銀色の商人と贋作の妻

真大(mahiro)

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第2章

決闘⚠️

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バンガルド卿は、ベッドの上で人形のように横たわるエリアスを全裸にし、その白磁のような肌を執拗に舐め回していた。

ヒートの予兆は確実に濃くなっている。
エリアスの全身から立ち昇る甘く濃厚なフェロモンは、アルファの本能を強烈に刺激し、バンガルド卿の理性を削り取っていく。

「……くっ、たまらない香りだ」

これまで「ヒート本番までは」と性的な行為を寸止めしてきたバンガルド卿だったが、今日ばかりはその禁を破らずにはいられなかったようだ。
彼の股間は、ズボンの上からでも分かるほど硬く昂りを見せている。

「口を開けろ」

バンガルド卿はエリアスの顎を掴み、無理やり口を開かせると、自身の猛り狂った熱い楔を強引に押し込んだ。

「ん、ぐう……っ!?」

口内を満たす異物の大きさと味に、エリアスが呻く。
しかし、バンガルド卿はエリアスの反応など意に介さず、冷酷に命じた。

「そのまま舐めろ」

エリアスは言われた通りに従うしかなかった。
抵抗する意志も力も、薬によって奪われている。
それをいいことに、バンガルド卿は興奮した様子でエリアスの上に跨ったまま、腰を振って奥へ奥へと凶器を押し込んだ。

「おっ、う……んぐっ……!」

喉の奥深くまで突き入れられ、酸素を遮断される。
バンガルド卿はエリアスの苦痛など気遣う様子もなく、ただ自分の快楽のためだけにエリアスの顔を掴み、口を汚い穴のように扱った。
エリアスは呼吸ができず、苦しみに目を白黒させて藻掻くが、逃げられない。

「いくぞ……っ!」

喉奥を激しく突かれ、そのままドクリと熱いものが射精された。

「ごふっ……!」

ビク! と身体が震え、ようやく楔が抜かれた時には、エリアスは酸素を求めて激しく喘いだ。
だが、口の中に溢れたものを吐き出すことは許されなかった。

「飲み込め」

顎を強く掴まれ、上を向かされる。
嗜虐心に満ちたバンガルド卿の瞳に見下ろされながら、エリアスは息も整わないまま、喉に張り付く不快な感触に耐え、ごくりと飲み下した。

何も言わないまま、屈辱による生理的な涙が頬を伝って流れていく。
その従順で惨めな様子に、バンガルド卿は歪んだ満足感を浮かべた。

そして、さらなる快楽を求めて再びエリアスの身体へ手を伸ばした、その瞬間だった。

ドンドンドンッ!!

部屋の扉が、壊れんばかりの勢いで強く叩かれた。

「チッ、なんだ!」

驚いた様子のバンガルド卿は、舌打ちをして立ち上がり、全裸のエリアスに慌ててシーツをかけた。
そして不機嫌そうに扉を開けると、そこには顔面蒼白になった執事が立っていた。

「だ、旦那様!大変です!王宮の騎士団が屋敷に来ております!」
「なに……?」

「追い返せ」と命じるよりも早く、廊下からは複数の重い足音が近づいてきていた。
騎士たちは、すでにこの部屋の前まで到着していたのだ。

バンガルド卿はエリアスを隠そうと、慌てて部屋の扉を閉めようとした。
しかし、ガシッ! と革手袋をはめた手が扉を押さえ、それを阻止した。

「無礼な!あの男が何か騎士に言ったのか?王宮の騎士が動くとは何事か!私を誰だと思って……」

バンガルド卿が喚き散らすが、扉をこじ開けて現れた騎士団長らしき男は、動じることなく一枚の書面を突きつけた。

「バンガルド侯爵。貴殿に対し、ハルトマン卿から貴族院の条約に基づき『決闘』が申し込まれました」
「……は?」
「貴殿は、必ずそれを受ける義務がある」

騎士は淡々と、しかし厳格に告げた。
バンガルド卿は動揺に目を見開いた。

「け、決闘だと!?馬鹿な!格下の家が上位貴族に挑み、勝利した前例などないぞ!」
「前例の有無は関係ない。手続きは受理された」

騎士はバンガルド卿の抗議を無視し、部屋の中へと視線を向けた。

「そして、我々がここに来たのは、『決闘』の勝敗が決するまで、ハルトマン卿が求める賭けの対象……エリアス・フォン・ハルトマン卿を保護するためです」

騎士は押さえていた扉を大きく開け放つと、迷うことなく部屋に入り、ベッドの上のエリアスに歩み寄った。
そして、恭しく片膝をついて跪いた。

「ハルトマン卿の望みは、エリアス様の安全な返還。そのための決闘となりますので、決着が着くまで我々が保護致します」

そう言い、騎士は持参していた上着を、シーツの中で全裸にされているエリアスにそっとかけてくれた。

「……っ」

ふわ、と包まれた上着から、嗅ぎ慣れた森の香りがした。
ヴォルフの匂いだ。
エリアスの身体が、ビクリと震えた。

「ま、待て!そのオメガは私の……」

バンガルド卿が青ざめた顔でエリアスを取り返そうとしたが、他の騎士たちによって即座に制圧され、壁際に押さえつけられた。

エリアスは騎士に支えられ、そのまま部屋の外へと連れ出された。
抵抗できないバンガルド卿の喚き声が遠ざかっていく。

屋敷の外に出ると、そこには王宮の紋章が入った豪奢な馬車が待機していた。
エリアスは一人、その馬車に乗せられる。
周りには護衛として、数名の騎士が馬に乗って囲んだ。

「出発する!」

号令と共に、馬車が動き出す。
何が起きたのか、薬のせいで思考も身体も上手く動かせないエリアスには、事態の全てを理解することはできなかった。

けれど、上着から香る匂いと、屈強な騎士たちに守られているという事実。
それらは全て、ヴォルフが動いた結果なのだということだけは理解できた。

(ヴォルフ……)

エリアスは上着を強く握りしめ、揺れる馬車の中で意識を保とうと必死に耐えた。
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