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十二話 グレッツとラル
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■グレッツ編■
「雷切――!」
大型魔物の弱点を突き、キラリと光る黒刀で首を切り裂き胴体と首を切り離した。
ここはダンジョンの最奥、俺は修業をするためにここへやって来た。
「うぅ……怖いよぉ」
遠くで女の子の泣き声が聞こえてきた。
俺は瞬足を使いもの凄いスピードで女の子の元へ駆け寄った。
すると小さな女の子がオオカミ型の魔物に囲まれていた。
「どうしてこんなところにこんな小さな子が……?」
俺はすぐさま駆け寄り、女の子を助けるべく刀を抜いた。
「華の舞――」
オオカミの群れをもの凄い速さで駆け抜け斬り込み一掃した。
「……もう大丈夫だ」
「あ、ありがとう……クスン」
魔物を蹴散らすとよほど怖い思いをしたのだろう。女の子はすぐさま見知らぬ俺にしがみつき大声を上げて泣き叫んだ。
俺はどうしたらいいかわからず、そっと女の子の頭に手を乗せ、俺の足にしがみつく女の子を泣き止むまで見守った。
「ラル……あたしの名前」
「グレッツだ」
鼻を赤くしたラルが泣き止むと口を開いた。
「どこに住んでるんだ? 送ってくか?」
「まだ足が震えて……動けないの……ごめんなさい」
俺はラルを家まで送ってくことにした。
「大丈夫だ、俺に捕まっていろ。転送で送り届けてやる」
「ちょっと待って……蜜を取ってから」
そういうとラルは奥の方を指さした。
ラルの指の先を見ると一凛の花が咲いていた。
こんなダンジョンの最奥に一凛だけ咲いているなんて、どう考えてもおかしいと思ったが、今はラルの希望通りその花のを取ってあげることにした。
「……これが必要なのか?」
「うん……この花の蜜を調合して薬を作るの」
その言葉に俺は首をかしげるとラルは更に続けた。
「家に帰ったら見せてあげる……ごほっ」
「大丈夫か……? 分かった、すぐに帰ろう」
俺は転送陣を起動し大都市へ転送した。
その後は、ラルの案内通りラルを抱きかかえながら歩き続けた。
するとラルの家はなんと西区のスラム街にあった。
所々崩れ落ちている藁の屋根の下、ゴザ一枚敷いてラルはその上に寝転んだ。
ラルは一人で暮らしているのだろうか。そんな疑問が浮かび上がった。
俺が家の中をキョロキョロと見渡していると、ラルは俺が不思議に思ったのを察したのか口を開いた。
「あたし一人だよ」
「親はどうした?」
「……いないの。あたしが生まれてすぐにこのスラムに置いてどこかへ行ってしまったの」
「……」
俺はかける言葉がなかった。
そんなに無責任な親はいるのだろうか。
「あ、お薬作らないと……ごほっ」
「大丈夫か? 俺が代わりに作るか?」
ラルは辛そうに咳払いをしながら頷いて再び横になった。
「ありがとう……これとこれを調合すればお薬が出来るの」
「わかった」
俺は言われるがまま二つを掛け合わせて調合をした。
すると――
『ライム薬――完成』
ライム薬――どんな病でもその進行を少し遅らせる薬。飲むと楽になる。
「ラル……お前病気なのか?」
調合の結果を見て思わずそう聞いてしまった。
「うん……治らない病気。でもね、このお薬を飲むと少し楽になるの。だからお薬の材料がなくなったらこうして自分で取りに行ってるの」
その話を聞いて俺はある人物と重ね合わせた。俺の実の妹のライムだ。薬と名前が一緒なのはただの偶然だろうか……。
俺はラルを放っておけないと思いある約束をした。
「その薬の材料、これからは俺が取ってきてやる」
「……いいの?」
ラルに悲しそうな表情で見つめられた俺は、その問いに慣れない笑顔で頷いた。
「ありがとう……」
「おう……じゃあまたな」
ラルの様子も良くなり、俺は家を後にしようとした。
すると――
「あの……」
家から出ようとすると俺を、ラルは小さな声で呼び止めた。
振り返るとラルは、一度言葉を詰まらせるがそのまま続けた。
「また……来てね」
俺はその笑顔に「守りたい」なぜだかそう思った。
「あぁ、薬を届けに来る」
「違うの……」
そう言うとラルは少し俯き、照れた表情を見せ続けた。
「それ以外にも……来てほしいの」
「あぁ……わかった」
俺はラルの頭に優しく手を乗せ、笑顔を見せた。
