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もちだ すしの

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走って学校に行けば途中で光生を見つけた。隣に並ぶと心配そうな顔をしながら顔を撫でてくれるけど本当のことなんて言えない。夜中に光生のことを考えて1人でえっちなことしてましたなんて言えば絶対に引かれる。それにずっと触って欲しかったから不意に触られるとビクッと体が反応してしまった。

「さくらちゃんなんか難しい顔してる!」

体育館に行くと星くんは隣に座っていつものように大きな声で笑ってくる。

「そんなに椎名くんと一緒に食べたかった?」

「え?あっ、光生今ごろ1人だったらどうしようと思って、、」

もちろん一緒に食べたいけどそんなことを言ってしまうとバスケに誘ってくれた星くんに失礼かなと思いなんとなく話を濁す。

「椎名くんすっごいモテるから1人になるなんてことないし大丈夫でしょ!」

「……そっか、、そうだよね、、」

毎日俺が独占して忘れていたけど絶対に女の子たちは光生と一緒に食べたいに決まってる。星くんは「きっと誰かと一緒にいるから心配ないよ」と言ってくれるけど俺は別の意味で心配だ。

「そういえば昨日の夜さくらちゃんすっごい強かったね!すぐクリアできた!」

「へへっ、あれくらいなら余裕だもん!いつでも任せてよ!」

それからゲームの話をしたりバスケをしていればすぐにお昼休みが終わり教室に帰ると光生はいなくて午後の授業にも出ていなかった。今日から星くんの部活を観に行くし少しだけでも話したかったのに放課後になり結局あれから会えていない。

「さくらちゃんが来てくれるのすっごい嬉しい!またいっぱい話せるね!」

そのまま体育館に行けば夢ちゃんが駆け寄ってきてくれる。

「俺も夢ちゃんと話したかったから嬉しい!」

「えー!なになに?私のこと好きになっちゃった?」

ニヤニヤと笑う夢ちゃんがおもしろくて吹き出してしまう。

「あははっ、夢ちゃんのこと大好きだよ!光生の次にね!」

「なにそれー!椎名に負けるなんて悔しい!」

わざとらしく怒るフリをするところがかわいくて大好きだ。それから流れでマネージャーの仕事を手伝えばすごく感謝されてなんだか俺まで嬉しくなる。

部活が終わっても夢ちゃんはまだマネージャーの仕事をしていて星くんは俺のことを送って行くと言ってくれたけど断った。夢ちゃんを1人にするわけにもいかないし俺を送ったあと星くんはまた練習に戻るみたいだったし今日は1人で帰ろう。

「光生はどこに行ったんだろ、、」

あれから姿を見ないから帰る前に教室に一応行ってみるけど誰もいない。もう帰ったのかなと下駄箱を覗いてみるとまだ光生の靴があって心臓がドクッと動く。光生の行く場所をいくつか考えてみるけど保健室ぐらいしか思い浮かばない。

「……もしいたらなんて話しかけよう、、」

お昼休みも微妙に怒ってるみたいだったしそもそもこの前のこともまだ謝ってないしとにかくちゃんと話そう。そう決意して保健室の扉を開ければ先生と目が合いニコッと微笑んでくれる。

「うふふっ、佐倉くんお迎えに来たの?」

「え?」

なんのお迎えかわからず首を傾げると先生はベッドの方を指差す。ベッドに近づきカーテンをそっと開ければ光生が寝ていた。びっくりして先生のところに戻れば小さな声で話しかけてくる。

「椎名くんお昼休みから1回も起きずにずっとそこで寝てるのよ!」

「…え?そうなの?」

てっきり星くんが言った通り女の子たちといるかと思っていたからその言葉にホッとする。

「もうこんな時間だし佐倉くん起こしてあげれば?きっと喜ぶと思うわよ!」

背中をポンポンと優しく叩く先生に俺は首を横に振る。

「んーん、、光生のこと怒らせちゃったからきっと俺が起こすと嫌だと思う、、」

「絶対そんなことないわ!それにもし怒らせたと思うなら一緒に帰りながら謝ればいいじゃない!」

寝ているところを起こすのもなんだか申し訳ないし優しい光生がこれ以上俺に気を遣うところも見たくなくてまた首を横に振ると先生は優しく微笑んでくれる。

「………先生、、俺がここに来たこと光生には内緒にしておいて、、」

「あら、、本当にいいの?」

心配そうな顔をする先生にニコッと笑えば背中をスリスリと撫でてくれた。

「ふふっ、わかったわ!またいつでもここにいらっしゃい!」

「うん!ありがとう!」

先生に手を振りもう一度光生のそばに行き頬にそっと触れる。

「………光生ごめんね、、また明日ね、、」

スベスベの肌を撫でると少し気持ちよさそうな顔をしたような気がして気持ちが溢れてくる。これ以上触れば我慢できなくなりそうで俺は急いで家に帰った。
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