異世界ものに飽きた君はしかし現実が嫌い

mirenai

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建前

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「義則くん、飲みに行きましょうよ」

ここのところ、ほぼ毎日誘われる。

町田さんは彼氏がいない。

僕より2つ歳上の先輩だ。

「町田さん、先日行ったばかりですよ」

「そっか、忘れてた」

正直なところ、迷惑だった。

僕はお酒があまり好きではないし、他の人と食事をするより独りの方が好きだから。

それでも町田さんは、週に二回ほど僕を飲みに誘ってくる。



「いい話じゃないか。仲睦まじくてさ」

「勘弁してくださいよ」

同僚の田中は、タバコの煙でわっかを作って遊んでいる。

「僕だったら断れない性格だから、だから誘うんですよ」

「義則、それ喧嘩売ってるのか?」

「え?」

田中は深々とため息をつく。

「惚気を聞かされる身にもなってくれって事だよ。俺は独身だぞ」

「やめてくださいよ、そういう関係じゃありません」

「義則、お前酒に弱いよな」

「それが何か」

田中は煙草を消し、ひとしきり悩んで話す。

「実はな、入社式の飲み会で、義則、お前町田さんに告白してるんだよ。飲みすぎて記憶を失ってるのか、トボけてるのかは知らないが。いや、多分この場合は前者か」

息がつまる。

僕が? 町田さんに?

「町田さんは驚いてたけど、返事はOKだった。勿論社員みんながお前ら2人は付き合ってることを知ってる。お前は結構内向型の性格だから、あんまり言葉にしないんだと見てたが」

そんなはずはない。

そんなはずは。

「俺が思うに、町田さんはお前に会いたいんだよ。会社で作ってる嘘で固められたお前じゃなくて、意識を無くすほど飲んでようやく本音を話す本物のお前に会いたいんだよ」



僕は、いい人になりたい。

皆からよく思われたいから、基本的に深入りはしない。

浅く程々に、自分の気持ちは第2優先。

夢も希望も他人次第。

でももし、本当の事が言えるなら。

本当の自分の気持ちに正直になれるなら。

僕は。

「町田さん


今日飲みに行きませんか」
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