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就職
パブロ・ロマン1
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大討伐出発の日の朝、俺は憂鬱な気分で食堂にいた。毎日毎日、訓練と称して獣を討伐するだけの日々。やっとまともな任務に就けると思ったらまた討伐。騎士団と言えば聞こえは良いけど、やってることはただの害獣駆除だ。しかも命の危険がある。
しかも今回の任務には何日か泊りがけで当たらなければならないらしい。獣が増えてるとかなんとか聞いた。それへの対処として第5騎士団が抜擢されたとか。
なんで第5だったかって、それは任務地のエカテール大森林に一番近いのが第5騎士団の本部だったかららしい。5つの騎士団は皇都を5分するように街の一番外側に本部を置いているのだが、皇都から見て方角的に第5騎士団が一番エカテール大森林に近い。他の騎士団に入ってればいつもと同じ訓練で済んだのかと思うと悲しくなってくる。
溜息を吐くのを止められずにいると、鮮やかな赤毛の騎士が食堂に入ってきた。まだ若く少年の顔つきをしており体格もどちらかと言うと細身だが、身長は大人と変わらない。第5騎士団の証である赤いラインの入った白い騎士制服に階級を示す腕章を着けている。腕章は黒字に一本金色のラインが入ったもので、彼のような若い騎士がそれをつけているのはエリートの証でもある。
「隊長、おはようございます」
「ああ、おはよ」
俺が挨拶すると彼はまるで友達にでも接するように爽やかに返してくれる。エリートとは思えない親しみやすい雰囲気だ。それもそのはず、彼は騎士選抜試験を勝ち抜いたエリートであるにもかかわらず、平民出身なのである。
――第31中隊・隊長レネ・ルフィーナ准尉。
俺と同期で騎士団入りしたにもかかわらず最速で出世して最年少で中隊長になった平民の星だ。俺より年下……というか騎士団における最年少なのだが、子供の頃から冒険者として活動していたらしく俺より強くて経験があって賢くて仕事ができるむちゃくちゃ格好いい少年で、性格も良く、極め付きに顔が良い。正直、羨ましい。
そんな奴が騎士団みたいなところに入団したら絶対妬まれて虐められると思うだろ? それは事実だ。レネ隊長は入団時(まだ出世する前)に先輩方から虐めのターゲットにされていた。
ただし、彼は凄すぎて自力で虐めを半月で終わらせたんだけどな。俺たち同期は彼のことを可哀そうに思う暇もなかった。
一体何が起こったのかって、事件は入団して最初の野外訓練の時に起こった。
当時の中隊長が他の先輩騎士と共謀して新人であるレネを獣の巣窟に一人で特攻させたのだ。最初の野外訓練では通常、獣の巣までは行かないはずだった。あくまで城壁の外で活動する訓練をするだけだと聞いていた。ところが彼を妬んだ先輩たちが巧みに嘘を吐いて、レネだけを巣に向かわせたのである。
当時の中隊長はそれで何が起こるのか分かっていなかった。怖気づいたレネが逃げ帰ってくると思っていたらしく、帰ってきた彼を臆病者とあざ笑い、命令違反で処罰するつもりだったのだ。俺たち新人を含む隊員の前で堂々と笑いながらそう話していた。まさか本当に彼が一人で獣の巣に特攻して、その一帯のボスだった怪鳥を討ち取ってくるとは、誰も予想していなかった。その影響で怪鳥の仲間の鳥が第31中隊を襲撃することも。
獣の巣に突撃したらそりゃ驚いた獣が飛び出してきて特攻者以外にも被害が出るだろうよ。レネも当然そのつもりで中隊長が命令を出したのだと思ったらしい。
「了解しました。ボスの方はお任せください!」
と言って、飛び出していった彼の言葉と表情は忘れない。後で同期と話したことだが、あれは絶対『他の有象無象は俺たちが片付けるからお前はボスを狩ってこい』という命令だと勘違いしていた。
結果、当時の中隊長と複数の先輩騎士が重傷を負い、退職に追い込まれた。レネは命令に従っただけであり、しかも一人で怪鳥とその仲間のほとんどを討伐したことでむしろ昇進した。ボスを狩ってきた後で襲われている俺たちを助けにくる余裕まであったのだから当然と言える。
