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第2話 密会

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 心療内科の診察室にて。

「それじゃ、次は1週間後ね。それと……、はいこれ。受け取って。拒否権はないわよ」

 飛鳥は優衣から渡された、2つに折りたたまれたメモを受け取り、開く。

 そこには優衣のフルネームと連絡先が書いてある。

「これは……?」

 優衣は口元に人差し指を当てて、秘密、というポーズをとって何も言ってこない。

「失礼します」

 飛鳥はとりあえずメモを黄色いパーカーのポケットに入れて診察室を出て会計を済ませると薬局へ行った。

 処方されたお薬を受け取り、会計を済ませて薬局を出ると、もう一度メモを開く。

 鞄に仕舞っていたスマホを取り出し、アプリを開くが、

「まさか、ね。お医者さんとなんて、いやまさか……」

 すぐに閉じた。

 それでもどうしても今日のうちに聞きたいことがあった飛鳥は、その日優衣の最後の診察が終わり、2階の診察室から優衣が出てきて、飛鳥の前に立ったところで聞いた。

「どうして私にこれを?」
「その質問に対する返答の前に、もっと静かで落ち着いた場所に移動しましょ」
「はい」

 飛鳥は「はい」しか言えない。

 着いた先は喫茶店の一番奥の角席だった。

 飛鳥が壁側の席に座り、優衣はカプチーノとエスプレッソをテーブルの上に置くと、飛鳥と向かい合うように座った。

 優衣はエスプレッソを飛鳥のほうに置いてくれた。

 飛鳥がエスプレッソをひとくち飲んだところで、優衣が質問に対してようやく答えた。

「さっきの質問なんだけど、私にとってあなたはもう特別な存在なの」
「それはどういう……?」
「私、初診の時からあなたに恋しているの。この恋は諦めないわ」

 優衣に「今度は私から質問よ」と言われた。

「どうしてあの日、飛び降りようとしたの?」

 飛鳥は俯いて答えた。

「それは、友達も彼氏もいなくて、一人暮らしだし、孤独を常に感じていたから」
「その孤独感から逃れるために、飛び降りたのね」
「そうです」
「片手、どっち側でも良いから出して」

 優衣に言われ、右手を出すと、優衣の温かい両手に包まれた。

「あなたはもう、独りじゃないわ。私と繋がっているから。ねぇ、LINEの交換しない?」

 飛鳥はもうひとくちエスプレッソを飲むと優衣とLINEのアドレスの交換をした。

 交換が完了すると、飛鳥は、自分には優衣と繋がりがあるからもう孤独を感じることはないと思えるようになった。

「お互い、飲み終わったら帰ろっか。今日はあたしのおごりだから」

 優衣はコーヒー代もタクシー代も払ってくれた。

 帰路に着くと、飛鳥は優衣とはアパートも一緒で同じ3階に住んでいて、隣人同士であることを知った。

「おやすみなさい」
「おやすみ、飛鳥」
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