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83.告白⑦
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私は通りの向こうに見覚えのある頭を見つけ、声をあげた。
「おーい!!」
でも遠くにいるせいか、届いていないみたい。
「ねえ!! ちょっとー!!」
今度はもうちょっと声を張り上げるけど、やっぱり振り返らない。
もしかして、自分が呼ばれてるとは思っていないのかも。
仕方ない。私はすうっと息を吸うと、口に手を当てた。
「バルタザァール!!」
あ、気づいたみたい。バルタザールの銀色の頭が振り返った。
私は手を降った。
「そこまで行くから、ちょっと待っててー
!! ――行こ、ハナ!」
私は隣に向かって呼びかける。ハナが「わふっ」と返事を返した。
実は今、ハナの散歩中でもあった。いつもはこんな遠くまでこないのだが、孤児院に用事があったのだ。正確にいうと、バルタザールにだけど。でも、もう会う機会もないだろうと思い――前回は会いに来てくれたけど、もう私に会う用事もないだろうから――バルタザール宛の手紙を院長に届けに来たのだ。本当は孤児院に来訪する折でも良かったけど、良い知らせは一日でも早いほうが良いと思って。
それにしても、学園から帰ってきて、まだこんなに日が高いなんて、やっぱり夏ね。夕方に近い時刻だというのに、日差しがまだじりじり焦げるように強い。
私はハナと一緒に駆け出すと、バルタザールにおいついた。孤児院のある通りを歩いていたところを見ると、その帰りみたい。ここで会えるなんて、グッドタイミング。
「はあはあ。良かった。あなたに会えて。渡したいものがあったの」
軽い息切れをしながら、ポケットから封筒を取り出す。
「これは?」
「読んでみて」
バルタザールが訝しげながら、封筒から紙を取り出し、広げる。
「これは……」
読み進めているうちに、目が大きくなる。
「驚いた? 馬車や馬を走らせるにあたっての法律よ」
向こうの世界では道路交通法で事細かにきっちり定めさられていたけど、こっちの世界は移動手段が馬と馬車に限られることに加え馬車を持っているのはほとんど貴族のため、その法律も緩かった。
「お父様とお兄様に相談して、専門家のひとの意見も加えて、作ってもらったの。ほら、ここは、人通りの多い場所では、馬の速度を必ず制限するとか」
私はバルタザールと一緒に紙を覗く。
「今までは人とぶつかっても、軽い罰金だけで済んだけど、その額も倍に増やして、被害者の怪我の具合によって補償額も差別化したの。それから故意じゃなかった場合もちゃんと――」
私は事細かに説明する。
バルタザールから話をきいたあの日、家に帰ってから色々考えた。バルタザールのためばかりじゃなくて、バルタザールの友達みたいなひとを作らないために、私にできることはなんだろうって。私も何かしたいと思ったのよね。
そして、お父様とお兄様に向けて渾身の演技をした。
カレンの体に憑依するに至った原因、つまり暴走した馬車に驚いて頭を打って気絶した過去を掘り起こし、「あいたたたた!」「どうしたんだ!? カレン!」「急に頭痛が。これはきっと馬車の後遺症ですわ。あの事故を思い出すたび、実は頭痛が――」「なんだと!?」慌てるお父様とお兄様。「そういえば、あの馬車の運転手はどうなったのですか?」「ああ、あのあと見舞金をもらったよ」「なんですって?! 私がこんなに苦しんでいるというのに、それだけですんだのですか!?」怒り心頭に叫んだあと、きっと睨みつける。「お父様! お兄様!」「「はい!」」「罰則を強化すべきです! でなければ、私これからは怖くて外も歩けません」震えながら口もとを押さえる私。「ああ!! 今すぐなんとかしよう!」と、お父様とお兄様は電光石火の勢いで、法律の条項をつくってくれた。流石超優秀なお父様とお兄様である。
私が普通に頼んでも聞き届けてくれると思ったけど、このほうが早いと思ったのよね。善は急げよ。
騙してごめんなさい、お父様、お兄様。
この法案はまだ貴族院に通ってないけど、王太子も協力し、提案するみたいだから、すこし時間はかかるかもしれないが確実に通るだろうって、お兄様が言っていた。流石持つべきものは友。親友だけはある。
「罰則が厳しくなったから、これでみんなも以前より気をつけると思うのよね。――バルタザール?」
さっきから一言も発しないバルタザールを見上げる。
バルタザールは書面をじっと見つめていたと思ったら、弾けたように急に笑い出した。
「ははは」
「バルタザール!?」
今までバルタザールの笑みらしい笑みを見てこなかった私は、ここにきて声まであげて笑う姿を見て、目を白黒させる。
そんなに面白いこと、ここには書いてなかったはずだけど?
