人である。
彼はこの時から周りに流されない性格であった。勝手に家に着いて来ては家の護衛騎士たちをコテンパンにするし、その強さを気に入った父親は俺の専属騎士として契約してしまった。
「…当たり前だろ。お前相手に考えを巡らせるのも疲れるんだよ。」
相手に嫌われようと考えて行動していても、彼は物ともせずに踏み込んでくる。多少なりとも相手に気を遣って行動していたが、ブラッドの場合はそれを無意味にしてくる。こっちよりも失礼なことを平気でしてくるから自分が馬鹿に思えてきてしまうし…
「へぇー、なら俺の前のアルが素なんだ!」
珍しく嬉しそうに笑うから思わず見惚れてしまった。
悔しいことにブラッドも端正な顔立ちをしている。しかも、基本的にはクールで表情が変わりにくいため、笑った時の破壊力は凄まじい。
アルフは見惚れていたことを誤魔化したくて、昨日から気になっていたことを口にしてみる。
「その、アルってなんだよ?昨日から呼んでくるじゃん。」
「ん?良いじゃん。アルに群がる蟻どもに線引きしてんだよ。」
「蟻?線引き?何、俺は餌役なわけ?」
「そそ、甘いお菓子役。」
また、ブラッドは意味の分からないことを言ってくる。でも、もう突っ込むのも面倒くさくてスルーすることにした。
ほんと、学校前から疲れた…。でも、学校に着くと更に気が滅入ることになった。
なんか他の教室の生徒や他学年の先輩までもが俺に声を掛けてくるのだ。それを阻止するかのようにブラッドとイニスは動いて、終いにはクラスメイトたちまでもが壁となり始めた。まあ、特に滅入った原因はブラッドとイニスの喧嘩だけど…
でも、皆んなそんなに俺が人と関わるのが不快なら放っといてくれればいいのに…。どうせ容姿や伯爵令息という看板を聞き付けて近寄ってくるだけで、すぐにどっかいってしまうのだから。これまでも、始めの数週間は騒がしかったが次第に遠巻きに視線を向けてくるように変化していった。無駄に関心を抱いて落胆されるのは毎年経験済みだ。
内心、いつまでこんな状態で生活をしないといけないのか不安だった。
早く近寄るのも嫌になるくらいに嫌われないと不味いよな…。いや、嫌われてやる!
アルフと同じ制服に身を包む彼らはこちらにニッコリとした笑みを浮かべている。今から馬車で学校に向かう予定だったが、早くも家に戻りたい気分になる。
だが、前世でも体験しなかった初めての高校生活に憧れを抱いているため、仕方なく考えを改めることにした。まあ、俺がそう考えるのはおかしいんだけど…
「何してんだよ?」
不機嫌そうに言葉を発すると彼らは更に笑みを濃くする。
「何ってアルフと学校に行こうと思って。」
「俺はアルの護衛だ。コイツの私欲とは違うぜ。」
ブラッドは手を握り締めて親指をイニスに向ける。それをイニスは叩き落とすとまたもや昨日と同じ雰囲気が流れ出す。
「…めんどくさ。」
ポツリと溢した言葉だったがどうやら2人の耳に届いてしまったようで、こちらを見て硬まっている。コイツらのために時間を潰すのも惜しくて、アルフは馬車に乗り込んだ。
「「えっ?!」」
2人の驚く声が聞こえてきたが知らないフリをして、御者に出発することを伝えると、戸惑いながらもその指示に従うように馬車は動き出した。
せっかく両親の誤解が昨日解けて嬉しい気持ちだったのが、アイツらのせいで気分が悪くなった。
溜息を吐こうと息を吸い込んだ瞬間、突然何かがぶつかる音がしたのでむせてしまう。咳き込みながら視線を横に向けると、そこにはブラッドがいた。
「はあ?!」
窓を叩いて開けるように言うが、コイツは何してんだって思いが頭を占める。屋根に付いている装飾品を掴んでいるようだが、普通走っている馬車に飛び乗ってくるか?!
とりあえず、ブラッドが落ちたらまずいためドアを開けてやるとそのまま中に入ってきた。
「サンキュー。」
ブラッドは扉を閉めて笑顔で言ってくる。その態度にこっちは怒りが頂点に達する。
「この馬鹿!危ないだろうがっ!」
怒鳴り声を上げるとさすがのブラッドでも悪いと謝ってくる。
「…でもさ、俺を置いていくのが悪い。」
「学校で合流したら良いだろうが!」
そう言うとブラッドはポカンとした表情を向けてくる。
「いや、外出する時に主人と離れて行動する護衛はいねぇから。」
まるでこちらが悪いと言う様子にアルフは怒りを通り越して呆れてくる。ブラッドの態度には両親も手を挙げるほどなので、諦めた方が早いのは分かってる。だが、それはこっちに非があると認めているものなので嫌だった。
「それにしても、アルフ。」
「あ?」
「なんか、俺だけ口が特に悪くなってない?中学の時の方が柔らかかったぞ。」
アルフは頭を抱えた。ブラッドは中学で知り合いになった1人である。
彼はこの時から周りに流されない性格であった。勝手に家に着いて来ては家の護衛騎士たちをコテンパンにするし、その強さを気に入った父親は俺の専属騎士として契約してしまった。
「…当たり前だろ。お前相手に考えを巡らせるのも疲れるんだよ。」
相手に嫌われようと考えて行動していても、彼は物ともせずに踏み込んでくる。多少なりとも相手に気を遣って行動していたが、ブラッドの場合はそれを無意味にしてくる。こっちよりも失礼なことを平気でしてくるから自分が馬鹿に思えてきてしまうし…
「へぇー、なら俺の前のアルが素なんだ!」
珍しく嬉しそうに笑うから思わず見惚れてしまった。
悔しいことにブラッドも端正な顔立ちをしている。しかも、基本的にはクールで表情が変わりにくいため、笑った時の破壊力は凄まじい。
アルフは見惚れていたことを誤魔化したくて、昨日から気になっていたことを口にしてみる。
「その、アルってなんだよ?昨日から呼んでくるじゃん。」
「ん?良いじゃん。アルに群がる蟻どもに線引きしてんだよ。」
「蟻?線引き?何、俺は餌役なわけ?」
「そそ、甘いお菓子役。」
また、ブラッドは意味の分からないことを言ってくる。でも、もう突っ込むのも面倒くさくてスルーすることにした。
ほんと、学校前から疲れた…。でも、学校に着くと更に気が滅入ることになった。
なんか他の教室の生徒や他学年の先輩までもが俺に声を掛けてくるのだ。それを阻止するかのようにブラッドとイニスは動いて、終いにはクラスメイトたちまでもが壁となり始めた。まあ、特に滅入った原因はブラッドとイニスの喧嘩だけど…
でも、皆んなそんなに俺が人と関わるのが不快なら放っといてくれればいいのに…。どうせ容姿や伯爵令息という看板を聞き付けて近寄ってくるだけで、すぐにどっかいってしまうのだから。これまでも、始めの数週間は騒がしかったが次第に遠巻きに視線を向けてくるように変化していった。無駄に関心を抱いて落胆されるのは毎年経験済みだ。
内心、いつまでこんな状態で生活をしないといけないのか不安だった。
早く近寄るのも嫌になるくらいに嫌われないと不味いよな…。いや、嫌われてやる!
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