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第四十九話 散策
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翌日、昼過ぎまでしっかりと休息をとった俺たちは、ニコとレオナに魔石などを換金するためにギルドへ向かってもらい、俺とアメリア、オリビアの三人はベッキースまでの足を確保するために荷馬車組合へと向かうことにした。
朝方カニ男に絡まれたりもしたが、その時別行動していたアメリアが意識のないエビ男をズルズル引きずってきたところで、奴らはエビ男を連れて逃げていった。
魔石などの鑑定にもある程度時間も必要になるだろうから、荷馬車は明日出発のものを探すつもりでいる。
手頃なクエストがあれば受けるつもりでいたし、足を確保でき次第ギルドで落ち合う約束をしていた。
「──あ」
レオナたちと別れ、荷馬車組合を目指して歩くこと数分、オリビアが何かを見つけたようだ。
オリビアの視線の先を見ると、一件のバーガーショップが目に入る。
「少し寄っていこうか」
「はい」
店は簡素な佇まいであったが、既に数人の列ができており、それなりに繁盛していることが窺えた。
順番を待ち、忘れずにレオナたちの分のバーガーも買ってから店を後にする。
荷馬車組合へと着いた俺たちは、明日ベッキースへと向かう馬車を探す。今回は商隊と時間が合わなかったため、少し値は張るが、ベッキースと往復している馬車を一台借りることにした。
「レオナ」
「ルシェフさん……!」
ギルドに着き、ニコと二人で椅子に座って席を確保しながら待っていたレオナに声をかけると、途端に彼女の表情が晴れやかになった。
「何か手頃なクエストはありそうだったか?」
俺の言葉に、レオナは首を横に振って答える。
「そうか。鑑定はどのくらいかかりそうだって?」
「夕方頃までみたい」
「ブラウンさん、あれ開けませんか?」
レオナと話していると、待ちきれないといったオリビアにバーガーを出すように催促される。
「わかったよ」
ギルドで適当に空いてる席へ陣取り、自身のバッグに手を入れて【四次元空間】から人数分のバーガーが入った袋を取り出す。
「この店、知ってたんだ……」
バーガーを受け取ったニコが、珍しそうにそう漏らした。
「ニコも知ってる店だったのか?」
「うん。子供の頃に来たことがあったから」
「そうなのか」
出身は東の国らしいし、そういうこともあるのだろう。
食後は特に用事もないので、各自自由行動ということになったから宿に戻って鉱石の生成をしようとしたら、オリビアに腕を掴まれた。
──自由行動とは何だったのだろうか。
オリビアに捕まり、仕方なく鉱石は諦めて全員で町を散策することにする。
ギルドを出ると、視界には疎らにバーガーショップや各々の専門分野の商品を扱う露店が確認でき、さらには何をしているのかすらわからないような店まである。
東の国は、中央や西とも違った独自の文化が発展しているため、町の風景も一風変わったものになっていた。
「あそこ寄りたい」
町の散策を始めてから数分、レオナが一件のブティックを指してそう言った。
俺としては、戦場にはあまり良い思い出がないため、それとなく近くの店に逃げようと試みる。
それを察知したオリビアには捕まったものの、あまり拘束しても可哀想だからというニコの一言で、難を逃れることができた。
「アメリア、向こう行かなくて良かったのか?」
「うん。こっちに来た方が面白そうだったし」
アメリアと二人、近くにあった薬師の運営する露店で必要なものを揃える。
「これは?」
アメリアが、興味深げに瓶に詰められた粉末を手に取る。
「緑茶だ。東の国の紅茶みたいなものだよ」
「薬じゃないの?」
「あぁ。東の国では、薬屋に薬しか置いてないなんてことはないよ。それに、緑茶はこの辺りの名産だからな」
場所によっては、専門の品が二割で売れそうな品が八割みたいな専門店もあるからな。
自身の専門も売れれば置くが、それよりも稼げるものを手広く扱う、実に東の国らしい立ち回りだ。
「そうなんだ」
アメリアは少し不思議そうに瓶を見つめ、そっと元の場所に戻した。
「お待たせ」
露店にいた薬師と相談しながら、必要な薬品などを揃えていると、ブティックに行っていたレオナたちが帰ってきた。
