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愚かなマリー
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あの日からシャルルの訪れは全くなくなった。
そこかしこから、アニェスの美しさ賢さ、ファッションリーダーとしての活躍が聞こえてくる。
わたくしは耳と心に蓋をし、黙々と慈善事業に取り組んだ。
…いつかシャルルが正気になることを願って。
季節がいくつか過ぎた頃、シャルルがふらりとやってきた。
やっと後悔したのね。
思わず顔が緩みそうになり、扇で隠す。
「お久しぶりです。陛下。」
わざと敬称で呼んだ。
どう?愛するわたくしに冷たくされて悲しいでしょう。
どんな顔をしているのかとシャルルの表情を扇の隙間から伺った。
予想に反し、シャルルは口元に笑みさえ浮かべながら、優雅にお茶を飲んでいた。
バカにされたようで、カッと頭に血が昇る。
悔しい…
しかし、そんな素振りを見せるわけにはいけない。おくびにも出さず、穏やかに問う。
「陛下が、こちらの宮においでになるとはお珍しい。何かご用で?」
そう問えば、シャルルは何も答えず、お茶を飲む。
…気まずいのね。
シャルルの態度をそう理解した私はわざと問う。
「陛下のお出ましがなくなってから、『寵を無くした妃』と下々にまで笑われるわたくしを憐れんでいただけたのかしら?」
シャルルのショックを受けた顔を見たくて、卑下したことを言う。
シャルルは下を向き肩を震わしていた。
…ほら、後悔していらっしゃる…
やはり愛しているのはわたくしなのね。
すると、肩を震わしていたシャルルが、もう我慢ならないと言わんがばかりに吹き出した。
「…ふっ…くっくっくっ…あーはっはっは。」
狂ったように笑い出したシャルルを呆然とみる。
「相変わらずだね、愚かなマリー。
寵を与えたことなんか一度もないのに、ないものがどうやってなくなるのさ。」
「ゼロはどこまでもゼロだよ。マイナスになることはあってもね。」
シャルルは冷たく言い放った。
そこかしこから、アニェスの美しさ賢さ、ファッションリーダーとしての活躍が聞こえてくる。
わたくしは耳と心に蓋をし、黙々と慈善事業に取り組んだ。
…いつかシャルルが正気になることを願って。
季節がいくつか過ぎた頃、シャルルがふらりとやってきた。
やっと後悔したのね。
思わず顔が緩みそうになり、扇で隠す。
「お久しぶりです。陛下。」
わざと敬称で呼んだ。
どう?愛するわたくしに冷たくされて悲しいでしょう。
どんな顔をしているのかとシャルルの表情を扇の隙間から伺った。
予想に反し、シャルルは口元に笑みさえ浮かべながら、優雅にお茶を飲んでいた。
バカにされたようで、カッと頭に血が昇る。
悔しい…
しかし、そんな素振りを見せるわけにはいけない。おくびにも出さず、穏やかに問う。
「陛下が、こちらの宮においでになるとはお珍しい。何かご用で?」
そう問えば、シャルルは何も答えず、お茶を飲む。
…気まずいのね。
シャルルの態度をそう理解した私はわざと問う。
「陛下のお出ましがなくなってから、『寵を無くした妃』と下々にまで笑われるわたくしを憐れんでいただけたのかしら?」
シャルルのショックを受けた顔を見たくて、卑下したことを言う。
シャルルは下を向き肩を震わしていた。
…ほら、後悔していらっしゃる…
やはり愛しているのはわたくしなのね。
すると、肩を震わしていたシャルルが、もう我慢ならないと言わんがばかりに吹き出した。
「…ふっ…くっくっくっ…あーはっはっは。」
狂ったように笑い出したシャルルを呆然とみる。
「相変わらずだね、愚かなマリー。
寵を与えたことなんか一度もないのに、ないものがどうやってなくなるのさ。」
「ゼロはどこまでもゼロだよ。マイナスになることはあってもね。」
シャルルは冷たく言い放った。
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