傭機兵ヴィマーセ

もつる

文字の大きさ
14 / 30

14:暗躍

しおりを挟む
 ラジービは今日も部屋に響き渡るメトロノームの音の中、ギターを抱えて汗をにじませている。
 エリア・パルに来て、リーユイの演奏を聴いてからけっこうな日数が経っていた。
 タイダリアスの船室から港の宿舎への引っ越し作業もあって、寄港以降は彼女と顔を合わせることすらなかった。だがその間にも、憧れの感情が増すのが自分でもわかった。
 それで先日、久しぶりにリーユイと会えた際、ギターを借りて練習を始めたのである。
 彼はまず基礎的な運指練習を学んだ。ギターのネック上にあるフレットを、低音から高音へ、順番に弾いていくトレーニングだ。
 素早く、正確にフレットを押さえ、余計な音が出ないように弾くことが肝心だ。
 ラジービはリーユイから教わった事を何度も思い出しながら、テンポを乱さぬように弾いていく。
 が、なかなか指が思い通りの位置に来てくれない。
 ピックを持つ右手も、時折押さえていない弦を弾いてしまって掠れた音か調子外れの音を出してしまう。
 その度に焦りが生じて、落ち着けと自分に言い聞かせていた。
 一分間の拍数はちょうど六〇。かなり遅いはずなのだが、指が動かないうちはとんでもなく速いテンポに感じる。
 それでも、ラジービは目標のフレット一弦まで弾き切り、息を吐き出しながらメトロノームを止めた。
 ピックを持ったまま額の汗を拭う。両手だけでなく、全身に無用な力が入っていたのがあらためてわかる。
 指先が軽く痺れていて、すこし不安になってしまった。

 やっぱり、リーユイはすごい。

 そんなことを思っていると、ギターの甘美な音色が耳に入ってきた。
 ラジービはギターをスタンドに置き、アンプの電源を切ってから窓を開けてみる。
 音楽は真上から聞こえてきた。宿舎の屋上からだ。
 リーユイの気配を感じ、ラジービは部屋を出た。

 
 屋上に至ると、案の定リーユイがアコースティックギターを抱えて音楽を奏でていた。
 彼女のほうも、扉を開ける音で気づいたのかラジービのほうを見て笑いかける。

「リーユイさん」

 ラジービが言うと、

「さん、はつけなくていいですよ」

 と、リーユイは返した。
 弾く手を止めることなく、彼女は続ける。

「たぶんラジービさんのほうが年上だろうし……友達みたいに接してくれたほうが気楽……かな」
「……そう、わかった。リーユイ。じゃあ、きみもわたしを呼び捨てにしておくれよ」
「オッケー、ラジービ」

 ラジービはリーユイの隣に行って、潮風に吹かれながら彼女と同じ方を見てみた。

「……もし天国とか、楽園が実在するんだったら、こんな光景かもね」

 目の前に広がるのは、青の世界だった。海面に反射した太陽の光がきらきらと踊り、空には雲の白が爽やかな差し色として活きている。

「ラジービたちはその楽園を築こうとがんばってるんでしょ?」
「そんなに大層なものじゃないけど……」ラジービは苦笑した。「けど、そうだな……。やっと戦争が終わったんだ。みんなにとっての、ほんとうの幸いと平和な世の中が来るように、努力を続けたいと思ってる」
「みんなにとって……」

 リーユイが呟き、ラジービはそれに頷く。
 すると、地上のほうに目が行った。

「……あ、ファリーダとオリヴィンだ」
「なんか良さげな雰囲気だね」

 彼女も二人のいる方を覗き込む。
 それから一歩後ろに下がって、

「ロマンスを邪魔しちゃ悪いや」

 と冗談めかして言った。
 ラジービはその言葉に同意し、同じように退く。
 まもなくリーユイの演奏が終わった。

「ちょうど最後まで弾けたし、撤収しよっと」

 彼女はギターをケースに納め、背負う。

「にしても、いつ聴いても素晴らしい演奏だ」ラジービは言った。「わたしがきみの領域に至れるのはいつになるのやら……」
「まだ始めたばっかりなんだから、焦らず地道に練習してけばいいよ」

