ニートゲーマー異世界へ~荒廃した世界で生き抜きます~

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本編 ~ 第七章 ~

71話 ブリットン警察署 ~兄の優しさ~

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 プリンはドルタが落とした鍵の束に手を伸ばした。


「あぁ⋯⋯俺じゃ無理だ」


 プリンの伸ばす腕は筋肉でゴツゴツしていて、とても鍵の束には届きそうもない。そもそも牢屋の扉の小さな穴からは腕が入りそうもない。


「じゃあ私が」


 私は、食事を出し入れするであろう、扉に付いた小窓に手を伸ばした。
 外の様子はあまり見えない為、腕を肩のほうまで外に伸ばし、パタパタと手を地面に付けながら鍵の束の在処を探った。


パンッパンッパンッーー


「あれ? 鍵が⋯⋯どこだろ」


パンッパンッーーチャリッーーパンパン


「あっ⋯⋯」


 私の手は一度鍵の束に当たり、手をパタパタさせていたせいか、勢いで少し遠くへ飛んでしまった。


「おい、どうした?」


 そのプリンの声を無視し、私は顔の横面を扉に付け腕を精一杯伸ばした。


「ちょっと待って⋯⋯もうちょっと」


 あと少しで鍵の束に手が届きそうだ。





トントントンーー


 こちらへ近付いてくる足音が聞こえた。


「ねぇ、早く! 誰か来ちゃうよォ」


 マールは焦りから私の体を掴み揺らしている。


「あとちょっとだから⋯⋯!」


トントントンーー


 足音は次第に大きくなり益々こちらへ近付いてくる。
 そして牢屋がある扉の前でピタッと足音が止まった。


「おい、まだか?」


カチャーー


「⋯⋯よし!」


 何者かが扉に手をかける音がなるのが聞こえた。それと同時に鍵の束を掴み、素早く腕を引っ込めた。


「ふぅ⋯⋯」


 私は思わず深いため息をついた。


トントントンーー


「何を騒いでいるのですか?」


 間一髪で気付かれなかったが、足音の主は私達の牢屋の前で足を止めそう言った。
 扉越しだがその嫌な声質には覚えがある。私達をこの牢屋に入れたクリスティだ。


パコッーー


 クリスティは小窓を開け、私達の様子を見ている。


「いいですか? 妙な事をしたら即刻皆殺し。それだけは覚えておいて下さい⋯⋯ウフフッ」


 キツイ口調で話した後に、気色悪い笑顔を浮かべ小さく鼻で笑った。
 最初出会った頃とは全くの別人のようだ。
 しかし今はそんな事を気にしている場合ではなかった。
 私はクリスティに対して憎しみしかない。
 何でこんな事をするのかも理解ができなかった。

 クリスティはそれだけ言うと小窓をパタッと閉め、再び中へと帰って行った。


「ふぅ⋯⋯」


 私は再び深いため息をつくと、プリンのほうを見た。


「⋯⋯まずは、いつ脱出するかだ」


 そうだよね。せっかく牢屋の外に出れても見つかったら全て水の泡。ここは慎重に行かないと。


「それと⋯⋯入り口にどうやって向かうかだ」
「あッ! それなら任せてェ」


 名乗り出たのはマールだ。
 マールはずっと警察署にいたわけだし、道案内はマールが適任だと思う。


「よし、じゃあこっから出たら道案内は頼んだ」
「うんッ!」


 マールの目に力が入ったのがわかった。


「私はどうすればいい?」
「テンは万が一戦う事になった時の為に俺と行動してくれ」
「わかった」


 できればマールもいるし戦いは避けたいけど、その時が来たら仕方ないよね⋯⋯?

 管理官も戦闘準備を整えてもらって、私達三人はいざという時にマールを囲んで守れるように、陣形を決めた。
 どこからでも撃てるように、中心にマール、前方にプリン、左右は私と管理官。
 後方も守らなくてはいけない為責任重大だ。

 万が一戦闘になったら即座にこの陣形をとる事にした。
 基本はコソコソと歩かなくてはいけない為、一列になって移動する事に。

 プリン、マール、私、管理官の順で進む事になった。管理官は音がうるさい為、私達の列とは少し離れて最後尾を確認しながら進んでもらう。

 管理官も後で部品見つけて修理してあげないとな⋯⋯。

 ともあれ、これで作戦はバッチリのはず!
 後はいつどのタイミングで牢屋から出るか⋯⋯それだけ。

 それを考えていると突然マールが思い出したかのように話し始めた。


「あのねッ! みんながご飯食べる時がいいよォ。ご飯食べる時はみんな一緒の場所で食べるから、入り口はガラガラだと思うよォ!」
「本当か?」
「うんッ!」
「よし、じゃあ昼飯の時を狙うか」
「ご飯の時に大きい音がするからすぐわかると思うよォ」


 マールの言う通りにすれば何とかなりそうだ。


「どんな音だ?」


 プリンがマールにそう問うと、マールは笑顔で返した。


「ドラム缶だよォ。いつもはあたしが叩いてたのッ!」
「なるほどな⋯⋯それなら行けるかもしれねぇな」


 私達は顔を見合わせて頷いた。
 突破口が見えたと思い、何も喋らずして一致団結したみたいだ。


「いいか、慌てるなよ。音が鳴るまで待て」


 私達は牢屋で暫しの沈黙を過ごした。
 そしてその時が来るのはそう長くはなかった。
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