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Echo32:出自と役目
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アリセルは桶に布を浸し、石の目地をゆっくりと撫でていた。
しっとりと湿った布の感触が、手のひらに心地よい。
窓のほうでは、ユーグとルネが並んで手を動かしていた。
格子の合間から射しこむ淡い光を受けながら、二人は細い刷毛で窓枠の隙間をなぞっている。
ルネは枠に溜まった埃を真剣な面持ちで払っていた。
ときどき刷毛を止めて、近づいて確かめるように顔を寄せる様子は、集中の気配があった。
対するユーグはというと、手慣れた動きで隅々を掃除しながらも、時おり視線だけでルネの様子を確認しているようだった。
ルネはふと手を止めて、陽を受けた格子の金属をじっと見つめた。
「……光が、きれいだね」
誰に言うでもなく呟かれた声は、牢の中に淡く溶けた。
アリセルは柔らかく微笑むと、布を桶の中に戻して静かに立ち上がった。
濡れた掌を軽く拭いながら、二人の元へと歩み寄る。窓辺には、磨かれた鉄枠が陽を受けて淡く光っていた。
そのとき、背後で扉が開く音が響いた。
「なにを、しているの?」
そして本気で戸惑ったような声が一つ。アリセルは振り返った。
目の前のデイジーは、先程、水を運ぶと知った時と同じように、困惑した表情をしていた。
そこにいつもの他人を見下したような勝気さはない。
「掃除」
ユーグが、にべもなく答える。
デイジーは狼狽えたように視線を彷徨わせてから、きゅっと唇を引き結んだ。
「……さっきも言ったけれど。どうしてあなたたちが、わざわざ自分の手でそんな事をするの? 掃除なんて、本来なら他人にさせるべきことでしょう? どうして、平然とそんな、卑しい真似をしていられるの!?」
「……掃除って、卑しいの?」
思ってもみなかった言葉に、アリセルは目をぱちくりさせながら、ユーグに問いかけていた。
ユーグは、どこかどうでも良さそうな面持ちで「さぁ?」と軽く答えた。
すると、それまで黙っていたルネが、ぽつりと口を開いた。
「……あの、ごめんなさい」
申し訳なさそうな声だった。ルネは視線を落とし、小さくうなだれている。
「……ふたりは、僕のためにしてくれてるんだ。とても、嬉しくて、ありがたかったから、そのまま甘えていたけど。でも……もしそれが、見苦しいことだとか、不適切なことだとしたら……。ごめんなさい」
デイジーがはっとしたように息を呑み、数歩、前に出た。
「違います、ルネ様。あなたが、そんなことをなさる必要はないという意味です。……ご自身の立場を考えれば、わざわざ手を汚すようなことは……っ! それにアリセルだって、あんたがそんな事する必要なんてないのよ」
アリセルは、少しだけまばたきをしてから、首を傾げる。
「……私が、エルヴァン家の娘だから?」
「それだけじゃないわ。だって、あなたたち、ゆくゆくは……」
その先を口にしかけた瞬間、デイジーの顔にかすかな緊張が走った。
言葉は途中で止まり、唇だけが、まだ何かを続けようとわずかに動いていた。
けれど声にはならない。
そして、ほんの一拍ののち、彼女は何事もなかったかのように口を閉ざした。
何を言いかけたのだろうか。アリセルはわずかに眉をひそめた。
けれど問い返すよりも早く、デイジーのほうが先に言葉を継いだ。
「それに、ユーグにも……こんなこと、させたくないの。あなたには、もっと似合う立ち位置があるでしょう? 私の隣に立つ人として」
その声には、話を逸らすような無理のある抑揚が混じっていたが、奥には確かな独占欲と誇示する響きがあった。ユーグは少しだけ目を細める。
「そうは言っても、俺、何でも屋だし」
軽い調子でユーグが答えると、ルネは不思議そうな表情をした。
「あの、隣に立つ人って、二人はお付き合いしているの?」
