4 / 24
四話 クリティカルもりもりビルド
しおりを挟む
「この辺かなぁ……」
プレイヤーの噂によると街の地下に隠された墓地があるらしい。敵もあまり強くないし初心者がレベル上げをするのには打って付けだとか。
俺はその噂の地下墓地とやらに来ている。
あれからあの綺麗な女の人には出会えていない。やっぱり偶然だったかな。もう……二度と出会えないのかな。
そんなことを考えながら一歩を踏み出す。
「うわ……暗いな」
こんな薄暗くてジメジメした場所にいるわけないよな。なぜか地面には水たまりが出来てるし……。天井から水が流れてるわけでもないのに。
とりあえず進んでみよう。
「――はぁぁぁ!」
……ん?
い、いたぁぁぁ! まさかのこんな場所に――いたッ!
「あっ……」
「あら? この間の……」
こっちに来る。どうしよう。
「フ、フライです」
とりあえず挨拶だけでも。
「私はメルティ、よろしくね」
「よ、よろしく」
名前を聞けただけでも前進っと。
メルティは迷いのない満面の笑みで手を差し出した。俺は緊張で震える手を抑えながらメルティの手を握った。
それにしてもいつぶりだろうか……女性の手を握ったのは。
「あ、あのぅ……」
「ご、ごめん」
とっさに彼女の手を離す。
そういえばメルティはどうしてこんなところにいるのだろう? 見たところ初心者ってわけでもないだろうし。あのイノシシだって一瞬で倒しちゃったわけだし。
「あの、メルティはどうしてこんな所に? 強そうなのに」
「ちょっと探し物をね。でもここにはないみたい」
そういうと少し悲しそうな顔をした。
「よかったら一緒に探そうか?」
思わず名乗り出てしまったが、よく考えると俺に手伝えることはないよな。普通、自分より弱い人の助けなんていらないだろうし。
「あ、大丈夫。私はもう行くね。ここ、見た目より危険だから奥へ行くなら気を付けてね」
それだけ言うとメルティは地下墓地を後にした。
――危険? ここ、初心者用のダンジョンだろう?
俺はどこら辺が危険なのか想像も付かなかった。
「ここが最奥か」
入り口よりも更にジメジメしていてより薄暗く、地面にはよくわからない骨が沢山散らばっている。
もしかして、ここで息絶えた人の骨……とかそんなわけないよな。
なんかメルティがいうほど敵も強くなかったし、低レベルの俺でも踏破できそうだよな。もしかして最奥のボスがめちゃくちゃ強いとか?
ははっ……そんなことあるわけないか。
俺は最奥に着くと恐る恐る足を進めた。
ぐがぁぁぁ――
突然の地揺れ。
そして魔物の声が……。
この揺れからして、とてつもなくでかい魔物が出そうな雰囲気だ。そう思っていた最中、大きな音を立て地面が割れ、地中からは巨大な骨の竜が姿を現した。
地中から姿を完全に現すと、地面に散らばっていた骨を吸い寄せるように体に吸着し、元々の巨体が更なる巨体に変貌を遂げた。
「え……嘘だろ」
こんな悪魔を俺に倒せというのか。
地下墓地で多少レベルは上がったものの、こんな強そうな魔物がいるなんて聞いてないぞ……。
誰だよ、初心者には丁度いいって言った奴!
でも――まぁ仕方ないか。
出くわした以上倒さないことには、このダンジョンから出られないだろうし。
「――よし!」
俺は覚悟を決め銃を構えた。
骨の竜は長い尻尾を振り回し、爪で地面を叩きつける。
地揺れのせいでまともに立つことも厳しいな。
――ドシャッ!
骨の竜は吸着させた骨たちを再度バラバラにすると、勢いに任せて俺目掛けて飛ばしてくる。そして再び体に吸着させた。
俺は攻撃を寸前で見極めるスキルのおかげで、なんとか避けれてはいるが……長くは続かなそうだ。攻撃する隙を見極めて一撃ずつ確実に入れていかないと……。
「回り込んで一撃でも入れれば……」
敵の攻撃を華麗に避けながら試行錯誤する。
そして――
巨体の内側に入り込み、骨の竜が尻尾を振り回し体を元に戻すその一瞬の隙をついて……!