そして、空いた中隊長のポストを彼に埋めてもらうため、殉職したわけでもないのに2階級特進するという前代未聞の事態になったのである。
そんな経緯がありレネ・ルフィーナは騎士団入団半月で准尉となり、第31中隊・隊長に任命された。
それ以降、虐めが止まったのは必然だった。
ともかく、そんな物凄い人物が俺と同じ隊にいるのである。媚びを売るしかないだろう。そう考えるのは俺だけじゃない。彼が食堂に入ってきた時からみんなが彼に注目している。
俺は彼が食事を受け取るのを待って同じ席に座るべくついて行った。すると、彼には珍しく硬い表情をしているのが気になった。いつもは余裕があってのほほんとしてすら見える彼がだ。
「隊長、随分気合が入ってますね。今回の任務はそんなにヤバいんですか?」
「いや、隊長になって初めてのまともな任務だから気合を入れてただけさ」
「確かに。今までは訓練ばかりでしたもんね。でもレネ隊長は冒険者の経験がありますし、訓練とは言いますけど中身は獣の討伐だったじゃないですか。今回の任務とそう変わらないんじゃないですか?」
「まあそうだけど」
訊ねてみるとそんな答えが返ってきて拍子抜けする。初任務とは言え今までとやることは変わらないのだから、彼ほどの人が身構える必要はないように思えた。初任務で緊張するなんて彼にも可愛いところがあるんだな、なんて考えたりして。こころなしか、周囲の同期や先輩方も和んでいるように感じた。
ところが続く言葉に俺は凍り付いた。
「大発生を舐めない方が良いと思う」
「え、そんなつもりじゃないですが」
その言葉の後、彼は今回の討伐がどれほど危険で気の抜けないものであるか、その理由も交えて詳細に語ってくれた。俺がいかに何も考えていないのか、俺にも周囲にもよーく理解できるように分かりやすくだ。それを聞いている内に俺が泣きたくなっても仕方なかったと思う。
分かっていたはずなのに、俺は自分が無知な新人であることを忘れ、同時に無意識に彼を侮ってしまっていたのだ。隊長とは言え、同じ同期なのだと。彼には冒険者としての確かな経験と知識がある。だからこそ昇進し隊長に任命されたのだというのに。
自分の浅はかさが恥ずかしくて、そんな自分と彼との差が絶望的に思えて、俺は俯いた。自分の無能さを思うと今回の任務で無事でいられるか不安にもなってくる。
「て言っても、今回は第5騎士団全体で行う任務だし参加するのは俺たちだけじゃないからそんなに心配しなくても良いんだけどな。退路の確保とか撤退の指示は師団長や大隊長がすると思うし。俺は中隊長としての仕事を全うしようと思ってるだけだから、パブロ君がそこまで心配することはないよ」
「レネ隊長……」
俺の様子を見かねたのか、彼は優しい言葉と共に笑いかけてくれる。気が付くといつもは騒がしい食堂も静まり返っていた。恐らく、みんな俺とレネ隊長の話を聞いていたんだろう。
彼が優しいので余計に恥ずかしくなって、俺は無言でパンに齧りついた。中隊長として真面目に任務の危険性と向き合っていたレネ隊長に対して『初任務で緊張するなんて可愛い』とか思っていたなんて絶対言えない。馬鹿か俺は。
朝食を終えて、レネ隊長は会議へ向かったので、俺は他の騎士たちと訓練場へ向かった。レネ隊長が戻ってくるまでに持ち物や装備を確認しておかなければならない。騎士団から支給された剣と弓が使える状態かどうか、今日の分の水と食料、怪我をしたときに使う魔法薬や包帯などだ。
そうしている内にレネ隊長も戻ってきた。
「今回は普段より慎重に進むからもどかしいと思うけど、俺より前には絶対に出ないようにして欲しい。今回の任務地は森の中で獣が大発生している。今までの訓練みたいに隊列を乱したり、一人で先行してはぐれたりしたら探すのは困難だ。最悪、見捨てていくことになる」
隊長が今回の作戦と大発生している獣について説明した後、そう付け加えたのでちょっと隊員がざわついた。複数の先輩方が居心地悪そうに身動ぎしたのも見える。
実は今までの訓練で隊長の命令を無視して隊列を乱したり独断専行した先輩方がいて、そのせいで命の危機に陥り、みんなもれなくレネ隊長に助けられて事なきを得るという事件が何回かあったのである。身動ぎしたのはその先輩方だ。