そしてまた遊びに来ると約束しし、ラルの家を後にした。
「雷切――!」
大型魔物の弱点を突き、キラリと光る黒刀で首を切り裂き胴体と首を切り離した。
ここはダンジョンの最奥、俺は修業をするためにここへやって来た。
「うぅ……怖いよぉ」
遠くで女の子の泣き声が聞こえてきた。
俺は瞬足を使いもの凄いスピードで女の子の元へ駆け寄った。
すると小さな女の子がオオカミ型の魔物に囲まれていた。
「どうしてこんなところにこんな小さな子が……?」
俺はすぐさま駆け寄り、女の子を助けるべく刀を抜いた。
「華の舞――」
オオカミの群れをもの凄い速さで駆け抜け斬り込み一掃した。
「……もう大丈夫だ」
「あ、ありがとう……クスン」
魔物を蹴散らすとよほど怖い思いをしたのだろう。女の子はすぐさま見知らぬ俺にしがみつき大声を上げて泣き叫んだ。
俺はどうしたらいいかわからず、そっと女の子の頭に手を乗せ、俺の足にしがみつく女の子を泣き止むまで見守った。
「ラル……あたしの名前」
「グレッツだ」
鼻を赤くしたラルが泣き止むと口を開いた。
「どこに住んでるんだ? 送ってくか?」
「まだ足が震えて……動けないの……ごめんなさい」
俺はラルを家まで送ってくことにした。
「大丈夫だ、俺に捕まっていろ。転送で送り届けてやる」
「ちょっと待って……蜜を取ってから」
そういうとラルは奥の方を指さした。
ラルの指の先を見ると一凛の花が咲いていた。
こんなダンジョンの最奥に一凛だけ咲いているなんて、どう考えてもおかしいと思ったが、今はラルの希望通りその花のを取ってあげることにした。
「……これが必要なのか?」
「うん……この花の蜜を調合して薬を作るの」
その言葉に俺は首をかしげるとラルは更に続けた。
「家に帰ったら見せてあげる……ごほっ」
「大丈夫か……? 分かった、すぐに帰ろう」
俺は転送陣を起動し大都市へ転送した。
その後は、ラルの案内通りラルを抱きかかえながら歩き続けた。
するとラルの家はなんと西区のスラム街にあった。
所々崩れ落ちている藁の屋根の下、ゴザ一枚敷いてラルはその上に寝転んだ。
ラルは一人で暮らしているのだろうか。そんな疑問が浮かび上がった。
俺が家の中をキョロキョロと見渡していると、ラルは俺が不思議に思ったのを察したのか口を開いた。
「あたし一人だよ」
「親はどうした?」
「……いないの。あたしが生まれてすぐにこのスラムに置いてどこかへ行ってしまったの」
「……」
俺はかける言葉がなかった。
そんなに無責任な親はいるのだろうか。
「あ、お薬作らないと……ごほっ」
「大丈夫か? 俺が代わりに作るか?」
ラルは辛そうに咳払いをしながら頷いて再び横になった。
「ありがとう……これとこれを調合すればお薬が出来るの」
「わかった」
俺は言われるがまま二つを掛け合わせて調合をした。
すると――
『ライム薬――完成』
ライム薬――どんな病でもその進行を少し遅らせる薬。飲むと楽になる。
「ラル……お前病気なのか?」
調合の結果を見て思わずそう聞いてしまった。
「うん……治らない病気。でもね、このお薬を飲むと少し楽になるの。だからお薬の材料がなくなったらこうして自分で取りに行ってるの」
その話を聞いて俺はある人物と重ね合わせた。俺の実の妹のライムだ。薬と名前が一緒なのはただの偶然だろうか……。
俺はラルを放っておけないと思いある約束をした。
「その薬の材料、これからは俺が取ってきてやる」
「……いいの?」
ラルに悲しそうな表情で見つめられた俺は、その問いに慣れない笑顔で頷いた。
「ありがとう……」
「おう……じゃあまたな」
ラルの様子も良くなり、俺は家を後にしようとした。
すると――
「あの……」
家から出ようとすると俺を、ラルは小さな声で呼び止めた。
振り返るとラルは、一度言葉を詰まらせるがそのまま続けた。
「また……来てね」
俺はその笑顔に「守りたい」なぜだかそう思った。
「あぁ、薬を届けに来る」
「違うの……」
そう言うとラルは少し俯き、照れた表情を見せ続けた。
「それ以外にも……来てほしいの」
「あぁ……わかった」
俺はラルの頭に優しく手を乗せ、笑顔を見せた。
そしてまた遊びに来ると約束しし、ラルの家を後にした。
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