銃を再び構え、その巨体にエネルギー弾を撃ち込んだ。
――ズゴーン!
「え? い、今のは……?」
何かもの凄いエフェクトが見えたような……手ごたえもある。
これが俗にいうクリティカルというものだろうか。俺の運が勝機を掴んだというのだろうか。
もう一度……! と思ったその時。
グァァァ……ドドド。
「……え?」
目を疑った。
まだ一撃しか入れていない。それも偶然当たって、偶然クリティカルになった攻撃。
クリティカルってそんなに威力高いのか――?
体に吸着していた骨はボロボロと剥がれ、地面に音を立てて落下した。
「えぇぇぇ――?!」
もう死んだのか? す、すごい――
俺は一瞬でクリティカルの虜になった。
よし――
「名付けて――クリティカルもりもりビルド!」
俺はこれを目指すことにした。つまりSPD以外完全無視! この方針だと攻撃を交わしまくって、運が高い俺はクリティカルをバンバン出す。
そして敵の攻撃を貰う前に一網打尽よ。
よし、完璧だ。
俺は感激していると、何かが目の前に浮かんでいるのが目に入った。
ひときわ目立つ、ルビーのように真っ赤な輝きを放つ球体だ。
これがコアというものだろうか?
プレイヤーが街で話していたんだ。コアを売れば儲かるとか、コアを素材に武具を作るとかなんとか。
そのコアは宙に浮かび、骨の竜が姿を消すと吸い寄せられるようにこちらに向かってきた。
そして咄嗟に両手を前に出すと、コアは魔力を失うように、俺の掌にポトっと落下した。
『ホーンドラゴンのコア――希少』
へぇ……この骨の竜、ホーンドラゴンって言うのか。それも希少とか……。
俺はホーンドラゴンのコアを魔法のバッグパックに丁寧にしまった。
そしてレベル上げ中に発見した転送機能を使って、この地下墓地を後にした。
プレイヤーの噂によると街の地下に隠された墓地があるらしい。敵もあまり強くないし初心者がレベル上げをするのには打って付けだとか。
俺はその噂の地下墓地とやらに来ている。
あれからあの綺麗な女の人には出会えていない。やっぱり偶然だったかな。もう……二度と出会えないのかな。
そんなことを考えながら一歩を踏み出す。
「うわ……暗いな」
こんな薄暗くてジメジメした場所にいるわけないよな。なぜか地面には水たまりが出来てるし……。天井から水が流れてるわけでもないのに。
とりあえず進んでみよう。
「――はぁぁぁ!」
……ん?
い、いたぁぁぁ! まさかのこんな場所に――いたッ!
「あっ……」
「あら? この間の……」
こっちに来る。どうしよう。
「フ、フライです」
とりあえず挨拶だけでも。
「私はメルティ、よろしくね」
「よ、よろしく」
名前を聞けただけでも前進っと。
メルティは迷いのない満面の笑みで手を差し出した。俺は緊張で震える手を抑えながらメルティの手を握った。
それにしてもいつぶりだろうか……女性の手を握ったのは。
「あ、あのぅ……」
「ご、ごめん」
とっさに彼女の手を離す。
そういえばメルティはどうしてこんなところにいるのだろう? 見たところ初心者ってわけでもないだろうし。あのイノシシだって一瞬で倒しちゃったわけだし。
「あの、メルティはどうしてこんな所に? 強そうなのに」
「ちょっと探し物をね。でもここにはないみたい」
そういうと少し悲しそうな顔をした。
「よかったら一緒に探そうか?」
思わず名乗り出てしまったが、よく考えると俺に手伝えることはないよな。普通、自分より弱い人の助けなんていらないだろうし。
「あ、大丈夫。私はもう行くね。ここ、見た目より危険だから奥へ行くなら気を付けてね」
それだけ言うとメルティは地下墓地を後にした。
――危険? ここ、初心者用のダンジョンだろう?