 リーユイは笑い、訊ねる。

「そういやラジービはさ、ギター弾けるようになったらりたい曲とかある?」

 言葉に詰まった。
 隠しているわけではなく、思い浮かばなかった。

「……考えたこともなかった」
「なにそれ」リーユイから苦笑が返ってくる。「じゃあ好きな曲とかは?」
「……特には……」

 と言いかけて、ラジービは自分の無趣味を振り返り、うつむき加減で額に手を当てた。

「あれ……? 趣味が無いってこんなに話を広げられないのか……」
「えぇ!? 趣味無いの?!」
「無いんだ……。よくないと思って、本はいろいろ読むけど……」

 でも、とラジービは続ける。

「だからこそかな……きみの演奏に心を打たれて、こうしてギターの練習を始めたのは――またとない奇跡だと思う」
「奇跡ねえ……」

 リーユイは呆れたような、けれどどこか嬉しそうな笑顔だった。

「プレーヤー持ってるんだったらさ、何枚かアルバム貸すよ? ライドールを見るに、たぶん同じようなもの好きになると思うし」
「確かに……。ツインアイにガードパイプ付きのヴィマーセっていうのも、わりとマイナーなカスタムだものね」
「ヴィンテージライドールならツインアイけっこう多いんだけどねー」
「やっぱり立体的な視界を求めてツインアイに?」
「うーん……というよりも、見た目かな」

 リーユイの顔が海に向く。

「ショーケウはさ、港の仕事仲間でもあるんだ。メタルシルバーの塗装も錆止めを兼ねてて、ただの道具って感じがしなくて、さ……」
「そうか……。大事にしてるんだね」
「まあね。ショーケウって名前も、好きなアーティストにあやかったんだ」
「へえ、知らなかった……」
「インディーズだしねえ」

 と、彼女は笑った。

「……きみは、彩りのある人生を送ってきたんだね」
「彩り……そうかもね」

 リーユイはすこし目を伏せてから、ラジービの背を軽く押す。

「ちょっといいかな? 見てほしい場所があるんだ」
「ああ、いいよ」


 ラジービとリーユイは、宿舎を出て、市街地のほうへ歩いた。
 色あせた看板と錆の浮いたシャッターの目立つ商店街だった。昼間だというのに人影もまばらで、車通りもさほど多くない。
 だがこの辺りは戦闘の痕は見られず、それだけは救いかもしれないと、ラジービは街を見回しながら思った。
 やがて二人は雑居ビルの前に至る。
 ラジービは上の階を仰いだが、リーユイは、

「こっちこっち」

 と、地下に続く階段に足を着いていた。
 階段を降りると、ひとつの扉の前に来る。使い古された扉だった。大小のステッカーがいくつも貼られていた形跡があり、それは壁面にも見て取れた。
 ここが何なのか訊ねる前に、リーユイが鍵を取り出し、解錠する。
 扉が開くと、また正面に扉が見えた。
 そこはごく小さな部屋だった。脇にはスツールが山積みにされている。
 リーユイは二枚目の扉も開けた。
 扉の向こうから、埃のにおいに混じって、幽かな酒と煙草のにおいがした。
 左右にはバーカウンターと、広いフロアが見える。
 それで、彼は訊かずとも察した。