バルタザールが笑いをおさめて、私を見返してきた。
「あんたは俺と違った方法で、世の中を変えるんだな。それも早いスピードで」
銀色の髪が、今はもう夕暮れ時の光をうけて、金色に近い光を放った。
黄色の目も、黄金色の虹彩になる。
「俺には怖いものなんて何もなかった。でも今見つかった。あんたを失うことだ」
『俺には怖いものなんて何もない。あんたを失うこと以外は』
ゲームの声が重なって、聴こえた。頭が追いつかなくて、頭の中が真っ白になる。
バルタザールが身を屈めた。
まるで掠め取るように――
――チュッ。
私の唇を奪っていった。
##################################
後書き長いので、時間がある方だけ読んでください(^_^;)
ご都合主義ですみません(汗)
バルタザールは唇へのキスです。おでこやほっぺだとなんか可愛らしくて、それだとバルタザールじゃなくなってしまうと思ったので。(髪や手だと貴族的だし)
それにバルタザールは遠回しとかまどろっこしいの嫌いそうなので、潔く唇を狙っていくだろうなと。
それに他の攻略対象者より年上ですし、平民育ちなので、それなりに経験もあるはずですから。
バルタザールの唇へのキスはどうしても外せなかったため、本当は最後に来るはずだったイリアスとひっくり返しました。でも結果的にそれで良かったなと思いました。次の剣術大会にも出てこないし、次出てきた時には印象が大分薄れてしまう可能性があるので。
バルタザールはイベントあるのにどうして隠れキャラなのかと思われた方に説明します。
まず、一つ目。バルタザールは『お茶会』コマンドを一定数実施するのと、寄り道でマリサの店に一定数行けば、ほぼ攻略できるからです。
それでジュリアとヴェロニカ、マリサとの親交を深めておけば、自動的に署名が集まります。
レコはある程度、他のコマンドを実施して、平均的にパラメーターをあげる必要がありますが、バルタザールは『学問』『美しさ』『体力』といったものは一切必要としません。
二つ目。バルタザールは学園の生徒ではないため、学園のイベント(剣術大会、ダンスパーティーなど)とは一切無縁で、スチルも少ないからです。
三つ目。バルタザールは他の攻略対象者と違って、釈放日(釈放の理由を知った日)に好感度マックス状態になるため、他の攻略対象者で楽しめる照れた表情や好きだとそれとなく伝えてくることが一切ないからです。それに半年間牢屋の中なので、その間、一切恋愛イベントが楽しめないからです。 以上です。
バルタザールとのラブラブ状態がないのはいくつか理由があります。バルタザールは好きだと自覚したら、タイミングを見計ったり、いつ言おうか迷ったりするタイプじゃなく、即座に告白してくるタイプなので、バルタザールの性格を計算にいれてゲームでは『卒業式』イコール『釈放日』にしてます。なので、バルタザールは釈放されたその足でヒロインに会いに行ってます。
だからカレンの場合も好きになった瞬間、告白してます。だからその前までは淡々としてます。(その前までにカレンの人柄や行動を知って、好感は持ってますがまだ恋に落ちていない状態です。それに加え、バルタザールは自分の中で、明確じゃない感情は正体がはっきりするまで隠すひとです)
ゲームではヒロインの自分に対する想いと行動力を知って、好きになりますが、バルタザールの場合は『恋心』と同じくらい『恩義』も大切にしています。
カレンの場合も夏祭りで助けられたこと、交通法を自分のために定めてくれた『真心』に『恩義』を感じて好きになってます。
だから彼はパラメーターをあげる必要がないように、頭の良さとか美醜を重要視してません。これがカレンやヒロインじゃなくても(たとえ綺麗じゃなくても頭が悪くても)同じ行動をすれば、『恩義』を感じて大切にしてくれます。ある意味武士みたいなひとです。
そこまで来て「ああ、だから、彼がドキドキしてる姿とか照れてる姿が想像できないんだな」と自分の中で、納得しました。
彼は『好き』と『恩義』が合わさって、初めて『恋に落ちて』くれるタイプです。
