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38、好き
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俺はビクビクしていた。慎二はいつくるか、いつくるかと。
「雪、おはよう」
(来たか…)
俺は慎二を見ると、いつもより嬉しそうだ。
「お、おはよう…」
「はい、これ。忘れ物」
お気に入りのシャーペンを返してもらう。意外にも変なことはされなかった。
「ありがとう…」
「うん、良かった」
すると、慎二は俺の頬を撫でて見つめ合った。
「な、何?」
「雪ってさ、肌綺麗だよね。睫毛も長いし…唇もちっちゃくて可愛い」
「何?口説いてんの?残念だけど俺の肌も睫毛も唇も亮のものだから」
そう言うと慎二は俺の耳を触った。耳は弱いのでやめて欲しい。
「っやめて」
「耳弱いのかわってないね」
「うるさい…」
「雪、俺のところに戻っておいで。前みたいにほったからしにしないよ、愛してる」
「あっそ、でも俺には亮がいるから」
すると、後ろから抱きしめられた。
「そういうことなので、諦めてほしいな」
「亮!」
「フフ、雪おはよう」
亮に甘えるように、手をにぎる。すると、それを見ていた慎二が俺の手を引っ張った。
「雪は俺のものだよね?何勝手に行こうとしてんの?」
「ちょ、離してよ!」
「ハハ!余裕なさすぎだろ!…さっきから言ってるだろ?雪は俺のものだって」
すかさず、亮が俺にキスをした。軽いものでなくディープなものだ。
「んむ♡んっ♡んぅ♡…」
「クソ!…雪、こっち向けよ」
だが、俺は亮とのキスに夢中で慎二の方なんか向けなかった。
「雪…」
「んっ♡…亮、もうダメ」
口を手で抑えると不服そうな顔をした。そんな亮の頭を撫でてあげる。
「じゃあ、シャーペンありがとうね」
「…」
そう言って俺は席に着いた。
(流石にこれだけ見せつければ慎二も諦めてくれるよね?…)
今日は特に用事もないので1人で帰っていたら、誰かに呼び止められた。
「雪!」
「え?……慎二」
後ろから追いかけてきたようだ。
「今日は部活じゃなかったの?」
「休んできたんだ…その、雪に会いたくて」
前の俺だったら嬉しくて死にそうだっただろうが、今は違う。
(何回言えば気が済むんだ?)
「…俺は会いたくない、慎二は高橋さん達と仲良くしてればいいのに」
「やっぱり、嫉妬してたんだよね?だから、七瀬と付き合ったりしてたんだよね?」
興奮したように話す慎二に俺は少し引いてしまう。
すると、手を取ってきた。
「そんなに悲しかったなら言ってくれれば良かったのに…大好きだよ、雪」
「っ…やめて」
「何で?雪も俺が好きなんだよね?」
「好きじゃない」
そう言うと慎二は悲しそうな顔をした。
(なんで慎二がそんな顔するの?)
「俺には亮がいるって何回言えばいいの?」
「…無理か、じゃあ仕方ないね」
慎二はカバンから何かを取り出して、バチバチという音がした途端に俺は気を失った。
コツコツコツという足音がした。目を開けると慎二がいた。
(また監禁か…まぁ、逃がしてくれるよ、ね?)
「これでずっと、一緒だね」
「…こんなことしたって慎二のことは好きにはなれない」
「分かってるよ、でも雪を手に入れたってことになるでしょ?」
「なってない、俺は亮が好きだもん」
「すぐに俺が好きになるよ」
俺の手には鎖がついていて、首には首輪がつけられている。
(鎖とか、どうやって外そう…前は紐だったのに)
「ていうか、ここどこ?」
「えー、内緒だよ」
「この間の地下室では無さそうだし…」
「さぁ?どこだろうね」
部屋にはベットと机、それからキッチンがあるちゃんとした部屋だ。
「帰して」
「ダメ」
「なんで?!犯罪だよ?」
「愛し合ってるから大丈夫」
(大丈夫じゃないんだな、それが…)
慎二は俺の服を丁寧に脱がしてきた。
「やっぱり綺麗な体だね」
「…エロ親父みたい」
「フフ、確かに今のはキモかったかも…ねぇ雪知ってた?俺ね、雪の部屋に監視カメラ置いといたんだ」
「は?!」
慎二はニコッと笑って、見覚えのある人形を鞄から出した。
クマの人形で、可愛いから気に入ってたものだ。
「それ…」
「うん、俺があげたやつ。目の部分にね、カメラを入れといたの、大切にしてくれてたんだね」
(慎二から貰ったものを乱暴に扱うわけがないと分かっていてやったんだな…)
本当に俺が好きだったのかなんていう考えがよぎる。だが、今好きなのは亮だ。
「そりゃ、大切にするでしょ…好きな人から貰ったものなんだから」
「っ!…雪!」
やばい、好きな人とか言ってしまった…慎二は顔を赤らめて俺に抱きつく。
「俺も大好きだよ」
「ごめん、俺は亮が好きなの…」
