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筋書き
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今は看守として暮らすエルヴァン家だが、その血は王家の傍流に連なる。
数代前、政争に敗れ、王宮から追放された第二王妃が幼子を抱き、都を離れた。その子がエルヴァン家の始祖である。
以来、彼らは罪人を見張る家として身を潜めながら、王家の印章を、密かに受け継ぎ続けてきた。
やがてこの国を治めていた王政は、民を顧みず贅を尽くし、独裁の果てに崩れ去る。
王に連なる血は断たれ、ただ一人、幼い王子ルネ・サントレールだけが命を赦された。
王政が倒れ、民の手で新しい秩序が築かれると、かつて栄華を誇った貴族たちは失墜した。平民が国を治めるなど夢にも思わなかった彼らは、怒りと屈辱に震えたのだった。
その中にあって、エルヴァン家のジョゼフとその妻ミーシャ、そして親族は密かに別の野望を抱きはじめた。
この混乱の中でこそ、失われた地位を取り戻せるかもしれない。
彼らは自らの血筋が長き時を経て、再び権力の座へ返り咲くための策を練り始める。
計画の中心に据えられたのは、幽閉されていた前王の遺児ルネだった。
正統な血を継ぐ彼の存在こそが、王政再興の象徴となり得た。
そしてもうひとり、計画に欠かせない者がいた。娘のアリセルだ。
ジョゼフとミーシャにとって、一人娘を王妃としてルネと結びつけることは、権力を取り戻すための最も確かな道だった。
やがて、同じように不満を抱えた旧貴族たちがその動きを嗅ぎつけた。
彼らはエルヴァン家の掲げた理想を旗印とし、次々に集まり、王政復権派と呼ばれる集団が形を成していった。
掲げたのは「正統の復活」だったが、心にあったのはそれぞれの打算だった。欲していたのは、かつての名誉と財、そして再び民を支配する甘美な座。
彼らにとってそれは、失われた栄光を取り戻す唯一の航路であり、すべてを賭ける理由だった。
「外を見せてはいけないわ。この子が王妃の座を望むように、国は腐りきっていると教えましょう」
「そうだな。そのためには、外部のことは知らないままにさせておこう。幸い、ルネ王子が幽閉されている塔は国の外れにある。あそこでアリセルを育てる。外を知らせぬまま、箱庭の中で」
「そして、いずれアリセルをルネ王子と引き合わせ、結ばせるのね」
「……だが、そう思い通りに運ぶとは限らんな。反抗したらどうする?」
「あら、きっと上手くいくわ。私たちがあの子を愛して愛して愛して、世界のすべてにしてあげればいいの。親の愛に抗える子なんていないもの」
「だが、ルネ王子の心をどう動かす? アリセルに心を寄せるとは限らない」
「そうね。強いて結ばせることもできるけれど、それでは反発されるわ。あの子たちが自分の意志で選んだと思うように仕向けたいものね」
「こうしてはどうだろうか。アリセルが私たちに心を委ねるように、ルネ王子の心もあの子に縛らせるのは」
「それはいい考えだと思うわ。でもどうやって?」
「徹底的に打ち砕けばいい。痛みと孤独、恐怖の中で、生きる意味を見失わせるんだ。そうして初めてアリセルだけが救いになる。そうすれば、彼の心はアリセルに囚われる。やがて、彼女を求めずにはいられなくなるだろう」
こうして、ジョゼフとミーシャ、そして王政復権派の計画は静かに動き出した。
閉ざされた箱庭に娘を、絶望の塔に王子を。
アリセルには外の世界を知らせず、親の理想のもとで穏やかな幸福を与える。
ルネには痛みと孤独、恐怖の中で心を削がせ、何ひとつ信じられぬように仕向ける。
満たされた無垢と、欠けた絶望の対を作り出し、出会わせる。
そうして生まれる錯覚こそが、愛という名の絆に見えるよう仕向けるのだ。