素直な声が、静かな空気のなかに落ちた。
「てっきり、ユーグはアリセルのことが好きで、アリセルもユーグのことが好きなんだと思っていた」
間を置かず、続けられた言葉に、アリセルの肩がぴくりと強張る。
考えるより先に、顔が熱くなった。何かを言わなければと思って口を開くが、声が出ない。
「違うぞ、ルネ。アリセルは、俺にとって妹みたいなもんだ」
ユーグの声が、すぐ近くで落ちる。
いつも通りの調子だった。軽くて、飄々としていて、何かを気にする様子は微塵もない。
『妹』。
その言葉は、以前にもユーグの口から聞いたことがあった。
そのときと同じように、胸の奥に小さな痛みが灯る。
けれどアリセルは、そこに意識をとどめなかった。返すべき言葉は決まっていたし、それ以外の答えを探す必要もなかった。
「そうです、ルネ様。ユーグは、私の大切な親友です」
アリセルの声が落ち着いて響いた直後、デイジーが一歩踏み出すようにして言葉を挟んだ。
「そうですわ、ルネ様。アリセルには“未来”がありますもの。それが別の道に逸れるなんて、そんなこと起こる訳がありません」
デイジーの言う未来。
それが何を指すのか、アリセルには分かっていた。
エルヴァン家の娘として、誰と並び、何を捧げるべきか。それを決めるのは、自分ではなく、きっと両親なのだろう。
父も母も、それを無理に押しつけてくるような人たちではなかった。
ただ、もしも違う道を選びたいと口にしたら、あの優しいふたりは、どれほどがっかりするだろう。
その顔を思い浮かべるだけで、胸の奥がぎゅっと締めつけられるように痛んだ。
きっと、誰からも強く止められはしない。反対されることもない。
けれど、それでも、自分自身が、その選択を許せなくなってしまう気がする。
両親を悲しませる未来を、心から望めるはずがなかった。
黙り込むアリセルの手を、ルネがそっと触れる。
何の前触れもなく、ただ指先が重なった。心底案じているような眼差しに、アリセルが微笑みを返すと、その場の空気を変えるように、すぐ隣から声が降る。
「ああ、そういえば、ルネ。お前、さっき言ってたよな。俺とデイジーがつき合ってるって話」
何でもないような口調だった。
どこか半分笑っているようでいて、真顔のまま続ける。
「俺たちって、つき合ってたんだっけ?」
あまりにあっけらかんとした問いに、場が一瞬だけ静まりかえった。
「……な、なに言ってるのよ……!?」
デイジーの声がわずかに裏返る。表情がこわばり、目を大きく見開いた。
「この前の食事のときに……私、そういうことだって思ったのに……! あなたの態度、あれは……」
言いかけて、口をつぐむ。息が詰まったように喉が鳴り、視線が宙をさまよう。
「……冗談だったの……? ……私だけ、信じてたの……?」
そんなデイジーの動揺を前にしても、ユーグの表情は変わらなかった。
まるで他人事のように言葉を返す。
「いや? つき合ってるってことでいいなら、それでいいし。そうじゃないなら、それでもいい。……俺は、どっちでもいいよ。お前が決めれば、合わせるから」
淡々としたその口調に、困惑も謝意もなかった。
来る者を拒まず、去る者も追わぬ。そんな姿勢が、ごく自然ににじんでいた。
傍らでじっと話を聞いていたアリセルは、ちらりとデイジーの横顔を見た。
彼女の頬は引きつり、唇がわずかに震えている。
返す言葉を探しているのか、それとも、込み上げるものを堪えているのか。
どちらにせよ、いつもの勢いが消えていて、妙にしおれて見えた。
アリセル自身、デイジーに散々怒鳴られたり、棘のあることを言われたりもしたが、彼女がユーグのことを本気で想っていたのは、きっと間違いなかった。
だからこそ、軽い言葉に打ちのめされているのだと思うと、少しだけ気の毒になる。
まるで、からかわれたみたいじゃない。
それなのにユーグ本人は、何事もなかったように涼しい顔をしているのだから、なおさら救いがない。こんな調子で生きていたら、いつか怒った女性に本気で刺されるんじゃないかと、割と真剣に思うアリセルだった。