「……ライブハウスか……」
「うん。あたしのホームだったハコ」

 ラジービはカウンターの向こうの、からっぽになった棚を見つめる。
 リーユイがまた言った。

「戦争が始まる前も、戦時中も、終わってからも、ここでライブしてたんだ」

 振り返ると、彼女は舞台に足をかけていた。

「いちばん多かった時期で、三ヶ月に一度。ここでギターかき鳴らして、みんなでお酒飲んで、音楽で盛り上がって……毎日を生きられるように、心の栄養補給してさ……」

 ラジービもフロア側に移り、その広さを感じる。
 営業していた頃は、きっとこれでも狭いくらいに人が入っていたのだろう。
 だけど、とリーユイが言う。

「戦争で港の施設が壊されて、街全体が貧しくなってった。あたしたちは、どうにかここを存続させようと思ってがんばったけど」

 結果はこの通りか。
 ラジービはそんな言葉を、心の内に秘めた。

「……国は助成金の申請も通さないで増税ばっかりして……」
「……そうだな……きみの言う通りだ」

 要塞戦艦――その建造に費やされた金銭の出処に思いを馳せて、ラジービは頷いた。

「結局、人が死ななきゃ動かないと――」
「人が死んでも動かなかったんだよ。あいつらは」

 リーユイの手が震えているのが見えた。

「……すまない」

 ラジービが言うと、リーユイはあわてたように振り返る。

「あっ、ごめん……別に恨み言聞かせるために連れてきたわけじゃないのに……」
「いいんだ……。きみの想いが伝わった」

 ラジービは微笑んでみせる。
 リーユイも、同じような笑顔を浮かべてくれた。
 それから、ギターを背から下ろす。

「せっかくだから、ここで一曲演奏してもいい? ラジービのためだけに」
「いいのかい?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、きみがいちばん好きな曲を――」

 言いかけていると、扉の開く音がした。
 二人はそちらを振り向く。

「やっぱりここにいたか」

 そう言って入ってきたのは、スーツを着た大男だった。刈り上げた髪に睨みつけるような双眸、ジャケットの脇腹にわずかな膨らみが見とめられる。
 彼はエナメルレザーシューズの、尖った爪先をリーユイに向けた。
 ラジービはすこし右腕を持ち上げ、警戒する。
 リーユイは、

「なんの用さ」

 と、眉をひそめていた。

「オヤジさんが呼んでる」

 男が言った。

「ちょっと面倒なことになったんでな。来てもらうぜ」
「面倒なこと?」

 言ったのはラジービだった。
 だが男はこちらに目もくれず、リーユイに言う。

「ほら、ぐずぐずしねえで」
「わかったよ。行くよ」

 ギターケースをまた背負って、彼女は言った。

「……ごめん、また今度ね」
「安心しな、ニイサン」男がラジービに顔を向ける。「用があるのはコイツの<体>じゃねえ」

 それを聞いてラジービはイラつきを覚え、顔をしかめた。
 が、リーユイは彼を制止するように、こちらへそっと掌を上げる。
 ラジービとリーユイは男に促されるまま、ライブハウス跡の外まで出て別れた。
 去り際にリーユイが振り向く。
 悲しげな笑顔を残して、彼女は男と歩いていった。
 遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。


 ラジービは一人、宿舎に戻ってギターを見つめる。
 深いシーブルーのボディを持つ、ストラトキャスタースタイルのエレキギターだ。
 そういえば、とラジービはこのギターを借りた時のことを思い出す。
 これは元々リーユイの友人が使っていたもので、それを譲ってもらったのだと言っていた。
 ライブハウスでの彼女の言葉と合わせて考えると、良くない推測が浮かんできてしまう。
 額に手を当て、眉間のしわが深まる。

 だめだ。

 ラジービは席を立ち、自室を出た。
 辺りはすっかり暗くなっていた。心なしか波の音も遠い。
 彼は倉庫の扉を開け、中に入る。何か意図や目的があるわけでもなかった。月光と街灯の光を追っていると、自然と倉庫前に至ったのだ。
 倉庫内は暗かった。当然である。照明を点けていないのだから。だがそれでも、窓から射し込む光で何も見えないほどではなかった。
 自機、ブラックヴィマーセの前に立ち、その顔を仰ぐ。
 そうやってしばらく、ラジービは物言わぬ戦友と見つめ合い、やがてその足の甲に腰を下ろした。ちょうどいい高さだった。
 目を閉じて、薄闇の中に身と心を溶かしていると、扉の向こうから音が聞こえた。
 プッシュ式ナンバーロック錠の暗証番号を押す音である。
 扉が開くと、三人分のスニーカーを履いているような足音が近づいてきた。
 誰だろう、とラジービは覗き込み、臨戦状態になる。
 入ってきた全員が、バラクラバで顔を隠していた。