筋書きの通り、アリセルは親の愛を疑わないまま、素直で従順な娘に育ち、ルネは塔の中で仕組まれた虐待にさらされ、魂を砕かれた。
やがて二人は、看守と囚人として引き合わせられた。
ルネの境遇に胸を痛めたアリセルは、無垢な思いで彼に寄り添った。
その甲斐あって、ルネは人としての光を取り戻し、アリセルの存在に生きる意味を見いだすようになっていく。
その絆の裏で、ジョゼフとミーシャは着々と次の手を進めていた。
二人が次に目指すのは、統領エリック・ジルベールの失脚である。
王子を玉座に戻すためには、現政権の正統性を崩さねばならない。そのために彼らは、醜聞、疑惑、暗殺、あらゆる手段を想定した。
だが、エリックには一点の汚れもなかった。
民の信頼を得ており、私生活にも疵はなく、敵対派に揚げ足を取られる隙さえない。彼の清廉さこそが、最大の障壁だった。
「ルネ王子はアリセルに懐き、心を預けているわ。そろそろ次の段取りを始めましょう。統領エリック・ジルベールの失脚。あの男を引きずり降ろさなければ、始まらないわ」
「とは言え、あの男には隙がない。民の信頼も磐石だ。だからこそ、こちらで醜聞を作り上げる必要があるな」
「ねえ、誇り高い子がいたわね。マレ家の長男よ。私欲に動かされず、王政復権を心から望んでいるあの子。……だったら、新しい世のために役に立ってもらいましょう」
「そうだな。彼は王のためとあらば、自ら死を選ぶ子だ。その死をエリックに殺されたように見せればいい」
「民の情は強いわ。清らかな若者が犠牲になったと聞けば、怒りは統領に向かう」
「真実でなくていい。物語さえ整えば、民はそれを信じる」
まもなく噂は都に流れた。
幽閉されている元王子の前任看守がエリックの独断で殺され、抗議したマレ家の長男も口封じとして葬られた。……そう囁かれたのだ。
実際には前任看守を殺したのはマレ家の長男であり、彼自身は信じた理想のために自ら命を絶った。
だが民は真実よりも物語を選ぶ。
「統領が清らかな青年を葬った」という声は、瞬く間に広がり、涙ながらにその死を悼む者すら現れた。
人々はかつての残虐な王政を思い出し、所詮、統領も同じなのだと、静かな憤りが隅々に滲みはじめた。
そしてある日、エリックが視察に出た際、群衆の中から刃が閃いた。
護衛の制止も間に合わず、肩をかすめた刃が血を散らす。
傷は浅かったが、統領の威信には確かな亀裂が入った。
それで十分だった。ジョゼフやミーシャ、そして王政復権派にとっては。
その後は、ルネとアリセルを正式に夫婦とする必要があった。
だが誤算だったのは、アリセルがルネとの婚約を迷ったことだ。
これまで一度も親に逆らったことのない娘……いずれは親の決めた相手と結ばれるものと悟っていたはずの娘が、そこで躊躇いを見せたのである。
彼らは静かな苛立ちを覚えた。
だが無理強いをして従わせれば、これまで築いてきた愛情と信頼は一瞬で崩れる。
だから焦ってはならない。
あくまでアリセルが自分で選んだのだと、彼女自身にも信じ込ませなければならなかった。親を何よりも愛する、優しく従順な娘のことだ。悲しげな顔を見せていれば、いずれ心は傾くに違いない。
そして秋祭りがやって来た。
その日、彼らは確信を得た。
アリセルがルネとの婚約に頷かなかった理由。それは、彼女が自覚のないまま、心の底でユーグを想っているからだ。
両親もその気配には薄々気づいていた。
だからこそ、彼女に諦めを抱かせるため、ユーグにデイジーを紹介し、二人を恋人同士に仕立てたのである。だが、それだけではアリセルの心を揺らすには至らなかった。
ユーグもまた、アリセルを愛していると誓いの祭儀の場で公に宣言し、皆の前で唇を重ねた。
それはもはや誓いの口づけというより、所有を示すかのような激しさを帯びていた。
