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第3話 孤独のない世界線で貴女と
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翌日。大学のお昼休みにまた孤独を感じた飛鳥は優衣にメッセージを送った。
《こんにちは。今、ちょうど大学のお昼休みなので、孤独を感じてメッセージ送りました》
すると、すぐに返信が。おそらく優衣の病院もお昼――12~13時までは休診の時間なのだろう。
《こんにちは。メッセージ送ってくれてありがとう。嬉しい♪ 今日の午後8時にうちに来て。鍋料理食べましょ。 私が作る鍋料理は最高よ。一度食べてみてほしいなぁ。優衣》
《わかりました。では、夜の8時に伺います》
今日は午後は授業は午後4時には終わるので、飛鳥は休み時間にトイレで小説のプロットの続きを書いてやりすごし、午後4時に午後ラストの授業を終えると自宅にすぐに帰った。
午後8時。飛鳥は優衣の自宅にお邪魔する。
――ピンポーン。
「は~い! あら、飛鳥!いらっしゃい! 待ってたのよ。さぁ、入って入って♪ この茶色いスリッパ履いてね」
優衣に片手をぐいぐいとひっぱられながらリビングに到着。鍋の中はぐつぐつしている。
「もう食べごろよ」
そう言いながら、優衣が鍋の中の具とスープを小皿にとりわけてくれた。
「いただきます!」
「いただきます」
ご飯を食べながら、飛鳥は予ねてより気になっていたことを聞く。
「先生は、私のどういうところが好きなんですか?」
優衣はつみれを食べて飲み込んでから答えてくれる。
「わたしね、実は同性愛者なの。だから、男性より女性のが恋愛対象なの。飛鳥はその中でも私の好みの色のファッションや好みの容姿をしているし、なにより、優しい性格をしているがゆえに悩むところとか、自己犠牲を抱くところが特に好きなのよ」
「ほとんど私が相談した内容じゃないですか」
「そうだ、飛鳥! ふたりきりの時はわたしのこと下の名前で呼んでよ。これは2人だけの秘密ってことで」
「わかりました、優衣さん」
「呼び捨てで良いわよ。それで、飛鳥はわたしのこと、好きなの?」
「それはもちろんですよ。こんなコンプレックスの塊でばかな私を好いてくれる人なんて優衣さんぐらいです。私、 優衣さんのこと好きです。改めて宜しくお願いします」
器と箸をテーブルの上に置いて、座っていた椅子の横で土下座した。
「あらあら、飛鳥! 土下座なんてしなくていいのよ? もう、大げさなんだから」
「これからは、私たちは恋人関係になるのでしょうか?」
「そうね。飛鳥が私を好いてくれている限りは」
「ありがとうございます」
「さぁ、どんどん食べて! わたしより若いんだから、モリモリ食べてくれて良いんだからね♡」
鍋料理を食べ終えると、優衣が大型の薄型テレビの横の引き出しから鍵を取り出して飛鳥によこした。
「これ、うちの合鍵。いつでも来てくれていいから」
「えっ、良いんですか、私にこのような物?!」
「良いの、良いの! わたしと飛鳥は恋仲でもあるんだし。これはその証よ」
「わかりました。受け取ります」
飛鳥は受け取った合鍵を鞄の中に仕舞った。
「さて、そろそろ寝る時間ね。私はお風呂入ってから寝るけど、飛鳥は?」
「今日は授業があって疲れてるのですぐ寝たいです」
「わかった。じゃあ、私が処方した眠剤を飲んで眠くなってから寝てね。お薬が効いてくるまではちょっと時間かかるから」
「わかりました。そうします」
優衣が浴室へ移動している間に飛鳥は一度自宅に帰って眠剤が入った袋を持って優衣の家に戻って鞄からミネラルウォーターを取り出して眠剤と一緒に飲んだ。
眠くなるまで、飛鳥は小説のプロットの続きを小一時間書き進めた。飛鳥は今、長編小説を書いているのだ。
「あ、そうだ。聞き忘れた」
「なぁに、飛鳥? どうしたの?」
脱衣所から優衣が薄ピンクのネグリジェ姿で出てきた。
「寝室はどこですか?」
「ちょうどいいわ。一緒に寝ましょ。わたしについてきて」
「はい」
その日の夜、飛鳥は優衣と同じベッドで寝た。