「オマエらなんのつもりだ!」

 ラジービは立ち上がり、拳銃を抜いた。
 侵入者はぎくりとして銃を構える。
 撃たれる前に、ブラックヴィマーセの脚の陰へ隠れた。
 小さな銃声と同時に、弾がライドールの装甲ではじける音がする。
 ラジービは腕だけを伸ばし撃ち返した。
 弾が壁や柱の鉄骨を穿つ。命中弾は無い。
 ラジービはブラックヴィマーセの膝に登って侵入者たちの動きを視る。
 三人組は三方向に分かれ、こちらを挟み撃ちにしようとしていた。
 正面の一人が撃ってくる。
 ラジービは機体の膝に隠れ、左右の侵入者に威嚇射撃をしながら、コクピットハッチを開ける。
 中に滑り込もうとすると、相手の射撃が遮ってきた。
 機体の大腿部に回り込んで弾を避け、勢い任せに撃ちながら強引にコクピット内に入った。
 そのままハッチも閉めず、シートベルトも未着用のまま起動させる。
 ブラックヴィマーセの金色のカメラアイが三人の侵入者を睨み、立ち上がった。倉庫の天井は高く、余裕は充分にあった。
 ラジービは機体の腕でコクピットハッチを閉じ、外部スピーカーをONにして怒鳴る。

「潰されたくなければおとなしくしろ!」

 ブラックヴィマーセのヘッドライトと脚部ライトが侵入者を照らす。
 三人は気圧されたのか、こちらを仰ぎながら後ずさり、背を向けて逃げようとした。
 ブラックヴィマーセは腕を伸ばして捕縛を試みるが、三人組は開けっ放しの扉から外へ飛び出ていった。


 ラジービは無理に追いかけようとせず、起きたことを警察と仲間に報せる。
 待っている間にカメラアイの映像データを提出する準備をして、侵入者の特徴を再確認した。
 三人とも、バラクラバ以外には黒っぽい作業着と足音の響きにくいタクティカルブーツを着用している。グローブをした手に持つ拳銃は減音器付きで、言い逃れできないレベルの計画的犯行なのは明らかだった。
 映像をユーティリティターミナルにコピーしてから機体を降りると、アトギソンが現れ、続けてキータサ。最後に警察がやってきた。
 ラジービは起きたことを皆に話す。

「――以上が、わたしの見た全てです」
「フム」と警官が言った。「おそらく犯人は……対賊隊の者でしょう」
「なぜそう思うんです?」

 アトギソンが訊ねる。
 警官は、

「まだ調査中で確証は掴めていませんが――」

 と前置きして答えた。

「今日の昼頃、交通事故があって死亡者が出たんです。その人物の所持品から、対賊隊員のIDと思しき物が見つかりまして……」

 そういえばリーユイと別れた際、救急車のサイレンが鳴っていた。

 ラジービが思い返していると、キータサが言う。

「となると、我々もタイダリアスが動けるようになり次第ここを離れる必要がありますね」
「ご安心ください、ズマさん」警官が言った。「もし本当に対賊隊の者だったとしても、我々が追い返しますよ」
「ありがとうございます。エリア・パルのみなさまにはどれほど助けられているか……」
「同じコブナスの人間として、当然ですよ」

 警官は微笑み、

「くれぐれもご用心を」

 と言い残して去っていった。
 ラジービはアトギソン、キータサと顔を見合わせ、訊ねる。

「タイダリアスはどうです?」
「艦体は竣工してると報告が。あとは微調整をすれば動かせるね」
「そろそろ、下ろした物を艦内に戻していく頃合いでしょう」

 とアトギソン。
 彼はラジービに向けて訊いた。

「そういえばラジービよ、あのコから借りたギターはどうするんだ? 返すのか?」
「……いずれそうするつもりですが……彼女の答え次第です」

 ラジービは伏し目がちに、そう答えた。


  ◇


 リーユイの端末に、ラジービからメッセージが来た。

 ――こんにちわ。タイダリアスの修理が完了して、宿舎から船室に戻ることになった。借りたギター、返そうか?

 彼女は返信する。

――いいよ。持ってて。ギターが無いのを理由に練習が途絶えちゃうのももったいないハナシだし。自分のを買ってから返してくれても遅くないから。

――ありがとう。じゃあ、もうしばらくお借りしておくね。

 彼女は微笑み、周囲が静まり返るのを感じて端末をポケットに納めた。
 ため息をつき、リーユイは眉をひそめながら正面を向く。
 ちょうど<オヤジ>が入ってきたところだった。
 他の連中は皆、起立して彼を迎えるが、リーユイと、他数人は座ったままだった。それを咎める者もいない。
 再び着席すると、オヤジ――エリア・パル知事の顔がよく見えた。
 知事は壇上に立って、言う。

「率直に伝えよう。問題が二つ起こった。ひとつは、対賊隊のスパイが我がエリア・パルに潜り込んでいたこと。もうひとつは<調達班>の三人がしくじったことだ」
「しくじったって……」誰かが狼狽の声を上げた。「捕まったんですか?」
「安心しろ。三人とも戻ってきてるし、警察がタイダリアスの奴らを上手くごまかしてくれた。ただ……武器の確保が難しくなったのは事実だ」
「スパイはどうします?」

 と、別の誰か。

「おまえたちが対処する必要は無い。交通事故に見せかけてもう始末済みだ。だが、連絡が途絶えたことで怪しまれるだろう……対賊隊が攻め込んでくるのも時間の問題だ」
「じゃあどうするんです? 実行を前倒しに……?」
「いいや。実行は予定通り国祭日だ。式典の場でなければ<貴族>の十三人が全員集まる確証が無い」
「何か案がおありで……?」
「どうせ対賊隊との衝突は避けられん。だからこちらから教えてやるんだ。エリア・パルに逆賊が潜んでるとな」

 知事の発言に、リーユイは己の耳と彼の正気を疑った。
 他の皆もざわついている。
 が、知事は調子を変えず続ける。

「そうすれば攻め込むタイミングも把握できるし、迎撃の準備も余裕を持ってできる」
「けど、ここが戦場になるんじゃあ……」
「作戦を成功させなきゃあ今後もっと大きな被害が出る。それに、こっちには捕虜がいるんだ。さしもの対賊隊も、救出まで暴れ回るわけにはいかないはずだ」

 知事は壇上を降りながらまた言う。

「それにたとえ武器調達ができなくても<ハニーディッパー>は充分ある。おまえたちがしくじらなければ、我々は革命の英雄となれる」

 そして、リーユイたちは解散した。
 一人、また一人と席を立ち、リーユイも立ち上がる。
 すると、仲間が声をかけてきた。

「なあ……おまえ実働部隊だろ?」
「そうだけど……」
「ライドールの整備、大丈夫か? 前に緩衝フルード交換しなきゃって言ってたろう……? もうしたのか?」
「まだだけど、大丈夫だよ。劣化してサラサラになってもそんなに性能落ちないでしょ」
「心配なんだよ……タイダリアスの連中に頼んで新しいの貰ったらどうだ? ほら、おまえ良い感じなんだろ? あの、黒いヴィマーセ乗ってる傭兵とさ……」

 ラジービのことか、と彼女は思い、仲間の男から目を逸らす。

「情報収集と隙作りのためだよ。大事なショーケウを政府のやつらに任せておけない」

 それに、これ以上迷惑はかけたくない。

 リーユイは本音を、心の内に秘めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

処理中です...