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第4章
お節介と恋の助言
しおりを挟む食事の手が少し落ち着いた頃、エリアスは改めてジョセヌに向き直った。
「おばあちゃん……。ヴォルフに私の居場所を伝えるために、息子さんに手紙を書いてくれたんでしょう?……本当に、ありがとうございます」
エリアスが深く頭を下げると、ジョセヌは目尻の皺を優しく深め、穏やかに微笑んだ。
「……あの夜、リビングで話していたヨハンとエリアスの会話をね、全部じゃないけれど、聞いてしまったんだよ」
ジョセヌは遠い目をして語り出した。
「私はね、愛していた夫とも、一緒に暮らしていた息子とも……急な事故で、さよならも言えずに死に別れたんだ」
「……え」
「だからね。生きているのに、愛し合っているのに離れ離れなんて……そんな悲しい状況を、放っておけなかったんだよ。他人のお節介だとは思ったけれど、なんとかしてあげたくてね」
ジョセヌの言葉には、長い人生を生きてきた者だけが持つ、深くて温かい慈愛が満ちていた。
エリアスの瞳が潤む。
彼女のお節介がなければ、ヴォルフはずっと当てもなくエリアスを探し続け、エリアスもまた孤独に震え続けていたかもしれない。彼女が光をくれたおかげで、こうして奇跡のような再会ができたのだ。
「ありがとうございます……っ、本当に……」
何度お礼を言っても足りないくらいの感謝を込めて、エリアスは涙ぐんだ。
ジョセヌは満足そうに頷くと、今度は向かいでスープを飲んでいるヨハンの方へ視線を向けた。
「ヨハン、あんたもだ」
「えっ、僕?」
不意に話を振られ、ヨハンが目を丸くする。
ジョセヌはニヤリと笑った。
「あの苗屋の子が好きなら、早く押し倒して捕まえな」
「ぶっ!?」
ヨハンが吹き出しそうになり、ヴォルフも少し驚いたように眉を上げた。
ジョセヌは構わずに続ける。
「あの子は奥手だし、あんたのことが好きなのに、明らかに貴族らしいキラキラしてるあんたとは身分違いだなんだと勝手に悩んで悶々としているよ。両思いなら、うじうじしてないでしっかり捕まえなさい」
「お、おばあちゃん……!?」
先ほどまで、ヴォルフに世話を焼かれるエリアスを見てニヤニヤしていたヨハンが、今度はエリアスと同じくらい、いやそれ以上に顔を真っ赤にして狼狽えた。
「そ、そんな……押し倒すなんて……」
「あら、あんたならできるだろう?愛は待ってくれないよ」
ジョセヌに背中を押され、ヨハンは茹で上がったタコのように赤くなりながら、小さく頷いた。
「……う、うん……善処するよ……」
その可愛らしい反応を見て、エリアスも涙を拭いながら頬を緩ませた。
きっと、ヨハンとあの純朴そうな青年が結ばれるのも時間の問題だろう。弟にも、幸せな春がすぐそこまで来ている。
窓から差し込む柔らかな日差し。
美味しい料理。
そして何より、隣には愛するヴォルフがいて、弟や恩人と笑い合っている。
「……」
あまりにも穏やかで、幸せすぎて。
エリアスの目から、悲しみとは違う、温かい涙がまたポロリとこぼれ落ちた。
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