銀色の商人と贋作の妻

真大(mahiro)

文字の大きさ
95 / 251
第2章

繋がれた涙⚠️

しおりを挟む

激しい情事が何時間続いたのだろうか。
3日目のヒートの熱は一向に治まる気配を見せず、むしろエリアスの理性と体力を薪にして、さらに激しく燃え盛っていた。

「ぁ、あ、うぅ……っ」

何度も絶頂を迎え、身体はガクガクと痙攣し続けている。
さすがに消耗が激しすぎると判断したのか、ヴォルフがエリアスの身体を気遣い、繋がっている部分をゆっくりと引き抜こうと腰を引いた。
その瞬間だった。

「――っ、やだ!!」

エリアスはヴォルフの背中に爪を立ててしがみつき、泣きじゃくった。

「抜かないで……っ!やだ、いや、離れないでぇ……ッ!」
「エリアス……?」
「やだ、っ……中にいて、お願い、抜かないでぇ……!」

まるで親に捨てられるのを恐れる子供のように、必死な形相で懇願する。
ヒートの熱で思考回路が焼き切れ、ただ「ヴォルフと一つでいたい」「空っぽになりたくない」という本能だけが暴走していた。

「よし、分かった。……抜かないよ。離れないから」

ヴォルフはエリアスを落ち着かせるように、正面から抱きしめ直し、身体を密着させた。

そして、これ以上エリアスに負担をかけないよう、激しい動きを止め、ごくゆっくりと、愛を確かめるような律動へと変えた。

「んっ、ぐすっ……ふぅ……」

向き合って抱き合いながら、ヴォルフはエリアスの目尻から溢れ続ける涙を丁寧に舐め取った。
しょっぱい涙の味。

そしてそのまま唇を重ね、深く舌を差し込む。
エリアスは泣きながらも、砂漠が水を吸うようにヴォルフの舌に絡みつき、その唾液を貪欲に求めた。

「……、んむ……っ」

少しでも離れまいと、手足でヴォルフに絡みつくエリアス。
ヴォルフもその切実な想いに応えるように、隙間なく密着しながら、最奥を優しく、粘り強く攻め続けた。

「ぁ、あ……やさしい……でも、くる、きちゃう……っ」

動きは緩やかなのに、ヒートで過敏になりきったエリアスの中は、その優しい刺激にさえ耐えられなかった。
擦れるたびに内壁が収縮し、何度も何度もイキ続けてしまう。

「ひっ、うぅ、あぁっ……!」

ビクビク、と魚が跳ねるように全身を震わせるエリアスを、ヴォルフは至近距離からじっと見つめた。
愛おしさと、心配と、そして昏い独占欲がない交ぜになった瞳。

見つめられながら、エリアスはまだ泣いていた。
快感なのか、安心感なのか、それとも寂しさなのか、自分でも分からない涙が止まらない。

「……そんなに泣かないで、エリアス」

ヴォルフが汗ばんだ額にキスをし、低く囁いた。

「どこにも行かないよ。私はずっと、君のそばにいる」
「……うん、ヴォルフ……」

その言葉が、熱に侵された脳に染み渡る。
安心した瞬間、身体の奥底から大きな波が押し寄せた。

「あっ、ああぁぁーーッ!!」

何度目か分からない絶頂が、エリアスを貫いた。
ビクッ! と身体が大きく弓なりに反り、視界が白く染まる。

限界だった。
あまりの快感と疲労に、エリアスの意識の糸がついにプツリと切れ、ヴォルフと繋がったまま、深い闇の中へと落ちていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

【完結】重ねた手

ivy
BL
とても短いお話です。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

抑制剤の効かない薬師オメガは森に隠れる。最強騎士団長に見つかり、聖なるフェロモンで理性を溶かされ、国を捨てた逃避行の果てに番となる

水凪しおん
BL
「この香りを嗅いだ瞬間、俺の本能は二つに引き裂かれた」 人里離れた森で暮らす薬師のエリアルは、抑制剤が効かない特異体質のオメガ。彼から放たれるフェロモンは万病を癒やす聖なる力を持つが、同時に理性を失わせる劇薬でもあった。 ある日、流行り病の特効薬を求めて森を訪れた最強の騎士団長・ジークフリートに見つかってしまう。エリアルの香りに強烈に反応しながらも、鋼の理性で耐え抜くジークフリート。 「俺が、貴方の剣となり盾となる」 国を救うための道具として狙われるエリアルを守るため、最強の騎士は地位も名誉も投げ捨て、国を敵に回す逃避行へと旅立つ。 シリアスから始まり、最後は辺境での幸せなスローライフへ。一途な騎士と健気な薬師の、運命のBLファンタジー。

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

今からレンタルアルファシステムを利用します

夜鳥すぱり
BL
大学2年の鳴水《なるみ》は、ずっと自分がオメガであることを隠して生きてきた。でも、年々つらくなる発情期にもう一人は耐えられない。恋愛対象は男性だし、男のアルファに会ってみたい。誰でも良いから、定期的に安全に話し相手をしてくれる人が欲しい。でもそんな都合のいい人いなくて、考えあぐねた結果たどり着いた、アプリ、レンタルアルファシステム。安全……だと思う、評価も星5で良いし。うん、じゃ、お問い合わせをしてみるか。なるみは、恐る恐るボタンを押すが───。 ◆完結済みです。ありがとうございました。 ◆表紙絵を花々緒さんが描いてくださりました。カッコいい雪夜君と、おどおど鳴水くんです。可愛すぎますね!

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...