その瞬間、彼らは悟った。
この男もまた、障壁のひとつであると。
ならば、排除するしかない。彼らはすぐに結論づけ、ユーグの殺害を企てたのだ。
数代前、政争に敗れ、王宮から追放された第二王妃が幼子を抱き、都を離れた。その子がエルヴァン家の始祖である。
以来、彼らは罪人を見張る家として身を潜めながら、王家の印章を、密かに受け継ぎ続けてきた。
やがてこの国を治めていた王政は、民を顧みず贅を尽くし、独裁の果てに崩れ去る。
王に連なる血は断たれ、ただ一人、幼い王子ルネ・サントレールだけが命を赦された。
王政が倒れ、民の手で新しい秩序が築かれると、かつて栄華を誇った貴族たちは失墜した。平民が国を治めるなど夢にも思わなかった彼らは、怒りと屈辱に震えたのだった。
その中にあって、エルヴァン家のジョゼフとその妻ミーシャ、そして親族は密かに別の野望を抱きはじめた。
この混乱の中でこそ、失われた地位を取り戻せるかもしれない。
彼らは自らの血筋が長き時を経て、再び権力の座へ返り咲くための策を練り始める。
計画の中心に据えられたのは、幽閉されていた前王の遺児ルネだった。
正統な血を継ぐ彼の存在こそが、王政再興の象徴となり得た。
そしてもうひとり、計画に欠かせない者がいた。娘のアリセルだ。
ジョゼフとミーシャにとって、一人娘を王妃としてルネと結びつけることは、権力を取り戻すための最も確かな道だった。
やがて、同じように不満を抱えた旧貴族たちがその動きを嗅ぎつけた。
彼らはエルヴァン家の掲げた理想を旗印とし、次々に集まり、王政復権派と呼ばれる集団が形を成していった。
掲げたのは「正統の復活」だったが、心にあったのはそれぞれの打算だった。欲していたのは、かつての名誉と財、そして再び民を支配する甘美な座。
彼らにとってそれは、失われた栄光を取り戻す唯一の航路であり、すべてを賭ける理由だった。
「外を見せてはいけないわ。この子が王妃の座を望むように、国は腐りきっていると教えましょう」
「そうだな。そのためには、外部のことは知らないままにさせておこう。幸い、ルネ王子が幽閉されている塔は国の外れにある。あそこでアリセルを育てる。外を知らせぬまま、箱庭の中で」
「そして、いずれアリセルをルネ王子と引き合わせ、結ばせるのね」
「……だが、そう思い通りに運ぶとは限らんな。反抗したらどうする?」
「あら、きっと上手くいくわ。私たちがあの子を愛して愛して愛して、世界のすべてにしてあげればいいの。親の愛に抗える子なんていないもの」
「だが、ルネ王子の心をどう動かす? アリセルに心を寄せるとは限らない」
「そうね。強いて結ばせることもできるけれど、それでは反発されるわ。あの子たちが自分の意志で選んだと思うように仕向けたいものね」
「こうしてはどうだろうか。アリセルが私たちに心を委ねるように、ルネ王子の心もあの子に縛らせるのは」
「それはいい考えだと思うわ。でもどうやって?」
「徹底的に打ち砕けばいい。痛みと孤独、恐怖の中で、生きる意味を見失わせるんだ。そうして初めてアリセルだけが救いになる。そうすれば、彼の心はアリセルに囚われる。やがて、彼女を求めずにはいられなくなるだろう」
こうして、ジョゼフとミーシャ、そして王政復権派の計画は静かに動き出した。
閉ざされた箱庭に娘を、絶望の塔に王子を。
アリセルには外の世界を知らせず、親の理想のもとで穏やかな幸福を与える。
ルネには痛みと孤独、恐怖の中で心を削がせ、何ひとつ信じられぬように仕向ける。
満たされた無垢と、欠けた絶望の対を作り出し、出会わせる。
そうして生まれる錯覚こそが、愛という名の絆に見えるよう仕向けるのだ。
筋書きの通り、アリセルは親の愛を疑わないまま、素直で従順な娘に育ち、ルネは塔の中で仕組まれた虐待にさらされ、魂を砕かれた。