しっとりと湿った布の感触が、手のひらに心地よい。
窓のほうでは、ユーグとルネが並んで手を動かしていた。
格子の合間から射しこむ淡い光を受けながら、二人は細い刷毛で窓枠の隙間をなぞっている。
ルネは枠に溜まった埃を真剣な面持ちで払っていた。
ときどき刷毛を止めて、近づいて確かめるように顔を寄せる様子は、集中の気配があった。
対するユーグはというと、手慣れた動きで隅々を掃除しながらも、時おり視線だけでルネの様子を確認しているようだった。
ルネはふと手を止めて、陽を受けた格子の金属をじっと見つめた。
「……光が、きれいだね」
誰に言うでもなく呟かれた声は、牢の中に淡く溶けた。
アリセルは柔らかく微笑むと、布を桶の中に戻して静かに立ち上がった。
濡れた掌を軽く拭いながら、二人の元へと歩み寄る。窓辺には、磨かれた鉄枠が陽を受けて淡く光っていた。
そのとき、背後で扉が開く音が響いた。
「なにを、しているの?」
そして本気で戸惑ったような声が一つ。アリセルは振り返った。
目の前のデイジーは、先程、水を運ぶと知った時と同じように、困惑した表情をしていた。
そこにいつもの他人を見下したような勝気さはない。
「掃除」
ユーグが、にべもなく答える。
デイジーは狼狽えたように視線を彷徨わせてから、きゅっと唇を引き結んだ。
「……さっきも言ったけれど。どうしてあなたたちが、わざわざ自分の手でそんな事をするの? 掃除なんて、本来なら他人にさせるべきことでしょう? どうして、平然とそんな、卑しい真似をしていられるの!?」
「……掃除って、卑しいの?」
思ってもみなかった言葉に、アリセルは目をぱちくりさせながら、ユーグに問いかけていた。
ユーグは、どこかどうでも良さそうな面持ちで「さぁ?」と軽く答えた。
すると、それまで黙っていたルネが、ぽつりと口を開いた。
「……あの、ごめんなさい」
申し訳なさそうな声だった。ルネは視線を落とし、小さくうなだれている。
「……ふたりは、僕のためにしてくれてるんだ。とても、嬉しくて、ありがたかったから、そのまま甘えていたけど。でも……もしそれが、見苦しいことだとか、不適切なことだとしたら……。ごめんなさい」
デイジーがはっとしたように息を呑み、数歩、前に出た。
「違います、ルネ様。あなたが、そんなことをなさる必要はないという意味です。……ご自身の立場を考えれば、わざわざ手を汚すようなことは……っ! それにアリセルだって、あんたがそんな事する必要なんてないのよ」
アリセルは、少しだけまばたきをしてから、首を傾げる。
「……私が、エルヴァン家の娘だから?」
「それだけじゃないわ。だって、あなたたち、ゆくゆくは……」
その先を口にしかけた瞬間、デイジーの顔にかすかな緊張が走った。
言葉は途中で止まり、唇だけが、まだ何かを続けようとわずかに動いていた。
けれど声にはならない。
そして、ほんの一拍ののち、彼女は何事もなかったかのように口を閉ざした。
何を言いかけたのだろうか。アリセルはわずかに眉をひそめた。
けれど問い返すよりも早く、デイジーのほうが先に言葉を継いだ。
「それに、ユーグにも……こんなこと、させたくないの。あなたには、もっと似合う立ち位置があるでしょう? 私の隣に立つ人として」
その声には、話を逸らすような無理のある抑揚が混じっていたが、奥には確かな独占欲と誇示する響きがあった。ユーグは少しだけ目を細める。
「そうは言っても、俺、何でも屋だし」
軽い調子でユーグが答えると、ルネは不思議そうな表情をした。
「あの、隣に立つ人って、二人はお付き合いしているの?」
素直な声が、静かな空気のなかに落ちた。
「てっきり、ユーグはアリセルのことが好きで、アリセルもユーグのことが好きなんだと思っていた」
間を置かず、続けられた言葉に、アリセルの肩がぴくりと強張る。
