22 / 40
…本当にそう思う?
しおりを挟む
ルネの話はマリーにとって衝撃だった。
シャルルの唯一として愛されていると思っていた。
『…それは本当に…?』
いつぞやの鈴の声がした。
カッとなってマリーは暗闇に言い返した
「愛されていたわよ!いえ、今だって愛されているわ。今若い女に誑かされてるだけよ!」
くすくす、くすくす
子供のような笑い声が響く
『愛してるって言われたの?』
「いつだって言われてるわ!」
『…それは本当に?』くすくすくすくす
「本当よ!婚約者の時も、閨の時でも…」
…愛を囁かれたことあったかしら?
マリーはふと考えた。
大切なマリー、マリーの言うとおりにしたよ、マリーどうしたらいい…
シャルルの声が木霊する。
(…愛なんか囁かれたことない…)
閨に至っては、目が合ってなかったかもしれない。
そこに思い至って背筋が冷たくなった。
「…ルネの話は本当なの…」
弱気になりそうになって、頭を振った。
違う違う。
口に出さなくても、いつもシャルルの目はわたくしを愛しいと告げていた。
「シャルルさまはいつもわたくしを優先し、愛してくれていたわ!」
そうだ、シャルルは目で愛しさを告げていた。
ちょっと遠くを見てたことはあったが、麗しい顔は常にマリーに向けていた。
『本当に?』くすくすくすくす
鈴の音のような笑い声なのに、癇に障る。
イライラしながら部屋を歩き回っていれば、ふとルネから言われたことが脳裏に蘇った。
(「…ああ、まあ、そうだね。それは義兄上の努力…いや敬意だな…」)
ルネの呆れたような憐れむような目。
あれはどういう意味かしら?
情や努力がなければわたくしを抱けなかったということ…まさか…
先日、シャルルがアニェスに向けていた瞳を思い出した。
甘く蕩けそうな瞳。
…あんな瞳向けられたことあったかしら…
わたくしが見たいものだけを見ていただけ?
都合のよい解釈をしていただけなの?
辛くなって目を閉じる。
アニェスにわたくしの影たちが手を出せないほど外堀を固めてしまったから、取り繕うことをやめてしまったの?
『シャルルはアニェスと恋の続きをしてるの』
『あなたはシャルルの何を知ってるの?』
「幼馴染ですもの!何でも知ってるわ!」
『シャルルは何も話さないのに?』
そんなことはない!と否定したかったがふと気付いた。
…いつもシャルル様と何の話をしていたかしら?
わたくしの取り留めのない話をいつも楽しそうに聞いてくださって…
シャルル様は何かお話したかしら?
シャルルの麗しい笑顔しか浮かばない。
…まさか、どうでもいいから、適当に聞き流していた…?
否!否!否!
わたくしの中のわたくしに激しく否定する。
弱気になってはだめだ。
シャルル様は、いつもわたくしが目を逸らさないように、首を傾げて麗しい瞳で見つめてきた。
『哀れね』
『それは次の虐めのターゲットを探させないため』
『犠牲者をこれ以上出さないため』
わたくしの周りを何かがぶんぶん回りながら囀る。
ふっ
鼻で笑って、わたくしは、胸を張った。
「わたくしは、シャルル様の唯一の妃。それが誇り。その誇りは誰にも奪われない。」
そう唯一の妃
わたくしがした事を全部ご存知なら、今までも何度も廃妃のチャンスはあったはず。
それをしなかったということは…
「わたくしは愛されているわ。シャルル様はわたくしの愛を試されているだけ。」
声はいつの間にか暗闇に消えていった。
シャルルの唯一として愛されていると思っていた。
『…それは本当に…?』
いつぞやの鈴の声がした。
カッとなってマリーは暗闇に言い返した
「愛されていたわよ!いえ、今だって愛されているわ。今若い女に誑かされてるだけよ!」
くすくす、くすくす
子供のような笑い声が響く
『愛してるって言われたの?』
「いつだって言われてるわ!」
『…それは本当に?』くすくすくすくす
「本当よ!婚約者の時も、閨の時でも…」
…愛を囁かれたことあったかしら?