隊長は全然気にしてないみたいだけど、先輩方の方はそれはそれは恥ずかしい思いをしたようだ。中には恐ろしい思いをして失禁してしまい、腰が抜けて立てなくなってレネ隊長にお姫様抱っこで運ばれた先輩もいた。
『心配しなくていいよ。全部探知して把握してるから、危なくなったら俺が助けるからね』
そんな彼らを責めることなく、隊長はいつも颯爽と助けに行ったし、俺たち新人にも安心させるような言葉をかけてくれた。それだけ聞くと甘い隊長のように聞こえると思うが、第31中隊はむしろ徐々に躾けられていった。命令違反をしたら高確率で恐ろしい目に遭うのだから当たり前だ。いくら助けてくれると分かっていても、大蛇に飲み込まれそうになったり虎に腕を齧られそうになったりしたい人間はいない。
ただ、訓練の時は何が起こっても言葉通り必ず隊長が助けてくれた。そんな彼が『場合によっては見捨てる』と言っているのである。さっき食堂で聞いた話も含めて考えると、今回の任務はいつも以上に危険な任務になるのだろう。
隊長は続けて、行軍の詳細を話した。
「前から来る獣は俺が先行して倒していくから、みんなは左右からの襲撃に備えながら進んでね」
「隊長、殿はどうなりますか」
「俺たちの後ろには補給隊と護衛組がついてくるから後ろからの襲撃はあんまり気にしなくて良いよ。でも一番後ろの人は補給隊がちゃんとついてきてるか確認するように」
「あの! もし、万が一隊長とはぐれた場合はどうすれば」
「一人で突っ走らなければはぐれることはないと思う。いつも通り四人一組で安全を確認しながら進んで」
「しかし、獣の襲撃に対応している内に隊長が一人で進んでしまわれたら」
「俺もみんなが追いついてきてるか確認しながら進むよ」
「分かりました」
俺だけじゃなくみんなが隊長の話に危機感を覚えたんだと思う。頻りに詳細を確認している。隊長はいつも雰囲気が柔らかくてのほほんとしているが、今まで説明した通り、隊長の命令を無視するとヤバいし、隊長とはぐれたらヤバいし、隊長に見捨てられたら死ぬ。
「じゃ、行こうか」
隊長の号令に全員が敬礼した。命令違反なんてしないから絶対見捨てないでくださいの敬礼だった。
***
隊長の言葉通り、今回の任務は過酷を極めた。隊長がしていたのは森に着いてからの話だったけど、森林に到着する前から平原に獣が大量発生していてまともに進めなかったのだ。一応隊列を組んだ形で行軍してはいるがそこかしこで獣の襲撃があり、阿鼻叫喚だった。
「やっぱり多いな~」
「そうですね……」
そんな中でのほほんと呟くレネ隊長は一人だけ浮いていた。前の方の隊列に大猪が突進して大乱闘になっているのに全く焦ることなく自分の位置を守っている。俺は不安になって訊ねた。
「大森林まで3日はかかるのに大丈夫でしょうか?」
「うーん、この状況だと今討伐しておかないと皇都も危なかったな」
「たしかにそうかもしれません」
「いつだったか象に襲われて城壁が壊れた街もあったなあ」
「そんなことがあるんですか! まさか皇都も……」
「皇都の城壁なら丈夫だし防衛魔法もかかってるから余程のことじゃ崩れないよ。でもこの勢いだとありえなくもないよね」
隊長の言葉に俺も周囲も青くなった。城壁が崩れるなんて悪夢でしかないことが起こっていたかもしれないというのだから。そんな恐ろしいことを平然と言わないで欲しい。
そんな話をしていたら、レネ隊長が突然物凄い勢いで地面を踏み拭いて直径50㎝程の穴を開けた。何事かと思ったら、彼が穴から人間の大きさ程もあるモグラを片手で引きずり出して、
「こいつも目が魔力結晶化してるな。回収したいけど荷物になっちゃうからな~」
なんて言うから俺たちは相槌を打つことしかできない。獣から回収できる素材とか今はどうでもいい。生きて帰りたい。それだけだ。
レネ隊長にとっては一蹴りで倒せる可愛いモグラでも俺たちにとっては巨大殺人モグラなんだ。下から足に噛みつかれて引きずり込まれたらひとたまりもない。
ただ、レネ隊長は自分の近くに出た獣はもちろん、隊員にも的確に指示を出して対処してくれるので、俺たちは周囲の雰囲気にのまれつつも彼の指示に従っていればまともに行軍することができた。
「あ、下からミミズが来る。5列目は止まって構え! 4列目から前はこっちへ!」
とか、
「左端の人、槍構えて! 大きめの虎が来てる」
とか、指示しつつ自分は空から来る鳥を撃ち落としたりして。おかげで俺たちの隊に重大な怪我人は出なかった。
よくよく考えてみるとその辺りは訓練通りだった気がする。隊長が注意したことや指示をちゃんと聞いていれば俺たちでも対処可能な範囲だった。
と言うよりも、対処できていない他の隊がヤバいのでは、と思い始めてきた。
同期のやつらも俺と同じことを感じたんだろうと思う。1日目の夜は平原にテントを張って交代で見張りをしながら寝ることになったのだが、俺はレネ隊長以外の同期たちとこんな話になった。
「なあ、この騎士団ってヤバくないか?」
「おまえもそう思うか」
「僕は気付いてましたよ」
「ていうか、皇都では有名だよな? 騎士団は仕事しないって」
「いや、俺は噂だと思ってた」
「俺も。いくらなんでも何にもしてないってことはないだろうと」
「レネ隊長も言ってたじゃないですか。皇都の城壁は丈夫で防衛魔法もかかってるって。だから騎士団が獣の討伐なんかしなくても安全に暮らせるんですよ」
「そうそう。地方じゃ仕事しない騎士より冒険者の方が尊敬されてるし」
「そっか。薄々、変だと思ってたんだ……。レネ隊長がめちゃくちゃ強いのは確かだけど、何年も同じような訓練をしてるはずの先輩が命令違反した挙句に蛇にのまれそうになったり、判断を間違って虎に齧られそうになったり、それでちびって腰が抜けたりするもんなのかなって」
「分かる! そんな危険は経験済みなんじゃないのかって俺も不思議だったんだよ」
「鈍すぎますよ、君たち。彼らがまともに獣の討伐をしたのはレネ隊長が隊長になってからだと思いますよ」
「騎士団は役職持ちの奴らから腐ってるんだろ。その点、レネ隊長はきっちり仕事する冒険者として有名だ。そんな人が隊長になって急に訓練がまともな内容になったから今までさぼってた奴らはついていけなくなったんだよ」
「……なあ、この大発生って今まで騎士団が仕事してなかったせいなんじゃ」
「ありうる」
「僕は間違いなくそうだと思ってます」
「それだけじゃないだろうが、理由の内の一つではあるだろうな」
「じゃあ、騎士団長とか偉い人はそのことを知ってるのか?」
「……どうだろう。さすがに知ってるんじゃないのか?」
「上は現状を把握してると思いますよ。腑抜けた騎士団にテコ入れするための今回の任務なのでは?」
「少なくともレネ隊長は知ってるんじゃないか? 猪に襲われてる奴らのこと生暖かく見守ってたし」
「あ! やっぱりあれ、そういうこと? あの時のレネ隊長、何か言いたそうってか、もどかしそうにしてると思ってたんだ」
「レネ隊長なら突撃される前に指示してくれるもんな」
「隊長は仕事に厳しい人ですからね。騎士団を変えたいと思っているのでは?」
「絶対そうだろ。そもそも冒険者で成功してる人が騎士に鞍替えする理由ってなんだよ? あんだけ強けりゃ騎士でなくても十分稼いでただろうし、名誉組合員になるくらい尊敬されてるんだから名声も十分だ。変えたいと思って入ったのに決まってる」
「ていうかおまえ、隊長に詳しいな?」
「ファンか?」
「彼はレネ隊長を追いかけて騎士団に入ったそうです」
「おまえも似たようなもんだろ!」
「僕は違いますよ! 騎士団には生活の安定を求めて入ったんです。ファンには……入ってからなったんです」
「おまえもファンなのか……」
「じ、実は俺も」
その後は同期の隊員たちによるレネ隊長の格好いいところ発表会が大いに盛り上がりつつ夜が更けていった。最初は真面目に騎士団の話をしていたのに、どうして。
しかも今回の任務には何日か泊りがけで当たらなければならないらしい。獣が増えてるとかなんとか聞いた。それへの対処として第5騎士団が抜擢されたとか。
なんで第5だったかって、それは任務地のエカテール大森林に一番近いのが第5騎士団の本部だったかららしい。5つの騎士団は皇都を5分するように街の一番外側に本部を置いているのだが、皇都から見て方角的に第5騎士団が一番エカテール大森林に近い。他の騎士団に入ってればいつもと同じ訓練で済んだのかと思うと悲しくなってくる。
溜息を吐くのを止められずにいると、鮮やかな赤毛の騎士が食堂に入ってきた。まだ若く少年の顔つきをしており体格もどちらかと言うと細身だが、身長は大人と変わらない。第5騎士団の証である赤いラインの入った白い騎士制服に階級を示す腕章を着けている。腕章は黒字に一本金色のラインが入ったもので、彼のような若い騎士がそれをつけているのはエリートの証でもある。
「隊長、おはようございます」
「ああ、おはよ」
俺が挨拶すると彼はまるで友達にでも接するように爽やかに返してくれる。エリートとは思えない親しみやすい雰囲気だ。それもそのはず、彼は騎士選抜試験を勝ち抜いたエリートであるにもかかわらず、平民出身なのである。
――第31中隊・隊長レネ・ルフィーナ准尉。
俺と同期で騎士団入りしたにもかかわらず最速で出世して最年少で中隊長になった平民の星だ。俺より年下……というか騎士団における最年少なのだが、子供の頃から冒険者として活動していたらしく俺より強くて経験があって賢くて仕事ができるむちゃくちゃ格好いい少年で、性格も良く、極め付きに顔が良い。正直、羨ましい。
そんな奴が騎士団みたいなところに入団したら絶対妬まれて虐められると思うだろ? それは事実だ。レネ隊長は入団時(まだ出世する前)に先輩方から虐めのターゲットにされていた。
ただし、彼は凄すぎて自力で虐めを半月で終わらせたんだけどな。俺たち同期は彼のことを可哀そうに思う暇もなかった。
一体何が起こったのかって、事件は入団して最初の野外訓練の時に起こった。
当時の中隊長が他の先輩騎士と共謀して新人であるレネを獣の巣窟に一人で特攻させたのだ。最初の野外訓練では通常、獣の巣までは行かないはずだった。あくまで城壁の外で活動する訓練をするだけだと聞いていた。ところが彼を妬んだ先輩たちが巧みに嘘を吐いて、レネだけを巣に向かわせたのである。
当時の中隊長はそれで何が起こるのか分かっていなかった。怖気づいたレネが逃げ帰ってくると思っていたらしく、帰ってきた彼を臆病者とあざ笑い、命令違反で処罰するつもりだったのだ。俺たち新人を含む隊員の前で堂々と笑いながらそう話していた。まさか本当に彼が一人で獣の巣に特攻して、その一帯のボスだった怪鳥を討ち取ってくるとは、誰も予想していなかった。その影響で怪鳥の仲間の鳥が第31中隊を襲撃することも。
獣の巣に突撃したらそりゃ驚いた獣が飛び出してきて特攻者以外にも被害が出るだろうよ。レネも当然そのつもりで中隊長が命令を出したのだと思ったらしい。
「了解しました。ボスの方はお任せください!」
と言って、飛び出していった彼の言葉と表情は忘れない。後で同期と話したことだが、あれは絶対『他の有象無象は俺たちが片付けるからお前はボスを狩ってこい』という命令だと勘違いしていた。
結果、当時の中隊長と複数の先輩騎士が重傷を負い、退職に追い込まれた。レネは命令に従っただけであり、しかも一人で怪鳥とその仲間のほとんどを討伐したことでむしろ昇進した。ボスを狩ってきた後で襲われている俺たちを助けにくる余裕まであったのだから当然と言える。
そして、空いた中隊長のポストを彼に埋めてもらうため、殉職したわけでもないのに2階級特進するという前代未聞の事態になったのである。
そんな経緯がありレネ・ルフィーナは騎士団入団半月で准尉となり、第31中隊・隊長に任命された。
それ以降、虐めが止まったのは必然だった。
ともかく、そんな物凄い人物が俺と同じ隊にいるのである。媚びを売るしかないだろう。そう考えるのは俺だけじゃない。彼が食堂に入ってきた時からみんなが彼に注目している。
俺は彼が食事を受け取るのを待って同じ席に座るべくついて行った。すると、彼には珍しく硬い表情をしているのが気になった。いつもは余裕があってのほほんとしてすら見える彼がだ。
「隊長、随分気合が入ってますね。今回の任務はそんなにヤバいんですか?」
「いや、隊長になって初めてのまともな任務だから気合を入れてただけさ」
「確かに。今までは訓練ばかりでしたもんね。でもレネ隊長は冒険者の経験がありますし、訓練とは言いますけど中身は獣の討伐だったじゃないですか。今回の任務とそう変わらないんじゃないですか?」
「まあそうだけど」
訊ねてみるとそんな答えが返ってきて拍子抜けする。初任務とは言え今までとやることは変わらないのだから、彼ほどの人が身構える必要はないように思えた。初任務で緊張するなんて彼にも可愛いところがあるんだな、なんて考えたりして。こころなしか、周囲の同期や先輩方も和んでいるように感じた。
ところが続く言葉に俺は凍り付いた。
「大発生を舐めない方が良いと思う」
「え、そんなつもりじゃないですが」
その言葉の後、彼は今回の討伐がどれほど危険で気の抜けないものであるか、その理由も交えて詳細に語ってくれた。俺がいかに何も考えていないのか、俺にも周囲にもよーく理解できるように分かりやすくだ。それを聞いている内に俺が泣きたくなっても仕方なかったと思う。
分かっていたはずなのに、俺は自分が無知な新人であることを忘れ、同時に無意識に彼を侮ってしまっていたのだ。隊長とは言え、同じ同期なのだと。彼には冒険者としての確かな経験と知識がある。だからこそ昇進し隊長に任命されたのだというのに。
自分の浅はかさが恥ずかしくて、そんな自分と彼との差が絶望的に思えて、俺は俯いた。自分の無能さを思うと今回の任務で無事でいられるか不安にもなってくる。
「て言っても、今回は第5騎士団全体で行う任務だし参加するのは俺たちだけじゃないからそんなに心配しなくても良いんだけどな。退路の確保とか撤退の指示は師団長や大隊長がすると思うし。俺は中隊長としての仕事を全うしようと思ってるだけだから、パブロ君がそこまで心配することはないよ」
「レネ隊長……」
俺の様子を見かねたのか、彼は優しい言葉と共に笑いかけてくれる。気が付くといつもは騒がしい食堂も静まり返っていた。恐らく、みんな俺とレネ隊長の話を聞いていたんだろう。
彼が優しいので余計に恥ずかしくなって、俺は無言でパンに齧りついた。中隊長として真面目に任務の危険性と向き合っていたレネ隊長に対して『初任務で緊張するなんて可愛い』とか思っていたなんて絶対言えない。馬鹿か俺は。
朝食を終えて、レネ隊長は会議へ向かったので、俺は他の騎士たちと訓練場へ向かった。レネ隊長が戻ってくるまでに持ち物や装備を確認しておかなければならない。騎士団から支給された剣と弓が使える状態かどうか、今日の分の水と食料、怪我をしたときに使う魔法薬や包帯などだ。
そうしている内にレネ隊長も戻ってきた。
「今回は普段より慎重に進むからもどかしいと思うけど、俺より前には絶対に出ないようにして欲しい。今回の任務地は森の中で獣が大発生している。今までの訓練みたいに隊列を乱したり、一人で先行してはぐれたりしたら探すのは困難だ。最悪、見捨てていくことになる」
隊長が今回の作戦と大発生している獣について説明した後、そう付け加えたのでちょっと隊員がざわついた。複数の先輩方が居心地悪そうに身動ぎしたのも見える。
実は今までの訓練で隊長の命令を無視して隊列を乱したり独断専行した先輩方がいて、そのせいで命の危機に陥り、みんなもれなくレネ隊長に助けられて事なきを得るという事件が何回かあったのである。身動ぎしたのはその先輩方だ。
隊長は全然気にしてないみたいだけど、先輩方の方はそれはそれは恥ずかしい思いをしたようだ。中には恐ろしい思いをして失禁してしまい、腰が抜けて立てなくなってレネ隊長にお姫様抱っこで運ばれた先輩もいた。
『心配しなくていいよ。全部探知して把握してるから、危なくなったら俺が助けるからね』
そんな彼らを責めることなく、隊長はいつも颯爽と助けに行ったし、俺たち新人にも安心させるような言葉をかけてくれた。それだけ聞くと甘い隊長のように聞こえると思うが、第31中隊はむしろ徐々に躾けられていった。命令違反をしたら高確率で恐ろしい目に遭うのだから当たり前だ。いくら助けてくれると分かっていても、大蛇に飲み込まれそうになったり虎に腕を齧られそうになったりしたい人間はいない。
ただ、訓練の時は何が起こっても言葉通り必ず隊長が助けてくれた。そんな彼が『場合によっては見捨てる』と言っているのである。さっき食堂で聞いた話も含めて考えると、今回の任務はいつも以上に危険な任務になるのだろう。
隊長は続けて、行軍の詳細を話した。
「前から来る獣は俺が先行して倒していくから、みんなは左右からの襲撃に備えながら進んでね」
「隊長、殿はどうなりますか」
「俺たちの後ろには補給隊と護衛組がついてくるから後ろからの襲撃はあんまり気にしなくて良いよ。でも一番後ろの人は補給隊がちゃんとついてきてるか確認するように」
「あの! もし、万が一隊長とはぐれた場合はどうすれば」
「一人で突っ走らなければはぐれることはないと思う。いつも通り四人一組で安全を確認しながら進んで」
「しかし、獣の襲撃に対応している内に隊長が一人で進んでしまわれたら」
「俺もみんなが追いついてきてるか確認しながら進むよ」
「分かりました」
俺だけじゃなくみんなが隊長の話に危機感を覚えたんだと思う。頻りに詳細を確認している。隊長はいつも雰囲気が柔らかくてのほほんとしているが、今まで説明した通り、隊長の命令を無視するとヤバいし、隊長とはぐれたらヤバいし、隊長に見捨てられたら死ぬ。
「じゃ、行こうか」
隊長の号令に全員が敬礼した。命令違反なんてしないから絶対見捨てないでくださいの敬礼だった。
***
隊長の言葉通り、今回の任務は過酷を極めた。隊長がしていたのは森に着いてからの話だったけど、森林に到着する前から平原に獣が大量発生していてまともに進めなかったのだ。一応隊列を組んだ形で行軍してはいるがそこかしこで獣の襲撃があり、阿鼻叫喚だった。
「やっぱり多いな~」
「そうですね……」
そんな中でのほほんと呟くレネ隊長は一人だけ浮いていた。前の方の隊列に大猪が突進して大乱闘になっているのに全く焦ることなく自分の位置を守っている。俺は不安になって訊ねた。
「大森林まで3日はかかるのに大丈夫でしょうか?」
「うーん、この状況だと今討伐しておかないと皇都も危なかったな」
「たしかにそうかもしれません」
「いつだったか象に襲われて城壁が壊れた街もあったなあ」
「そんなことがあるんですか! まさか皇都も……」
「皇都の城壁なら丈夫だし防衛魔法もかかってるから余程のことじゃ崩れないよ。でもこの勢いだとありえなくもないよね」
隊長の言葉に俺も周囲も青くなった。城壁が崩れるなんて悪夢でしかないことが起こっていたかもしれないというのだから。そんな恐ろしいことを平然と言わないで欲しい。
そんな話をしていたら、レネ隊長が突然物凄い勢いで地面を踏み拭いて直径50㎝程の穴を開けた。何事かと思ったら、彼が穴から人間の大きさ程もあるモグラを片手で引きずり出して、
「こいつも目が魔力結晶化してるな。回収したいけど荷物になっちゃうからな~」
なんて言うから俺たちは相槌を打つことしかできない。獣から回収できる素材とか今はどうでもいい。生きて帰りたい。それだけだ。
レネ隊長にとっては一蹴りで倒せる可愛いモグラでも俺たちにとっては巨大殺人モグラなんだ。下から足に噛みつかれて引きずり込まれたらひとたまりもない。
ただ、レネ隊長は自分の近くに出た獣はもちろん、隊員にも的確に指示を出して対処してくれるので、俺たちは周囲の雰囲気にのまれつつも彼の指示に従っていればまともに行軍することができた。
「あ、下からミミズが来る。5列目は止まって構え! 4列目から前はこっちへ!」
とか、
「左端の人、槍構えて! 大きめの虎が来てる」
とか、指示しつつ自分は空から来る鳥を撃ち落としたりして。おかげで俺たちの隊に重大な怪我人は出なかった。
よくよく考えてみるとその辺りは訓練通りだった気がする。隊長が注意したことや指示をちゃんと聞いていれば俺たちでも対処可能な範囲だった。
と言うよりも、対処できていない他の隊がヤバいのでは、と思い始めてきた。
同期のやつらも俺と同じことを感じたんだろうと思う。1日目の夜は平原にテントを張って交代で見張りをしながら寝ることになったのだが、俺はレネ隊長以外の同期たちとこんな話になった。
「なあ、この騎士団ってヤバくないか?」
「おまえもそう思うか」
「僕は気付いてましたよ」
「ていうか、皇都では有名だよな? 騎士団は仕事しないって」
「いや、俺は噂だと思ってた」
「俺も。いくらなんでも何にもしてないってことはないだろうと」
「レネ隊長も言ってたじゃないですか。皇都の城壁は丈夫で防衛魔法もかかってるって。だから騎士団が獣の討伐なんかしなくても安全に暮らせるんですよ」
「そうそう。地方じゃ仕事しない騎士より冒険者の方が尊敬されてるし」
「そっか。薄々、変だと思ってたんだ……。レネ隊長がめちゃくちゃ強いのは確かだけど、何年も同じような訓練をしてるはずの先輩が命令違反した挙句に蛇にのまれそうになったり、判断を間違って虎に齧られそうになったり、それでちびって腰が抜けたりするもんなのかなって」
「分かる! そんな危険は経験済みなんじゃないのかって俺も不思議だったんだよ」
「鈍すぎますよ、君たち。彼らがまともに獣の討伐をしたのはレネ隊長が隊長になってからだと思いますよ」
「騎士団は役職持ちの奴らから腐ってるんだろ。その点、レネ隊長はきっちり仕事する冒険者として有名だ。そんな人が隊長になって急に訓練がまともな内容になったから今までさぼってた奴らはついていけなくなったんだよ」
「……なあ、この大発生って今まで騎士団が仕事してなかったせいなんじゃ」
「ありうる」
「僕は間違いなくそうだと思ってます」
「それだけじゃないだろうが、理由の内の一つではあるだろうな」
「じゃあ、騎士団長とか偉い人はそのことを知ってるのか?」
「……どうだろう。さすがに知ってるんじゃないのか?」
「上は現状を把握してると思いますよ。腑抜けた騎士団にテコ入れするための今回の任務なのでは?」
「少なくともレネ隊長は知ってるんじゃないか? 猪に襲われてる奴らのこと生暖かく見守ってたし」
「あ! やっぱりあれ、そういうこと? あの時のレネ隊長、何か言いたそうってか、もどかしそうにしてると思ってたんだ」
「レネ隊長なら突撃される前に指示してくれるもんな」
「隊長は仕事に厳しい人ですからね。騎士団を変えたいと思っているのでは?」
「絶対そうだろ。そもそも冒険者で成功してる人が騎士に鞍替えする理由ってなんだよ? あんだけ強けりゃ騎士でなくても十分稼いでただろうし、名誉組合員になるくらい尊敬されてるんだから名声も十分だ。変えたいと思って入ったのに決まってる」
「ていうかおまえ、隊長に詳しいな?」
「ファンか?」
「彼はレネ隊長を追いかけて騎士団に入ったそうです」
「おまえも似たようなもんだろ!」
「僕は違いますよ! 騎士団には生活の安定を求めて入ったんです。ファンには……入ってからなったんです」
「おまえもファンなのか……」
「じ、実は俺も」
その後は同期の隊員たちによるレネ隊長の格好いいところ発表会が大いに盛り上がりつつ夜が更けていった。最初は真面目に騎士団の話をしていたのに、どうして。
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《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
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※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
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……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
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そんな中、ゲームキャラで一番嫌いであったはずのゲスい悪役令息、今生では兄に当たる男ファルトの本性を知って愛情が芽生えてしまい——。
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いいね、ご感想大変励みになります。ありがとうございます。
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引き続きよろしくお願いいたします。
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