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Echo44:親不孝
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統領エリック・ジルベールががマレ家の長男を手にかけた。
その噂は、瞬く間に国中へ広がっていった。
耳にした者たちの反応はさまざまだ。
無辜の人間を奪ったのだと激しく糾弾する者、何らかの事情があったに違いないと擁護する者。
立場や過去の関わりによって、その色は様相を変える。
けれども、やがて囁きの矛先は一つの事実へと集まっていく。
裁判が行われなかったこと。
いかなる審問も判決もなく、ただ一声の命令で命を断ったという経緯が、重く人々の胸に残ったのだ。
それは、法を越えた独断ではないのか。
前国王に庇護され、厚遇を受けてきた貴族たちに対する、露骨な圧力ではないのか。
そんな憶測が飛び交っていた。
アリセルの住む辺境の村にも、その話は届いていた。
彼女もまた、来客や市場で交わされる言葉の中から、そのことを耳にしていた。
だが心は、それらの話よりも別のことに囚われていた。
最近、両親の態度が前とは違うのだ。
ルネとの婚約を考えさせて欲しいと告げた、あの日から。
母はいつも通り台所に立ち、湯気の立つ皿をアリセルの前に置く。
けれどその手は、ふとした瞬間に止まり、視線が皿の縁に落ちる。
次に顔を上げるときには、何事もなかったように微笑んでいる。
父は言葉を紡ぐ前に、小さく息をつく癖がついた。わずかな間ののち、穏やかな調子で用件を話し出す。
二人の間に漂う沈黙は短い。
それでも、その沈黙が訪れるたび、家の空気がどこか薄くなる気がした。
ルネとの件については、責められもせず、諭されもしない。
ただ静かに距離を置かれ、彼らの悲しみを帯びた眼差しが、言葉より深く胸に残るのだった。
あの日、「考えさせてほしい」などと言わなければ良かったのかもしれない。
そうすれば、両親にこんな顔をさせずに済んだのではないか。
そんな考えが、日に何度も頭をよぎる。
自分は間違ったのだろうか。軽はずみに口にした一言が、二人の心を深く傷つけてしまったのではないか。
胸の内の強張りを悟られぬよう、アリセルは普段と変わらぬ笑みを形づくった。
「あのね、庭に植えたゲンチアナの花の蕾、少しだけ膨らんできたの」
向かいの席でパンを切っていたミーシャが、ふと手を止めた。
微笑みは変わらないが、刃先がわずかに揺れ、そのまま静かに皿へと置かれる。
「そう……きっと綺麗に咲くわね」
柔らかな声色の奥に、どこか遠くを見ているような響きが混じっていた。
ジョゼフは椅子に腰かけたまま、短く頷く。
口元には穏やかな線が描かれているが、視線はアリセルではなく、自分の手元に向けられていた。
「大事に育てるんだぞ」
優しい声も、微笑みも、すべては以前と変わらないはずなのに、その奥にある何かが、胸を締めつけた。
ほんの少しの沈黙や、目を逸らす仕草。
それらが一つずつ積み重なって、気づけば息が詰まりそうになる。
しかし、それを悟らせてしまったら、きっと二人を困らせる。
そう思えばこそ、唇の端を引き上げた。
視界の端がじんわりと滲むのを、瞬きで追いやりながら、アリセルは何事もないふりを続けた。
☆
「アリセルさん、少し良いかしら?」
その日、両親と客人が共にした食事の席に、アリセルはいなかった。
しかし客人達が帰る間際、穏やかな笑みを浮かべながら声をかけてきたのは、一人の婦人だった。
彼女は以前、アリセルのことを「気品のあるお嬢様」と褒めた婦人である。
彼女は頬に片手をあてがい、憂鬱そうな溜息を吐く。
「困らせているようね」
開口一番に告げられて、アリセルの表情は強張った。
「まさか、ルネ様とのお話を考えたいだなんて……。わたくし、そのお話を聞いた時は驚きましたわ」
婦人の声色は柔らかいが、その奥には静かな圧があった。
何も言えず黙り込むアリセルに、婦人は更に言葉を重ねる。
「お父様もお母様も、あんなに晴れやかだった方々が、急に沈んでしまって。せっかく整えてこられたご縁ですのに。わたくしは、お二人がどれほどあなたの幸せを願ってきたか、ずっと見てきました。それなのに、親御さんをあれほど悲しませるなんて、あなたらしくないわ。……ほんの少しでも、お気持ちを汲んで差し上げて」
アリセルは俯いたまま、思わず拳を握る。
婦人に言われなくても痛い程、分かっている。
両親がこれまで、どれほど自分の幸せを願い、愛してきてくれたか。幼い頃の記憶から今に至るまで、いくつもの情景が胸に蘇る。
自分の笑顔を見て嬉しそうに微笑む母。小さな失敗にも「大丈夫だ」と背中を支えてくれた父。
その全てが、自分を想ってのことだった。