今回のこの告白、急な感じがしますが、バルタザールの心の流れを言うと、2回目会ったときに『誘拐一味を倒している』&『孤児院に定期的に訪問』で、困っている人を助けている彼はカレンに自分と似たものを感じて、ちょっと親近感に近いものを感じてます。(内心、そんな自分にちょっと驚いていると思います)そして3回目で夏祭りの日に助けられ、恩義を感じてます。4回目で、「子供たちが聞いたら悲しむわ」と今まで自分の命を軽く感じていた彼はそんなこと思ってもみてませんでしたので、それについて、その夜、思い返して布団の中でぼんやりと考えたことでしょう。そして、同時にカレンのことも考えます。盗賊稼業を始めた理由を初めて誰かに話したのと、それを受け入れられたことが驚きでしたが、よく考えると嬉しさも自分の中にあるのが感じられます。なんとなく、次の日からカレンのことが好きだと思うようになってます。そして、数日間心の片隅でそんな思いをももやもや抱えて過ごしている中、カレンが現れ、止めの一撃をくらって、完全に恋に落ちました。
バルタザールは口数少なめなので、こうして説明しています(^_^;)
あ、あとちなみにこのバルタザールはまだ盗賊稼業やめてません。カレンが大事な存在になったため、無茶なことはしなくなったとは思いますが、盗賊稼業をしているうちに、金をばらまくのは当初、貴族への腹いせでしたが、だんだんと恵まれない人に配ることも重きをおくようになったためです。でも、それも今後の展開で解決するので、そうしたら、完全に辞めると思います(^^)
ちなみにバルタザールは『学問』や『美しさ』は必要ないと書きましたが、バルタザールが牢屋に入ってる間、プレイヤーはやることがないため、ひたすらパラメーター上げに励むことになります。好きな人が卒業式の日に告白しに来てくれるとわかっているので、卒業式の日にいい女になって迎えたいという『乙女心』が働くためです(^_^;)。結果、ハイスペックヒロインの出来上がりです(笑)
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「おーい!!」
でも遠くにいるせいか、届いていないみたい。
「ねえ!! ちょっとー!!」
今度はもうちょっと声を張り上げるけど、やっぱり振り返らない。
もしかして、自分が呼ばれてるとは思っていないのかも。
仕方ない。私はすうっと息を吸うと、口に手を当てた。
「バルタザァール!!」
あ、気づいたみたい。バルタザールの銀色の頭が振り返った。
私は手を降った。
「そこまで行くから、ちょっと待っててー
!! ――行こ、ハナ!」
私は隣に向かって呼びかける。ハナが「わふっ」と返事を返した。
実は今、ハナの散歩中でもあった。いつもはこんな遠くまでこないのだが、孤児院に用事があったのだ。正確にいうと、バルタザールにだけど。でも、もう会う機会もないだろうと思い――前回は会いに来てくれたけど、もう私に会う用事もないだろうから――バルタザール宛の手紙を院長に届けに来たのだ。本当は孤児院に来訪する折でも良かったけど、良い知らせは一日でも早いほうが良いと思って。
それにしても、学園から帰ってきて、まだこんなに日が高いなんて、やっぱり夏ね。夕方に近い時刻だというのに、日差しがまだじりじり焦げるように強い。
私はハナと一緒に駆け出すと、バルタザールにおいついた。孤児院のある通りを歩いていたところを見ると、その帰りみたい。ここで会えるなんて、グッドタイミング。
「はあはあ。良かった。あなたに会えて。渡したいものがあったの」
軽い息切れをしながら、ポケットから封筒を取り出す。
「これは?」
「読んでみて」
バルタザールが訝しげながら、封筒から紙を取り出し、広げる。
「これは……」
読み進めているうちに、目が大きくなる。
「驚いた? 馬車や馬を走らせるにあたっての法律よ」
向こうの世界では道路交通法で事細かにきっちり定めさられていたけど、こっちの世界は移動手段が馬と馬車に限られることに加え馬車を持っているのはほとんど貴族のため、その法律も緩かった。
「お父様とお兄様に相談して、専門家のひとの意見も加えて、作ってもらったの。ほら、ここは、人通りの多い場所では、馬の速度を必ず制限するとか」
私はバルタザールと一緒に紙を覗く。