「フフ、恥ずかしいんだね。可愛いよ」
(話が通じない…)
こうして、監禁生活が始まってしまったのだった。
「雪、おはよう」
(来たか…)
俺は慎二を見ると、いつもより嬉しそうだ。
「お、おはよう…」
「はい、これ。忘れ物」
お気に入りのシャーペンを返してもらう。意外にも変なことはされなかった。
「ありがとう…」
「うん、良かった」
すると、慎二は俺の頬を撫でて見つめ合った。
「な、何?」
「雪ってさ、肌綺麗だよね。睫毛も長いし…唇もちっちゃくて可愛い」
「何?口説いてんの?残念だけど俺の肌も睫毛も唇も亮のものだから」
そう言うと慎二は俺の耳を触った。耳は弱いのでやめて欲しい。
「っやめて」
「耳弱いのかわってないね」
「うるさい…」
「雪、俺のところに戻っておいで。前みたいにほったからしにしないよ、愛してる」
「あっそ、でも俺には亮がいるから」
すると、後ろから抱きしめられた。
「そういうことなので、諦めてほしいな」
「亮!」
「フフ、雪おはよう」
亮に甘えるように、手をにぎる。すると、それを見ていた慎二が俺の手を引っ張った。
「雪は俺のものだよね?何勝手に行こうとしてんの?」
「ちょ、離してよ!」
「ハハ!余裕なさすぎだろ!…さっきから言ってるだろ?雪は俺のものだって」
すかさず、亮が俺にキスをした。軽いものでなくディープなものだ。
「んむ♡んっ♡んぅ♡…」
「クソ!…雪、こっち向けよ」
だが、俺は亮とのキスに夢中で慎二の方なんか向けなかった。
「雪…」
「んっ♡…亮、もうダメ」
口を手で抑えると不服そうな顔をした。そんな亮の頭を撫でてあげる。
「じゃあ、シャーペンありがとうね」
「…」
そう言って俺は席に着いた。
(流石にこれだけ見せつければ慎二も諦めてくれるよね?…)
今日は特に用事もないので1人で帰っていたら、誰かに呼び止められた。
「雪!」
「え?……慎二」
後ろから追いかけてきたようだ。
「今日は部活じゃなかったの?」
「休んできたんだ…その、雪に会いたくて」
前の俺だったら嬉しくて死にそうだっただろうが、今は違う。
(何回言えば気が済むんだ?)
「…俺は会いたくない、慎二は高橋さん達と仲良くしてればいいのに」
「やっぱり、嫉妬してたんだよね?だから、七瀬と付き合ったりしてたんだよね?」
興奮したように話す慎二に俺は少し引いてしまう。
すると、手を取ってきた。
「そんなに悲しかったなら言ってくれれば良かったのに…大好きだよ、雪」
「っ…やめて」
「何で?雪も俺が好きなんだよね?」
「好きじゃない」
そう言うと慎二は悲しそうな顔をした。
(なんで慎二がそんな顔するの?)
「俺には亮がいるって何回言えばいいの?」
「…無理か、じゃあ仕方ないね」
慎二はカバンから何かを取り出して、バチバチという音がした途端に俺は気を失った。
コツコツコツという足音がした。目を開けると慎二がいた。
(また監禁か…まぁ、逃がしてくれるよ、ね?)
「これでずっと、一緒だね」
「…こんなことしたって慎二のことは好きにはなれない」
「分かってるよ、でも雪を手に入れたってことになるでしょ?」
「なってない、俺は亮が好きだもん」
「すぐに俺が好きになるよ」
俺の手には鎖がついていて、首には首輪がつけられている。
(鎖とか、どうやって外そう…前は紐だったのに)
「ていうか、ここどこ?」
「えー、内緒だよ」
「この間の地下室では無さそうだし…」
「さぁ?どこだろうね」
部屋にはベットと机、それからキッチンがあるちゃんとした部屋だ。
「帰して」
「ダメ」
「なんで?!犯罪だよ?」
「愛し合ってるから大丈夫」
(大丈夫じゃないんだな、それが…)
慎二は俺の服を丁寧に脱がしてきた。
「やっぱり綺麗な体だね」
「…エロ親父みたい」
「フフ、確かに今のはキモかったかも…ねぇ雪知ってた?俺ね、雪の部屋に監視カメラ置いといたんだ」
「は?!」
慎二はニコッと笑って、見覚えのある人形を鞄から出した。
クマの人形で、可愛いから気に入ってたものだ。
「それ…」
「うん、俺があげたやつ。目の部分にね、カメラを入れといたの、大切にしてくれてたんだね」
(慎二から貰ったものを乱暴に扱うわけがないと分かっていてやったんだな…)
本当に俺が好きだったのかなんていう考えがよぎる。だが、今好きなのは亮だ。
「そりゃ、大切にするでしょ…好きな人から貰ったものなんだから」
「っ!…雪!」
やばい、好きな人とか言ってしまった…慎二は顔を赤らめて俺に抱きつく。
「俺も大好きだよ」
「ごめん、俺は亮が好きなの…」
「フフ、恥ずかしいんだね。可愛いよ」
(話が通じない…)
こうして、監禁生活が始まってしまったのだった。
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