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2章

お祭り開催 その4

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 ヒール通りを孤児院に向かって歩いて行くと孤児院の手前に衛兵の詰め所が見えてきた。

詰め所の前には若い衛兵が周りを警戒するように立っていた。

 「しかし、随分大きいの建てたなー」
 などと独り言を言っていると後ろから声をかけらえた。

「よっ、ヒデさんおはよう。詰め所に何か用かい?」
聞き覚えのある声に振り返って挨拶をする。

「おはようございます。ゲイルさん。用はないですけど立派なのが出来たなーと思って見てました」

「そうなんだよ。最初の話ではこの半分ぐらいの大きさのはずだったんだがな。何かどっかのお偉いさんの手回しをしてくれたらしくてこんなデカいのになっちまったんだよ」

「へ、へー、お偉いさんがー」
 ん?お偉いさんって誰の事だ?領主様か?いや、あの人は場所なんかの指示は俺に聞いてくれって言ってたくらいだからそんな細かい事まで口出さないだろうし。

 まあ、十中八九あの人だろうな。ブルースさんしか考えられない。

「まあ、そのお偉いさんが追加の金額なんかを寄付してくれたみたいでな。折角デカいのが出来たから衛兵の宿舎も兼ねて使おうって事になったんだよ」

「ハハ、なるほど。寄付ですか殊勝な方もいるもんですねー」
絶対、ブルースさんの思惑通り進んでるよねこれ。

まあ、孤児院の近くに衛兵の宿舎があるのは安心できて良いのは俺も一緒だけどね。

「隊長、見回りから戻りました」
その声を聞いて考えを中断させて顔を上げると、ゲイルさんの前で若い衛兵二人が敬礼の形で立っていた。

「おう、ご苦労さん。今なん隊出てる?」
「ハッ、今は自分達が戻りましたので。一隊が出ております」
「んー、思ったより人通りが多いいようだから追加でもう一隊出しておけ」
「ハッ、至急手配いたします」
もう一度敬礼をすると詰め所に戻っていった。

「ゲイルさんもこっちの勤務?」
「ん?ヒール通りの時もあるが大体は門の方が多いいかな。家より近いから宿舎に泊まる事も多いと思うけどな。ガハハ」

 バンバンと人の背中を叩く。痛い痛い。

「じゃあなヒデさん。今日はこっちにずっと詰めてるから何かあったら来てくれよ」
「はい、俺も今日はヒール通りをウロウロしてますので、何かあったらお願いしますね」

「おう、任せとけ。ってなにも無いのが一番だけどな。ガハハ」

 豪快に笑って詰め所に戻って行く。

 さて、結構時間食っちゃったから急いで孤児院に向かわないと。
 少し急ぎ足で孤児院に向かう。

 いつもは閉まっている孤児院の門が今日は全開で開いている。

 門の上の方に子供達が自分達で作ったのだろう。

 ”こどもひろば”

 と書かれた周りに前に教えた折り紙の花や船など色々な物が張り付けてある看板が飾ってあった
その看板をほっこりしながら見ていたら声をかけられた。


「ヒデそんな所でニヤニヤしながら立ってると衛兵に連れていかれるぞ?」
 声の聞こえた方に顔を向けると顔なじみの冒険者が三人いた。

「ニヤニヤじゃない、ほっこりしてたんだよ」
「そうなのか?そんな事より俺達ここの警備頼まれたんだけどよ、もっとキャロラインさんの印象に残る様な仕事をしたい」

「ん?どういう事?警備も大事な仕事だよ?」
「それは、わかっている。そうじゃなくてもっとこうー、なんていうかキャロラインさんにアピールしたい」

「それなら頼まれた時にキャリーさんに言えばよかったのに」

「キャロラインさんにお願いしますって言われたら断れないだろ?」


「正直だね君、まあ気持ちはわかるけどな。でもなにかあったかなー‥‥‥あっ!」
「お?何かあるのか?」

 思いついたことを話そうとした時、横からいつもの元気な四人組の声が聞こえた。

「「「「ヒデ兄(師匠)おはようー。遅いよー」」」」
「おはよー。ゴメンゴメン色々あってさ。それより、ボール当ての役誰がやるか決まった?」

トランが素早く答える。
「あ、それやっぱり看板立ててやる事にしたみたいだよ。院長先生やキャリー姉がやってもいいって言ってたけどさあ」

「流石にそれは無いって事になって看板立てる事になったんだよねー」
ハルナがミラに話しかける。
「うん、私が描いた看板にするって」

 まあ、それでもいいけど。どうしようかなー

「三人とも警備じゃなくて他の仕事がいいの?」

「いや、俺達はここで警備してるぞ。子供の相手するより楽そうだしな」

「うん、わかった。警備よりきついかもだけど良いの?」
「おお、良いぜー、それにその方がキャロラインさんにアピールできるじゃねえか」

「あぁー、まあいいかやる気満々みたいだし。じゃあついてきて」

 ゲン達に頭の上のルノを渡してから二人で店が並ぶ裏に回る。


 丁度キャリーさんが看板を出している所だった。

「キャリーさんお待たせ。時間かかっちゃってごめんねー」
「お師匠様、大体は準備できましたわ」

「うん、そうみたいだね。それでね、この人がアレの役をしてくれるって」
「まぁー、ほんとうですの?」

「うん、キャリーさんが困ってるって言ったら是非やらせてくれって。なあ?」
「お、おうよー。何でも言ってくれ俺にかかれば何だって出来るぜー」

「まあ、頼もしいですわー。やはり、私達の様に経験者でないとわからない事もありますからね」
にこやかに答えるキャリーさん

「え?え?け、経験者?お、お、俺が?」
 顔を真っ赤にしてどもっている。

 あーこいつ何か変な勘違いしてないか?訂正しとかなきゃと思って話しかけようとしたのだが先にキャリーさんが話しかけた。

「それでは、用意がありますからそこの小屋に入ってもらっていいですか?服を脱いでおいてもらうと早く済みますのでお願いしますね。直ぐに戻りますので少しお待ちください」
そう言い残すとキャリーさんは速足で歩いていった。

「ええ?服を?それにあの小屋で‥‥‥そうかーついにこの時がきたか。大人の階段を上る時が」

 絶対に勘違いしてるな、ちゃんと訂正しておかないと可哀想すぎる。

「ちょっと、落ち着いて。お前なんか勘違いしてーーー」
 訂正してやろうと声をかけたが遮られた。

「おいおい、ここまで来て邪魔するのかヒデ、男の嫉妬は醜いぜー。まあ、俺の様な経験者に嫉妬するのは仕方ないがな。ハハハ」

イラッ!

「いや、そうじゃなくて。お前何かかんちーーー」

「ハハハ、悪いなヒデ、色々と用意があるんで俺は小屋の方に行くぜ。ハーハハハッ」
 笑いながら小屋に走っていった。

「あー、もういいや。深いトラウマにならなきゃいいけどな」


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