それなのに自分は今、二人を悲しませ、心を傷つけているのだ。
婦人はそんなアリセルをじっと見つめ、穏やかな笑みを絶やさぬまま、ひときわ静かな声で告げた。
「あのお二人が、あんな顔をなさるのを、私はもう見たくありませんの」
彼女の言葉はアリセルの想いとも同じだった。握った拳に思わず力がこもる。
「私は……、私は間違っているのでしょうか」
歯を食いしばりながら、それでも言葉が押し出されるように漏れた。
婦人は一瞬だけ瞼を伏せ、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「ええ。きっと間違っていらっしゃるわ」
声は柔らかく、それでいて揺るぎがない。
「親御さんは、あなたを心から愛し、幸せを願ってこられたのです。そのお気持ちを踏みにじることが、正しいはずがありませんもの。あなたはもっと賢く、優しい子のはずです。ご両親を安心させて差し上げて」
彼女の言葉の裏には、はっきりとした線引きがあった。
ルネとの婚約を受け入れることこそが、賢く、優しく、親孝行な娘の証。
反対に拒むということは、愚かで、冷酷で、親不孝な娘の証だと。暗にそう告げていた。
婦人の言葉に応えようと、アリセルが言葉を探していると、背後から壮年の男が現れた。
彼は以前の会食の席で、アリセルに「ルネと仲睦まじいのは望ましいことだ」と告げてきた老紳士である。思えばあの時、すでに皆、婚約の話を知っていたのだろう。
「ああ、丁度良い所に。アリセル嬢……。聞きましたよ」
低く落ち着いた声色に、アリセルの背筋がわずかに強張る。
「まさか、このご縁を考えたいと仰ったとか。……それは、あまりにも軽率というものですな」
老紳士はゆっくりと歩み寄り、目を細めた。
「これほどの良縁であるのに。しかもお相手は王の忘れ形見、ルネ王子です。そのお方が、あなたに心を開いてくださっているというのに、考えたいなどと申すのは、何よりルネ様の名誉を深く傷つける行いだ」
「そうですわね」
婦人は穏やかに頷き、言葉を継ぐ。
「そんな事になれば、ルネ様だけでなく、お父様もお母様も肩身の狭い思いをなさいますわ。あなただって、親御さんに恥をかかせたくはないでしょう?」
「世間は厳しい。親の名を汚すような娘と見なされれば、一度失った評判は戻らんのです。……よくお考えなさい」
二人の言葉が交互に重なり、柔らかな響きの奥にじわじわと圧が滲む。
真綿で首を絞められるような息苦しさに、アリセルは呼吸の仕方さえ忘れ、ただ視線を落とし続けていた。
その噂は、瞬く間に国中へ広がっていった。
耳にした者たちの反応はさまざまだ。
無辜の人間を奪ったのだと激しく糾弾する者、何らかの事情があったに違いないと擁護する者。
立場や過去の関わりによって、その色は様相を変える。
けれども、やがて囁きの矛先は一つの事実へと集まっていく。
裁判が行われなかったこと。
いかなる審問も判決もなく、ただ一声の命令で命を断ったという経緯が、重く人々の胸に残ったのだ。
それは、法を越えた独断ではないのか。
前国王に庇護され、厚遇を受けてきた貴族たちに対する、露骨な圧力ではないのか。
そんな憶測が飛び交っていた。
アリセルの住む辺境の村にも、その話は届いていた。
彼女もまた、来客や市場で交わされる言葉の中から、そのことを耳にしていた。
だが心は、それらの話よりも別のことに囚われていた。
最近、両親の態度が前とは違うのだ。
ルネとの婚約を考えさせて欲しいと告げた、あの日から。
母はいつも通り台所に立ち、湯気の立つ皿をアリセルの前に置く。
けれどその手は、ふとした瞬間に止まり、視線が皿の縁に落ちる。
次に顔を上げるときには、何事もなかったように微笑んでいる。
父は言葉を紡ぐ前に、小さく息をつく癖がついた。わずかな間ののち、穏やかな調子で用件を話し出す。
二人の間に漂う沈黙は短い。
それでも、その沈黙が訪れるたび、家の空気がどこか薄くなる気がした。
ルネとの件については、責められもせず、諭されもしない。
ただ静かに距離を置かれ、彼らの悲しみを帯びた眼差しが、言葉より深く胸に残るのだった。
あの日、「考えさせてほしい」などと言わなければ良かったのかもしれない。
そうすれば、両親にこんな顔をさせずに済んだのではないか。
そんな考えが、日に何度も頭をよぎる。
自分は間違ったのだろうか。軽はずみに口にした一言が、二人の心を深く傷つけてしまったのではないか。
胸の内の強張りを悟られぬよう、アリセルは普段と変わらぬ笑みを形づくった。
「あのね、庭に植えたゲンチアナの花の蕾、少しだけ膨らんできたの」
向かいの席でパンを切っていたミーシャが、ふと手を止めた。
微笑みは変わらないが、刃先がわずかに揺れ、そのまま静かに皿へと置かれる。