やがて二人は、看守と囚人として引き合わせられた。
ルネの境遇に胸を痛めたアリセルは、無垢な思いで彼に寄り添った。
その甲斐あって、ルネは人としての光を取り戻し、アリセルの存在に生きる意味を見いだすようになっていく。
その絆の裏で、ジョゼフとミーシャは着々と次の手を進めていた。
二人が次に目指すのは、統領エリック・ジルベールの失脚である。
王子を玉座に戻すためには、現政権の正統性を崩さねばならない。そのために彼らは、醜聞、疑惑、暗殺、あらゆる手段を想定した。
だが、エリックには一点の汚れもなかった。
民の信頼を得ており、私生活にも疵はなく、敵対派に揚げ足を取られる隙さえない。彼の清廉さこそが、最大の障壁だった。
「ルネ王子はアリセルに懐き、心を預けているわ。そろそろ次の段取りを始めましょう。統領エリック・ジルベールの失脚。あの男を引きずり降ろさなければ、始まらないわ」
「とは言え、あの男には隙がない。民の信頼も磐石だ。だからこそ、こちらで醜聞を作り上げる必要があるな」
「ねえ、誇り高い子がいたわね。マレ家の長男よ。私欲に動かされず、王政復権を心から望んでいるあの子。……だったら、新しい世のために役に立ってもらいましょう」
「そうだな。彼は王のためとあらば、自ら死を選ぶ子だ。その死をエリックに殺されたように見せればいい」
「民の情は強いわ。清らかな若者が犠牲になったと聞けば、怒りは統領に向かう」
「真実でなくていい。物語さえ整えば、民はそれを信じる」
まもなく噂は都に流れた。
幽閉されている元王子の前任看守がエリックの独断で殺され、抗議したマレ家の長男も口封じとして葬られた。……そう囁かれたのだ。
実際には前任看守を殺したのはマレ家の長男であり、彼自身は信じた理想のために自ら命を絶った。
だが民は真実よりも物語を選ぶ。
「統領が清らかな青年を葬った」という声は、瞬く間に広がり、涙ながらにその死を悼む者すら現れた。
人々はかつての残虐な王政を思い出し、所詮、統領も同じなのだと、静かな憤りが隅々に滲みはじめた。
そしてある日、エリックが視察に出た際、群衆の中から刃が閃いた。
護衛の制止も間に合わず、肩をかすめた刃が血を散らす。
傷は浅かったが、統領の威信には確かな亀裂が入った。
それで十分だった。ジョゼフやミーシャ、そして王政復権派にとっては。
その後は、ルネとアリセルを正式に夫婦とする必要があった。
だが誤算だったのは、アリセルがルネとの婚約を迷ったことだ。
これまで一度も親に逆らったことのない娘……いずれは親の決めた相手と結ばれるものと悟っていたはずの娘が、そこで躊躇いを見せたのである。
彼らは静かな苛立ちを覚えた。
だが無理強いをして従わせれば、これまで築いてきた愛情と信頼は一瞬で崩れる。
だから焦ってはならない。
あくまでアリセルが自分で選んだのだと、彼女自身にも信じ込ませなければならなかった。親を何よりも愛する、優しく従順な娘のことだ。悲しげな顔を見せていれば、いずれ心は傾くに違いない。
そして秋祭りがやって来た。
その日、彼らは確信を得た。
アリセルがルネとの婚約に頷かなかった理由。それは、彼女が自覚のないまま、心の底でユーグを想っているからだ。
両親もその気配には薄々気づいていた。
だからこそ、彼女に諦めを抱かせるため、ユーグにデイジーを紹介し、二人を恋人同士に仕立てたのである。だが、それだけではアリセルの心を揺らすには至らなかった。
ユーグもまた、アリセルを愛していると誓いの祭儀の場で公に宣言し、皆の前で唇を重ねた。
それはもはや誓いの口づけというより、所有を示すかのような激しさを帯びていた。
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