マリーはふと考えた。
大切なマリー、マリーの言うとおりにしたよ、マリーどうしたらいい…
シャルルの声が木霊する。
(…愛なんか囁かれたことない…)
閨に至っては、目が合ってなかったかもしれない。
そこに思い至って背筋が冷たくなった。
「…ルネの話は本当なの…」
弱気になりそうになって、頭を振った。
違う違う。
口に出さなくても、いつもシャルルの目はわたくしを愛しいと告げていた。
「シャルルさまはいつもわたくしを優先し、愛してくれていたわ!」
そうだ、シャルルは目で愛しさを告げていた。
ちょっと遠くを見てたことはあったが、麗しい顔は常にマリーに向けていた。
『本当に?』くすくすくすくす
鈴の音のような笑い声なのに、癇に障る。
イライラしながら部屋を歩き回っていれば、ふとルネから言われたことが脳裏に蘇った。
(「…ああ、まあ、そうだね。それは義兄上の努力…いや敬意だな…」)
ルネの呆れたような憐れむような目。
あれはどういう意味かしら?
情や努力がなければわたくしを抱けなかったということ…まさか…
先日、シャルルがアニェスに向けていた瞳を思い出した。
甘く蕩けそうな瞳。
…あんな瞳向けられたことあったかしら…
わたくしが見たいものだけを見ていただけ?
都合のよい解釈をしていただけなの?
辛くなって目を閉じる。
アニェスにわたくしの影たちが手を出せないほど外堀を固めてしまったから、取り繕うことをやめてしまったの?
『シャルルはアニェスと恋の続きをしてるの』
『あなたはシャルルの何を知ってるの?』
「幼馴染ですもの!何でも知ってるわ!」
『シャルルは何も話さないのに?』
そんなことはない!と否定したかったがふと気付いた。
…いつもシャルル様と何の話をしていたかしら?
わたくしの取り留めのない話をいつも楽しそうに聞いてくださって…
シャルル様は何かお話したかしら?
シャルルの麗しい笑顔しか浮かばない。
…まさか、どうでもいいから、適当に聞き流していた…?
否!否!否!
わたくしの中のわたくしに激しく否定する。
弱気になってはだめだ。
シャルル様は、いつもわたくしが目を逸らさないように、首を傾げて麗しい瞳で見つめてきた。
『哀れね』
『それは次の虐めのターゲットを探させないため』
『犠牲者をこれ以上出さないため』
わたくしの周りを何かがぶんぶん回りながら囀る。
ふっ
鼻で笑って、わたくしは、胸を張った。
「わたくしは、シャルル様の唯一の妃。それが誇り。その誇りは誰にも奪われない。」
そう唯一の妃
わたくしがした事を全部ご存知なら、今までも何度も廃妃のチャンスはあったはず。
それをしなかったということは…
「わたくしは愛されているわ。シャルル様はわたくしの愛を試されているだけ。」
声はいつの間にか暗闇に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
それぞれの愛のカタチ
ひとみん
恋愛
妹はいつも人のものを欲しがった。
姉が持つものは、何が何でも欲しかった。
姉からまんまと奪ったと思っていた、その人は・・・
大切なものを守るために策を巡らせる姉と、簡単な罠に自ら嵌っていくバカな妹のお話。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
あなたのためなら
天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。
その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。
アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。
しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。
理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。
全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。
【完結】シロツメ草の花冠
彩華(あやはな)
恋愛
夏休みを開けにあったミリアは別人となって「聖女」の隣に立っていた・・・。
彼女の身に何があったのか・・・。
*ミリア視点は最初のみ、主に聖女サシャ、婚約者アルト視点侍女マヤ視点で書かれています。
後半・・・切ない・・・。タオルまたはティッシュをご用意ください。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
婚約者と王の座を捨てて、真実の愛を選んだ僕の結果
もふっとしたクリームパン
恋愛
タイトル通り、婚約者と王位を捨てた元第一王子様が過去と今を語る話です。ざまぁされる側のお話なので、明るい話ではありません。*書きたいとこだけ書いた小説なので、世界観などの設定はふんわりしてます。*文章の追加や修正を適時行います。*カクヨム様にも投稿しています。*本編十四話(幕間四話)+登場人物紹介+オマケ(四話:ざまぁする側の話)、で完結。
〈完結〉デイジー・ディズリーは信じてる。
ごろごろみかん。
恋愛
デイジー・ディズリーは信じてる。
婚約者の愛が自分にあることを。
だけど、彼女は知っている。
婚約者が本当は自分を愛していないことを。
これは愛に生きるデイジーが愛のために悪女になり、その愛を守るお話。
☆8000文字以内の完結を目指したい→無理そう。ほんと短編って難しい…→次こそ8000文字を目標にしますT_T
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる