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29、お家

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亮と付き合って1週間。俺たちは今日デートしていた。と言ってもお家デートなんだけどね。

「雪」
「ん~?」

亮が俺にもたれかかってくる。そして、俺にキスをしてきた。
甘くて優しくて俺のことが大好きだって伝わるキス。

「んぅ♡んっ♡…亮♡」
「雪、可愛いね」
「俺のこと、好き?」
「もちろん!大好きだよ」

ぎゅーってしてくれて、髪を撫でてくれる。

「えへへ」
「可愛いね」

ほっぺにチューされて、服の中に手を入れられた。

「亮…好き」
「雪は本当に可愛いね~!食べたくなっちゃう」
「食べちゃダメです!」
「え~?こことか美味しそう」

亮は俺の内腿を撫でた。くすぐったくて体がビクッてなり、亮はそれでも止めない。

「んっ♡んぅ♡」
「フフ、声抑えてるの?」
「だって…恥ずかしいんだもん」

そう言って亮を見ると、亮はいつのまにか携帯を構えていた。

「好き~!可愛いすぎるよ~」
「携帯はダメ!俺だけ見てて…?」
「っ!ごめんね~!雪だけ見る!この目に焼き付けるね!」

いつものようなカッコいい亮じゃなくなっている。

(これがキャラ崩壊ってやつか…でも、可愛い)

お昼の時間になって俺は台所で料理をつくっていた。

「なにか手伝おうか?」
「本当?じゃあ、これ持っていって」 

お皿を渡すと喜んで持って行った。席に着いて一緒に手を合わす。
亮は手抜きのパスタを美味しい美味しいと言って食べてくれる。

「そんなに美味しいの?全然、手抜きだよ?」
「いや、すっごく美味しい!」

満面の笑みで答えてくれるので、俺は流石に恥ずかしくなった。

「えへへ」
「うぐっ」

亮はいつものように胸を押さえて鼻血を出している。

「あ、また鼻血?大丈夫?」
「うん…」

俺は慣れた手つきで鼻血に対応していると亮が俺にキスをしてきた。

「んっ♡血の味がする…」
「え?あ!ごめんね」

慌てている亮を落ち着かせて、もう一回キスをした。

「亮とのキス、好き」
「俺も~!雪とのキス大好きだよ!」

そう言って一日中キスされまくった。デートがこんなに楽しいなんて初めて知ってしまった。

次の日も学校なので俺は帰ったが、もっと一緒にいたいなと思った。


「じゃあね」
「うん、送ってくよ?」
「大丈夫!それじゃあ」

最後にドアの前でキスをして、俺は帰った。
夜道は誰もいなくて少し怖い。
すると、後ろから足音が聞こえた。

(気のせい…だよね?)

「フフ、楽しかった」
「俺といた時よりも?」
「え?あ…」

聞き慣れた声がして後ろを振り向くと慎二だった。

「なんで?…」
「迎えにきたよ、俺の家行こう?」
「嫌!は、離して」
「行こうか」

俺は無理矢理、慎二の家まで連れてかれた。

「嫌!離してよ」
「どうして?俺とまた付き合いたいでしょ?」
「そんなわけないでしょ!」

そう言ってる間にも慎二の携帯には高橋さんたちから電話が来ている。

「…出れば?」
「ごめんね、寂しかったんだよね…もう、高橋たちを優先したりはしないからさ」
「何言ってんの?俺は亮が好きだから慎二と別れて付き合ったの」

そう言うと慎二は俺の唇を強引に奪った。

「やだ!やめて!」
「俺を嫉妬させようとしてるんだよね?可愛いね」
「違うから!離してよ!」

俺が必死に抵抗するが、慎二は離してくれることもなかった。
何言っても聞いてくれないで勝手に解釈する慎二に俺は諦めた。

「分かった。でも、今日はもう家に帰りたいの…」
「…送ってくよ」
「う、うん」

家についてから携帯を開くと亮から着信が届いてた。

「もしもし」
『あ、雪?良かった家についた?』
「俺…俺」
『どうかしたの?何かあった?』

そう聞いてくれる亮に俺はさっきキスされたのを思い出した。

「どうしよう…俺」

ゆっくりと、さっきのことを話す。亮は俺の話を聞きながら頷いたり相槌を打ったりしてくれる。

「ごめん…亮」
『いいよ、雪がちゃんと話してくれて嬉しい』
「そりゃ話すよ、だって亮が悲しんじゃうでしょ?」
『フフ、その通りだね』

亮と明日からずっと亮といることと、帰りは寄り道しないこと、人通りの多いところに行くことを約束した。

「愛してる」
『俺もだよ』

俺は今日の慎二を思い出して、震えた。すると、メッセージが届いた。

『明日も一緒に帰ろうね』
「ひっ」

思わず声が出てしまう。短い内容に怖さが詰め込まれている。

『学校でも一緒にいようね』

急にどうしたのだろうか?慎二は俺のことが嫌いなはずなのに。

俺は無理矢理、瞼を閉じて眠った。


翌日

「亮、おはよう」
「雪!昨日は大丈夫だった?」
「うん…でも、キスされたから上書きして?」
「もちろん」

家の前まで迎えに来てくれた亮の肩に手を添えてキスをする。

「んっ♡んちゅ♡好き…」
「俺も…雪が大好き」

俺たちは手を繋ぎながら学校まで行く。まさか、それが撮られているとも知らずに…


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