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牛丼屋のカレー
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彼との浮気がバレた。
奥さんから呼ばれて、、証拠もばっちり、降参するしかなかった。
夫は離婚だ、いや今回は許してやる、とコロコロ意見が変わる。
でも、義母の鶴の一声で離婚となった。
職場には隠しておいたけどどこからか漏れたのかひそひそ言われる。
半年持たずに退職した。
そんな私を助けてくれたのは義母だった。
牛丼屋でカレーを食べていると隣に座ったおばさんもカレーを頼んでいた。
顔を見ると義母だった。
「ちゃんと食べてるかい、だいぶやつれたね」
なんだろう、何か用事があるんだろうか、こっちは居心地悪いんですけど。
おばちゃん特有の図々しさで、家までついてこられてしまった。
「あんた仕事は?」
短期のアルバイトしかできていないというと、
「もったいないねぇ、資格持ってるんだろ。あんた、この会社で働きなさい」
そういって見せられたのは隣県の小さな会社。
「昔世話になっていたところでね、人手が足りなくて困ってるんだ、あとこれ持っていきな」
渡されたのはいくらかのお金の入った封筒。
義母を見つめると
「あげるんじゃないよ、貸すんだからね」
そういうと立ち上がり出て行った。
見送った後、涙が止まらなかった。
隣県に引越し仕事にも慣れたころ、牛丼屋でカレーを食べてると向かいのカウンターに見た顔がいた。
「社長?」
親の介護や親から引き継いだ仕事が忙しくて社長は40を過ぎても独身だった。
私は浮気のことがあったから距離を置こうとしたけれどあちらからぐいぐい距離を縮められる。
観念した私は前の夫の事、その夫を裏切ってたこと、バレて離婚になったこと、洗いざらいぶちまけた。
「それで、もし、次に結婚したら、また浮気する?」
いや、ずいぶん直球な質問ね。
わからない、けれど自分のためにも、もうあんなことはしたくない。
そう答えた。
そのあとは早かった。
気が付いたら同居して、籍を入れ、子どもができた。
子供が小学生になったころ牛丼を食べたいと言われてお昼を牛丼屋いった。
牛丼が食べたいと言ったくせに子供が頼んだのはカレー。私もカレー。
顔をあげるとカウンターの反対側に見たことのあるおばあさんがいた。
元義母だった。
私に目くばせだけして先に店を出て行った。
子供を残して店を出ると元義母と知らない老紳士が立っていた。
「元気そうだね、あの子はあんたの子か。いい子だ」
いろいろ話したいことはあるけれど、
「これからこの人と南の方に行くのさ。もうこっちには帰ってこないから、最後に会えてよかったよ」
そう言いながら二人連れ立ち去っていった。
半年後、知らない名前の人から手紙が来た。あの老紳士だ。
元義母は不治の病だったこと。
希望通りに南の島で最期を過ごしたこと。
「あなたがしあわせそうで、それがうれしかったみたいです」
と書いてあった。
奥さんから呼ばれて、、証拠もばっちり、降参するしかなかった。
夫は離婚だ、いや今回は許してやる、とコロコロ意見が変わる。
でも、義母の鶴の一声で離婚となった。
職場には隠しておいたけどどこからか漏れたのかひそひそ言われる。
半年持たずに退職した。
そんな私を助けてくれたのは義母だった。
牛丼屋でカレーを食べていると隣に座ったおばさんもカレーを頼んでいた。
顔を見ると義母だった。
「ちゃんと食べてるかい、だいぶやつれたね」
なんだろう、何か用事があるんだろうか、こっちは居心地悪いんですけど。
おばちゃん特有の図々しさで、家までついてこられてしまった。
「あんた仕事は?」
短期のアルバイトしかできていないというと、
「もったいないねぇ、資格持ってるんだろ。あんた、この会社で働きなさい」
そういって見せられたのは隣県の小さな会社。
「昔世話になっていたところでね、人手が足りなくて困ってるんだ、あとこれ持っていきな」
渡されたのはいくらかのお金の入った封筒。
義母を見つめると
「あげるんじゃないよ、貸すんだからね」
そういうと立ち上がり出て行った。
見送った後、涙が止まらなかった。
隣県に引越し仕事にも慣れたころ、牛丼屋でカレーを食べてると向かいのカウンターに見た顔がいた。
「社長?」
親の介護や親から引き継いだ仕事が忙しくて社長は40を過ぎても独身だった。
私は浮気のことがあったから距離を置こうとしたけれどあちらからぐいぐい距離を縮められる。
観念した私は前の夫の事、その夫を裏切ってたこと、バレて離婚になったこと、洗いざらいぶちまけた。
「それで、もし、次に結婚したら、また浮気する?」
いや、ずいぶん直球な質問ね。
わからない、けれど自分のためにも、もうあんなことはしたくない。
そう答えた。
そのあとは早かった。
気が付いたら同居して、籍を入れ、子どもができた。
子供が小学生になったころ牛丼を食べたいと言われてお昼を牛丼屋いった。
牛丼が食べたいと言ったくせに子供が頼んだのはカレー。私もカレー。
顔をあげるとカウンターの反対側に見たことのあるおばあさんがいた。
元義母だった。
私に目くばせだけして先に店を出て行った。
子供を残して店を出ると元義母と知らない老紳士が立っていた。
「元気そうだね、あの子はあんたの子か。いい子だ」
いろいろ話したいことはあるけれど、
「これからこの人と南の方に行くのさ。もうこっちには帰ってこないから、最後に会えてよかったよ」
そう言いながら二人連れ立ち去っていった。
半年後、知らない名前の人から手紙が来た。あの老紳士だ。
元義母は不治の病だったこと。
希望通りに南の島で最期を過ごしたこと。
「あなたがしあわせそうで、それがうれしかったみたいです」
と書いてあった。
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