後日、何故優衣は一人暮らしなのにダブルベッドが寝室にあるのか聞いたところ、いつか飛鳥と一緒に暮らすために事前に買い替えたかららしい。
翌日、飛鳥は大学の授業が午後からあるため、朝6時から何度寝かを繰り返して11時に目が覚めた。
起き上がってから、今日は授業が午後からあることに心底安堵した。
周囲を見ると優衣がいないことから、優衣は病院に出勤したんだと飛鳥は察した。
飛鳥は倒れた日からずっと持ってる厚手のコートを着て優衣の家を出ると鍵をかけ、自宅へ帰った。
鞄に入れていたスマホを取り出して新作の恋愛小説のプロットを少し書き進めた。
それからノートパソコンを開き、起動させた。 廼訪飛鳥は母親の廼訪満恵から毎月仕送りを貰いながら都内で一人暮らしをしている。
友達は誰もいない。
彼氏もいない。
でもそれはある意味仕方ないのかもしれない。
だって飛鳥は、今まで単独行動を好んできたから。
広い校舎のある大学に入学してから、大学の休み時間――特にお昼休みは酷い孤独感を抱くようになった。
高校時代まではあれほど単独行動を好んでいたのに。広いキャンパスで薬学をまなぶようになってから、自分が如何に孤独な存在かを知るようになった。
それは休日も変わらない。
一人暮らしだからだ。
1人で家に居るこのつらさ。
寂しさ。
孤独。
すべてを嫌というほど、息も詰まりそうなほど体感してきた。
でも今は、斎藤優衣という心療内科医に好かれて、他人との繋がりを得た。これは飛鳥にとって大きな変化だった。
飛鳥は冷蔵庫から微糖のコーヒーを取り出し、クマの柄のマグカップに注ぎ、更に牛乳を少し混ぜてからレンジでチンした。
レンジから、温かくなったカフェオレの入ったマグカップを、大きな机の上の、ノートパソコンの近くに置いた。
パソコンのロック画面にパスワードを入力してログインすると、お手製カフェオレをひとくち飲んだ。
飛鳥はスマホをノートパソコンの隅に立てかけて、パソコンではメモ帳を起動させて、原稿の続きを数行書くと、上書き保存して閉じ、パソコンをシャットダウンさせ、ノートパソコンを閉じて、USBは挿したままで、大学へ行く身支度を始めた。
勿論、スマホのメモ帳アプリも閉じて、ロック画面にしてから鞄に入れた。
《こんにちは。今、ちょうど大学のお昼休みなので、孤独を感じてメッセージ送りました》
すると、すぐに返信が。おそらく優衣の病院もお昼――12~13時までは休診の時間なのだろう。
《こんにちは。メッセージ送ってくれてありがとう。嬉しい♪ 今日の午後8時にうちに来て。鍋料理食べましょ。 私が作る鍋料理は最高よ。一度食べてみてほしいなぁ。優衣》
《わかりました。では、夜の8時に伺います》
今日は午後は授業は午後4時には終わるので、飛鳥は休み時間にトイレで小説のプロットの続きを書いてやりすごし、午後4時に午後ラストの授業を終えると自宅にすぐに帰った。
午後8時。飛鳥は優衣の自宅にお邪魔する。
――ピンポーン。
「は~い! あら、飛鳥!いらっしゃい! 待ってたのよ。さぁ、入って入って♪ この茶色いスリッパ履いてね」
優衣に片手をぐいぐいとひっぱられながらリビングに到着。鍋の中はぐつぐつしている。
「もう食べごろよ」
そう言いながら、優衣が鍋の中の具とスープを小皿にとりわけてくれた。
「いただきます!」
「いただきます」
ご飯を食べながら、飛鳥は予ねてより気になっていたことを聞く。
「先生は、私のどういうところが好きなんですか?」
優衣はつみれを食べて飲み込んでから答えてくれる。
「わたしね、実は同性愛者なの。だから、男性より女性のが恋愛対象なの。飛鳥はその中でも私の好みの色のファッションや好みの容姿をしているし、なにより、優しい性格をしているがゆえに悩むところとか、自己犠牲を抱くところが特に好きなのよ」
「ほとんど私が相談した内容じゃないですか」
「そうだ、飛鳥! ふたりきりの時はわたしのこと下の名前で呼んでよ。これは2人だけの秘密ってことで」
「わかりました、優衣さん」
「呼び捨てで良いわよ。それで、飛鳥はわたしのこと、好きなの?」
「それはもちろんですよ。こんなコンプレックスの塊でばかな私を好いてくれる人なんて優衣さんぐらいです。私、 優衣さんのこと好きです。改めて宜しくお願いします」