「そう……きっと綺麗に咲くわね」
柔らかな声色の奥に、どこか遠くを見ているような響きが混じっていた。
ジョゼフは椅子に腰かけたまま、短く頷く。
口元には穏やかな線が描かれているが、視線はアリセルではなく、自分の手元に向けられていた。
「大事に育てるんだぞ」
優しい声も、微笑みも、すべては以前と変わらないはずなのに、その奥にある何かが、胸を締めつけた。
ほんの少しの沈黙や、目を逸らす仕草。
それらが一つずつ積み重なって、気づけば息が詰まりそうになる。
しかし、それを悟らせてしまったら、きっと二人を困らせる。
そう思えばこそ、唇の端を引き上げた。
視界の端がじんわりと滲むのを、瞬きで追いやりながら、アリセルは何事もないふりを続けた。
☆
「アリセルさん、少し良いかしら?」
その日、両親と客人が共にした食事の席に、アリセルはいなかった。
しかし客人達が帰る間際、穏やかな笑みを浮かべながら声をかけてきたのは、一人の婦人だった。
彼女は以前、アリセルのことを「気品のあるお嬢様」と褒めた婦人である。
彼女は頬に片手をあてがい、憂鬱そうな溜息を吐く。
「困らせているようね」
開口一番に告げられて、アリセルの表情は強張った。
「まさか、ルネ様とのお話を考えたいだなんて……。わたくし、そのお話を聞いた時は驚きましたわ」
婦人の声色は柔らかいが、その奥には静かな圧があった。
何も言えず黙り込むアリセルに、婦人は更に言葉を重ねる。
「お父様もお母様も、あんなに晴れやかだった方々が、急に沈んでしまって。せっかく整えてこられたご縁ですのに。わたくしは、お二人がどれほどあなたの幸せを願ってきたか、ずっと見てきました。それなのに、親御さんをあれほど悲しませるなんて、あなたらしくないわ。……ほんの少しでも、お気持ちを汲んで差し上げて」
アリセルは俯いたまま、思わず拳を握る。
婦人に言われなくても痛い程、分かっている。
両親がこれまで、どれほど自分の幸せを願い、愛してきてくれたか。幼い頃の記憶から今に至るまで、いくつもの情景が胸に蘇る。
自分の笑顔を見て嬉しそうに微笑む母。小さな失敗にも「大丈夫だ」と背中を支えてくれた父。
その全てが、自分を想ってのことだった。
それなのに自分は今、二人を悲しませ、心を傷つけているのだ。
婦人はそんなアリセルをじっと見つめ、穏やかな笑みを絶やさぬまま、ひときわ静かな声で告げた。
「あのお二人が、あんな顔をなさるのを、私はもう見たくありませんの」
彼女の言葉はアリセルの想いとも同じだった。握った拳に思わず力がこもる。
「私は……、私は間違っているのでしょうか」
歯を食いしばりながら、それでも言葉が押し出されるように漏れた。
婦人は一瞬だけ瞼を伏せ、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「ええ。きっと間違っていらっしゃるわ」
声は柔らかく、それでいて揺るぎがない。
「親御さんは、あなたを心から愛し、幸せを願ってこられたのです。そのお気持ちを踏みにじることが、正しいはずがありませんもの。あなたはもっと賢く、優しい子のはずです。ご両親を安心させて差し上げて」
彼女の言葉の裏には、はっきりとした線引きがあった。
ルネとの婚約を受け入れることこそが、賢く、優しく、親孝行な娘の証。
反対に拒むということは、愚かで、冷酷で、親不孝な娘の証だと。暗にそう告げていた。
婦人の言葉に応えようと、アリセルが言葉を探していると、背後から壮年の男が現れた。
彼は以前の会食の席で、アリセルに「ルネと仲睦まじいのは望ましいことだ」と告げてきた老紳士である。思えばあの時、すでに皆、婚約の話を知っていたのだろう。
「ああ、丁度良い所に。アリセル嬢……。聞きましたよ」
低く落ち着いた声色に、アリセルの背筋がわずかに強張る。
「まさか、このご縁を考えたいと仰ったとか。……それは、あまりにも軽率というものですな」
老紳士はゆっくりと歩み寄り、目を細めた。
「これほどの良縁であるのに。しかもお相手は王の忘れ形見、ルネ王子です。そのお方が、あなたに心を開いてくださっているというのに、考えたいなどと申すのは、何よりルネ様の名誉を深く傷つける行いだ」
「そうですわね」
婦人は穏やかに頷き、言葉を継ぐ。
「そんな事になれば、ルネ様だけでなく、お父様もお母様も肩身の狭い思いをなさいますわ。あなただって、親御さんに恥をかかせたくはないでしょう?」
「世間は厳しい。親の名を汚すような娘と見なされれば、一度失った評判は戻らんのです。……よくお考えなさい」
二人の言葉が交互に重なり、柔らかな響きの奥にじわじわと圧が滲む。
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