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第4章
愛のゆりかご
しおりを挟む安定期を過ぎ、体調も落ち着いてきたため、エリアスは文通を続けていたナンキンス夫人にも、ついに妊娠の報告をした。
すると、手紙を送ってすぐに、夫人の屋敷から熱烈なお祝いの手紙と共に、たくさんのベビー用品が贈られてきた。
中身は、おむつや肌触りの良いシーツ、そして妊婦であるエリアスが食べやすそうな旬の果物など、実用的な消耗品ばかりだ。
「さすが、ナンキンス夫人ですね……」
ベビー服やおもちゃといった好みが出る主要なものは、両親である本人たちが選びたいだろうという配慮なのだろう。その細やかな気遣いが、エリアスにはとてもありがたく、心に染みた。
そして、そのすぐあとに、ヨハンとジョセヌからもお祝いが届いた。
わざわざ早馬で届けられたその荷物を開けると、中から現れたのは、息を呑むほど美しい花籠だった。
色とりどりの花々は、どれも生命力に溢れ、日持ちするものばかりが選ばれている。きっと、二人がエリアスの体調と安産を願いながら、心を込めて作ってくれたのだろう。
ベッドサイドに飾ると、ふわりと懐かしい花の香りが広がり、まるで二人がそばで見守ってくれているような気持ちになる。
エリアスは胸がいっぱいになりながら、それぞれにお礼と、最近の近況を綴った手紙を送った。
一方、ヴォルフはというと、もうすぐ父親になる準備に大忙しだった。
お腹が大きくなっても着やすいゆったりとした服を調達したり、エリアスがその時々で食べられそうなものを探してきたりと、甲斐甲斐しく動き回っている。
さらに、ベビーベッドや哺乳瓶、産着といった重要なアイテム選びには、余念がない。
「素材はこちらのほうが肌に優しいな……いや、機能性ならこちらか」
カタログや実物を前に真剣な眼差しで吟味する姿は、敏腕商人と謳われた彼そのものだ。
愛する妻と子供が使うものだからこそ、商人としての目利きを最大限に活かし、最高品質のものを選び抜きたいのだろう。
また、アンナも最近は暇さえあれば、エリアスのために着心地の良い部屋着を縫ったり、生まれてくる子どもたちのために小さな靴下や帽子を編んでいたりする。
「奥様、見てください。今度はこんな可愛い色が手に入ったんですよ」
嬉しそうに見せてくれるアンナの笑顔を見るたびに、エリアスの心は温かくなる。
エリアスは、自分がみんなに大事にされ、深く愛されていることを毎日肌で感じることができて、本当に幸せだった。
かつて孤独だった自分が、こんなにも多くの愛に囲まれている。
エリアスは、ベッドに横たわりながら、日に日に大きく、重くなっていくお腹を優しく撫でた。
「……ふふ」
掌を通して、トク、トク、と力強い二つの命の鼓動が伝わってくる。
エリアスは、まだ見ぬ我が子たちに向かって、慈しむように語りかけた。
「……元気に出ておいで。ここは、貴方たちを愛してくれる人たちがたくさんいる世界だよ。だから……安心してね」
優しい声が、陽だまりのような部屋に溶けていく。
エリアスは満ち足りた笑顔で、愛の詰まったお腹を抱きしめた。
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