器と箸をテーブルの上に置いて、座っていた椅子の横で土下座した。
「あらあら、飛鳥! 土下座なんてしなくていいのよ? もう、大げさなんだから」
「これからは、私たちは恋人関係になるのでしょうか?」
「そうね。飛鳥が私を好いてくれている限りは」
「ありがとうございます」
「さぁ、どんどん食べて! わたしより若いんだから、モリモリ食べてくれて良いんだからね♡」
鍋料理を食べ終えると、優衣が大型の薄型テレビの横の引き出しから鍵を取り出して飛鳥によこした。
「これ、うちの合鍵。いつでも来てくれていいから」
「えっ、良いんですか、私にこのような物?!」
「良いの、良いの! わたしと飛鳥は恋仲でもあるんだし。これはその証よ」
「わかりました。受け取ります」
飛鳥は受け取った合鍵を鞄の中に仕舞った。
「さて、そろそろ寝る時間ね。私はお風呂入ってから寝るけど、飛鳥は?」
「今日は授業があって疲れてるのですぐ寝たいです」
「わかった。じゃあ、私が処方した眠剤を飲んで眠くなってから寝てね。お薬が効いてくるまではちょっと時間かかるから」
「わかりました。そうします」
優衣が浴室へ移動している間に飛鳥は一度自宅に帰って眠剤が入った袋を持って優衣の家に戻って鞄からミネラルウォーターを取り出して眠剤と一緒に飲んだ。
眠くなるまで、飛鳥は小説のプロットの続きを小一時間書き進めた。飛鳥は今、長編小説を書いているのだ。
「あ、そうだ。聞き忘れた」
「なぁに、飛鳥? どうしたの?」
脱衣所から優衣が薄ピンクのネグリジェ姿で出てきた。
「寝室はどこですか?」
「ちょうどいいわ。一緒に寝ましょ。わたしについてきて」
「はい」
その日の夜、飛鳥は優衣と同じベッドで寝た。
後日、何故優衣は一人暮らしなのにダブルベッドが寝室にあるのか聞いたところ、いつか飛鳥と一緒に暮らすために事前に買い替えたかららしい。
翌日、飛鳥は大学の授業が午後からあるため、朝6時から何度寝かを繰り返して11時に目が覚めた。
起き上がってから、今日は授業が午後からあることに心底安堵した。
周囲を見ると優衣がいないことから、優衣は病院に出勤したんだと飛鳥は察した。
飛鳥は倒れた日からずっと持ってる厚手のコートを着て優衣の家を出ると鍵をかけ、自宅へ帰った。
鞄に入れていたスマホを取り出して新作の恋愛小説のプロットを少し書き進めた。
それからノートパソコンを開き、起動させた。 廼訪飛鳥は母親の廼訪満恵から毎月仕送りを貰いながら都内で一人暮らしをしている。
友達は誰もいない。
彼氏もいない。
でもそれはある意味仕方ないのかもしれない。
だって飛鳥は、今まで単独行動を好んできたから。
広い校舎のある大学に入学してから、大学の休み時間――特にお昼休みは酷い孤独感を抱くようになった。
高校時代まではあれほど単独行動を好んでいたのに。広いキャンパスで薬学をまなぶようになってから、自分が如何に孤独な存在かを知るようになった。
それは休日も変わらない。
一人暮らしだからだ。
1人で家に居るこのつらさ。
寂しさ。
孤独。
すべてを嫌というほど、息も詰まりそうなほど体感してきた。
でも今は、斎藤優衣という心療内科医に好かれて、他人との繋がりを得た。これは飛鳥にとって大きな変化だった。
飛鳥は冷蔵庫から微糖のコーヒーを取り出し、クマの柄のマグカップに注ぎ、更に牛乳を少し混ぜてからレンジでチンした。
レンジから、温かくなったカフェオレの入ったマグカップを、大きな机の上の、ノートパソコンの近くに置いた。
パソコンのロック画面にパスワードを入力してログインすると、お手製カフェオレをひとくち飲んだ。
飛鳥はスマホをノートパソコンの隅に立てかけて、パソコンではメモ帳を起動させて、原稿の続きを数行書くと、上書き保存して閉じ、パソコンをシャットダウンさせ、ノートパソコンを閉じて、USBは挿したままで、大学へ行く身支度を始めた。
勿論、スマホのメモ帳アプリも閉じて、ロック画面にしてから鞄に入れた。
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