「……どう、かな?」
黒を基調として金色の柄が入った、絹が多分に使われている東の国特有の民族衣装に着替えたレオナが、照れるように少し頬を染めながら俺の顔色を窺ってくる。
どうやら、早速着てみたらしい。
「可愛いよ」
「ありがと……ルシェフさんたちは、暫くかかりそう?」
「あぁ。後数分くらいかな」
レオナと共に俺たちと合流し、冷やかし半分に品物を見ていたオリビアが何かに気づいて立ち止まった。
「どうした?」
「いえ……良い緑茶だなと」
大分声を潜めたオリビアが、さっきアメリアの手に取っていた瓶を持つ。
どうやら、あの緑茶はそれなりに良いもののようだ。
オリビアが即決で緑茶を買い、俺の必要な品の会計が済んだところで、薬師の店を後にした。
夕方になり、一通りマカァドナラドの町を満喫した俺たちは、魔石などの換金額を受け取りにギルドへと向かう。
今回の換金額は、《青薔薇の女王》の魔石が大半を占めるだろうが、ニコの見つけた謎の薬品の価値も気になるところだ。俺たちの中には、あれが何の薬品か分かる人間がいなかったからな。
「魔石の換金額を受け取りに来た。《青薔薇の女王》の討伐証明も頼む」
ギルドの受付へと真っ直ぐに向かい、受付の女性に短くそう伝える。
「かしこまりました」
受付の女性は、俺の顔を見るなり書類を探し始め、その書類を確認してから俺たちの前に差し出した。
「こちらが今回の換金額になります」
「──は?」
明らかに、0の数が多い。何かの間違いではないのだろうか。
そう思い、詳細を確認すると、例のドロップアイテムが変な金額で買い取られているようだった。俺たちには、良く分からない体液でしか無かったが、ギルド的には貴重なものだったのだろう。
「そしてこちらが討伐証明になります」
何やら机の下にある引き出しの書類をまさぐっていた受付嬢が、頃合いを見て一枚の紙を差し出す。
「ありがとう」
紙を受け取り、内容を確認する。内容は問題なさそうなので、後はこれを王女へ渡せば終わりだ。
受付の女性から魔石などの換金額も受け取り、ギルドを出た後は、適当なところへ夕食に向かう。
ギルド内にも酒場のようなものはあったが、《饒舌の魔女》が騒いで問題を起こしでもしたら、《沈黙の魔女》と《西の国の悪魔》が東の国入りしていることがバレる可能性があったので、今回は他を探すことにした。
朝方カニ男に絡まれたりもしたが、その時別行動していたアメリアが意識のないエビ男をズルズル引きずってきたところで、奴らはエビ男を連れて逃げていった。
魔石などの鑑定にもある程度時間も必要になるだろうから、荷馬車は明日出発のものを探すつもりでいる。
手頃なクエストがあれば受けるつもりでいたし、足を確保でき次第ギルドで落ち合う約束をしていた。
「──あ」
レオナたちと別れ、荷馬車組合を目指して歩くこと数分、オリビアが何かを見つけたようだ。
オリビアの視線の先を見ると、一件のバーガーショップが目に入る。
「少し寄っていこうか」
「はい」
店は簡素な佇まいであったが、既に数人の列ができており、それなりに繁盛していることが窺えた。
順番を待ち、忘れずにレオナたちの分のバーガーも買ってから店を後にする。
荷馬車組合へと着いた俺たちは、明日ベッキースへと向かう馬車を探す。今回は商隊と時間が合わなかったため、少し値は張るが、ベッキースと往復している馬車を一台借りることにした。
「レオナ」
「ルシェフさん……!」
ギルドに着き、ニコと二人で椅子に座って席を確保しながら待っていたレオナに声をかけると、途端に彼女の表情が晴れやかになった。
「何か手頃なクエストはありそうだったか?」
俺の言葉に、レオナは首を横に振って答える。
「そうか。鑑定はどのくらいかかりそうだって?」
「夕方頃までみたい」
「ブラウンさん、あれ開けませんか?」
レオナと話していると、待ちきれないといったオリビアにバーガーを出すように催促される。
「わかったよ」
ギルドで適当に空いてる席へ陣取り、自身のバッグに手を入れて【四次元空間】から人数分のバーガーが入った袋を取り出す。
「この店、知ってたんだ……」
バーガーを受け取ったニコが、珍しそうにそう漏らした。
「ニコも知ってる店だったのか?」
「うん。子供の頃に来たことがあったから」
「そうなのか」
出身は東の国らしいし、そういうこともあるのだろう。
食後は特に用事もないので、各自自由行動ということになったから宿に戻って鉱石の生成をしようとしたら、オリビアに腕を掴まれた。
──自由行動とは何だったのだろうか。
オリビアに捕まり、仕方なく鉱石は諦めて全員で町を散策することにする。
ギルドを出ると、視界には疎らにバーガーショップや各々の専門分野の商品を扱う露店が確認でき、さらには何をしているのかすらわからないような店まである。
東の国は、中央や西とも違った独自の文化が発展しているため、町の風景も一風変わったものになっていた。
「あそこ寄りたい」
町の散策を始めてから数分、レオナが一件のブティックを指してそう言った。
俺としては、戦場にはあまり良い思い出がないため、それとなく近くの店に逃げようと試みる。
それを察知したオリビアには捕まったものの、あまり拘束しても可哀想だからというニコの一言で、難を逃れることができた。
「アメリア、向こう行かなくて良かったのか?」
「うん。こっちに来た方が面白そうだったし」
アメリアと二人、近くにあった薬師の運営する露店で必要なものを揃える。
「これは?」
アメリアが、興味深げに瓶に詰められた粉末を手に取る。
「緑茶だ。東の国の紅茶みたいなものだよ」
「薬じゃないの?」
「あぁ。東の国では、薬屋に薬しか置いてないなんてことはないよ。それに、緑茶はこの辺りの名産だからな」
場所によっては、専門の品が二割で売れそうな品が八割みたいな専門店もあるからな。
自身の専門も売れれば置くが、それよりも稼げるものを手広く扱う、実に東の国らしい立ち回りだ。
「そうなんだ」
アメリアは少し不思議そうに瓶を見つめ、そっと元の場所に戻した。
「お待たせ」
露店にいた薬師と相談しながら、必要な薬品などを揃えていると、ブティックに行っていたレオナたちが帰ってきた。
「……どう、かな?」
黒を基調として金色の柄が入った、絹が多分に使われている東の国特有の民族衣装に着替えたレオナが、照れるように少し頬を染めながら俺の顔色を窺ってくる。
どうやら、早速着てみたらしい。
「可愛いよ」
「ありがと……ルシェフさんたちは、暫くかかりそう?」
「あぁ。後数分くらいかな」
レオナと共に俺たちと合流し、冷やかし半分に品物を見ていたオリビアが何かに気づいて立ち止まった。
「どうした?」
「いえ……良い緑茶だなと」
大分声を潜めたオリビアが、さっきアメリアの手に取っていた瓶を持つ。
どうやら、あの緑茶はそれなりに良いもののようだ。
オリビアが即決で緑茶を買い、俺の必要な品の会計が済んだところで、薬師の店を後にした。
夕方になり、一通りマカァドナラドの町を満喫した俺たちは、魔石などの換金額を受け取りにギルドへと向かう。
今回の換金額は、《青薔薇の女王》の魔石が大半を占めるだろうが、ニコの見つけた謎の薬品の価値も気になるところだ。俺たちの中には、あれが何の薬品か分かる人間がいなかったからな。
「魔石の換金額を受け取りに来た。《青薔薇の女王》の討伐証明も頼む」
ギルドの受付へと真っ直ぐに向かい、受付の女性に短くそう伝える。
「かしこまりました」
受付の女性は、俺の顔を見るなり書類を探し始め、その書類を確認してから俺たちの前に差し出した。
「こちらが今回の換金額になります」
「──は?」
明らかに、0の数が多い。何かの間違いではないのだろうか。
そう思い、詳細を確認すると、例のドロップアイテムが変な金額で買い取られているようだった。俺たちには、良く分からない体液でしか無かったが、ギルド的には貴重なものだったのだろう。
「そしてこちらが討伐証明になります」
何やら机の下にある引き出しの書類をまさぐっていた受付嬢が、頃合いを見て一枚の紙を差し出す。
「ありがとう」
紙を受け取り、内容を確認する。内容は問題なさそうなので、後はこれを王女へ渡せば終わりだ。
受付の女性から魔石などの換金額も受け取り、ギルドを出た後は、適当なところへ夕食に向かう。
ギルド内にも酒場のようなものはあったが、《饒舌の魔女》が騒いで問題を起こしでもしたら、《沈黙の魔女》と《西の国の悪魔》が東の国入りしていることがバレる可能性があったので、今回は他を探すことにした。
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