スタートライン

65 光生side

「光生のせいで髪がグシャグシャだ！」

強めに頭を撫でれば涼は無邪気な笑顔を見せてくれる。

「ねぇ、起こして。」

寝転がっていた俺は涼に手を伸ばした。引っ張ってくれた勢いで体が近づけば涼は下を向いて恥ずかしそうにしている。

「なんで今さら照れてんの。」

「…だって……」

「だって何？さっき俺のちんこ舐めたから？」

覗き込むように強引に目を合わせ涼の柔らかい唇を指で撫でれば頬を赤く染め睨んでくる。

「っっ！！舐めたの一瞬だもん！！」
　
「あ、怒っちゃった。」

ふんっと横を向いたままの涼を無視して体にかけてしまったものを拭けばチラッと俺を見て恥ずかしそうに「ありがと」なんて言って急に素直になる。コロコロと変わるその表情に俺は今日もまた涼に夢中にだ。

「…光生…服着る……」

俺に着させてほしいのか服を渡してきた。こんなにかわいい甘え方をする涼は心臓に悪い。

「………俺も光生の拭きたい。」

服を着させ終わればそんなことを言われ、いや俺は体にかかってないしなんて思っていたら突然俺のものに触れ、これでもかというほど丁寧に拭いてくれる。

「ん、ありがと。」

そんなに触られるとまたすぐに勃ってしまう。早めにお礼を言って自ら素早くズボンを履けばなにか誤解しているのか涼は少し悲しい顔をする。

「ん？ほらこっちおいで？」

そのまま寝転び両手を広げると遠慮がちに俺の体の上に涼が乗ってきた。

「どうしたの、そんな泣きそうな顔して。」

俺の首に顔を埋める涼の頭を撫でればサラサラな髪の毛が指に絡み心地良い。

「…だって…まだ途中だったのに光生すぐにズボン履いちゃったんだもん……俺にされるの嫌だった…？」

こんなにかわいい勘違いを小さな声で教えてくれるところさえ愛おしい。

「嫌なわけないじゃん。」

「でもっ……」

「俺、涼に触られるとすぐに勃っちゃうんだよね。ていうかこうやって抱きしめてる時も、ただ普通に隣に座ってる時だっていつも気持ち抑えるのに必死なんだよ。」

涼が今どんな顔をしているのかはわからないけど何も言わずにコクリと頷いてくれる。

「ダサいでしょ俺。」

自嘲気味に笑えば首を何度も横に振ってくれた。

「…ダサくない……大好き…」

「ふふっ、じゃあ両思いだ。俺も涼のこと大好きだもん。」

元気のない涼の背中をさすれば俺の首につけていた香水を嗅いでいるのか顔をさっきよりも擦りつけてくる。気持ちを抑えるのに必死だって今言ったばかりなのにお構いなしにひっついてくる涼はこの状況に俺がこんなにも頑張って気を紛らわせているなんてきっと知らないのだろう。