俺はどこら辺が危険なのか想像も付かなかった。
「ここが最奥か」
入り口よりも更にジメジメしていてより薄暗く、地面にはよくわからない骨が沢山散らばっている。
もしかして、ここで息絶えた人の骨……とかそんなわけないよな。
なんかメルティがいうほど敵も強くなかったし、低レベルの俺でも踏破できそうだよな。もしかして最奥のボスがめちゃくちゃ強いとか?
ははっ……そんなことあるわけないか。
俺は最奥に着くと恐る恐る足を進めた。
ぐがぁぁぁ――
突然の地揺れ。
そして魔物の声が……。
この揺れからして、とてつもなくでかい魔物が出そうな雰囲気だ。そう思っていた最中、大きな音を立て地面が割れ、地中からは巨大な骨の竜が姿を現した。
地中から姿を完全に現すと、地面に散らばっていた骨を吸い寄せるように体に吸着し、元々の巨体が更なる巨体に変貌を遂げた。
「え……嘘だろ」
こんな悪魔を俺に倒せというのか。
地下墓地で多少レベルは上がったものの、こんな強そうな魔物がいるなんて聞いてないぞ……。
誰だよ、初心者には丁度いいって言った奴!
でも――まぁ仕方ないか。
出くわした以上倒さないことには、このダンジョンから出られないだろうし。
「――よし!」
俺は覚悟を決め銃を構えた。
骨の竜は長い尻尾を振り回し、爪で地面を叩きつける。
地揺れのせいでまともに立つことも厳しいな。
――ドシャッ!
骨の竜は吸着させた骨たちを再度バラバラにすると、勢いに任せて俺目掛けて飛ばしてくる。そして再び体に吸着させた。
俺は攻撃を寸前で見極めるスキルのおかげで、なんとか避けれてはいるが……長くは続かなそうだ。攻撃する隙を見極めて一撃ずつ確実に入れていかないと……。
「回り込んで一撃でも入れれば……」
敵の攻撃を華麗に避けながら試行錯誤する。
そして――
巨体の内側に入り込み、骨の竜が尻尾を振り回し体を元に戻すその一瞬の隙をついて……!
銃を再び構え、その巨体にエネルギー弾を撃ち込んだ。
――ズゴーン!
「え? い、今のは……?」
何かもの凄いエフェクトが見えたような……手ごたえもある。
これが俗にいうクリティカルというものだろうか。俺の運が勝機を掴んだというのだろうか。
もう一度……! と思ったその時。
グァァァ……ドドド。
「……え?」
目を疑った。
まだ一撃しか入れていない。それも偶然当たって、偶然クリティカルになった攻撃。
クリティカルってそんなに威力高いのか――?
体に吸着していた骨はボロボロと剥がれ、地面に音を立てて落下した。
「えぇぇぇ――?!」
もう死んだのか? す、すごい――
俺は一瞬でクリティカルの虜になった。
よし――
「名付けて――クリティカルもりもりビルド!」
俺はこれを目指すことにした。つまりSPD以外完全無視! この方針だと攻撃を交わしまくって、運が高い俺はクリティカルをバンバン出す。
そして敵の攻撃を貰う前に一網打尽よ。
よし、完璧だ。
俺は感激していると、何かが目の前に浮かんでいるのが目に入った。
ひときわ目立つ、ルビーのように真っ赤な輝きを放つ球体だ。
これがコアというものだろうか?
プレイヤーが街で話していたんだ。コアを売れば儲かるとか、コアを素材に武具を作るとかなんとか。
そのコアは宙に浮かび、骨の竜が姿を消すと吸い寄せられるようにこちらに向かってきた。
そして咄嗟に両手を前に出すと、コアは魔力を失うように、俺の掌にポトっと落下した。
『ホーンドラゴンのコア――希少』
へぇ……この骨の竜、ホーンドラゴンって言うのか。それも希少とか……。
俺はホーンドラゴンのコアを魔法のバッグパックに丁寧にしまった。
そしてレベル上げ中に発見した転送機能を使って、この地下墓地を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる