異世界ものに飽きた君はしかし現実が嫌い

mirenai

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宝物

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「お兄ちゃん、パソコンがないよ」
「そうだな」

パソコンがない。
もうゲームが出来ない。
パソコンは五千円に変わったんだ。

妹はパソコンのあった机をそっと撫でる。

「大切なものじゃなかったの。毎日何時間もゲームに費やして、いつか大会に出るってお兄ちゃん言ってた」
「そうだな、そんなことを言ってたな」
「諦めたの」

どうだろう。
実際パソコンを売ったのは、親のお金を勝手に使ってしまった埋め合わせでもあり、仕事をしなくなってしまう誘惑を断ち切る為でもある。

「お兄ちゃん」
「もうそれ以上は言うな」

五千円札を握り締めながら、ボロボロと涙を流した。

楽しい毎日だった。
色々なゲームをして、配信に挑戦もしたりした。
ネットで友達も出来たし、ボイスチャットも面白かった。

でももうパソコンがない。
ここにない。

売ったら無くなる
そんな当たり前の事が、本当に辛かった。

俺はきっと正しい。
でも、そんな正しさはいらなかった。
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