「今までは人とぶつかっても、軽い罰金だけで済んだけど、その額も倍に増やして、被害者の怪我の具合によって補償額も差別化したの。それから故意じゃなかった場合もちゃんと――」
私は事細かに説明する。
バルタザールから話をきいたあの日、家に帰ってから色々考えた。バルタザールのためばかりじゃなくて、バルタザールの友達みたいなひとを作らないために、私にできることはなんだろうって。私も何かしたいと思ったのよね。
そして、お父様とお兄様に向けて渾身の演技をした。
カレンの体に憑依するに至った原因、つまり暴走した馬車に驚いて頭を打って気絶した過去を掘り起こし、「あいたたたた!」「どうしたんだ!? カレン!」「急に頭痛が。これはきっと馬車の後遺症ですわ。あの事故を思い出すたび、実は頭痛が――」「なんだと!?」慌てるお父様とお兄様。「そういえば、あの馬車の運転手はどうなったのですか?」「ああ、あのあと見舞金をもらったよ」「なんですって?! 私がこんなに苦しんでいるというのに、それだけですんだのですか!?」怒り心頭に叫んだあと、きっと睨みつける。「お父様! お兄様!」「「はい!」」「罰則を強化すべきです! でなければ、私これからは怖くて外も歩けません」震えながら口もとを押さえる私。「ああ!! 今すぐなんとかしよう!」と、お父様とお兄様は電光石火の勢いで、法律の条項をつくってくれた。流石超優秀なお父様とお兄様である。
私が普通に頼んでも聞き届けてくれると思ったけど、このほうが早いと思ったのよね。善は急げよ。
騙してごめんなさい、お父様、お兄様。
この法案はまだ貴族院に通ってないけど、王太子も協力し、提案するみたいだから、すこし時間はかかるかもしれないが確実に通るだろうって、お兄様が言っていた。流石持つべきものは友。親友だけはある。
「罰則が厳しくなったから、これでみんなも以前より気をつけると思うのよね。――バルタザール?」
さっきから一言も発しないバルタザールを見上げる。
バルタザールは書面をじっと見つめていたと思ったら、弾けたように急に笑い出した。
「ははは」
「バルタザール!?」
今までバルタザールの笑みらしい笑みを見てこなかった私は、ここにきて声まであげて笑う姿を見て、目を白黒させる。
そんなに面白いこと、ここには書いてなかったはずだけど?
バルタザールが笑いをおさめて、私を見返してきた。
「あんたは俺と違った方法で、世の中を変えるんだな。それも早いスピードで」
銀色の髪が、今はもう夕暮れ時の光をうけて、金色に近い光を放った。
黄色の目も、黄金色の虹彩になる。
「俺には怖いものなんて何もなかった。でも今見つかった。あんたを失うことだ」
『俺には怖いものなんて何もない。あんたを失うこと以外は』
ゲームの声が重なって、聴こえた。頭が追いつかなくて、頭の中が真っ白になる。
バルタザールが身を屈めた。
まるで掠め取るように――
――チュッ。
私の唇を奪っていった。
##################################
後書き長いので、時間がある方だけ読んでください(^_^;)
ご都合主義ですみません(汗)
バルタザールは唇へのキスです。おでこやほっぺだとなんか可愛らしくて、それだとバルタザールじゃなくなってしまうと思ったので。(髪や手だと貴族的だし)
それにバルタザールは遠回しとかまどろっこしいの嫌いそうなので、潔く唇を狙っていくだろうなと。
それに他の攻略対象者より年上ですし、平民育ちなので、それなりに経験もあるはずですから。
バルタザールの唇へのキスはどうしても外せなかったため、本当は最後に来るはずだったイリアスとひっくり返しました。でも結果的にそれで良かったなと思いました。次の剣術大会にも出てこないし、次出てきた時には印象が大分薄れてしまう可能性があるので。
バルタザールはイベントあるのにどうして隠れキャラなのかと思われた方に説明します。
まず、一つ目。バルタザールは『お茶会』コマンドを一定数実施するのと、寄り道でマリサの店に一定数行けば、ほぼ攻略できるからです。
それでジュリアとヴェロニカ、マリサとの親交を深めておけば、自動的に署名が集まります。
レコはある程度、他のコマンドを実施して、平均的にパラメーターをあげる必要がありますが、バルタザールは『学問』『美しさ』『体力』といったものは一切必要としません。