考えるより先に、顔が熱くなった。何かを言わなければと思って口を開くが、声が出ない。
「違うぞ、ルネ。アリセルは、俺にとって妹みたいなもんだ」
ユーグの声が、すぐ近くで落ちる。
いつも通りの調子だった。軽くて、飄々としていて、何かを気にする様子は微塵もない。
『妹』。
その言葉は、以前にもユーグの口から聞いたことがあった。
そのときと同じように、胸の奥に小さな痛みが灯る。
けれどアリセルは、そこに意識をとどめなかった。返すべき言葉は決まっていたし、それ以外の答えを探す必要もなかった。
「そうです、ルネ様。ユーグは、私の大切な親友です」
アリセルの声が落ち着いて響いた直後、デイジーが一歩踏み出すようにして言葉を挟んだ。
「そうですわ、ルネ様。アリセルには“未来”がありますもの。それが別の道に逸れるなんて、そんなこと起こる訳がありません」
デイジーの言う未来。
それが何を指すのか、アリセルには分かっていた。
エルヴァン家の娘として、誰と並び、何を捧げるべきか。それを決めるのは、自分ではなく、きっと両親なのだろう。
父も母も、それを無理に押しつけてくるような人たちではなかった。
ただ、もしも違う道を選びたいと口にしたら、あの優しいふたりは、どれほどがっかりするだろう。
その顔を思い浮かべるだけで、胸の奥がぎゅっと締めつけられるように痛んだ。
きっと、誰からも強く止められはしない。反対されることもない。
けれど、それでも、自分自身が、その選択を許せなくなってしまう気がする。
両親を悲しませる未来を、心から望めるはずがなかった。
黙り込むアリセルの手を、ルネがそっと触れる。
何の前触れもなく、ただ指先が重なった。心底案じているような眼差しに、アリセルが微笑みを返すと、その場の空気を変えるように、すぐ隣から声が降る。
「ああ、そういえば、ルネ。お前、さっき言ってたよな。俺とデイジーがつき合ってるって話」
何でもないような口調だった。
どこか半分笑っているようでいて、真顔のまま続ける。
「俺たちって、つき合ってたんだっけ?」
あまりにあっけらかんとした問いに、場が一瞬だけ静まりかえった。
「……な、なに言ってるのよ……!?」
デイジーの声がわずかに裏返る。表情がこわばり、目を大きく見開いた。
「この前の食事のときに……私、そういうことだって思ったのに……! あなたの態度、あれは……」
言いかけて、口をつぐむ。息が詰まったように喉が鳴り、視線が宙をさまよう。
「……冗談だったの……? ……私だけ、信じてたの……?」
そんなデイジーの動揺を前にしても、ユーグの表情は変わらなかった。
まるで他人事のように言葉を返す。
「いや? つき合ってるってことでいいなら、それでいいし。そうじゃないなら、それでもいい。……俺は、どっちでもいいよ。お前が決めれば、合わせるから」
淡々としたその口調に、困惑も謝意もなかった。
来る者を拒まず、去る者も追わぬ。そんな姿勢が、ごく自然ににじんでいた。
傍らでじっと話を聞いていたアリセルは、ちらりとデイジーの横顔を見た。
彼女の頬は引きつり、唇がわずかに震えている。
返す言葉を探しているのか、それとも、込み上げるものを堪えているのか。
どちらにせよ、いつもの勢いが消えていて、妙にしおれて見えた。
アリセル自身、デイジーに散々怒鳴られたり、棘のあることを言われたりもしたが、彼女がユーグのことを本気で想っていたのは、きっと間違いなかった。
だからこそ、軽い言葉に打ちのめされているのだと思うと、少しだけ気の毒になる。
まるで、からかわれたみたいじゃない。
それなのにユーグ本人は、何事もなかったように涼しい顔をしているのだから、なおさら救いがない。こんな調子で生きていたら、いつか怒った女性に本気で刺されるんじゃないかと、割と真剣に思うアリセルだった。
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