二つ目。バルタザールは学園の生徒ではないため、学園のイベント(剣術大会、ダンスパーティーなど)とは一切無縁で、スチルも少ないからです。
三つ目。バルタザールは他の攻略対象者と違って、釈放日(釈放の理由を知った日)に好感度マックス状態になるため、他の攻略対象者で楽しめる照れた表情や好きだとそれとなく伝えてくることが一切ないからです。それに半年間牢屋の中なので、その間、一切恋愛イベントが楽しめないからです。 以上です。
バルタザールとのラブラブ状態がないのはいくつか理由があります。バルタザールは好きだと自覚したら、タイミングを見計ったり、いつ言おうか迷ったりするタイプじゃなく、即座に告白してくるタイプなので、バルタザールの性格を計算にいれてゲームでは『卒業式』イコール『釈放日』にしてます。なので、バルタザールは釈放されたその足でヒロインに会いに行ってます。
だからカレンの場合も好きになった瞬間、告白してます。だからその前までは淡々としてます。(その前までにカレンの人柄や行動を知って、好感は持ってますがまだ恋に落ちていない状態です。それに加え、バルタザールは自分の中で、明確じゃない感情は正体がはっきりするまで隠すひとです)
ゲームではヒロインの自分に対する想いと行動力を知って、好きになりますが、バルタザールの場合は『恋心』と同じくらい『恩義』も大切にしています。
カレンの場合も夏祭りで助けられたこと、交通法を自分のために定めてくれた『真心』に『恩義』を感じて好きになってます。
だから彼はパラメーターをあげる必要がないように、頭の良さとか美醜を重要視してません。これがカレンやヒロインじゃなくても(たとえ綺麗じゃなくても頭が悪くても)同じ行動をすれば、『恩義』を感じて大切にしてくれます。ある意味武士みたいなひとです。
そこまで来て「ああ、だから、彼がドキドキしてる姿とか照れてる姿が想像できないんだな」と自分の中で、納得しました。
彼は『好き』と『恩義』が合わさって、初めて『恋に落ちて』くれるタイプです。
今回のこの告白、急な感じがしますが、バルタザールの心の流れを言うと、2回目会ったときに『誘拐一味を倒している』&『孤児院に定期的に訪問』で、困っている人を助けている彼はカレンに自分と似たものを感じて、ちょっと親近感に近いものを感じてます。(内心、そんな自分にちょっと驚いていると思います)そして3回目で夏祭りの日に助けられ、恩義を感じてます。4回目で、「子供たちが聞いたら悲しむわ」と今まで自分の命を軽く感じていた彼はそんなこと思ってもみてませんでしたので、それについて、その夜、思い返して布団の中でぼんやりと考えたことでしょう。そして、同時にカレンのことも考えます。盗賊稼業を始めた理由を初めて誰かに話したのと、それを受け入れられたことが驚きでしたが、よく考えると嬉しさも自分の中にあるのが感じられます。なんとなく、次の日からカレンのことが好きだと思うようになってます。そして、数日間心の片隅でそんな思いをももやもや抱えて過ごしている中、カレンが現れ、止めの一撃をくらって、完全に恋に落ちました。
バルタザールは口数少なめなので、こうして説明しています(^_^;)
あ、あとちなみにこのバルタザールはまだ盗賊稼業やめてません。カレンが大事な存在になったため、無茶なことはしなくなったとは思いますが、盗賊稼業をしているうちに、金をばらまくのは当初、貴族への腹いせでしたが、だんだんと恵まれない人に配ることも重きをおくようになったためです。でも、それも今後の展開で解決するので、そうしたら、完全に辞めると思います(^^)
ちなみにバルタザールは『学問』や『美しさ』は必要ないと書きましたが、バルタザールが牢屋に入ってる間、プレイヤーはやることがないため、ひたすらパラメーター上げに励むことになります。好きな人が卒業式の日に告白しに来てくれるとわかっているので、卒業式の日にいい女になって迎えたいという『乙女心』が働くためです(^_^;)。結果、ハイスペックヒロインの出来上がりです(笑)
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